岩手県奥州市・金ケ崎町をエリアとした地域新聞社による国際リニアコライダー(ILC)関連記事を掲載。 奥州市東部の北上山地は、現時点における世界唯一のILC候補地に選定されました。当サイトにはILCをはじめ、理系分野やILCに関連性のある地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)についての記事を随時アップします。
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tanko 2018-8-11 12:10
素粒子学界=科学的意義強調、他分野委員=疑問や厳しい指摘

 【東京=児玉直人】北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致の是非を議論する、日本学術会議(山極寿一会長)の「ILC計画の見直し案に関する検討委員会」の第1回会議が10日、東京都港区の日本学術会議2階会議室で開かれた。素粒子物理学以外の分野を専門とする研究者らも名を連ねる同委員会。科学的意義に一定の理解を示したものの、スケジュールやコスト、地元との合意形成に対し、疑問の声や厳しい指摘が相次いだ。委員長には、日本学術振興会理事の家(いえ)泰弘氏が就任した。

 同検討委は物理学のほか、哲学や環境学、土木工学など他の学術分野の専門家を含む10人で構成。下部組織として技術検証分科会を設置しており、7人の分科会委員のうち3人は上部委員会の委員が兼任している。分科会の委員長には、慶応大学先導研究センター特任教授の米田雅子氏が選ばれた。
 同日はILC計画を推進する国際研究者組織、リニアコライダー・コラボレーション物理作業部会共同議長の藤井恵介氏らがILCの研究意義や施設設計について説明。文部科学省のILC有識者会議の委員を務めた大阪大学核物理研究センター長の中野貴志氏らも、有識者会議での議論のまとめについて報告した。
 藤井氏は、物質に質量を与えているヒッグス粒子について「複数種類存在する素粒子かもしれない。新しい物理を発見するためにヒッグスの精密測定の期待が高まっている」と強調。全長20kmの施設規模に見直された現計画は、ヒッグス粒子だけの研究施設と受け止められがちだが「新粒子探索の可能性はある」と説明。見直し後の施設であってもノーベル賞級の発見が期待できるとアピールした。
 これに対し、検討委員会委員からは厳しい質問や指摘が相次いだ。分科会委員で土木工学などが専門の経済調査会理事長・望月常好氏は、ILCの加速器を通り抜ける電子ビームが最後に到達する「ビームダンプ」と呼ばれる設備に関連して質問した。
 ビームダンプでは、水とビームが反応し放射性物質の一種「トリチウム(三重水素)」が発生。人体への影響は弱い放射性物質ではあるが、除去処理が難しく、東京電力福島第1原発事故の汚染水処理を難しくしている存在だ。
 望月氏は「ILC実現には地元との合意形成が不可欠。夢に向かうのはいいが、例えばビームダンプが壊れた場合はどうなるかなど、しっかり説明できなければ、地元との合意は得られない」と指摘。さらに「用地交渉や環境アセスメント、人的体制の確保など相当の時間を要するが、建設前の準備期間が4年となっている。明らかに短い」と疑問を呈した。
 このほかにも「国内の物理学者、素粒子物理学者の間では、ILCに対する賛同をしっかり得られているのか」「(見直し計画に対しては)科学的意義がしっかりあるという説明だが、世間一般では予算削減が目的だと受け止めている人が多い」といった指摘もあった。
 ILCを推進する素粒子物理学者らの間では、ヨーロッパの次期素粒子計画策定作業のスケジュール上、年内に日本政府が前向きな意思表示をしなければ、実現が厳しくなるとみている。一方、同検討委員会は来年7月まで設置することが可能だ。会議終了後、報道陣の取材に応じた家委員長は「課題が多岐にわたっており、しっかりと審議を尽くさないといけない。文科省からも『速やかに』との要請を受けているが、かといって締め切りを設定するわけではない」との考えを示した。

写真=日本学術会議のILC見直し案検討委員会の委員長に就任した家泰弘・日本学術振興会理事(中央)。写真左は2015年ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章・東京大教授
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tanko 2018-8-9 12:20
 達増拓也知事は8日、東京都千代田区の自民党本部を訪れ、二階俊博幹事長らに素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現を要望した。
 要望活動には達増知事のほか、ILC国会議連副会長を務める鈴木俊一五輪相、県ILC推進協議会の谷村邦久会長、東北ILC準備室長の鈴木厚人・県立大学長も参加。党本部で二階幹事長やILC国会議連の河村建夫会長、超党派議連「科学技術の会」代表を務めている細田博之・元官房長官、甘利明・元経済再生相と面会した。
 県科学ILC推進室によると、二階幹事長は「党として頑張っていかなければならない。いつまでも決めないわけにはいかない」とコメント。要望後、報道陣の取材に応じた達増知事は、自民党を軸としたILCに関する連絡協議会が立ち上がる動きに触れ「それぞれ政策を進める立場の人たちに話を聞いていただき、(ILCが)雲をつかむようなものではなく、現実的な動きとして進んでいることを実感した。県としても受け入れ準備をしっかり進めていくことをお伝えした」と話していたという。

写真=二階俊博幹事長(手前中央)らにILC誘致実現を要望した達増拓也知事(同左)=自民党本部、県提供
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tanko 2018-8-8 17:00
 ノーベル物理学賞受賞者で米国人のシェルドン・グラショー氏(85)とバリー・バリッシュ氏(82)が7日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で記者会見し、国際リニアコライダー(ILC)実現の重要性を強調した。バリッシュ氏は「巨額投資に対する問題に対し、国民の理解を得るのは啓発や教育によって可能だと思う。ヒッグス粒子をなぜ調べるのかは、好奇心という人間が持つ本質に関わる。現代社会に生きている人間として、ただ単に資源を消費して生存するだけでなく、好奇心を満たしていくことが重要で、ILCを実現しなくてはいけない最大の理由はそこにある」と持論を展開した。

 両氏は今月5日に都内で開かれたILCに関する講演会参加や主要メディアへの取材対応などのため来日。帰国直前の時間を利用し会見に応じた。
 グラショー氏は、物質に質量を与える素粒子「ヒッグス粒子」らしきものが発見され、「研究の舞台はいよいよILCになる。ヒッグスが本当にあるのか、複数なのか、どんな性質を持っているのかもILCだからこそ分かる」と研究意義を強調。「絶対にILCは造らなければいけない。ILCができれば、必ず国際的な研究所となる。友人の研究者たちも楽しみにしている。日本学術会議でこの計画が承認されることを願っている」と述べた。
 研究者界や候補地の北上山地周辺地域の自治体、経済関係者はILC実現を強く求めている。だが、国民的認知度が依然として低く、また巨額な投資を伴うことへの反発が起きないとも限らない。
 国民理解や周知に関する質問に対しバリッシュ氏は「非常に膨大な費用がかかる。しかし、投資されるお金は幅広い分野に生かされる。素粒子物理分野の成果は、1000人、2000人規模の研究者の間で共有される。研究者1人当たりのコストは、他の学術分野と比べ半分ぐらいではないか」と主張した。
 ILCを推進する研究者たちは、最新の研究成果や初期コストの抑制などを踏まえ、施設規模を全長約30kmから20kmに見直し、物質に質量を与えているとされる素粒子「ヒッグス粒子」の精密測定に重点を置く方針を打ち出している。しかし、文部科学省のILC有識者会議の報告書には、見直し後の施設規模では新粒子発見の可能性が低くなることや、「トップクォーク」と呼ばれる素粒子の精密測定は実施できないと指摘している。
 物理系の研究者や誘致関係者の一部からも、研究成果の広がりや世界最高峰を目指すインパクトが当初計画よりも薄れるとの声が出ている。しかし、バリッシュ氏は「ILCは施設を拡張することができる加速器だ」とし、将来的に拡張できる面がILCのような直線加速器の優位点であることを強調した。

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 シェルドン・グラショー氏 1932年ニューヨーク市生まれ。コーネル大、ハーバード大卒の理論物理学者。力を伝える素粒子である「電磁気力(電磁相互作用)」と「弱い力(弱い相互作用)」の統一理論(電弱統一理論)に貢献した一人として、1979年にノーベル物理学賞を受賞。物質を構成する素粒子の一種「チャームクォーク」の存在も予言した。ボストン大などで数学、物理の教授を務める。

 バリー・バリッシュ氏 1936年ネブラスカ州オマハ市生まれ。カリフォルニア大バークレー校卒の実験物理学者。重力波の測定に世界で初めて成功した米国の研究施設「LIGO」を国際的なプロジェクトに育て上げたとして、昨年のノーベル物理学賞を受賞した。ILCの技術設計報告書をまとめ上げた国際共同設計チームの最高責任者も歴任。2012年1月には、北上山地を視察している。

写真=記者会見に臨むバリッシュ氏(左)とグラショー氏
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tanko 2018-8-8 16:30
 【東京=児玉直人】 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」計画で、日本の負担額は建設関係が年間約400億円、運用関係が約230億円になるとの具体的な費用見通しが明らかになった。7日、日本外国特派員協会=東京都千代田区=で開かれたノーベル物理学賞受賞による会見の冒頭、ILC計画に携わっている東京大学の山下了特任教授が説明。既存の学術関連予算とは別の予算枠を設けることで、予算削減を警戒する他学術分野の関係者の理解を得たい考えだ。

 ILC建設や運用に関係するコストのうち、日本の負担についてはこれまで、想定される割合のような形でしか示されていなかった。具体的な金額として公表されたのは初めて。
 山下教授によると、10年の建設期間にかかる費用は総額7355億〜8033億円とし、このうち日本の負担は3750億〜4096億円になる見通し。年額にして、375億〜410億円という。金額に幅があるのは、技術の進歩などを加味するか否かによるもので、最新の技術が順調に取り入れられた場合は、公表された金額の低い側になると見込まれる。
 山下教授は「通常の学術・科学技術・大学予算の枠外にILCの予算を措置できるよう政界関係者と共に模索中だ。日本の科学研究予算は逼迫しており、ILCによって自分たちの研究予算が削られるとの不安はどうしてもある。枠外予算という仕組みができなかったら、ILCは実現できない」と断言。地域創生や産業振興など他の政策効果とILCが関わり合うような位置付けを取ることで、一つの予算で複数の効果が得られるような姿を描いているとした。
 ILCを巡っては、日本学術会議(山極寿一会長)の「ILC計画の見直し案に関する検討委員会」の初会合が今月10日に予定されており、科学的意義や技術面の妥当性などの検証が始まる。
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tanko 2018-7-31 12:40
 岩手県ILC推進協議会(谷村邦久会長)は30日、素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の日本誘致が実現した場合の経済波及効果額(最終需要額)は20年間で3兆106億円、生産誘発額は5兆7200億円になるとの試算を公表した。同協議会は、政府の誘致決断を後押しする材料として提示する考えだ。

 同協議会は一昨年2月、イノベーション・経済波及効果調査委(委員長・鈴木厚人県立大学長)を内部に立ち上げ、経済学者の意見助言などを得て試算。独自の算出方法で、ILCの社会意義を示す3項目の波及効果を示した。
 このうち「基盤技術(加速器関連技術)の発展・利用による産業の波及効果」は、3兆106億円と算出。最終需要の各項目から誘発される国内生産額「生産誘発額」は、運用10年を加えた計20年間で5兆7200億円になるとした。
 民間投資における「世界とつながる新たな地方創生の効果」については、約4000億円と試算。東北エリアにILC・加速器関連産業が約700事業所あるとし、民間を事業主体に公共事業を行うPFI等の施設、住宅などに係る「民間投資」を約1000億円とした。「居住者・来訪者の消費支出額」は約3000億円で、内訳は外国人は約1200億円、日本人は約1800億円となっている。
 このほか「更なる変革・社会課題解決等の可能性」として、▽既存の加速器関連研究から生まれた新技術・新製品▽加速器駆動核変換システム(ADS)での放射性廃棄物処理(短寿命化)への貢献――を挙げた。
 谷村会長は「ILC実現には、欧州の素粒子物理戦略の次期5カ年計画に日本の協力を示すことが必要。この調査結果の活用を促し、日本政府の誘致決定を計画策定時期に間に合わせたい」と話していた。
 文科省ILC有識者会議の報告書に添付された民間研究所試算による経済波及効果は、最終需要額1兆2166億円〜1兆3338億円の発生に対し、生産誘発額は2兆3776億円〜2兆6109億円としている。県推進協と同様、建設期間10年、運用期間10年の20年を対象にしているが、算出の諸条件が異なる。
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tanko 2018-7-28 9:30
 日本学術会議(山極寿一会長)が26日、「国際リニアコライダー(ILC)計画の見直し案に関する検討委員会」の設置を決定した。文部科学省のILC有識者会議の取りまとめ文章では、ヒッグス粒子の精密測定に対する研究意義を認める一方、計画見直しにより打ち出された施設規模では、新粒子発見の可能性が低いことや、「トップクォーク」と呼ばれる素粒子の精密測定は実施できないとしている。検討委メンバーには物理以外の専門家や、同じ物理でもILCを推進する素粒子物理学とライバル関係にある分野を専門とする研究者もいる。有識者会議が指摘した課題などに検討委メンバーはどのような見解を示し、その内容に文科省や政府関係者はどう反応するか――。
(児玉直人)

 見直し案検討委のメンバーは8人。学術会議の3人の副会長や、学術分野ごとに設けている三つの部会からの推薦を受けて人選した。2015(平成27)年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏、2013年に設置されたILC検討委で委員長を務めた家泰弘氏も名を連ねている。8月10日の検討委初会合に先立ち、同8日に下部組織の技術検証分科会メンバーが集まり、協議を始める。
 委員の名称にもなっている「見直し案」とは、スイスとフランスの国境にある素粒子研究施設「CERN」の最新実験成果などを踏まえ、物質に質量を与えている素粒子「ヒッグス粒子」の生成に最適な施設規模(全長約20km)から運用を始める内容。段階的に施設を拡張していくこの見直し計画は「ステージング」とも呼ばれている。
 当初、全長約30kmで建設総額が約1兆円かかるとされていたILCだが、見直し計画を採用すれば、初期投資も当初より抑えられるメリットもある。
 一方で、未発見の新粒子を直接生成する可能性は低くなる。この点に対し、国内外の物理学者だけでなく、建設候補地の地元で活動する誘致関係者の一部からも「既に発見された粒子の後追い研究のような印象がある」「未知の世界に挑戦するぐらいのインパクトがある施設でなければ、ILCを建設する意味合いは薄れる」といった懸念の声がある。
 このほか、文科省有識者会議の取りまとめ文章では、国民や他分野の科学者界の理解を得る必要性なども指摘。今回結成された学術会議検討委は、ほとんどが他分野の研究者で占められていることから、有識者会議で洗い出された課題点を重く受け止め、ILC建設誘致のネックと指摘する声が相次ぐ可能性も否めない。
 素粒子物理学者の間では、ヨーロッパの次期素粒子計画の策定作業を考慮し、年内にも日本政府が何らかの意思を示す必要があるとしているが、今回設置された検討委の設置期限は来年7月25日までの約1年。学術会議事務局は、素粒子物理学者側の主張する動きと、設置期限との関係性は特になく「期限を超えない範囲であれば、早く終わる場合もある」としている。文科省からも「早期の審議」を求められているが、検討委内の議論の状況や参加委員の考え方、主張によっては時間をかけて審議を進める可能性も完全には否定できない。
 候補地の地元では、地域振興などへの効果も期待しながら熱意を見せる活動をしているが、一方でILCを建設する理由の根幹である「科学的意義」をおろそかにするわけにはいかない。ILC誘致を巡る議論は、まさに正念場を迎えている。


ILC見直し案検討委のメンバー
【検討委】
小林 伝司(大阪大副学長、哲学)
西條 辰義(高知工科大教授、経済学・環境学)
梶田 隆章(東京大教授、物理学)
田村 裕和(東北大院教授、物理学)
米田 雅子(慶応大特任教授、土木工学・建築学)
家 泰弘(日本学術振興会理事、物理学)
上坂 充(東京大院教授、総合工学・物理学)
杉山 直(名古屋大院教授、物理学)
永江 知文(京都大院教授、物理学)
平野 俊夫(量子科学技術研究機構理事長、基礎医学)

【分科会】
嘉門 雅史(京都大名誉教授、土木工学・建築学・環境学)
中静 透(総合地球環境学研究所特任教授、基礎生物学・環境学)
望月 常好(経済調査会理事長、土木工学・建築学)
田中 均(理化学研究所放射光科学総研副センター長、工学)
※検討委の西條辰義、米田雅子、家泰弘の3氏も分科会に加わる。
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tanko 2018-7-27 9:40
 日本学術会議(山極寿一会長)は26日、素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関する文部科学省からの審議依頼を受け、「ILC計画の見直し案に関する検討委員会」の設置を決めた。初会合は8月10日に開かれる見通し。
 文科省のILC有識者会議(平野真一座長)は今月上旬、研究意義や課題点などを取りまとめた。学術会議は2013(平成25)年に文科省の依頼を受けILCの研究意義などを審議していたが、再びILCに関する審議に応じることとなった。
 同日開かれた学術会議幹事会では、委員会のほか素粒子物理学者らによって見直された新計画の妥当性を検証する「技術検証分科会」を下部組織として設置することも決めた。分科会は8月8日に開く予定だ。
 同会議事務局は「文科省からは早期に検討してほしいと依頼を受けている。時間的な制約も考慮しながら進めていくことになるだろう」と話している。
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tanko 2018-7-26 10:10
 素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の有力建設候補地周辺の7市町議会の関係者は25日、超党派国会議員で組織する「リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟」の河村建夫会長(衆院・山口3区)や文部科学省研究振興局の磯谷桂介局長らと都内で相次いで面談し、北上山地への誘致実現を要望した。7市町議会による初の連名要望を、河村会長や磯谷局長は高く評価。「地元の皆さんの協力を得ながら前に進めたい」などと述べた。


 要望に参加したのは胆江(奥州市、金ケ崎町)、両磐(一関市、平泉町)、気仙(大船渡市、陸前高田市、住田町)の3地区の議会関係者。奥州市ILC推進室の瀬川達雄室長も同行した。
 要望書は、国会や担当省庁による尽力でILCを実現するよう求める内容。年内までに日本政府の何らかの意思表示が必要とされる正念場を迎えていることから、候補地周辺の地元の熱意を伝え、国の動きを後押しする狙いがある。要望書は7市町議会の議長名のほか、奥州市議会ILC誘致推進議連と気仙地区議会ILC誘致推進議連の会長名も加えた9団体連名での提出となった。
 要望に参加した奥州議連の渡辺忠会長によると、7市町議会が結束した行動が「大きく評価された」という。
 磯谷局長との面談では、奥州議連が取り組んでいる中学生によるILCのPR看板の写真を見せたところ、「子どもたちの思いや取り組みが台無しにならないようにしなくてはいけない。一つ一つの課題は大きいが、国会の議連と動きを合わせ、丁寧に解決しながら前へ進めたい。決まるまで一緒に頑張っていこう」と激励されたという。
 河村会長は「奥州市議会だけの要望かと思ったら周辺の議会もだと聞いて驚いた。周辺地域の皆さんの協力がないと前には進めない。12月をめどにという意識の中、文科省と歩調を合わせて対応していく時期にある。日本に判断を委ねられている状態なので、皆さんの行動を励みにやっていきたい」と述べたという。
 渡辺会長は、前回2016(平成28)年5月に奥州議連単独で要望活動したときよりも「前進しているような印象を受けた」と話した。

写真=国会ILC議連の河村建夫会長(左から4人目)に誘致実現を求めた7市町議会の関係者ら(提供)
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tanko 2018-7-25 10:50
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現を図るため、奥州市や金ケ崎町など県内7市町議会は25日、国会ILC議連の河村建夫会長や本県選出国会議員らの元を訪問する。候補地の地元としての思いなどを伝えながら、誘致実現に向けた動きをさらに推し進めるよう求める。7市町議会が連名で国政関係者らへ要望するのは今回が初めて。

 要望活動に参加するのは胆江2市町議会のほか、一関市、大船渡市、陸前高田市、平泉町、住田町の各議会。要望書は7市町議会の議長名のほか、奥州市議会ILC誘致推進議連と気仙地区議会ILC誘致推進議連の会長名も加わることから9団体連名での提出となる。気仙地区の議連は大船渡、陸前高田、住田の3市町議会の議員で構成している。
 要望団は18人で、奥州市議会からは同議会ILC議連の渡辺忠会長ら11人。金ケ崎町議会からは伊藤雅章議長が参加する。
 午前中に本県選出国会議員7人の議員会館内の事務所を訪問。午後は文部科学省の担当局長や河村議連会長と面談する。
 渡辺会長は「今回の要望活動がILC建設候補地周辺自治体の議会の結束を強めるきっかけにしたい。一つの輪になることで、よりインパクトのある要望活動になるだろう」と話す。
 ILC誘致を巡っては、文科省のILC有識者会議が今月4日、研究の意義や課題点などを取りまとめた。文科省は日本学術会議(山極寿一会長)に審議を要請している。ILC計画を推進している素粒子物理学者らの間では、ヨーロッパの次期素粒子物理学計画にILCを反映させる必要があるとして、今年中の日本政府の意思表示が不可欠としている。
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tanko 2018-7-20 10:40
 国際リニアコライダー(ILC)ができると、海外の人たちが大勢来ます。もともとこの地域に住んでいる私たちも英語をちゃんと勉強して、話さなくてはいけないのでしょうか?

話せるほうがいいです
 ILCが来たら「地域住民も英語を話せなくてはいけない」という人もいれば、「ここに住むようになる外国人は必死に日本語を覚えてくる。むしろ私たちは日本語で話してあげたほうがいい」と考えている人もいます。
 英語はコミュニケーションを図るための道具です。話せないより話せたほうがいいと思います。
 ILCは、49の国と地域にある300以上の大学や研究所の科学者や研究者、エンジニア2400人以上が参加するビッグプロジェクトです。彼らのほとんどは家族同伴で来日することが予想されます。この方々の母国語は英語以外にドイツ語、フランス語、中国語、韓国語など数十カ国以上の言語になると思われますが、研究所や国際会議などで使われる共通語は英語。したがって英語が話せれば、それだけ意思疎通がスムーズにうまくいくことは確かです。
 ここに興味深いリポートがあります。2017年8月、欧州原子核研究機構(CERN)やドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)などで働いている科学者や研究者ら24カ国、76人に対し、日本にILCが建設された場合を想像しながら「言葉や生活についてどのように対応しますか」「来日することが決まったら、日本のどのようなところに住みたいですか」「医療やお子さんの教育に心配はないですか」など、日常生活に関することについて、アンケートが行われました。
 「ILCに来る前に、日本語を勉強する気がありますか」「あるとすれば、どのようにして日本語を勉強したいですか」という問いもありました。有効回答者67人のうち、日本語に対して「興味がない」と回答した人はわずか7人。90%以上の人が興味を持ち、しかも「日常会話ができる程度にまでなりたい」と回答しています。そしてほとんどの人が、「学校やグループで学びたい」と思っているようです。
 少なくとも調査に協力してくれた外国人研究者のほとんどは、日本語に興味があり、日本人との交流を望んでいるようです。子どもの教育のために「インターナショナル・スクールがなければいやだ」という雰囲気ではなく、会話についてもほとんど心配していないようです。
 彼らは積極的に日本語を覚えようとしているし、意欲もあるのです。日本文化(異文化)を何でも吸収したい、という意気込みも強い。つまり私たち地元の日本人は、分かりやすい正しい日本語でゆっくり話してあげれば、むしろ相手に喜ばれるかもしれません。
 このように「英語でなければ絶対だめ」と極端に考えないことも一方では大切なのかもしれません。コミュニケーションを取る方法はいくらでもあるのです。
 重要なのは、いかに真面目に相手と向き合うかです。私たち日本人はもちろんですが、たとえ外国人でも英語を母国語としていない人にとって、英語は外国語なのです。
 ただし医療機関や行政機関など、仕事によっては専門用語を含め、英語でコミュニケーションが十分取れるようにしなければいけないでしょうし、すぐに対応できる能力を持った人を複数人配置する必要はあります。また公共施設や交通機関の標識、案内板や地図などは多言語表示が必要です。さらにより精度のよい言語翻訳機の設置やインターネット網の完備が必要と思われます。
(奥州宇宙遊学館館長・中東重雄)

番記者のつぶやき
 中東さんの今回の文中には、英語でのコミュニケーションが必要な仕事の一例として、医療機関や行政機関を挙げていました。が、ILCの取材を進めていく中で私たち新聞記者も、英語でのコミュニケーション能力が必要だなと痛感させられます。
 会話はもちろん、資料やインターネット上の関連情報も英語で書かれています。分からない部分は、知人の研究者や奥州市国際交流協会のスタッフの方に聞いて翻訳しましたが、「直接自分の考えや質問したいことを英語で外国人研究者に伝えられたらな」と思うことが何度もありました。英語で楽しそうに会話をしている日本人研究者の姿を見て、うらやましく思いました。
 ILCの会議では科学の専門用語が、ばんばん飛び交います。日本語で会話をしているのに、意味が分からないこともしばしば。言語や専門用語がコミュニケーションの障壁にならないような雰囲気づくりも、大切になると思います。
(児玉直人)

写真=接客で使用する英会話を学ぶ金融機関の関係者たち(2014年8月に開かれた企業人英語研修会)

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