人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2020-1-20 10:40

写真=水沢地区センターで開かれたILC解説セミナー

 国際リニアコライダー(ILC)解説セミナーは19日、水沢と一関市東山町で開かれた。このうち、水沢地区センターには市内外から約20人が参加。ILC誘致に否定的な意見が目立ち、「高レベル核廃棄物処分場の呼び水になる」といった懸念から県と奥州、一関両市に対し、いわゆる「核ごみ拒否条例」の制定を求める声が複数上がった。一方、世界的な視点に立ち誘致に賛意を示す参加者もいた。
 東北ILC準備室、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の主催。県と奥州、一関、盛岡の3市が共催し、同日のほか2月2日には一関市千厩町と盛岡市でも開催する。
 水沢会場では、同準備室広報部門長の成田晋也・岩手大学理工学部教授が計画概要、県ILC推進局の高橋毅副局長が最新動向と県の取り組み、KEKの道園真一郎教授が安全対策について解説した。
 質疑応答では、胆沢の男性が「推進するなら、県と奥州、一関の2市で核のごみを持ち込まない条例の制定を」と要望。一関市の男性は「機会があるたびに条例制定を求めてきたが、兆しは見えない。地元住民として(誘致に)反対する」と述べた。
 別の胆沢の男性は、昨年3月の政府見解を「当面、国が予算をつける可能性はないということ」と受け止め、「実現の可能性がないのに、安全性や地域振興を議論しても意味がない。そこに予算をかけるのもいかがなものか」と疑問を呈した。
 一方、水沢の男性は誘致に賛意を示しながら、「世界にどう貢献できるかという視点が足りない」と指摘。全国的な盛り上がりを図るための取り組みや、異なる分野の研究者らを巻き込んだ議論が必要と主張した。
 核ごみ拒否条例について高橋副局長は、達増拓也知事が県議会で最終処分場を受け入れる意思がないことを表明しているとした上で、「条例制定の具体化には至っていない」と答えた。
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tanko 2020-1-19 10:40
 奥州市の奥州ふるさと応援寄付(ふるさと納税)は本年度、約2万件の申し込みがあり総額約6億8000万円の寄付が見込まれ、件数、金額ともに過去最高を更新する。柔軟な発想で返礼品を充実させるなど、取り組みを強化。繰り返し申し込むリピーターが増加傾向を見せ、「奥州ファン」の獲得につながっている。市にとって自主財源確保のための重要な手段でもあり、都市プロモーション施策の重点に位置付けていく。
(河東田ひかり)

 奥州市は2008(平成20)年度にふるさと納税を導入し、2015年1月からは寄付者へ市特産品などを返礼品として贈っている。これにより2015年度実績は前年度を大きく上回り、寄付額が前年度の1000万円台から一気に3億円を突破した。
 さまざまな工夫やPR活動を重ね、2018年度には初めて1万件台に到達。寄付総額は約4億1780万円と県内では矢巾町、北上市に次ぎ、国際リニアコライダー(ILC)推進事業や奥州きらめきマラソン、カヌージャパンカップ開催経費などに活用してきた。
 返礼品は南部鉄器が最も人気で、前沢牛と米が続く。業者からの提案もあり本年度は、前年度に比べ1割増の約400品を用意。これまでの形にとらわれず、品物を年数回贈る企画なども取り入れている。
 前年度に引き続き、胆沢小山のデサントアパレル蠖綢工場のみで生産されている高機能ウエア「水沢ダウン」を数量限定で出品。6日間で締め切った。寄付者が品物を受け取るのではなく、市内関連業者製造の温湿度計を市内小中学校に贈る寄贈型返礼品を新たに始め、これまでに4件受け付けた。
 メールマガジンの配信や特設サイトでの情報発信、首都圏でのファンイベント開催など、リピーター確保に力を注ぐ。取り組みが功を奏し、リピーター率は2018年度の18%から本年度22%に上昇した。
 市元気戦略室の菊地厚室長は「出品業者の丁寧な対応や商工・農業関係部署の協力など、さまざまな人の力があって伸びにつながった」と手応えをつかむ。申込者は返礼品に魅力を感じている人だけでなく、来奥経験者も多いという。「関わりを深めていくことが奥州ファンづくり、都市プロモーションにつながっていく。新年度もファンを増やしていけるよう努めていきたい」と力を込める。
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tanko 2020-1-17 10:40


[/b]写真=会長提出5議案、各市提出5議案を原案可決した県市議会議長会の定期総会[b]

 岩手県市議会議長会(会長・遠藤政幸盛岡市議会議長)の本年度第2回定期総会は16日、水沢東町の水沢グランドホテルで開かれた。新年度事業計画・会計予算のほか、国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現に向けた要望など会長提出議案5件を原案可決。地域医療体制の確保など各市提出議案5件も可決した。
 県内14市の正副議長が出席。遠藤会長は「ILC誘致が正念場を迎えている。14市議会が力を合わせて県議会などとも連携し、オール岩手で誘致実現に取り組みたい。東日本大震災からの復旧・復興を最重要課題とし、思いを強く訴えていく」とあいさつ。
 開催地を代表して、小野寺隆夫奥州市議会議長は「市には人口減少や少子高齢化、地域医療などさまざまな課題がある。各市とワンチームになり、連携することが肝要。議論を尽くし、一歩でも前へ進んでいければ」と呼び掛け、小沢昌記市長が祝辞を寄せた。
 新年度事業の重点事項は三つ。政務活動では震災関連の要望活動で全国、東北両市議会議長会、県議会、県町村議会議長会などと連携を図り、復旧・復興事業予算の維持を強く働き掛ける。
 ILC関連議案は、ヽ胴颪箸了餠睚担や研究参加に関する国際調整などの早期合意を目指し確実な実現を図る∪産官学、地域での取り組みを海外政府に情報発信するILC計画を日本の科学技術の進展、地方をつなぐ産業・情報・技術のネットワーク形成、震災復興、民間の力を伸ばす成長戦略、地方創生の柱に位置付ける――ことを求める内容。同議案と各市提出の計6議案に盛り込んだ事項の実現に向け、関係機関へ強く要望していく。
 今後、同6議案の中から3議案を会長が選定。4月に青森市で開催される東北市議会議長会定期総会に提出することも了承した。
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tanko 2020-1-16 10:50

写真=本間希樹所長と吉田戦車さんとのコラボで人気を博している単行本の表紙

 国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長(48)=同天文台教授=による単行本『ブラックホールってすごいやつ』が昨年12月に扶桑社から発刊され、話題を呼んでいる。同観測所がある水沢出身の漫画家・吉田戦車さん(56)がユーモラスなイラストを添え、難解と思われがちな宇宙やブラックホールに関する知識を楽しく学べるようにした。吉田さんの大ファンでもある本間所長にとって夢のコラボ作品。「宇宙を知ることで、私たち人類が存在していることがいかに奇跡的なものかを感じてもらえるはず。天文学に興味を持つきっかけになれば」と希望している。
(児玉直人)

 昨年4月に世界同時発表されたブラックホールの撮影成功。国際研究プロジェクト「EHT(Event Horizon Telescope)」の日本メンバー代表として、リーダーシップを発揮したのが本間所長だった。
 扶桑社から企画提案を受け執筆することになった本間所長は、大学時代からファンだった吉田さんにイラストを依頼できないかと、「ダメ元」で要望した。東京大学のオーケストラサークルに所属していた本間所長は当時、サークルメンバーと吉田さんの代表作『伝染(うつ)るんです。』を回し読みしていたといい、吉田さん独特の世界観にすっかりはまり込んだという。
 偶然にも吉田さんの出身地、水沢の観測所に2015(平成27)年に赴任した本間所長。「吉田さんとはまだ直接お会いしていないが、水沢に赴任したからこそできた夢のコラボ。吉田さん自身、作画に当たり宇宙の勉強もされたようだ」と語る。専門知識をしっかり伝えつつも、吉田さんのユーモラスなイラストが、「難しくとっつきにくい」と思われがちな宇宙や科学に対する堅苦しいイメージを柔らかなものにしている。
 ブラックホール撮影に関することだけでなく、宇宙誕生や地球の話などにも触れている。全ての漢字に振り仮名を付け、小学生でも気軽に読めるようにしたのも特長だ。
 発刊以来、注目を集めており本紙が定期掲載している直近の「ブックランキング」(Gアクセス松田書店本店調べ)では、1位にランクインしている。
 本書は各地の書店などで販売。奥州宇宙遊学館では数に限りがあるが、本間所長のサイン入りの本が手に入る可能性もあるという。定価は1300円(税別)。
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tanko 2020-1-13 10:50

写真=自分たちで作ったブラックホールかるたで遊ぶ子どもたち

 水沢星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で11日、「冬休み宇宙大作戦」が開かれた。参加親子は、かるた作りを楽しみながら、ブラックホールの魅力に引き込まれた。
 国立天文台水沢VLBI観測所の田崎文得特任研究員が講師を務め、参加した子どもや保護者らと共にかるた作りに取り組んだ。ブラックホールにまつわるクイズも行われ、子どもたちの宇宙への関心を引き出した。
 あらかじめ用意された読み札に合うように、クレヨンや色鉛筆などを使い絵札をデザインした。完成後は実際に使ってかるた遊び。子どもたちは我先にと札を積極的に取りにいっていた。
 水沢福原の吉次叶芽(かなめ)ちゃん(4)は「ブラックホールとオーロラを描けて面白かった」とイベントを満喫。会社員の父孝太さん(33)は「楽しそうで何より」と話した。
 同日夜には同館の駐車場で星空観望会が行われ、家族連れなど21人が遠く広がる宇宙に思いをはせた。
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tanko 2020-1-9 11:00
 小沢昌記・奥州市長は8日の定例会見で、国際リニアコライダー(ILC)誘致や東京五輪カヌー競技の事前合宿誘致、公共施設の在り方など市政課題に関わる今年の抱負を述べた。ILCについては今月中策定とされる日本学術会議のマスタープラン掲載の「吉報を待つ」としながら、「最終的には国としての意思決定が大きな部分になると考えている。引き続き丁寧に要望や誘致活動をしていく」と述べた。
 東京五輪カヌー競技の事前合宿誘致については、「事前合宿地としての働き掛けを日本カヌー連盟と協調しながら進める」。スポーツ関連ではほかに、5月の第4回いわて奥州きらめきマラソン、水沢の市総合体育館(Zアリーナ)で8月に開催のインターハイ卓球競技を訪れた人たちに市をPRする。
 一斉に更新時期を迎えている公共施設の在り方については「将来を見据えた都市フレームを考えつつ素案をつくる。市民からお話を聞き、より多くの同意を得られる形で進めたい」と述べた。
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tanko 2020-1-9 11:00
 東北ILC準備室と高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、19日と2月2日にILC(国際リニアコライダー)の最新動向などを解説するセミナーを開く。今回は初めて盛岡市で開催するほか、胆江地区では19日午後2時半から奥州市水沢聖天の水沢地区センターで催す。
 同準備室とKEKの担当者が、北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「ILC」の計画概要や最新動向を説明。聴講者からの質疑応答時間も設ける。
 19日は、午前10時半から一関市東山町の東山地域交流センターで。午後は水沢で開く。2月2日は、午前に一関市千厩町の奥玉市民センター、午後は盛岡市の上田公民館で開催する。いずれの会場も事前申し込み不要で聴講無料。質疑応答は当日受け付けるほか、事前受け付け(19日分は14日、2月2日分は今月27日まで)も行っており、質疑応答の結果は後日ホームページに掲載する。
 同セミナーは2018(平成30)年9月以降、一関市や奥州市などで計7回開催している。
 問い合わせは、東北ILC準備室事務局の県ILC推進局事業推進課(電話019・629・5217)。
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tanko 2020-1-6 15:00
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致機運向上を図るシンポジウムが、2月8日午後3時半から東京都文京区の東京大学伊藤謝恩ホールで開かれる。ILCで実施される実験と密接に関係する「ヒッグス粒子」の存在を予言したイギリスの理論物理学者ピーター・ヒッグス氏による中継講演も行われる予定だ。
 高エネルギー加速器研究機構やリニアコライダー・コラボレーション(LCC)、先端加速器科学技術推進協議会、東北ILC推進協議会などが共催。ヒッグス氏ら国内外の研究者の講演やパネルディスカッションを通じて、ILC計画の重要性と日本に誘致する意義を国民や政府に発信する狙いがある。
 ヒッグス氏は1964年、全ての物質に質量(重さ)をもたらす「ヒッグス粒子」の存在を理論的に予言。2012年に、欧州合同原子核研究機関(CERN)の地下実験施設「大型ハドロン衝突型加速器」でヒッグス粒子が発見され、理論の正当性が証明された。ヒッグス氏ら理論提唱に関わった研究者は翌年、ノーベル物理学賞を受賞している。
 シンポジウムでは、CERNからの中継でヒッグス氏が講演。ヒッグス粒子のメカニズムのほか、ILCで進めようとするヒッグス粒子の詳細測定についても触れるとみられる。
 ヒッグス氏の講演の前段では、素粒子物理学の今後を探るパネルディスカッションを実施。2008年ノーベル物理学賞受賞者の小林誠氏と益川敏英氏、ILC計画を推進している早稲田大学教授の駒宮幸男氏、LCC副責任者の村山斉氏が意見を交わす。益川氏はビデオメッセージでの出演となる。
 専用ウェブサイト( https://ilc-symposium.jp/ )で聴講者の申し込みを受け付けているが、事務局の年末年始休業の関係で今月は10日から受理を再開する。入場無料で対象は中学生以上。定員は450人、先着順となる。本県など全国3カ所に中継会場を設ける予定だが、招待制のため一般の事前申し込みはないという。問い合わせは、ウェブサイト内を通じて受け付ける。
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tanko 2020-1-5 13:10

写真=酒井栄さんが撮影したボリソフ彗星。目印の白い縦線と横線を延長していき交差した部分に、ぼんやりと見える

 太陽系の外から飛来した彗星「ボリソフ彗星」の撮影に、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター理事の酒井栄さん(66)=奥州市水沢東大通り=が成功した。太陽系の外で誕生したとみられる同彗星は、再び太陽系の外へと旅立っていく。
 2018年12月に、クリミアのアマチュア天文家ゲナディ・ボリソフ氏が発見した「恒星間天体(恒星などの天体に重力的に束縛されず、銀河系内を公転している天体)」の一つ。太陽の重力に束縛されない軌道を移動している彗星で、太陽に近づいた後は、再び太陽系の外へ飛び出し、二度と戻ってこない。現在確認されている恒星間天体はボリソフ彗星と、2017年10月に発見された小惑星「オウムアムア」の二つだけ。
 ボリソフ彗星は、日本時間の昨年12月8日深夜に太陽に最接近した。ただ、最接近時の太陽までの距離は約3億kmで、火星の公転軌道よりも外側。地球には同28日に最接近しているが、やはり距離は約3億kmも離れた場所だ。現在は太陽や地球から離れ、太陽系の外へと向かっている。
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tanko 2020-1-1 6:30

写真=一関市大東町大原のILC建設候補地を眺める家泰弘氏。後方に見える壁面には、誘致実現を願うスローガンなどが記されている

 国際リニアコライダー(ILC)誘致の行方を左右する日本学術会議(山極寿一会長)の「マスタープラン2020」が、今月中にも策定される見通しにある。昨年出されたILCに関する政府見解について、「関心表明」と受け止める向きがあるものの、実現への道程は縮まっているのだろうか。学術会議で、ILCに関する検討委員会委員長を務めた家泰弘氏(68)=日本学術振興会理事=へのインタビューを通じて、実現を阻む「問題点」を整理する。
(児玉直人)

 家氏は昨年末、奥州、一関両市を訪問した。現計画について、「予定通り研究を終えても、見えてくる成果は『登山道の入り口』というレベル。物理の探究は完結せず、継続には再び巨額投資が伴う」と強調。さらに安全面が重視される粒子ビームの処理装置「ビームダンプ」に対する危機管理対応などにも、信用性が欠けると指摘した。
 昨年3月の政府見解は「学術会議の回答内容に即した内容だった」との認識。しかし、回答で指摘した重要な諸課題が地域社会に伝わっていないと感じており、推進派研究者らの「関心表明」という解釈には疑問を呈した。
 本紙は、家氏のほか、推進派の産学官関係者で組織する東北ILC準備室(室長・鈴木厚人県立大学長)へも、政府見解の受け止め方や誘致活動の在り方に関し同様に質問。返ってきたのは、「多くの方々の声を踏まえて、ILCの推進活動を行っている。マスコミの皆さまには、引き続き、定例の記者勉強会の開催等も検討して参る」とのコメントのみで、具体回答は得られなかった。

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