岩手県奥州市・金ケ崎町をエリアとした地域新聞社による国際リニアコライダー(ILC)関連記事を掲載。 奥州市東部の北上山地は、現時点における世界唯一のILC候補地に選定されました。当サイトにはILCをはじめ、理系分野やILCに関連性のある地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)についての記事を随時アップします。
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tanko 2018-9-18 16:50
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)への疑問や住民関心事を解説するセミナー(東北ILC準備室主催)が、24日午後3時から同4時半まで、一関市山目字前田の一関保健センター多目的ホールで開かれる。
 ILCに関連するセミナーや講演会が盛んに開催されている同市で同セミナーを実施することになった背景には、地元住民から自然環境や放射線の影響に対する疑問、誘致運動の在り方に対する苦言が表面化したことがある。
 一関市や平泉町内の僧侶、社会学が専門の大学教授らによる有志は8月10日付で、ILCの建設に関する意見書を日本学術会議(山極寿一会長)に提出。同24日には、同市を拠点としている市民団体「ILC誘致を考える会」が、ILCの疑問点や問題点を取り上げた公開質問状を勝部修・一関市長に提出した。
 ILCに対する疑問や批判的な声は、全く無かったわけではなく、ネット上でも見受けられた。誘致を推進する研究者組織や日本の産学官連携組織、地元自治体などは講演会の質疑応答、ホームページを通じて説明や理解を求める対応をしてきたが、地元住民の理解や同意は誘致実現に欠かせない要素であることから、県や研究者サイドの担当が地元側の質問に直接答える場をあらためて設けた。
 主催する東北ILC準備室は岩手・宮城両県の産学官関係者で組織。今回のセミナーは、岩手県と一関市が共催し、奥州、盛岡、大船渡の3市が後援に名を連ねる。当日は岩手県理事で科学ILC推進室の佐々木淳室長がILCの最新動向について説明。同準備室で広報部門を担当している岩手大学理工学部の成田晋也教授が、ILCに対する住民側の質問や疑問について答える。
 問い合わせは、岩手県庁の同推進室(電話019・629・5203)へ。
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tanko 2018-9-13 12:40
 金ケ崎町議会9月定例会・決算審査特別委員会(千田力委員長)は12日、2017(平成29)年度一般会計決算の第2区分(議会費・総務費・民生費)と第3区分(衛生費・労働費・農林水産業費)について審査。空き家対策や防災、国際リニアコライダー(ILC)誘致などについて、議論を交わした。
 空き家対策については、及川みどり氏が質問。同町では昨年度、空家等対策計画(2018〜2021年度)を策定しており、「空き家の発生抑制」「空き家の利活用促進」「空き家の適正管理の促進」「危険空き家の抑制・解消」を基本方針に、ふるさと納税を活用した空き家管理など具体的な対応策を盛り込んでいる。
 計画に基づいた具体対応について、千田美裕総合政策課長は「空き家バンクへの登録を促しているほか、町民からの情報提供を受け、現地確認の上で所有者に連絡するなどしている」と説明。及川氏が主張した、農業振興地域など宅地の確保が難しい地域における敷地面積の広い農家空き家の分譲地化など、民間連携による利活用促進については、「町内事業者でも空き家への関心があるところがあり、話し合いながら検討したい」と答えた。
 全国的に大雨などによる災害が発生する中で、ため池ハザードマップ作成に関連し、使われていないため池の有無やハザードマップの内容周知などについて、阿部隆一氏や千葉良作氏が質問。阿部一之農林課長は「町内のため池は個人管理も含め32カ所。このうち使われていないのは永沢に1カ所あるが、今後行うほ場整備で壊す予定になっている」と説明した。
 同町では昨年度、水防法の改正に伴い「想定しうる最大規模の降雨」による北上川の浸水被害に対応する「町防災マップ」を作製。災害時に周辺への被害を及ぼす可能性がある防災重点ため池である▽千貫石ため池▽橇引沢ため池▽高谷野ため池▽入道森2、3ため池――の決壊時の最大浸水深を表示したハザードマップとの両面印刷になっており、全戸配布されている。
 町は本年度、生活圏ごとに自主防災組織のリーダーを対象とした研修会を実施。鈴木敏郎生活環境課長は「自治会や自主防災組織で集まった際に話題とし、共通理解を深めてほしい」と行政による啓発だけでなく住民の主体的な防災意識高揚を求めた。
 北上山地が有力候補地の素粒子実験施設・ILCについて千葉氏は、一関市を拠点とする市民団体が同市に対し質問状を提出したことを踏まえ、市民団体が懸念しているような建設に伴うデメリットの説明について、町としての対応を問いただした。
 千田総合政策課長は「町ではILCへの理解を深めるため、小学校での出前授業を実施している。(市民団体の質問状は)負の面もあることをしっかり啓発していくべきだという趣旨ととらえている。政府による国内誘致の表明後には、環境や放射能管理について説明していく必要があると考えている」と答えた。
 13日は一般会計決算の第4区分(商工費・土木費・消防費)の審査で再開する。
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tanko 2018-9-13 12:30
 奥州市議会9月定例会は12日、決算審査特別委員会(及川善男委員長)による審査が始まった。市財務部のまとめによると、2017(平成29)年度の一般会計と特別会計を合わせた決算状況は、歳入905億6657万円に対し歳出892億9776万円となり、繰り越し財源を差し引いた実質収支は11億9013万円の黒字となった。

 一般会計は歳入580億6634万円で、地方交付税や国庫支出金の減少などから前年度比4.6%減少した。市税は132億1426万円で同1.4%増となり、市民税が所得増により個人・法人ともに増加した。
 歳出575億4546万円は同4.7%減。特に普通建設事業費(45億1151万円)は胆沢の統合中学校新築や水沢の久田前田中線整備など大規模事業完了で前年度に比べ減少した。
 2017年度は第2次市総合計画初年度に当たり、主な事業としては、奥州市版総合戦略事業(1億7221万円)を安定雇用や結婚支援・子育て環境充実などの基本目標を基に実施。国際リニアコライダー(ILC)推進(1277万円)や地域づくり推進(1億8040万円)の各事業を展開した。胆沢のスマートインターチェンジ(3億9882万円)、震災復興特別交付税を活用し衣川総合支所建設(3億8224万円)にも取り組んだ。
 2017年度初開催のいわて奥州きらめきマラソン(1609万円)、カヌージャパンカップ(1010万円)はスポーツを通じた市のアピールに役立てた。
 市債(借金)残高は減少傾向で、一般会計738億1261万円、特別会計と企業会計542億7942万円。貯金に当たる基金残高のうち財政調整基金は91億2003万円、減債基金は26億1584万円。財源不足に対応し2016年度から財政調整基金を取り崩し当初予算を編成している。
 自治体財政の健全度を測る比率のうち、実質公債費比率は16.2%(前年度比0.2ポイント増)。18%以上は新たな借り入れに県知事許可が必要になるが2011年度から下回っている。将来負担比率は114.4%(同3.0ポイント増)となった。いずれも基準値を超えていないが、県内市町村や類似団体の平均と比較し高い状況。赤字額がないため、実質赤字比率や連結実質赤字比率、資金不足比率は数値がない。
 決算審査特別委は12日、総務企画部門と財務部門を審査。省庁などで取り扱いが問題となった公文書管理の在り方に関連し、阿部加代子氏が質問。浦川彰総務課長は、市では内部規定を設けており「条例制定の考えは現在ないが、他自治体の動向を注視したい」と述べた。
 13日は教育委員会、協働まちづくり部門、会計課等を審査する。
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tanko 2018-9-7 18:20
 奥州市立図書館と市ILC推進室がスクラムを組み、国際リニアコライダー(ILC)誘致の機運を高める企画展が6日、水沢佐倉河の市立水沢図書館を皮切りに始まった。市内の5図書館が共通のテーマを設け、市全域を巡回する初めての試み。蔵書と関連資料を交え、ILCの誘致実現を応援しながら図書館利用の促進にもつなげる。11月24日まで。
 市町村合併から12年が経過し、読書推進の分野でも「オール奥州」での取り組みが求められている。水沢図書館の佐藤良館長は「巡回展示を最初の一歩とし、相互の連携を強めたい」と話す。
 市立図書館連携企画展の第1弾は、政府の最終判断が迫る「ILC」をテーマに取り上げ、児童書や科学雑誌、ベストセラー小説など関連80冊を展示。解説パネルとPR映像も交え「ILCは長さ約30kmの加速器。新しい発見や産業の創出など多くの可能性がある」などとアピールしている。
 各館の展示スケジュールは▽水沢(6〜18日)▽胆沢(20〜30日)▽前沢(10月4〜16日)▽江刺(同18〜30日)▽衣川(11月1〜13日)▽水沢(同15〜24日)――を予定。11月24日には、ILC誘致の最新情報を盛り込んだ講演会が水沢図書館で開催される。

写真=「ILC応援」をテーマにした市立図書館連携企画展(水沢図書館)
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tanko 2018-9-7 18:20
 宇宙誕生の謎に迫る国際リニアコライダー(ILC)ですが、誕生や終わりと同じぐらい謎なのが「宇宙の果て」です。地球を飛び出したら、どこまで宇宙空間は広がっているのでしょう?


二つの仮説が示されています
 宇宙の果てに関する二つの仮説を説明する前に、「遠くの星を見る」とはどういうことなのかを考えてみましょう。
 夜空に輝いて見えるほとんどの星は、太陽と同じように自ら光を放っている「恒星」と呼ばれる星です。月や火星、木星も光って見えますが、太陽の光を反射しているだけで、自分で光っているわけではありません。
 夜空の星の「光が見える」ということは、その天体が発した光が地球に届いたということです。
 この連載でも過去に説明しましたが、この世で最も速いのは「光」です。光の速度(光速)は秒速約30万kmです。しかし宇宙にある多くの天体は、非常に遠い場所にあるので、光でさえも何年、何百年、何千年もかかって私たちのところに届きます。光が1年かかって進む距離を1光年といいます。
 例えば、1万光年離れた天体を考えると、1万年前に天体を出た光が宇宙空間を飛び続けて、やっと地球に届いたのです。つまり私たちが今見ている天体の姿は、その天体の1万年前の姿になります。
 宇宙が誕生したのが138億年前だと言われています。なので、138億光年より遠いところを見ようとしても、そこには天体どころか宇宙そのものが存在していない。何もないと考えられています。したがって宇宙のどの方向を見ても、138億光年の距離が「宇宙の果て」だと言えます。
 さて、その宇宙の果ての「外側」には何があるのか。現代の物理学では二つの仮説があります。
 一つは「開いた宇宙」と言われるものです。宇宙空間は、無限の空間の中でビッグバンが起きてできたので、無限の空間の中にいる宇宙自体に「果て」などは存在しない、という説です。
 もう一つは「閉じた宇宙」と言われるものです。例えば、ボールの表面をなぞっていくと、当然またもとの位置に戻ってきます。そして、ボールの周囲を無限に回り続けることができますが、ボール(宇宙)自体の大きさは「有限」であるというイメージで、現在宇宙は膨張しているものの、永久に膨張していくのではなく、ある時から収縮に転じ、最後はゼロとなる。その収縮に転じた地点が、「宇宙の果て」という考えです。
 しかし、二つの仮設に対する明確な答えは、今のところ見当たりません。
(奥州宇宙遊学館館長・中東重雄)

番記者のつぶやき
 大昔の人たちは、「海の向こうはどうなっているのか」「広々とした大地の向こう側には誰がいるのだろうか」と想像を巡らせました。まだ科学的な研究や理論というものが確立していない、そして飛行機や遠洋航海が可能な船舶がなかったころの時代です。
 古代には「地球は真っ平だ」と唱える説も存在していました。もちろん、現代を生きる私たちは球体であることを常識的に知っていますが、当時の人たちはあれこれと思案しながら自分たちの暮らしている場所について考えたことでしょう。実は現代でも「地球は丸くない」と信じている人がいるそうで、「地球平面協会」という団体もあります。
 さて、宇宙に果てはあるのかないのか、宇宙の外側はあるのかないのか。この謎の解明にはどれくらいの時間がかかるでしょうか。
(児玉直人)

画像=はくちょう座を構成する主要な星までの距離を示した図。数字の単位は「光年」。同じ平面に描かれているように見える星座ですが、地球から一つ一つの星までの距離はばらばらであることが分かります
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tanko 2018-9-6 18:00
 一関市を拠点に活動している市民団体「ILC誘致を考える会」は5日、ILC(国際リニアコライダー)誘致に関する再質問状を勝部修・一関市長に提出した。勝部市長宛てに公開質問状を提出したが、回答の半分以上が専門家による見解だったことから、自らの見解を述べるよう要求。さらに、学校現場で行われてきたILCの普及活動と教育の中立性に対する考え方についても新たに質問した。回答期限は10日としている。
 同会はILC誘致に関連した疑問点や不安要素などについて8月24日、勝部市長へ公開質問状を提出。放射性廃棄物処分場転用を拒否する姿勢を明確にするとともに、子どもたちを交えた誘致活動については「将来への夢と希望を持てる環境を提供するためだと」として理解を求めた。
 一方で、放射線管理や施設構造など安全面に関する疑問には、専門的立場からの回答が適当だとし、東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長、事務局・東北経済連合会)の見解を同市市長公室経由で示した。
 質問状提出後、取材に応じた同会共同代表の原田徹郎(てつお)氏は、教育の中立性に関連付けた質問について「市民合意どころか、国としても正式決定していない施設のPRを市長が教育現場で行うのは、憲法や教育基本法が示す教育の在り方の上からも賛否の議論を呼ぶと思う」と指摘した。
 このほか、同会の行動姿勢について原田氏は「メリットとデメリットをしっかり示し、合意を持って進めてほしいという考えでいる。他県で似たような市民運動が起きた際、地域住民の人間関係を悪化させるなどの事態に至った事例もあったようだが、そのような状況だけにはしたくない」と強調している。
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tanko 2018-9-4 9:30
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関連し、「ILC誘致を考える会」(共同代表=千坂げんぽう(※)氏、原田徹郎(てつお)氏、会員約50人)が一関市の勝部修市長に提出していた公開質問状の回答が、このほど同会に届いた。誘致活動に子どもたちを利用しているとする趣旨の指摘に、勝部市長は「ILCをきっかけに地域に愛着を持ち、将来への夢と希望を持てる環境を提供するためで、市の責務として重要な取り組みだ」と理解を求めた。一方、放射線管理や施設構造など安全面に関する疑問には、東北ILC準備室(室長=鈴木厚人県立大学学長)など専門家の見解で対応。千坂、原田両氏は「市民に対しメリットを伝えているのに、なぜデメリットは自ら言葉で説明できないのか」としている。同会は5日、再質問書を提出する。

 同会は、一関市民を中心とした市民団体。質問状は▽放射化する地下水・空気・施設への対応▽核廃棄物処分場への転用懸念▽地元負担と経済効果▽自然災害や工事残土、電力への対応▽地元の雇用不安▽誘致運動への子どもの参加と大人の責任――に関する各項目で構成。8月24日に勝部市長宛てに提出した。
 千坂氏や原田氏によると、勝部市長名の回答は提出期限の同31日付で届いた。勝部市長が直接回答したのは▽放射性廃棄物最終処分場になる恐れに対する市の見解▽市のこれまでのILC関連支出額▽市のILC誘致による負担額と経済効果額▽市内雇用への影響▽子どもたちと誘致活動のかかわり――に関する事項だった。
 このうち、子どもたちと誘致活動について同会側は、ILCのデメリットについてよく理解しないまま、子どもたちを誘致運動に参加させていることへの市の責任について見解を求めていた。
 勝部市長は、研究者らによる講演会や特別授業では、ILCが放射線発生装置であることも伝えていると強調。「ILCが実現することを見据え、地域を学び発信する事業などは、地域への誇りや愛着につながる。子どもたちが描いた(ILCに関する)絵は、自分たちの将来のまちづくりの夢を描いたもの。児童・生徒への取り組みは、将来への夢と希望を持てる環境を提供するためであり、市の責務として重要」との考えを示した。
 放射性廃棄物最終処分場に転用されるとの懸念には、市として受け入れを明確に拒否しているとし「今後もその姿勢は変わらない」と断言。受け入れ拒否の姿勢をあらためて明確にすることについては「県の動きと協調しながら対応を進めていきたい」としている。
 同市が2011(平成23)年度から7年間、誘致関連事業に投じた経費は総額8883万1000円。地元負担になるとされるILC施設周辺の道路や地域環境の整備に対する負担額については、中央キャンパス(研究所)などの場所が決まっておらず「明確に答えることは困難」とした。
 実験に伴い発生する放射線や放射性物質の管理については「市民が安心して実験を見守っていけるよう、十分な対策が講じられるよう注視する」とした上で、「対策については専門的立場からの回答が適当である」とした。同市市長公室は、産学官のメンバーで構成する東北ILC準備室などの意見を集約した回答文書を、市長回答文書と同じ日に別便で送付した。
 同会共同代表の原田氏によると、集中豪雨など自然災害発生への対策も含め、全回答の6割が専門的立場からの回答だったという。原田氏は「デメリットに関する市民目線の質問に、市長自ら回答できないというのは残念」。子どもの誘致活動参加に対する責任についても「有効性を説明しているだけで、責任の在り方には触れていない」と指摘した。
 同会は5日、同市長宛てに再質問書を提出。県への公開質問の実施も検討している。

写真=ILC誘致に期待を寄せる子どものメッセージが描かれたのぼり旗(資料)

※注釈…千坂氏の名前の漢字表記は、山へんに諺のつくりで「げん」、峰で「ぽう」
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tanko 2018-8-31 9:40
 国際リニアコライダー(ILC)では、宇宙誕生時の大爆発「ビッグバン」直後の宇宙の状態を再現するそうですが、ビッグバンが起きる前の宇宙とはどんな姿だったのですか? 何があったのでしょうか?

答えがまだわからない問題です

 「ビッグバンの前は何があり、どんな様子だったのか?」という謎は、単純な疑問でありながら、答えを出すのは非常に難しいものです。
 現在、世界中の天文学者、宇宙学者、物理学者たちが「こうではないか? ああではないか?」と議論したり、理論を出したりして研究を続けています。残念ながら、今の時点では「こうでしょう」と学者の皆さんが認めている学説(考え)はありません。つまり、まだ明確な答えが見つかっていないのです。
 しかしながら、現在最も有力な考え方として知られているのが、日本の宇宙物理学者である佐藤勝彦・東京大学名誉教授や、アメリカの宇宙物理学者アラン・グース氏が相次いで提唱した「インフレーション理論」があります。
 この理論は宇宙の異常な膨張が、宇宙が誕生した10のマイナス36乗秒後に始まり、10のマイナス34乗秒後に終了したという現象について述べたものです。


 「10のマイナス36乗」というのは、「0」と小数点を書いた後に「0」を35個並べ、最後に「1」を付けて表現した数値です。要は、とんでもないわずかな時間の中で「宇宙の異常な膨張が起きた」というのです。この異常な膨張によって宇宙は「火の玉」になったと考えられています。
 具体的にどれくらい宇宙が膨張したのかというと、インフレーション前の大きさは、直径が10のマイナス33乗cmだったと言われており、物質をこれ以上こまかくできない究極の粒子「素粒子」よりもはるかに小さい大きさです。それがインフレーション直後、いわゆる「ビッグバン」の時には直径1cm程度になっていたと考えられています。
 この理論では、最初の宇宙は「無」から生まれたと考えられています。物理学的に「無」とは「ゆらぎ」のある状態のことをいいます。ちょっと難しいですが、別の言い方をすると、「物理的に可能な限りエネルギーを抜いた状態」のことをいいます。実は量子物理学では、エネルギーを抜くだけ抜いても「振動」、すなわち「ゆらぎ」は残るのです。このような「ゆらぎ」によって宇宙が生まれたり、消滅したりしています。「無」と「有」の間を行ったり来たりゆらいでいる状態です。
 そのような状態から「トンネル効果」という特別な効果(現象)によって、突然パッと現在の宇宙が生まれたのではないか、と考えられています。これはウクライナ生まれのアメリカの物理学者アレキサンダー・ビレンキン氏が唱えた説です。
 このように「宇宙は無から誕生し、インフレーションという爆発的な膨張によって火の玉となり、ビッグバンという再度大爆発が起きた。その後、膨張し続けている」と考えられていますが、これ自体、完成された理論ではありません。これからの研究に期待が寄せられています。
 現在の宇宙に存在するすべての物質は、ビッグバン時代につくられた莫大(ばくだい)なエネルギーがもととなっています。ビッグバンによって、素粒子ができ、それによって陽子や中性子ができ、さらに電子を取り込んで原子となり、物質の生成が進んでいきました。それが「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれる状態で、宇宙創成から約38万年後のことです。光が直進できるようになり、その後数億年たって星もでき、銀河や銀河団が形成され、私たち人間などの生物がつくられていったのです。
(奥州宇宙遊学館館長・中東重雄)

番記者のつぶやき
 あまりにも巨大な数のことを「天文学的な数値」というように言うことがあります。果てしなく広がっているような宇宙や天体までの距離、巨大な星の質量などは、日常生活で使っている数値をはるかに超える大きさですから、そのようなたとえが誕生したと思います。
 一方で、素粒子物理学者などは宇宙誕生直後のわずかな時間とか、素粒子の大きさなど、非常に小さな世界を研究の対象にしています。ところが、こうした目に見えない小さなものやわずか一瞬の出来事を「素粒子物理学的数値」と表現するかというと、そうでもありません。天文学のほうが、一般的になじみがあるということなのでしょうか? 「いや、決してそんなことはない」と、素粒子物理学者の方は心の中で思っていることでしょう。
 桁数が多くて書ききれないために、接頭辞(せっとうじ)という言葉をつけて、桁数を省略する表記をすることがあります。「キロ」や「メガ」「ギガ」「センチ」「マイクロ」などは、皆さんもよく聞くことがある代表的な接頭辞です。(児玉直人)
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tanko 2018-8-25 9:40
 一関市を拠点に活動している市民団体「ILC誘致を考える会」は24日、ILC(国際リニアコライダー)誘致に関する問題点と公開質問状を勝部修・一関市長に提出した。実験終了後に高レベル放射性廃棄物の処理施設になるのではという懸念や、ILC誘致活動に子どもたちを巻き込んでいることへの責任、地元への経済効果額などについて、今月中に文書で回答するよう求めた。同団体は今後、県に対しても同様の行動を起こす方針で、「ILCは一関だけが関係するプロジェクトではない。県への行動となれば、奥州市や平泉町など近隣自治体の住民意見も反映させなければいけない」としている。

 質問状提出後、同考える会共同代表の千坂げんぽう(※)氏(73)と、原田徹郎(てつお)氏(74)が一関市役所で会見した。原田氏が会長を務める市民環境団体「一関水と緑を守る会」の関係者や、建設想定エリア内にある同市大東町の住民らもオブザーバーとして出席した。
 質問項目は▽放射化する地下水・空気・施設への対応▽核廃棄物処分場への転用懸念▽地元負担と経済効果▽自然災害や工事残土、電力への対応▽地元の雇用不安▽誘致運動への子どもの参加と大人の責任――に関すること。考える会会員約50人から寄せられた意見をまとめ、会の総意として提出した。
 ILC稼働時に生じる放射線の影響に関する質問では、「(リスク情報を)速やかに住民に伝え、対策を提言すべきだ」とし、見解を求めた。民間研究所が文部科学省の委託を受け実施したリスク調査では、放射化した地下水が広域に移動することのないよう、適切な対応策が必要だと指摘。調査結果は同省ILC有識者会議の技術設計報告書検証作業部会にも報告されている。考える会は、このような公的な場で明らかになったリスクを、候補地の地元住民に速やかに伝えるべきと主張している。
 放射性廃棄物処分場への懸念については「県や市は転用を認めないと明言しているが、知事や市長が交代しても保証されるのか。国が地元の意向を無視して強行しても異議を唱えることができるか」と、問いただしている。
 原田氏は「ILCそのものに反対している人たちばかりではないが、核廃棄物や放射線に関係する事柄については賛成できない、不安に思うという人が多い」と語る。オブザーバー参加の地元住民の一人は「就職先が増え、人口減少にもいい効果があると思い、当初は賛成していたが、(安全対策がしっかりされていなければ)福島の二の舞になってしまう」と指摘。別の住民は「合意形成や理解構築の不十分さが発端となり、市民や県民が分裂状態になることだけは避けてほしい」と訴えた。
 一方、質問状を受け取った勝部市長は報道陣の取材に応じ「一通り読ませていただいたが、専門家や研究者が検討している事柄なども含まれている。地元市長として回答できるのは、これまで市が進めてきた周知、PRの部分ぐらい」と答えた。考える会側の要請通り、文書で回答するという。

学術会議への意見書に県が反応 提出者、不満あらわ

 一関市在住の僧侶ら有志6人が日本学術会議(山極寿一会長)に今月提出したILC関連の意見書に対し、県関係者が記者会見を開いて意見書への見解や対応策などを示したことに、有志の一人である千坂げんぽう(※)氏(73)は「意見書は学術会議に出したものだ」などと不満をあらわにした。
 千坂氏によると、県側から意見書の内容に対する問い合わせや、会見を開くというような知らせはなかったという。
 千坂氏が共同代表を務める「ILC誘致を考える会」は24日、一関市長にILCに関する公開質問状を提出。千坂氏や同じく共同代表を務める原田徹郎氏は、提出後に開いた記者会見で、県にも質問状を出したい意向を示した。千坂氏は「ILCが実現すれば、多くの県税を使うことにもなる。一関、県南だけの問題ではなくなってくる」と話す。
 意見書は、ILC候補地の地元で展開している誘致運動などの問題点を指摘する内容。今月10日付で学術会議に提出し、22日には学術会議の「ILC計画の見直し案に関する検討委員会」(家(いえ)泰弘委員長)で委員らに配布された。
 これを受け東北ILC準備室長を務める素粒子物理学者の鈴木厚人(あつと)・県立大学学長と、県の大平尚(ひさし)企画理事が23日、県庁内で記者会見。リスクマネジメント説明会の開催やホームページでの説明充実など、地元への理解を得るための方針を説明していた。

写真=会見する千坂げんぽう氏(左)と原田徹郎氏(一関市役所)

※注釈…千坂氏の名前の漢字表記は、山へんに諺のつくりで「げん」、峰で「ぽう」
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tanko 2018-8-24 13:50
  天文学観測の国際プロジェクト「スクエア・キロメートル・アレイ」(SKA=Square Kilometer Array)を運用するSKA機構(本部イギリス、フィリップ・ダイヤモンド機構長)は、SKAの科学技術に貢献する観測装置として、水沢星ガ丘町の国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹(まれき)所長)が運用する天文広域精測望遠鏡(VERA(ベラ))を公式認定した。遠く離れた離島にある電波望遠鏡を連動させるVERAの高度な観測技術や運用実績が、SKAプロジェクトに役立つと期待が寄せられている。緯度観測所開設から来年で120年を迎える国立天文台最古の研究施設は、新たな国際プロジェクトの中で存在感を示すことになる。

SKAは小型のパラボラアンテナを数千台、地面に直接設置する低周波アンテナを数百万台設置。それらを連動させることによって、実際には製造不可能な1平方kmの集光面積を持つ世界最大級の電波望遠鏡による研究を推進するプロジェクトだ。
 どのように星や銀河がつくられたのか、地球外生命体はいるのかなど、さまざまな謎の解明に挑む。本間所長は「地球外生命体、つまり『宇宙人はいるのか』という疑問は誰もが一度は抱く。たとえ見つからなくても、それはそれで私たち人類に大きな確証を与えることになる」と説明する。
 SKAにはオーストラリア、カナダ、中国、インド、イタリア、ニュージーランド、南アフリカ、スウェーデン、オランダ、フランス、スペイン、イギリスの12カ国が参加している。アンテナの設置場所は南アフリカとオーストラリア。携帯電話や放送用に用いる人工電波の影響を受けにくく、一定の広さを確保できる環境を重視し、コスト検証も重ねて選ばれた。既に建設が始まっており、2020年から初期観測をスタートさせる。
 日本は正式メンバーではないが、SKA機構理事会に国立天文台の代表者がオブザーバーとして参加。日本学術会議が2014年に策定した「大型研究計画に関するマスタープラン2014」の中で、SKAは天文学・宇宙物理学分野における重点大型研究計画の一つとして位置付けられている。
 参加国への仲間入りを見据えた活動が進む中、今年7月、VERAが「パスファインダー」と呼ばれる、科学・技術貢献に期待される装置としてSKA機構の公式認定を受けた。VERAは小笠原諸島の父島などにも観測アンテナがあり、水沢の制御室で遠隔操作やデータの送受信、処理を行っている。こうした環境での運用実績は、南半球の2カ国に観測施設を置き、北半球のイギリスに本部があるSKAにも大きく貢献できるという。
 本間所長は「緯度観測所の時代もそうだが、天文学は世界が一緒になって観測や研究をするのが基本。既に水沢のVERAはアジアの観測網と連動した観測をしているが、今後はSKAも含めた国際的な観測ネットワークの仲間に入り、研究していくことになるだろう」と期待。SKA機構のダイヤモンド機構長は「VERAを通じた日本の皆さんのさらなる国際協力を楽しみにしている。日本のSKA参加検討を前進させる契機になれば」とコメントしている。

写真1=SKAの完成イメージ(SKA機構ホームページより)
写真2=国立天文台水沢キャンパス内にあるVERA用20mアンテナ

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