岩手県奥州市・金ケ崎町をエリアとした地域新聞社による国際リニアコライダー(ILC)関連記事を掲載。 奥州市東部の北上山地は、現時点における世界唯一のILC候補地に選定されました。当サイトにはILCをはじめ、理系分野やILCに関連性のある地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)についての記事を随時アップします。
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tanko 2017-4-15 9:40
本間希樹・国立天文台水沢VLBI観測所長も参加

 謎だらけの天体「ブラックホール」を直接撮影する世界初の試みが今月上旬、アメリカや南米、南極などの観測局が連携し行われた。アジアや欧米の天文学者らによる国際共同研究事業で、国立天文台水沢VLBI観測所=水沢区星ガ丘町=の本間希樹(ほんま・まれき)所長もその一員。ハワイで撮影作業を見守り、帰国したばかりの本間所長が13日夕、胆江日日新聞社の取材に応じ「解析や画像化する作業などを経て、早ければ年内にも公開できるだろう。非常に楽しみだ」と心を躍らせている。
(児玉直人)

 本間所長が参加する国際プロジェクト「EHT(Event Horizon Telescope)」は、ブラックホールの真の姿をとらえることを最終目標に活動してきた。強大な重力であらゆるものを吸い込む、ミステリアスな印象を与えてきたブラックホールの姿は、これまで「想像」でしか描かれていなかった。
 EHTは今回、地球から約2万5000光年離れた場所にある「いて座Aスター」と、約5400万光年離れたおとめ座方向にある「M87銀河」の中心に潜む巨大ブラックホールを撮影対象とした。いて座Aスターは、太陽の400万倍の質量を持ち、直径は太陽の17倍。M87中心部のブラックホールはさらに巨大で、質量は太陽の60億倍。直径は太陽の2万5500倍あるとされている。
 撮影作業(観測)は、米国のハワイ島やアリゾナ州、メキシコ、チリ、南極、スペインの世界6カ所にある計8局の電波望遠鏡を連動させ実施。できるだけ遠く離れた複数の電波望遠鏡が、一斉に同じブラックホールを観測することで、実際に製造不可能な直径1万kmの電波望遠鏡で観測したのとほぼ同じ精度の高いデータが得られる。VLBI(Very Long Baseline Interferometry=超長基線電波干渉計)と呼ばれ、水沢VLBI観測所が運用する「VERA(ベラ)」も同じ仕組みを採用している。
 撮影作業は今月5日から11日までの間、計5日にわたり行われた。ハワイ島の観測施設「ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(JCMT)」に出向いた本間所長は、「すべての地域で天候が良く、またトラブルもなく順調にできた。こんなにうまくいくとは思わなかった」と喜ぶ。
 今後、各局で得られた電波の強弱などを表すデータを解析し画像化を進める。本間所長は「日本やアメリカのメンバーがそれぞれ提案している技術で“絵”にしていく。国際的に協力し合う一方で、いい意味の競争が生まれる。最終的には1枚の姿を公開するが、日本の提案する処理方法が採用されるよう頑張りたい」と意気込む。
 公表されるのは早くて年内。本間所長は「今まで見えなかった姿が見えてくることで、ノーベル賞級の発見があってもおかしくない。非常にわくわくするし、このようなプロジェクトに携われたこと自体うれしい」と話している。

写真=ブラックホール撮影立ち会いのため、ハワイ島のJCMTに集まった天文学者たち。左が本間希樹所長(写真提供、本間所長)
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tanko 2017-4-14 19:20
 東京・千代田区の北の丸公園内にある科学技術館は、文字通り科学技術の普及、啓発のためにつくられた施設だ。3月末、東京に出掛けた折、立ち寄ってみた。「理科離れ」「理系離れ」が指摘されるなかで、子供たちのグループや家族連れなどで盛況だった。不思議なつくりの創作物に触れたり、異次元空間に身を置くなど、科学技術の世界を楽しんでいた。
 17日から科学技術週間だ。日本の科学技術の振興を図るために1960年に制定されたというから、半世紀を超える取り組みになる。期間中、文部科学省は功労者表彰を予定するほか、国内各地で講演会や公開講座、博物館や文化館での特別公開などが行われるという。科学技術館でも無料開館日を設けるほか、関連イベントを予定している。
 文科省の推進要綱によると、科学技術と社会は相対するものとして位置付けられていたが、研究者や国民、産業界などによる「共創」する関係が求められる。そんな科学技術の進歩で恩恵を受けるわたしたちがいっそう理解を深めるための1週間という位置付けのようだ。
 科学技術館の館長は、2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治氏。野依館長は、科学知識について「人類共通の資産。科学知に基づく技術の開発は現代文明の礎」と言っている。科学の営みは「果てしなく続く知の旅」とも語る。
 このため、青少年らが学校での理科教育だけでなく、産学官などによる環境づくりの必要性も訴える。科学技術館内には、協賛・協力企業に常設展示室がある。展示するテーマに関連する企業や団体に制作の協力をしてもらう内容で、「味の素」「昭和シェル石油」「キヤノン」などのコーナーが見られる。
 親子連れや子どもたちのグループのほか、外国人らの姿も多く、見たり触れたりの体験型の展示に列をなしていた。科学を学ぶというより、目の錯覚を利用した面白い空間、てこの原理を活用して車を動かすコーナーなど、遊園地のアトラクションを楽しむ感覚のようだ。
 一方で、理科の学力低下や文系志向などを背景に「理科離れ」「理系離れ」が言われて久しい。文科省の全国学力テストでも理科離れは顕著。「理科が好き」なのは、小学6年生で8割を超え、中学3年で6割程度になるらしい。
 確かに、観察や実験などの体験型授業であれば、一種のアトラクションのようで楽しいのだろう。中学生ともなると、教科書を広げて理論を学ぶ。学年が進むにつれて難しくなり、理解しにくくなるというのは経験上、よく分かる。
 この半世紀、高度成長期を経て商工業技術の進歩は著しい。一般家庭での電化製品の普及は、生活様式を変えるほどだ。かつて、粗悪品の代名詞だった「メイド・イン・ジャパン」は、高品質と信頼性の象徴といえる言葉になった。社会や日常生活を支える科学技術の進歩である。
 胆江地区を含む県南部では今、国際リニアコライダー(ILC)の建設に期待感がある。学術や産業、地域振興など多く分野での効果が期待される。科学技術の恩恵を得られる施設だけに、週間に合わせて知識を深めてみたいものだ。
(小野寺和人)

写真=科学技術を結集し構想されるILC。写真は、本県で開かれた国際会議で、候補地一帯を立体視する航空写真に見入る外国人研究者(昨年12月、一関市で)
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tanko 2017-4-13 9:50
 茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK、山内正則機構長)は、北上山地への誘致が期待される素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の広報活動資金を得るため、個人や法人・団体からの寄付を募っている。目標額は1000万円で、2019年3月31日まで呼び掛ける。
 KEKでは、ILCで使用される加速器や電子・陽電子ビームの研究開発が進められている。併せて、国内での理解周知を図る広報活動、出前講座なども展開している。
 ILC計画の広報普及活動をめぐっては、素粒子物理の研究者界や胆江地区など有力候補地である北上山地の周辺地域では一定の認知度があるものの、首都圏をはじめ候補地以外の地域ではまだまだ知られていない状況。これまでも各種誘致団体などと連携し、さまざまな切り口から宣伝しているが、KEKは「ILC計画に対する調査・研究などが進められている今、時機を逸することなく理解増進活動をさらに充実させたい」とし、支援を呼び掛けている。
 寄付協力者への特典も用意。個人で10万円以上、法人・団体で100万円以上寄付すると金額に応じた称号が与えられ、KEK敷地内「小林ホール」にネームプレートが掲示される。税制上の優遇措置も受けられる。
 寄付方法は個人の場合、1000円からの受け付け。銀行振り込みやKEKへの持参のほか、クレジットカードの利用も可能。法人の場合は銀行振り込みか持参のみ。詳しくはKEKの公式サイト
http://www2.kek.jp/ilc/ja/contents/contribution/index.html
を参照のこと。問い合わせはKEK内のILC推進準備室(電話029・864・5131)へ。

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The High Energy Accelerator Research Organization (KEK, Masanori Yamauchi) of Tsukuba City, Ibaraki Prefecture, is soliciting funds for promotional activities, hoping to attract the elementary particle experimental facility "International Linear Collider (ILC)" to the Kitakami Mountains. They are seeking donations from individuals as well as corporations and organizations. Their target is 10 million yen by March 31, 2019.

KEK is currently doing research and development of accelerators and electron / positron beams to be used by the ILC. At the same time, they are developing public relations activities and lecture courses to inform the public about the ILC project. There is a certain degree of recognition in the area around the candidate site in the Kitakami Mountains and the Tanko district (south area of Iwate), but outside these areas the situation is not well known yet.

KEK is calling for support, saying, "We would like to further enhance our promotional activities as quickly as possible, as investigations and research on ILC projects are ongoing."


Donor benefits are also available. If you donate 100,000 yen or more for individuals and 1 million yen for corporations or groups, a title according to the amount will be given and a name plate will be posted on "Kobayashi Hall" at KEK. There are also tax incentives for donations.

Individuals can donate from 1000 yen by bank transfer, credit card, or in person at KEK. For corporations, donations are only accepted by bank transfer or in person. For details, please see KEK's official website
http://www2.kek.jp/ilc/ja/contents/contribution/index.html. For more information, please contact KEK's ILC Promotion Preparation Office (telephone 029-864-5131).
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tanko 2017-4-13 9:50
 一般財団法人光科学イノベーションセンター(仙台市、高田昌樹理事長)が実現を目指している「東北放射光施設」の建設最適地に、同市青葉区の東北大学青葉山新キャンパス地内が選ばれた。同センターから建設地選定の諮問を受けていた外部有識者による委員会が11日、同センターに答申書を提出した。
 東北放射光施設は、ILCをはじめとした東北地方の加速器施設整備構想の一翼を担う施設。2011(平成23)年12月に岩手大学など東北の7大学により提案された。
 候補地は青葉山のほか、宮城県の松島町、大郷町、丸森町、青森県むつ小川原地区の計5カ所。諮問委員会は、放射光活用に関係性のある学部を有する東北大が近接し、交通アクセスも良好などの理由から青葉山を選定した。他の4カ所については、研究機関や産業集積に関する具体的ビジョンに課題があったことや、アクセス面で評価点が伸びなかった。
 放射光は、素粒子加速器の技術などを用いて発生させる。国内では茨城県のKEKや兵庫県の「スプリング8」が知られており、新材料の開発や創薬、貴重な文化財の非破壊調査、さらには犯罪で使われた毒物の特定なども可能という。
 東北放射光施設の建設費は約300億円。当初は国の復興予算で全額を見込んでいたが、財政面を考慮し公費活用は一部にとどめ、民間からの出資を募る方針に転換した。2018年度の着工、2020年度の稼働を見込む。
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tanko 2017-4-12 19:30

 奥州市水沢区佐倉河字東広町の県立産業技術短期大学校水沢校に本年度、開設3学科の総定員60人を上回る62人が入学。11日、同校で入学式が行われ、ものづくり業界の即戦力を目指した2年間の学生生活をスタートさせた。
 入学式で千葉則茂校長は「本校は今年で創立20周年を迎え、これまで技能五輪などさまざまな大会、コンテストで多くの賞を受けてきた。誇りをもって学んでもらい、明るい未来を切り開いてほしい」と式辞。入学生を代表し電気技術科の三浦大和さん(18)は「世界情勢は刻一刻と変化し、日本の産業界も多くの変化がある。岩手では自動車産業集積や国際リニアコライダー誘致を目指している中、チャレンジ精神を忘れずこれからの産業を支える技術者として成長していきたい」と決意を述べた。
 水沢校の本年度入学者は建築設備科25人、電気技術科20人、生産技術科17人の計62人。約6割が県南地域出身者で、奥州市出身が15人、金ケ崎町出身は2人だった。
 各学科の定員は20人だが、建築設備科は5人上回った。生産技術科では3人下回っているものの、在籍者が一桁台になる年度もあり、ここ数年の動向と比べれば多いという。同校は詳細な理由については把握できていないとしながら、各学科の課程に関係する職業への関心、理解が広がっているからではないかとみている。

写真=産業技術短期大学校水沢校の入学式。総定員を上回る62人が2年間のキャンパスライフをスタートさせた
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tanko 2017-4-12 19:30
 「英語教育の町金ケ崎」を推進する金ケ崎町に、新しい英語指導助手(ELT)2人が着任した。外国人講師4人を中心に、幼稚園・保育園から中学校までの英語活動を継続実施。町教育委員会には、県内の小学校教諭として初めて小学校外国語活動担当に位置付けられた指導主事が新たに配置されており、本年度も英語コミュニケーション力の高い人材の育成に向けた取り組みを進める。
(菊池藍)

 同町では、国の教育課程特例校指定を受け、2014(平成26)年度から町内全ての小学校全学年で英語活動を実施している。全授業にELTを配置し、外国人講師が中心となり授業を進めるのが特徴。中学校では1週間を通してELTを配置しているほか、町内全ての幼稚園・保育園にもELTを派遣している。
 英語教育の町を推進するに当たり、大きな役割を果たしているELTは2015年度から4人体制。本年度は、転任したELT2人に替わり、コリン・ティースさん(26)=米ミネソタ州出身=とカリッサ・ドブソンさん(23)=米ニューヨーク州出身=が新たに着任した。英語指導員(町職員)のダニエル・デグラスさんとELTの瀧澤クリスティンさんと共に指導に当たる。
 ティースさんは「日本で経験を重ね、アメリカで教師になりたい」と語り、「あいさつに行った時に会った金ケ崎の子どもたちはみんな元気。授業で会えるのを楽しみしている」。
 ドブソンさんは「得られたものを次の人に返していくという日本の文化が好き。自分が持っている英語の力を子どもたちに与えたい」と意欲的。「新しい地域を知り、文化を学ぶことが楽しみ。金ケ崎のいろいろなイベントに参加したい」と話し、アスパラダンスに興味を示していた。
 ティースさんは中学校と町内3保育園、ドブソンさんは中学校と南方幼稚園、西小学校を受け持つ。研修も行いながら、新年度授業の本格化とともに指導の中心的役割を担っていく。
 新任ELTを加え、新たな体制となる本年度は、次の学習指導要領改訂を見据え、小学校高学年の学習内容に第3名詞や過去形を加えるなど、指導内容を一部見直し。また、県内で初めて小学校外国語活動の担当に位置付けられた瀬谷圭太指導主事が、町教委事務局に配置となり各校での活動をサポートする。学校での教育活動のほか、中高校生への英語検定料助成やイングリッシュ道場(中学生対象)、グローバルキャラバン(小学生対象)も継続していく。

写真=新たに着任した、右からカリッサ・ドブソンさんとコリン・ティースさん、瀬谷圭太指導主事
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tanko 2017-4-11 20:10
 北上山地が有力候補地になっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の実現を見据え、加速器関連産業への地元企業参入に向けた取り組みが、産学官連携の下で進められている。熱心に情報収集する企業はあるものの、自社との関連性がイメージできず、人手不足に直面する現状もあって、積極的な動きに至らない“様子見感”も漂っている。十分な資金力や研究開発環境がない中小企業が多い地域にあって、いかにして参入しやすい環境や体制を構築し、やる気を引き出すことができるか。ILCを契機とした地域活性化、産業振興を望むとするならば、関係機関がより一層力を込めて取り組む必要がある。
(児玉直人)

 東北ILC推進協議会東北ILC準備室、いわて加速器関連産業研究会は昨年度、4回にわたり「ILC技術セミナー」を開催。高エネルギー加速器研究機構(KEK)の現役研究者らを講師に迎え、ILCの目的や施設概要、使用される装置の仕組みや必要な技術、関連するコンピューター技術などについて解説した。4回のうち2回は北上市と一関市で開かれた。
 県内企業の技術力向上や取引機会拡大を狙った開催だが、宮城や秋田といった隣県はもとより、東京都や長崎県といった遠方からの参加企業関係者もいた。
 セミナーの運営を担当した公益財団法人いわて産業振興センターものづくり振興部の今健一ILCコーディネーターは、「東北一円からの参加があると感じる」と話す。一方、多くの地元企業の参加を呼び掛けているが「様子見といった雰囲気は感じている。うちでやっている仕事とどう結び付くのか分からないという印象なのかもしれない」。
 各企業の製品や技術が、ILCや関連施設のどういった場面で使えるか――。今コーディネーターは、東北大と岩手大で客員教授を務める吉岡正和・KEK名誉教授らと、地元企業を訪問するなどして地域に潜在する“ものづくり力”を洗い出そうとしている。
 「今すぐに仕事に結び付くわけでもないし、ILCに対するイメージからハードルが高い仕事と思われがち。しかしながら、元気のある会社はすでに動いている。とにかく企業側と私どもとキャッチボールをしながら関係を築きたい。いきなり製造し商売するのではなく、『とりあえずセミナーに来てみた』というところからだと思う」(今コーディネーター)
 奥州市胆沢区小山の機械メーカー蠹賤旅機の佐々木洋日児会長は、ILCと地元企業の現状について、企業側は何をしたらいいか分からず、参入を推進する側も地元企業とどう関係を構築したらよいか手探りしているように見えるという。「ILCの設備や加工方法に精通しており、地元の企業の技術や設備、キャパシティーなどのデータベースを持ち得た人を専任に置き『この技術ならA社、この作業ならB社が得意』というように、2者間をインキュベート(育成・支援)できるよう調整すべきだと思う」と語る。

思いは「ネジ1本でも……」
 奥州市水沢区羽田町で精密機械部品加工や治工具の設計製作などを手掛けている(有)テクニス精機の千葉智弘社長は、ILC技術セミナーに何度か足を運んだ。内容に疑問を抱く場面はあったが、一定の収穫も得られたという。
 「最初に出席したときは『これは、ものすごい資金力がある大手でなければできない』という印象を抱いてしまった」という。関連装置や付属施設に、どんな技術が求められるのかなど、具体的なイメージを描ける話が乏しかったといい、期待していたものではなかった。しかし、2回目に参加したセミナーでは、加速器関連産業参入の先進企業の話があり、具体事例や体験談など経営者の視点に立った講演は、とても参考になったという。
 「知人の経営者は『ネジ1本でもいいから関わってみたい』とつぶやいていた。おそらく似たような思いは製造に限らず、あらゆる業種、分野に携わる人たちが抱いているかもしれない」と千葉社長。「より具体的に、より掘り下げた内容が分かれば、もっと関心を示してくれるのでは」と注文する。
 ただ、地元中小企業の多くは、さまざまな課題に直面している。特に人手不足の問題は深刻。どんなに技術があり、資金的支援が講じられたとしても、技を継承すべき担い手がいなければ意味がない。千葉社長は「地元企業がILCに携わるという“夢”を語る以前に現実的な重要問題だ」と強調する。
 胆江地区を拠点に活動している民間誘致団体「いわてILC加速器科学推進会議」で顧問を務める、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長(国立天文台名誉教授)も、セミナーに参加し情報収集。3月23日に開かれた昨年度最終の第4回セミナー(会場・県立大学)では、ILCに関わるコンピューター技術について取り上げられたといい、「ようやく具体的な話に入ってきた」と感想を述べる。
 研究結果の予測や解析にとどまらず、巨大な装置を動かす上で、ILCとコンピューターは切っても切れない関係。電子、陽電子が駆け抜ける加速器は「ILCの心臓部」に例えられているが、コンピューター装置は神経に匹敵するほど重要で、ILCに関わるあらゆる設備や仕事と結びつく。
 加速器関連産業への地元企業参入はこれまで、部品や機械装置など目に見える「モノ」への注目が高かった。だが、コンピューターシステムを動かすソフトウエアのように、形として存在しないものも作り上げていかなければならない。「ILCを作るにはあらゆる知恵が必要であることをあらためて実感させられた」と大江理事長。セミナーで示された技術等に関連性がある地元企業に声を掛け、情報提供を積極的に行い機運の醸成を図っている。
 ILC技術セミナーは本年度も継続する見通しで、大江理事長によると、奥州・金ケ崎エリアで開催したいとの意向が主催者側にあるという。
 大江理事長は「この地に生まれた偉人は、誰もやらないことをやってみせ、その名を歴史に残した。そういう気概が息づくまちであると思いたい」と期待している。


写真上=県立大学で開かれた第4回ILC技術セミナーの様子(大江昌嗣氏提供)

写真下=加速器関連産業や同産業への参入を考える企業が集まって開かれた企業展示会=昨年12月、盛岡市のいわて県民情報交流センター(アイーナ)で
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tanko 2017-3-31 9:40
 奥州商工会議所(海鋒守会頭)は30日、水沢区佐倉河のリサージュ四季の抄で第2回通常議員総会を開き、2017(平成29)年度の事業計画と収支予算を原案承認した。会員事業所の発展と地域経済の繁栄を基本方針に掲げ、国際リニアコライダー(ILC)誘致実現や地域産業振興などに力を注ぐ。
 委任状を含む115人が出席。海鋒会頭はあいさつで「地域や産業の振興には会員企業の現場の声が必要。そのために親しまれる開かれた商工会議所づくりに取り組みたい。今後2年がILC誘致実現に向けた正念場。一日でも早い誘致実現に努めたい」と述べた。
 新年度の重点事業は▽開かれた・親しまれる商工会議所づくりの推進▽市内商工団体との連携強化▽ILC誘致・建設促進の推進――の3項目。2019年10月の消費増税・軽減税率適用を見据えた対応や市商店街活性化ビジョンに基づく中心商店街活性化事業の実施など6項目を継続重点事業に掲げた。
 新年度一般会計・特別会計収支予算は、収入支出にそれぞれ3億2200万円を計上した。

写真=新年度に向けた総会であいさつする奥州商工会議所の海鋒守会頭
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tanko 2017-3-26 19:50
 ドイツ・マインツ大学の斎藤武彦教授(原子核構造物理学)による講演会が24日、水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)で開かれた。「ILCとこれからの幼児教育について」と題し、日本とドイツの教育システムの比較などを交えながら国際化に必要な教育の在り方について持論を展開した。
 一般社団法人県私立幼稚園連合会(坂本洋会長)の第32回教員研修大会県南地区大会記念講演会として実施。幼児教育に携わる私立幼稚園や認定こども園の教諭ら約290人が聴講した。
 斎藤教授は、日本とドイツにおける教育の違いについて「ドイツでは自分の頭で考えることの実践や議論を重視しており、異なることを素晴らしいとする教育」と紹介。「答えを与えるのではなく、答えに到達できる道筋を与えてあげること。そして人と違うことの素晴らしさを大人が認めてあげることが大事」と強調した。
 素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)が岩手に来る意義として「震災から復興、発展した岩手から世界で活躍するリーダーを輩出することができれば、世界中のさまざまな被災地や紛争被害地に希望を与えられる」と言及。
 その上で「自分の頭で考える大切さが教育の根底になければ、海外からの幼児や児童も受け入れることができない」とし、「国際化とは世界に通用する人材を輩出すること。日本の幼児教育の中でどう実現できるか模索してほしい。岩手の教育が日本の未来と世界との関わりを変えていく大きな原動力になる」と期待を込めた。
 研修大会では、講演のほか分科会も行われ、代表5園がそれぞれのテーマごとに取り組み事例を発表した。開会行事の席上、永年勤続者として17人に表彰状が贈られた。

写真=「国際化には自分の頭で考える力を育てる教育が必要」と語り掛ける斎藤武彦教授
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tanko 2017-3-24 19:40
 岩手県科学ILC推進室の佐々木淳室長は23日、奥州市水沢区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で講演し、国際リニアコライダー(ILC)をめぐる今後の動向などについて説明した。2017(平成29)〜2018年度中にもILC国内誘致の政府判断が出ると予測される中、「この一年はどれだけ受け入れの準備ができるのかが問われるだろう」と述べ、地元関係者とより緊密に連携していく姿勢を示した。
(児玉直人)

 佐々木室長は、同区を拠点とした誘致団体「いわてILC加速器科学推進会議」の総会に合わせ開催した記念講演会に登壇。直近の動向や海外の研究施設におけるILCの取り組み、今後の動きについて解説した。
 政府の誘致判断に影響を与える文部科学省のILC有識者会議の議論は当初、研究意義や技術面に関するものが中心だったが、現在は周辺環境や社会基盤など地域的な分野に入ってきているという。佐々木室長は「完成までに10年かかるILCだが、仮に工事が始まれば2、3年で関係する外国人が徐々に訪れるようになる。地元での受け入れ態勢はそれなりに必要になってくる」と説いた。
 ヨーロッパの研究施設では、加速器空洞を収納する「クライオモジュール」の組み立てテストが繰り返されており、作業スピードも格段に向上。「われわれは誘致活動に重きを置いている観もあるが、海外ではいつでも関連装置を造れる状況にあり、早く日本が誘致に手を挙げてほしいと思っているようだ」と佐々木室長。地元企業の協力を得るなどの製造体制を整えているほか、クライオモジュールの外枠となる円筒状の部材には中国のメーカーも参入しているという。
 佐々木室長は「この一年は、地元がどれだけ受け入れへの準備ができるかが問われる時期。今までは一般論的な話をしていたが、もっと具体的に『こういうことができないか』など突っ込んだ話をしていくことになる。皆さんと一緒になって取り組んでいきたい」と協力を求めた。

写真=ILCの動向について説明する県の佐々木淳・科学ILC推進室長

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