人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

豊かな才能を再認識、書家による解説も好評(「木村栄の書展」閉幕)

投稿者 : 
tanko 2024-3-11 17:30

写真=「木村栄の書展」最終日の10日、木村の書を鑑賞する大勢の来場者

 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)の前身、水沢緯度観測所の初代所長で「Z項」の発見者として知られる木村栄(きむら・ひさし、1870〜1943)の書を集めた展示会は10日、閉幕した。水沢星ガ丘町の同観測所敷地内にある奥州宇宙遊学館(亀谷收館長)を会場に、今月2日から8日間(休館日除く)にわたり開催し、延べ約300人が来場。最終日は水沢佐倉河の書家、松本啓夫巳(まつもと・ひろふみ)さん(46)=雅号・錦龍(きんりゅう)=による書の解説会も開催。来場者は木村の豊かな才能をあらためて認識した。

 特別企画展「木村栄の書展―緯度観測所初代所長、Z項発見者からの贈り物―」と題し、木村の功績や緯度観測所の歴史について調査・研究している国立科学博物館の馬場幸栄(ばば・ゆきえ)研究員と、胆江日日新聞社(小野寺弘行代表取締役社長)が主催。国立天文台(常田佐久台長)とNPO法人イーハトーブ宇宙実践ンセンター(大江昌嗣理事長)などが協力し、市と市教育委員会、水沢書道協会(高橋祥陽会長)の後援を受けた。個人や学校、公共施設などの協力で借用した書と関連品など19点を公開した。



写真=松本啓夫巳さんの解説に聞き入る来場者

 最終日の解説会は、松本さんが木村が揮毫した神社扁額を修繕した縁で実現した。
 松本さんは企画展の告知ポスターに印刷された、書をしたためる木村の写真を示しながら解説。「半紙の大きさに対し、とても大きな筆を使っている点がまず目を引く。穂先だけを使い、リラックスした感じでさらさらと書いたことがうかがえる。1枚の写真からさまざまな情報が読み取れる」などと述べた。
 県立水沢商業高校の校訓「明浄直」を例に、筆遣いの技術の高さを説明。同校で事務職員を務めている及川揚子さん(57)は、「普段は校長室に飾られている書が展示されているのを興味深く見させてもらった。自分も書を習っているが、木村博士は科学だけでなく書をはじめ、さまざまな才能を持ち合わせていたのだと感じた」と感慨深く聞き入っていた。

======================
木村のひ孫・清水明さんが偶然来館 直筆と対面



写真=書展開催中の奥州宇宙遊学館を訪れた木村栄のひ孫、清水明さん

 「木村栄の書展」最終日の10日、木村のひ孫に当たる清水明さん(58)=東京都在住=が企画展会場に来場した。
 清水さんの母・黎子さんは、木村の長女・伊登子(いとこ)さんの次女に当たる。同日、盛岡市に所用があり来県。曽祖父である木村が人生の半分以上を過ごした水沢を以前から訪れてみたいと、初めて奥州宇宙遊学館がある国立天文台水沢VLBI観測所に足を運んだ。書展が開かれていることは知らず、全くの偶然で曽祖父の直筆を見ることができた。
 清水さんは「これだけの書の達人だとは思わなかった。祖母の伊登子の夫、茅誠司は物理学者として活躍したが、木村さんも含め科学者一家の気骨を感じた」と話していた。
トラックバックpingアドレス http://ilc.tankonews.jp/modules/d3blog/tb.php/1134

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動