岩手県奥州市・金ケ崎町をエリアとした地域新聞社による国際リニアコライダー(ILC)関連記事を掲載。 奥州市東部の北上山地は、現時点における世界唯一のILC候補地に選定されました。
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tanko 2016-8-24 15:35
 奥州市江刺区の(株)ショージック(東海林誉社長)は、多言語案内アプリを開発した。スマートフォン(スマホ)やタブレットによる簡単な操作で、飲食店のメニューや観光案内などを多言語で表示できるもので、外国人旅行客への接客サービス補助として活用可能。現在、世界遺産登録によって多くの外国人客が訪れる平泉町・中尊寺境内のレストランで実用化しており、スタッフ、旅行客双方に好評だという。東海林社長(39)は「当地方の国際的な地域づくりに貢献したい」と話している。
(稲田愛美)


 インバウンド(訪日旅行)の増加に伴い、さまざまな外国人への対応が必要となる中、特に接客の場面でスタッフの負担軽減につなげようとアプリを開発。導入第1弾となる同町のカフェ&レストラン中尊寺かんざん亭では、メニューやアレルギー、オーダー方法などレストランの利用上必要な情報を英語、中国語、韓国語の3カ国語で表示している。
 タブレットやスマホ、パソコンなどで簡単に操作可能。各店舗のニーズに応じたオリジナルのアプリを制作するため、言語の種類やデザインなど自由にカスタマイズできる。掲載情報の更新も、アプリを修正しダウンロードするだけで、迅速に対応できる。
 沿岸地域へのクルーズ客船寄港が増えているほか、奥州市では台湾をターゲットとしたインバウンド戦略が本格化するなど、外国人旅行客向け接客サービスのサポート需要は高まっている。東海林社長は「ILC(国際リニアコライダー)実現も視野に、当地方の国際的な地域づくりに持てる技術で貢献できたら」と意欲をのぞかせる。
 今後は動画や声によるアナウンス機能の搭載なども進めていくという。

写真=多言語メニューアプリを導入したかんざん亭のメニュー表
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tanko 2016-8-19 10:06
 北上山地が有力候補地となっている素粒子研究施設、国際リニアコライダー(ILC)を紹介するシリーズPR動画「ILC科学少年団」のロケが18〜19日、奥州、一関両市で行われている。初日は水沢区内や国立天文台水沢キャンパスなどで撮影を実施。宇宙誕生の謎を解き明かすILCは、天文学とも結びつきが深い研究施設であることにも触れた。動画は今年10月から12月にかけ、全国のケーブルテレビ(CATV)局で放送されるほか、インターネット動画サイト「You Tube」でも配信する予定だ。
(児玉直人)

 同動画シリーズは、ILCの国内誘致に向けた国民意識の向上を図る取り組みの一つとして昨年度から展開。ILCの国内誘致を推進している先端加速器科学技術推進協議会(AAA)と、ケーブルテレビ事業者の東京ケーブルネットワーク(株)が制作している。
 子役タレントの3人が「少年団」として、ILC計画がどのようなものなのか、子どもならではの視点で探る内容。子どもたちにILCや素粒子物理の世界を解説する「おじさん」役として、東北大学大学院の佐貫智行准教授が出演している。
 これまでは首都圏での撮影が中心だったが、実際にILCの誘致に向けた機運の高まりを感じられる場面も取り入れたいと、初めて候補地周辺でロケをすることに。誘致実現をアピールする看板や横断幕、地元の子どもたちが描いたILCのイメージ絵画などを取り上げながら、実現に向けた地元の動きをより具体的な形で伝える狙いがある。
 同天文台水沢キャンパスでは、敷地内の奥州宇宙遊学館の展示物や天文学専用スーパーコンピューター「アテルイ」を見学する様子などを撮影した。少年団の中心メンバーの主人公「ハル君」役を務める島崎青大君(12)は、「初めて岩手に来たけれど、自然がとても奇麗。普段の授業でも理科は好きな教科の一つ」と笑顔。撮影の合間には、共演している同世代の子役2人と仲良く遊んだり、遊学館の窓口で販売している宇宙食を興味深げに眺めたりしていた。

写真=国立天文台水沢キャンパスでの撮影に臨む出演者ら
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tanko 2016-8-4 9:20
 水沢区羽田町のJR水沢江刺駅(寺田亮司駅長)の東口広場に3日、国際リニアコライダー(ILC)の誘致をPRする看板がお目見えした。市が設置準備を進めていたもので、市内外の駅利用者に対し、大型科学プロジェクトの誘致をアピールしていく。同駅は市の玄関口であると同時に、ILCの有力候補地である北上山地の最寄りの新幹線駅。看板設置のほか、駅舎内の「南岩手交流プラザ」にILCのPRコーナーを開設する計画も進行している。
(児玉直人)

 素粒子物理学の国際研究拠点として計画されているILC。研究者らは、北上山地が国内候補地に一本化した際、新幹線沿線への中央キャンパス(国際研究所施設)設置を強く推奨している。市が今年策定した「ILCまちづくりビジョン」には、同駅周辺にイノベーション(技術革新、新たな価値の創造や社会を変化させる活動)拠点を形成する考えが盛り込まれている。ILCとそれに関連する施設の立地において、新幹線駅の存在は非常に重要な要素と言える。
 同駅は胆江地区や沿岸地域からの利用が多いほか、県外のビジネス客や観光客が降り立つ。市はこれまで、同駅正面口(西口)にある既存の広告塔に縦型の看板を設置していた。現在は、いわて国体の看板に隠れている状態だ。
 一方、東口についても無料駐車場やレンタカーを利用する人の出入りが多いことから、新規に看板を設置する作業を進めていた。
 看板の大きさは長さ7・28m、高さ91cm。両面に文字や画像が印刷されている。設置場所は東口広場の生け垣で、駅から出てきた人たちだけでなく、駐車場から駅に向かう人たちにも視認しやすい高さとした。同駅と候補地までの距離や位置関係を記した地図も記されている。
 市は、駅舎内の「南岩手交流プラザ」の一角を利用し、ILC計画の目的や意義、研究概要などを紹介するPRコーナーの整備も進める。いわて国体開催までに、ある程度の形に仕上げたいという。

写真=JR水沢江刺駅東口の生け垣にお目見えしたILCのPR看板
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tanko 2016-8-4 9:10
 県南広域振興局(堀江淳局長)は、児童を対象にした2016(平成28)年度ILC絵画コンクールを実施する。締め切りは10月31日。初回の昨年度は、候補地の地元・奥州市からの出品がゼロだったことなどの反省を踏まえ、今回は募集期間を長めに取って参加を呼び掛ける。
 国際リニアコライダー(ILC)の普及啓発の一環として、県南地域や宮城県気仙沼市の児童に、ILCに関連した絵画を制作してもらう企画。胆江2市町を含む同振興局管内の8市町と、8市町教育委員会、気仙沼市と同市教委が共催する。
 作品はILCの研究や実現した際のまちの様子など。ポスター形式で描いても良い。完成した作品は通学している学校に提出。学校から市町教委、またはILC担当課を経由して県南局に送付される。
 年内に審査を行い、低学年、高学年の各部門で最優秀賞、優秀賞、佳作、審査員特別賞を決める。来年1月には作品の展示を行うほか、入賞作品はILCの啓発活動の中で使用するという。
 前回は冬休み期間を利用し応募を呼び掛け。96点が寄せられたが、胆江地区からは金ケ崎町の1点のみで、候補地の地元である奥州市からの応募が無かった。原因については、冬休みが間近の12月に募集を呼び掛けたことで、周知の時間が短かったことのほか、多くの小学生にとって、十分な事前学習なしにILCを理解するのが難しかったなどの理由が考えられている。
 同振興局経営企画部は前回の反省を踏まえ、夏休みが始まる前に共催自治体の教育委員会などを通じ、各学校へ募集を呼び掛けている。応募期間も7月中旬から10月31日までと長めに設定した。
 コンクールに関する問い合わせは、同部企画推進課(電話0197・22・2812)へ。
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tanko 2016-7-31 21:41
 北上山地が有力候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)は、国民の認知の低さに直面している。日本初の本格的な国際研究拠点が構築される大型事業でありながら、計画の存在すらほとんど知られていない。その打開策の一つとして、日本生まれの人気キャラクター「ハローキティ」を用いたPR商品が登場。キャラクターの高い知名度と親しみやすさを生かし、浸透を図りたいというが、国民理解や世論の盛り上がりにしっかりつながるのか懸念する声もある。
(児玉直人)

■正攻法とは違った入り口
 キティとILCのグッズを販売するのは、産学連携のILC誘致組織である先端加速器科学技術推進協議会(AAA、東京都港区)。キティの著作権や商標権を持つサンリオ(東京都品川区)の協力を得て開発。めがねをかけた研究者コスチュームのキティがILCの加速器(クライオモジュール)に座り、背後には物理の数式を配した。Tシャツやクリアファイル、ボールペンなどにして8月15日に本県で先行販売する。
 AAAや研究者の国際組織リニアコライダー・コラボレーション(LCC)で広報業務を担当する、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の高橋理佳氏は「ILCで行う素粒子物理の研究は、どうしても『難しい』とみられてしまう。正攻法で理解してもらうだけでなく、違う入り口からILCを知ってもらおうと考えた」と経緯を話す。
 数ある日本のキャラクターの中でも、キティは海外認知度が高く「むしろ大喜びされる」と高橋氏。「いつもと異なるキティの姿に『何これ? でもかわいい』と飛びついてもらい、そこからILC計画を知ってもらえたら」と強調する。

■異分野との交流も展開
 ILCの国民理解の必要性は、文部科学省の有識者会議においても指摘されている。巨額な事業費が必要なプロジェクトだけに、一部の声だけで推進するわけにはいかない。
 研究者らは、ノーベル賞級の研究成果が得られると訴える。ところが、ILC計画そのものがほとんど知られておらず、全国紙やテレビなど主要メディアで取り上げられる場面は少ない。
 AAAやLCCは、今回のPRグッズ発表に合わせ、芸術関係やファッション雑誌など、これまで素粒子物理学界とは接点が薄かった分野の関係者を招いたイベントを都内で開催。LCCの最高責任者のリン・エバンス氏、副代表の村山斉氏がILCの意義を説明し、交流を深めた。
 人気キャラクターの活用など、新たな切り口で周知が始まったが、プロジェクトを推進する中では真摯な対応も求められる。建設に伴う自然環境への影響、都市整備、人材確保など候補地の地元と膝を交え協議しなければいけない事柄は多岐にわたる。高橋氏は「候補地の皆さまとの対応についてはこれまで同様、しっかり取り組んでいく」と話している。

■「かわいい」だけで終わらないか
 海外に拠点を置く日本人研究者も、日本国内の周知不足を懸念している。東日本大震災被災地を中心に、科学やILCに関する講演活動を展開している斎藤武彦氏(ドイツ・マインツ大学教授)だ。
 今年6月、水沢区多賀の水沢学苑看護専門学校で講演。学生たちに「ILCの候補地は皆さんが今いる岩手、奥州なんです」と伝えると、「えー、知らなかった」「すごい」と驚きの声が飛び交った。
 斎藤氏は2013年、県内の大学に理系学部を設置すべきだと提言。今春、岩手大学の工学部が理工学部に生まれ変わった。自身とは異なる研究分野を扱うILCだが「被災地の子どもたちの将来のためになる」との思いで、ILCの意義を伝え続けている。
 「同じ岩手であっても、沿岸被災地に至ってはILCの認知度はまだまだ低く、地域のさまざまな取り組みと関連付けるような動きも目に見えてあるわけではない」と斎藤氏。「復興の象徴」と大々的に打ち出されているが、それを実感させるような雰囲気が乏しい。
 KEKの高橋氏と同様、周知不足を懸念している斎藤氏。だが、今回のPRグッズについては「違和感を覚える」という。
 「私の勤務する研究所もだが、ヨーロッパでは大型プロジェクトを進める際に、キャラクターやグッズを使って関心を呼び起こすようなことはしない。科学そのものの面白さを市民に伝えることに力を入れる」。正攻法で理解を求めているという。
 「聞き手である子どもたちや市民が一体どんなことを知りたいのか、何を伝えればそのプロジェクトを楽しいと感じるのかを重視してアピールする。科学者がそういう視点を持てば、理解も深まり周知されるはずだ。キャラクターグッズを用いたら、そのキャラクターへの関心だけで終わってしまう可能性もある」と指摘する。
 さらに斎藤氏は「周知活動はもちろん大切だが、沿岸復興への貢献をしっかり考えていくべきだ。東北の人たちが主人公として活躍できる体制づくりに一番力を入れてほしい」と切望している。

写真=ILCの一般周知を図るために売り出されるグッズ。Tシャツを着用しているのは、LCCのリン・エバンス最高責任者(左)と村山斉副代表(LCC提供)
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tanko 2016-7-25 11:30
 北上山地が有力候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の研究や装置開発に携わっている研究者と地元中高生との交流会が24日、一関市大手町の同市図書館で開かれた。県立水沢高校の生徒ら8人が、第一線で活躍する研究者からILCの概要のみならず、研究者に求められる素質などについて興味深く聴き入っていた。
(児玉直人)

 交流会は、同市内で23日から26日まで開催している「加速器・物理合同ILC夏の合宿2016」に合わせ企画。全国の大学や関係機関から約60人の研究者が集まり、情報共有や共通認識の醸成を図っている。候補地の地元で開催するのは初めてで、多くの研究者が集まるせっかくの機会にと、県科学ILC推進室や研究者組織などが連携し、地元の中高生と研究者が語り合える場を設けた。
 研究者に求められる素質について講演した広島大学大学院の栗木雅夫教授は、「成績が良く公式を丸暗記している人が、研究者に向いているとは限らない。この公式はどうやって考えられたのか、本当に正しいのかと考えるような人が向いている」と指摘。「教科書は覚えるものではなく、理解するもの。考えることが快感になれば、研究者になれる」と持論を展開した。
 引き続き生徒たちは、5人の研究者とグループ形式で対話。水沢高校理数科2年の遠藤咲季さん(17)は、九州大学大学院の川越清以教授から、研究者になる上での学習や進路のポイントなどについて助言を受けた。「身近に研究者の仕事をしている人がいないので、遠い存在というイメージがあったが、たくさんの話を聞くことができて将来の進路を考える上で参考になった」と笑顔で話していた。
 当初、水沢高校からは5人の生徒が参加予定だったが、北上市内の東北本線で発生した踏切事故の影響で3人が会場入りできず、参加を断念した。

写真=九州大の川越清以教授からアドバイスを受ける生徒たち
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tanko 2016-7-22 11:50
 国際リニアコライダー(ILC)の実現を目指し、国内の若手研究者らが交流する「加速器・物理合同ILC夏の合宿2016」が、23日から4日間の日程で一関市内を会場に開かれる。24日には、県立水沢高校をはじめとする県内の理数系学科設置高校の生徒らが、合宿に参加する研究者や技術者と交流する場も設定。講演やグループ対話を通じ、科学と研究職を身近に感じてもらう。
 県科学ILC推進室などによると、同合宿は2011(平成23)年から毎年この時期、国内で会場を変えながら実施。加速器科学者と素粒子物理学者間の情報共有や共通認識の醸成、ILC実現を見据えた若手研究者間の交流を促す目的で、関係研究機関や大学の教授らが組織委員会をつくり開催している。
 今年は、ILC建設候補地の北上山地周辺での開催に向け準備を進めていた。約60人の研究者らが参加を予定。県立大学の鈴木厚人学長がILCに対する地方の取り組みについて紹介するなど、ILC実現に向けた動向や関係する技術について理解を深める。
 24日には、合宿に参加する研究者や技術者と県内の高校生らとの交流会が一関図書館で開かれる。ILCに対して理解を深めるだけでなく、研究者や技術者になぜなったか、なるために必要な努力は何かなど、進路選択の参考になる話題にも触れる。参加生徒の募集は既に締め切られている。
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tanko 2016-7-18 11:50
 英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱派が勝利したことと、国際リニアコライダー(ILC)など素粒子物理学の大型プロジェクトに与える影響についての解説記事がこのほど、国際研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション」(LCC)に掲載された。記事では「英国の研究機関にとっては明るい話題ではない」としながら、ILCなど線形加速器の国際プロジェクトに、英国は今後も貢献していくだろうとしている。
 記事を執筆したのは、オックスフォード大学ジーザス・カレッジのフィリップ・バロウズ教授。バロウズ教授は、欧州合同原子核研究機構(CERN)が中心となり計画している小型線形加速器実験施設「CLIC」の調査副責任者などを務めている。
 バロウズ教授は「CERNは独立した国際組織で、欧州経済共同体(EUに機能継承し2009年廃止)が発足する3年前に誕生した。英国は創設時からのメンバーで、今回のEU離脱の投票結果と、CERNに参加し続けることに影響はない。CERNのメンバーになっていないEU加盟国もあるし、その逆もある」と説明。欧州内だけでなく、日本や米国などの国々とも連携していることも紹介した。
 その上で「確かに英国の研究者たちはEUを通じ、毎年多額の研究資金を調達している。EU離脱が現実のものとなるかどうか、今後もEUの研究基金から資金を得られるのかどうかについては、まだ疑問の余地がある」とした。
 EUに加盟していないノルウェーやスイスは、EUが実施している科学研究事業に対し、資金拠出を含めた協力をしているという。「英国も同じような道を歩むかもしれない」とバロウズ教授。「英国の研究者界にとって、EU離脱は決して明るい話題ではないが、これからも国際的な連携をとり貢献したい。この貢献の中には、(ILCやCLICなどの)線形加速器プロジェクトも含まれる」と強調した。
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tanko 2016-7-12 16:10
 前岩手県知事の増田寛也氏(64)は11日午後、東京都庁で会見し、東京都知事選(14日告示、31日投開票)に出馬することを正式表明した。子育てや高齢者の不安解消、東京五輪の成功などを公約に掲げ、東京と地方の共栄を目指し「両者が抱えている課題の解決に当たる」と意欲を示した。都知事選には、元防衛相の小池百合子氏(63)ら数人がすでに出馬を表明している。
 公費の不適切使用が問題となり辞職に追い込まれた舛添要一氏(67)の後任を決める今都知事選。候補者擁立をめぐる動きは混迷を極めた。
 増田氏は東京都出身で、東京大学法学部卒業後、旧建設省に入省した。1995(平成7)年、当時新進党幹事長だった小沢一郎生活の党代表の後押しを受け、岩手県知事選に出馬し初当選。その後、小沢氏の影響力から距離を置きながら2007年まで3期12年務めた。
 知事退任後は総務大臣を務めたほか、東京大学公共政策大学院客員教授、野村総合研究所顧問、日本創成会議座長なども歴任している。近年は、本県が建設候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)誘致にも積極的に関わっている。
 父は前沢区出身で参院議員を3期務めた故・増田盛(さかり)氏。同区三日町で商店を営む三浦清司さん(79)は「地元住民とすれば、増田さんは身近な存在。人口の東京一極集中を懸念し地方分権を進めてきた増田さんが、どのような政策を打ち出すのか」と期待を寄せる。
 いわてILC加速器科学推進会議代表幹事で、元県議の亀卦川富夫さん(76)=水沢区大町=は「今回の件で真っ先に脳裏に浮かんだのは後藤新平の存在」と語る。新平は、現在の都知事に相当す「東京市長」を務めた。市職員や議員の汚職が相次ぎ、市長が引責辞任する事態にまで発展し、新平が急きょ後任に推挙された。
 増田氏に対しては、岩手県知事時代の事業投資によって膨れ上がった債務への責任を問う声がある。さらに「東京一極集中の是正」の考え方にも批判的な見解がある。このことに亀卦川さんは「決して東京をないがしろにすることではない。地方と都市との役割分担、均衡ある発展がなければ、いずれ東京にも影響が生じる」と指摘する。
 小沢昌記奥州市長は11日の定例記者会見で、国際リニアコライダー(ILC)誘致に絡めて増田氏に期待を込めた。
 小沢市長は、東京一極集中の是正が持論だったため、出馬への疑問を呈す意見は一般論として把握しているとしながら、「賢明な方であり、もし都知事になられたら、全体としての東京の在り方と、東京は東京としての在り方を政策的にはお考えになると思う」とし、「候補者の中で最もILCについて知っているのが増田さんであり、このことについては大いに期待している。実務の経験があり、行政手腕のある方だ」と述べた。

写真=都知事選出馬を表明した増田寛也氏(2015年7月にZホールで開かれたILCシンポジウムで)
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tanko 2016-7-8 19:30
(1)からのつづき















 高橋金ケ崎町長 うまくいけばあと2年で建設準備とのことだが、お互いに勉強し、やるべきことを考え取り組まないと、夢で終わってしまう危険性がある。
 シンポジウムには工業団地内企業の経営者も来ているが、現在、この地域には開発部門がない状況だが、ILCとうまく結びついた産学連携をしていかなくてはいけない。
 ILCでは16万kWの電力を必要とするそうだが、それをどのようなエネルギーで供給するかも検討されることだろう。私は今、LNG(液化天然ガス)について勉強をしているが、LNGのパイプラインが新潟から仙台まで来ている。当地域まではまだ来ていないが、低コストのエネルギーが安定的に供給できるだろう。太陽光や風力による発電もあるが、LNGのパイプラインが延伸されれば、地域のインフラ環境も変わってくるだろう。
 企業誘致に関しては従来、場所を用意したり税金を下げたりといった対策を講じていたが、大きなメリットにはなっていないと思う。それよりも、人材やエネルギー、物流環境が整っていれば企業は来る。ILCを通じたインフラ整備によって、そのような環境も整備できるのではないかと思う。
 教育面では「ILC専門学校」のようなものができないものかと想像する。国際色豊かな環境の中で、子どもたちが成長していけたらと思う。
 何もかも「いいな」と思う一方、実はこれらの整備や費用の負担を誰がするのかという問題がある。役割分担をうまくやならなければ実現性は薄くなる。

 小沢奥州市長 奥州市は今年4月に「ILCまちづくりビジョン」を策定した。今やること、ILC建設が決定してからやることなどを指針としてまとめた。市民と関係者が一緒になり、でき得ることから進めたい。
 花巻空港と台湾との間にチャーター便が運航されている。えさし藤原の郷や、偉人の記念館がある当市へどう観光誘客をつなげるかも考えなくてはいけない。
 それから、インターネットを使用する上で必要なWi-Fi(ワイファイ)スポットも整備しなくてはいけない。Wi-Fiは「情報の入り口」。観光客だけでなく、地元住民にとってもメリットがある。
 こうした方向性をビジョンの中にまとめた。本年度は総合計画の策定年。より具体的な計画や事業は、実行計画の中にしっかり掲載し、予算付けしていきたい。
 一番のポイントは、国家プロジェクトとして「ILCがここに必要だ。ここに造るんだ」という思いを示し、国民理解を促していく努力をしていかなければいけない。これが当面の課題だろう。外部への情報発信をしっかりしていきたい。

 吉岡教授 ここまでの話を聞いて、鈴木学長や佐々木室長にコメントをお願いしたい。

 鈴木学長 そろそろILCに「枕ことば」が必要だと思う。例えば「自然と文化と共存するILC」といった、特色を生かしたキャッチフレーズをつけてみてはと思う。
 ILCには、いろんな国からさまざまな人たちが集まってくる。その人たちは、互いに相手の存在を認め合うだろう。その姿を世界に示せないかと思う。これこそ世界平和の一つの例だと思う。

 佐々木室長 ILCは世界に触れ、世界に出会い、世界に発信する機能を持つ場所になり得る。一種のショールームのようなもので、建物や暮らしぶりなどの情報も世界に向け発信されるだろう。もし現状の悪い点があれば指摘をされる。それはそれで改善へとつながる良いことだ。
 第1次産業との関連性について、ILC関連施設の内外で直接的に地場産品を扱うのもいいが、海外マーケットにつなげることも考え、視野を広げることも大切だろう。その過程では食品の保存・保冷技術といったものも発達する。次の世代に何を残すか努力し、チャレンジしてほしい。
 今、ILCの話をこうしてできるのは、この地域にしかないアドバンテージ(優位性)だ。子どもたちが素粒子物理学とかILCを知っているような地域はなかなかない。大人から子どもまで携わる過程そのものが、ILC計画がもたらす「世代を超えた地域の振興の在り方」を示すことになる。
 そう考えると、これまでは推進する側の一方的な説明に終始していたような気がする。1次、2次、3次産業のそれぞれの立場において、ILCとはどういうものか、どんな関係が自分たちにあるのか、分かりやすく説明しなくてはいけないと反省している。この点については積極的にやっていきたい。

 吉岡教授 会場の皆さんからは、何か質問はありませんか。

 聴講者1 ILCが来ることによるビジネスへの展開に協力したいと考えている。進捗状況を示していただき、こういうことが可能だというのを知らせてもらいたい。
 外国人がたくさんやって来る点についてだが、岩手県民はおもてなしの心は持っているが、ファーストコンタクト(最初の接点)に対する気持ちの壁が高い。金ケ崎町の中学生たちによる英会話キャンプの様子を見たが、最初はどうしてもモジモジしている。ファーストコンタクトのハードルを下げることにも協力してほしい。

 吉岡教授 ILCは東北にできるのではなく、東北が造るILCだと思う。もちろん世界からメーカーは来るが、実際に働くのは現地の人たち。私も東北の企業を回っている中で、この地域の企業が集まれば何でもできることが分かった。その上で、もっと情報を伝えなくてはいけないと感じた。

 鈴木学長 言葉についてだが、研究所内での使用言語は英語だが、居住地域では日本語で構わないと思う。実際、スペイン人やロシア人の子どもたち、奥さんたちは英語が分からない。「日本にいるんだから日本語を勉強しなさい」ということになる。主の言語は日本語とし、どうしても分からない部分は英語でカバーするというのが良いと思う。

 高橋金ケ崎町長 共通言語となり得る英語は、お互いを高める上でも必要かなと。日常会話のちょっとぐらいは学習を進めてはどうかと思う。先日開催した金ケ崎マラソンでは、日本語と英語両方でご案内した。そんなことを通じて違和感なくコミュニケーションが取れればと思う。

 聴講者2 あと1、2年で誘致に関していろいろ決まってくるとの話だが、中央衝突地点は一関市の摺沢の辺りではないかと聞いている。コメントをいただきたい。

 鈴木学長 環境保全や道路アクセスなど、専門的な観点から決めなくてはと思う。場所についてのうわさはいろいろ出ているかもしれないが、今の段階でどこにというのはない。ちなみに、北上山地か九州の脊振山地かを決めるときにも、200人ぐらいの専門家が集まって決めた。

 聴講者3 ILCには、大きな期待を寄せている。一関市の工業クラブの者だが、ILCを切り口としたまちづくりについて検討している。今後とも支援をよろしくお願いしたい。

 勝部一関市長 産業界の方々が一生懸命取り組まれていることに感謝申し上げたい。
 一関市内の学校の先生の話では、将来「科学者になる」と言う子どもが増えてきたそうだ。
 ILCに関連する仕事はたくさんある。研究者だけでなく技術者も働いている。CERNにはホテルも幼稚園もある。郵便局、銀行もある。

 佐々木室長 東北全体で、ILCに関心のある製造業の方々と研修会をやっており、地域としてILCの技術を一緒に取り組んでいく。「地元の企業でILCを造る」という方向で何とか向かっていきたい。

 吉岡教授 東経連(東北経済連合会)の方もいらしているので、よろしければコメントを。

 大江修・東経連専務理事 東経連ではこのほど創立��周年記念し、鈴木学長とキャロライン・ケネディ駐日米国大使を招き講演会を開催した。ケネディ大使は講演の中で、初めてILC計画について触れた。ILCについて話すことの影響力について、大使も意識されたのだろうと思う。
 地元の方々の熱意が米国の関係者にも影響を与えている。今年2月のILC議連訪米時には、岩手県ILC推進協議会の谷村邦久会長も同行し、地元の熱意をスピーチし、大きな感銘を与えた。
 これからさらに大人も子どもも巻き込み、東北全体、日本全体で盛り上げていくことで、ILC誘致実現に近づくことができるだろう。

 聴講者4 私はさまざまな企業経営者の方々とお話をするのだが、皆さんILC計画を知らない。この会場にいる皆さんの間では盛り上がっているようだが、勝部市長が指摘されたように、情報発信が全くと言っていいほどなされていない。国民レベルで「ILCはいらない」という意見なのであればそれでも構わないが、科学技術立国を目指す日本の国民がまるっきり知らないというのは私たちの努力不足だと思うが、どうか。

 鈴木学長 津々浦々までILC計画の周知ができていないのは、われわれも感じている。九州や神戸、広島、大阪、東京、そして岩手や宮城で、年に2回ぐらいILCの技術関係の会議はやっているものの、産業界の方々とお話をする場面はなかった。
 国のお金以外に何らかの、国民自らサポートできる仕組みはできないか考えている。1円でもいいから寄付してもらい、「ILC友の会」のような組織をつくり、情報を流せないだろうか。
 「国民レベルの議論がないと、なかなか難しいのでは」と、いろいろな人たちに言われている。今いただいたご意見も取り入れたい。

 吉岡教授 トリプルエー(AAA)の事務局長さんもいらっしゃるので、一言お願いします。トリプルエーとは、一般社団法人・先端加速器科学技術推進協議会のことです。

 松岡雅則・AAA事務局長 私たちはILCの誘致を目指す産学官連携の組織として活動している。やはりマスコミの力を活用しなくては広がらないと考えている。国際協力が重要となるプロジェクトなので、全国紙レベルで情報を伝えないといけない。ぜひ期待してもらえれば。

 吉岡教授 岩手県推進協の谷村会長からも。

 谷村邦久・県ILC推進協会長 今年の�q月、盛岡市でILCの国際会議「LCWS2016」が開かれる。日本や海外に、ILC実現に向けた情報発信ができる絶好の機会。しっかりと、地元の熱意を発信したい。

 吉岡教授 2市2町の首長と鈴木学長、佐々木室長の声に加え、客席からも有益な質問や意見があった。正式決定を実現するためにも、引き続き努力していきたい。
(おわり)

写真=左から吉岡正和教授、佐々木淳室長、鈴木厚人学長

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