人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2024-4-23 9:00

写真=県ILC推進本部会議であいさつする達増拓也知事

 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致を目指す県は本年度、国民的な機運醸成を強力に推進し、ILC誘致実現につながる日本政府の前向きな判断を後押しする。欧州合同原子核研究機構(CERN)が計画している次世代円形衝突型加速器(FCC-ee)の動向を踏まえた対応。22日に県庁で開かれた県ILC推進本部(本部長・達増拓也知事)の本年度第1回会議で、具体的な取り組みなどを確認した。
(児玉直人)

 県は昨年4月に、高エネルギー加速器研究機構の山内正則機構長(当時)が超党派国会議連拡大総会で述べた講演などを基に、ILC実現へ向けた流れを把握。同講演では、日本政府の誘致判断のタイミングとして、FCC-eeの実現可能性調査の結論が出る2025(令和7)年が一つのめどになるとの説明があったという。
 県はこのタイミングを重視。これまで実施してきた機運醸成を拡充させ▽著名人や多様な人脈を活用したイベントの開催▽効果的なメディア展開――などで、普及啓発活動を強化する。具体的には、東京大学で7月上旬に開かれる加速器関連の国際会議の場などを活用し、情報発信を行う。
 同本部会議で達増知事は「ILC実現を見据え、全庁挙げてプロジェクトを推進していく必要があり、各部局が一層連携を図ってほしい」と幹部職員に呼びかけた。
 FCC-eeはILCと同様に電子と陽電子を衝突させ、物質に重さを与える素粒子「ヒッグス粒子」を大量に生成できる大型実験施設。フランスとスイスの国境地域に建設する計画だ。ILCが全長約20kmの直線トンネルの中心に検出器を置いて衝突実験を行うのに対し、FCC-eeは周長約90kmの円形地下トンネルに加速器を配置し、円周の途中に配置した検出器で衝突現象を調べる。
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tanko 2024-4-11 9:20

写真=ピーター・ヒッグス氏 (C)CERN

 物質に質量(重さ)を与えている素粒子「ヒッグス粒子」の存在を予言した理論物理学者ピーター・ヒッグス氏が8日、英国の自宅で死去した。94歳。博士が名誉教授を務める英国エディンバラ大学は9日に発表した。ヒッグス氏は生前、北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設、国際リニアコライダー(ILC)に関する講演に登場したこともあった。
 ヒッグス氏は英国出身。1964年、全ての物質に重さを与える素粒子の存在を理論的に予言。氏の名前から「ヒッグス粒子」と命名された。
 2012年、スイスとフランスの国境にある実験施設「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」でヒッグス粒子の検出に成功。理論の正当性が証明され、ヒッグス氏は翌年、ノーベル物理学賞を受賞した。2020年2月、日本のILC誘致団体などが主催するシンポジウムにビデオ出演。「ILCは日本がリードする立場となっている計画。地元経済にも効果をもたらすだろう」などと述べていた。
 素粒子物理学者の間ではヒッグス粒子の詳細研究を行うため、ヒッグス粒子を大量に発生させる実験施設「ヒッグスファクトリー」の建設を求めている。ILCのほか、LHCの近くへの建設が検討されている「FCC−ee」など複数の計画がある。

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