人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2019-1-22 15:50
 国際リニアコライダー(ILC)の誘致に国民的関心を引き寄せる一環として、漫画「会長 島耕作」に誘致プロジェクトが取り上げられる。24日発売の週刊漫画雑誌「モーニング」(講談社)に掲載される。
 弘兼憲史さん作の「島耕作」シリーズは、サラリーマンの島耕作を主人公に、企業内外の競争やそれを取り巻く人間模様などを描いた人気漫画。「課長―」「部長―」「社長―」などのシリーズ作品があり、現在は「会長―」がモーニングに連載中だ。
 ILC計画は「国民周知が不十分」との指摘が以前からあり、誘致関係者は著名人や「ハローキティ」など人気キャラクターの力を借りたPR活動、グッズ販売などを展開している。弘兼さんは、昨年6月に発足した「ILC100人委員会」に名を連ねている。
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tanko 2019-1-22 15:50
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設、国際リニアコライダー(ILC)について、推進派の研究者側は、3月7日までに日本政府が国際協議に入る意向を示した場合、関係政府間での建設最終合意は2022年から2024年ごろになるとの見通しを明らかにした。文部科学省は昨年末、日本学術会議(山極寿一会長)からILCに関する所見の提出を受けており、日本政府がどう判断を下すのかが最大の焦点となっている。

 ILC推進プロジェクト事務局によると、想定スケジュールは今月18日に都内で開かれた「ILC推進産学連携フォーラム」の席上、資料の一つとして配布された。茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)が中心となり、まとめたという。
 内容は、日本政府が3月7日までに国際協議に入る意向を示した場合を前提としている。政府の意向表明後、国際分担案の大枠合意に向け、来年5月ごろまで各国との政府間協議が行われると見込んでいる。これと並行して研究者間では、政府間協議の補佐を務めたり、建設の最終承認に応え得る十分な設計、残された技術的課題の解決に努めたりする。ILC計画も関係する、ヨーロッパの素粒子物理戦略の議論も進められる。
 大枠合意後は、ILC研究所の組織や運営、経費・人的資源の分担合意に関する本格交渉が始まる。一方研究者側は、主要加速器研究機関による国際研究組織「ILCプレラボ」を立ち上げる。政府間交渉がまとまり、最終的な建設へのゴーサインを出すタイミングは、2022〜2024年ごろになると見通した。
 当初、素粒子物理学者らILC推進派の間では、日本政府の意思表示の期限は「昨年末まで」と想定していた。しかし、文科省から審議依頼を受けていた日本学術会議による同省への所見提出に向けた協議や諸手続きは年末近くまでかかり、政府の「年内表明」は実質困難な情勢になった。
 これを受けILCを推進する研究者側は、都内で開催予定のILC関係の国際会議日程などを踏まえ、新たな期限を「今年3月7日まで」とした。
 学術会議は昨年12月19日に、文科省へ所見を回答。学術的な意義は認める一方で、現状の計画や準備状況では「支持するに至らない」と指摘し、政府に対して慎重な誘致判断を求めている。

[/b]図=日本政府が3月7日までに、前向きな意思表示をした場合の想定スケジュール[b]
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tanko 2019-1-16 16:00
 岩手県はこのほど、各部局から提示された2019年度当初予算の要求額をまとめた。要求額の総額は9377億3900万円で、本年度(2018年度)当初予算額と比べ156億900万円(1.6%)少なかった。厳しい財政状況や震災復興の進展などを反映し、本年度当初水準を若干下回ったが、ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催や働き方改革への対応など、増額や新規要求の事業も散見。限られた財源で、効果的な事業を展開する「選択と集中」を意識していることがうかがえる。県総務部は、政府予算編成の動向や外部環境の変化を踏まえるとともに、事業内容の充実・精査なども行い、県議会2月定例会に提出する予算案の作成作業を進める。
 県は新年度当初予算の編成に当たり、昨年9月、千葉茂樹副知事名で方針を示していた。方針提示と同じタイミングで公表された県の中長期財政見通しによると、社会保障関係費の増加や県債償還が高水準で推移している状況にあり、毎年多額の財源不足が発生。財源対策3基金の残高が減少するなど、今後も厳しい財政状況が続くと見込まれている。
 一方で、人口減少や人手不足など諸課題を意識した対応も求められる。さらに「三陸防災復興プロジェクト2019」のように被災地復興の動きを発信する事業や、国際リニアコライダー(ILC)誘致など地域将来の発展に期待を寄せる取り組みにも、県は力を注ぎたい考え。2019年度は、策定作業中の次期総合計画の実施初年度でもあることから、全ての事務事業をゼロベースで見直しつつ、限られた財源の効果的な活用に努める方針だ。
 ILC推進事業費は1億1510万円(本年度当初比1020万円増)で、誘致実現後の研究者受け入れ環境の整備の具体検討、国内外への情報発信を進める。
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tanko 2019-1-11 16:10
連載《「平成」の時代 節目の30年を振り返る》より

 「平成」は4月で幕を下ろし、5月から新しい元号となる。一つの節目ともいえる新たな時代に何を求め、期待しているのか。世論調査では、一般市民も高校生も「住みよさ」を志向している。住みやすさの定義として高校生は「都市化」を期待している。
 「住んでいる地域は今後がどうあるべきか」に対する高校生の回答(108人)をみると、「安心して暮らせるまち」「治安のいいまち」「落ち着いて暮らせる地域」が多い。その上で「都市化」「人口増による活性化、にぎわい」を挙げている。
 にぎわいづくりのために商業環境の充実・発展を望み、欲しいのは▽若者向けのショップ▽ネットカフェ▽娯楽施設▽若者交流の場――など。こうした回答の裏には、高校生ら若い世代にとって、魅力的な施設が少ないという事情があるといえる。

映画館が欲しい

 注目したいのが、この地に欲しい施設として「映画館」を挙げた高校生が5人いたこと。ネット社会となって映画館が全国的に減っている中、映画や映画館の魅力を見いだしたのだろうか、それとも無いものねだりなのか。興味深い。
 ほかに「ILC(国際リニアコライダー)で地域発展」を望む声や「雇用拡大を」「高齢者対応のショッピングセンターを」などの回答も。
 「クーラー設置など勉強に集中できる環境整備を」も高校生らしい。「交通の便を良くして」「電車の本数を増やして」の要望も数件あり、通学する高校生にとっては切実であり、「住みよさ」の条件といえる。
 交通の利便性を実現するにも、高校生が主張する人口増と都市化、経済活動の活発化が不可欠だ。
 同様の質問に、一般市民は「寛容で穏やかな市民生活」「若者、高齢者の共存」「お年寄りの生きがい」「互いに尊重し協力し合うまち」と回答。これが「住みよさ」の基本。デジタル時代が進むことによって、逆に「住民同士のつながり」を重視する傾向も見受けられる。
 ただし、中高年層から最も多かったのは、「若者を軸に据えたまちづくり」を望む声。「若者が安心して住み続けたいと思う地域」(60代)、「働きやすい、子育てしやすい環境」(50代)、「若い世代が安心して子育てできる社会」(20代)など。価値観が変化しようが、こうした意識は時代の必然のような気もする。

総 括

 新時代を担うのは現在の高校生を含む若者世代。少子高齢社会が進み、ライフスタイルが変化する中で、安心して暮らせる地域社会構築に対する若い力への期待は大きい。
 平成の後にはどんな社会が待ち受けているのか。調査結果が「平成の時代」の清算のすべてではないが、「ポスト平成」時代のの地方のまちづくりの進むべき方向と施策がみえてくるのではなかろうか。
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tanko 2019-1-8 16:00
連載《「平成」の時代 節目の30年を振り返る》より

 「平成の時代」世論調査では一般市民のほかに、地元の高校生108人(2、3年)にも調査用紙に記入してもらった。質問項目は一般市民とほぼ同じ。昭和と平成を生きてきた中高年世代は、両方の時代と比べることができるが、平成の真っただ中に生まれ、次代を担う若き高校生の考えはひと味もふた味も違って興味深い。
 「平成で印象に残る出来事」(複数回答可)で最も多かったのは「東日本大震災など自然災害」が96票、2位は「平成の市町村合併・奥州市の誕生」で16票、3位が「胆沢の3中学校の統合」13票だった。
 圧倒的数字を示した自然災害だが、96票のうち88票が「東日本大震災」(平成23年3月)と記入。他の災害として「岩手・宮城内陸地震」(平成20年6月)の回答も。沿岸部を大津波が襲った東日本大震災発生時、回答した高校生たちは小学3、4年生だった。内陸部でも大きな揺れがあり、そして停電。ライフラインが途絶えた中で相次ぐ余震に恐怖を覚えたに違いない。
 記憶から消せない大震災だが、「被災地の早期復興を」「何とか乗り越えることができた」「絆が強まった」など前向きな意見は、へこたれない高校生らしさを感じるし、これからの時代に向け期待感を抱くことができる。

合併に意見も

 2位は「市町村合併」。高校生たちが合併に関心を向けている。合併をスケールメリットとしてとらえているようだが、男子生徒からは「2市2町1村が一緒になって奥州市が誕生し、胆江地域内のつながりが深まった一方で、地域格差が目立った」との意見も。
 また「合併」の回答としてカウントしなかったが、印象的なこととして奥州市の「区の削除(廃止)」を挙げた回答が7票あったことも興味深い。
 回答した奥州市の高校生たちは、物心ついたころから住所には当たり前に「区」が付いていた。が、昨年4月に地域自治区が廃止され「区」が削除されたことに、ちょっとした違和感を持っているのではなかろうか。
 4位以下は「ILC(国際リニアコライダー)候補地・誘致活動」9票、「大谷翔平選手の活躍(プロ入り、メジャー移籍新人王獲得など)」6票、「少子高齢化、人口減の影響」6票など。
 人口減の影響に関しては、高校の定員割れや統廃合を課題として記している生徒も。高校生の生活にも影響してくるこの地域の問題だけに、少なからず関心を持っていることも調査で分かった。
 このほか「岩手国体」「インターハイ開催」「マラソン大会の統合」など、スポーツ関係の項目が目立つのも高校生らしい。
 「平成を象徴する郷土ゆかりの人物」は、やはり「大谷翔平」が圧倒的で95票。次いで「久慈暁子」(フジテレビアナウンサー)8票、「桑島法子」(声優)2票、「小沢一郎」(政治家)2票となっている。
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tanko 2018-12-25 11:00
 「万国測地学協会も貧乏で、とてもそうたくさんの観測所を置くこともできず、また協会では緯度観測ばかりが仕事ではありませんから、もし金があってもそればかりに使うということは、あまたの異論者が出てくることも無理ならんでしょう」
 1908(明治41)年、緯度観測所の木村栄博士が著した「緯度變化(へんか)に就(つ)いて」の一文である。国際リニアコライダー(ILC)を巡る動きを暗示しているかのようで、思わず身震いした。
 今月19日、日本学術会議はILCについて、現状の計画や準備状況では「支持するに至らない」との所見をまとめた。周辺の反応は「ILC実現は厳しい」と「科学的意義は認められた」の二つに分かれる。後者の考え方はILC推進派側に多く、指摘された課題についても対応していくというコメントもあり、極めて前向きだ。
 では、推進派はなぜ最初からこのような前向き姿勢を示せなかったのだろう。回答案(所見案)が公表された11月中旬、推進派は「意見・説明書」という名の、事実上の反論文書を学術会議に突き付けた。推進派が開いた記者会見の席上では、学術会議の委員らの素質を批判するような発言まで飛び出した。果たして「子どもたちに夢を」と誘致運動を進めている「大人」の対応であろうか。
 学術会議は厳しい表現ながらも、再び「宿題」を丁寧に提示してくれた。実は、同じような役割を果たしているのが、一関市を拠点とした慎重派の市民団体だ。彼らは住民間の感情的な分裂が生じる不安を抱きながらも、勇気を持って懸念要素をまとめ、メリット主張に偏りがちな誘致活動の在り方に一石を投じた。
 学術会議や市民団体の存在を敵対視するか、それとも彼らと向き合い真摯に声を聴いて事を進めるのか。推進派の姿勢が今後一層問われる。これまでの誘致の在り方や体制を早急に再点検する時にある。
(児玉直人)

写真=日本学術会議のILC検討委は計11回開催。公開会議の際は、推進派の研究者や誘致団体関係者が大勢詰め掛けた=11月14日、東京都港区の日本学術会議2階大会議室
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tanko 2018-12-23 13:55
 東北ILC推進協議会の高橋宏明代表(東北経済連合会名誉会長)らは21日、東京都千代田区の自民党本部を訪れ、素粒子実験施設ILC(国際リニアコライダー)の日本誘致に向けた国際協議を日本主導で速やかに開始することなどを求める要望書を、加藤勝信・党総務会長(衆院岡山5区)に提出した。

 訪問したのは高橋代表のほか、同推進協理事を務める達増拓也岩手県知事、村井嘉浩宮城県知事、参与を務める小沢昌記奥州市長、勝部修一関市長ら。ILCの誘致を推進したい研究者側は、ヨーロッパの次期素粒子物理学計画の策定スケジュールとの関係上、いち早く日本政府の前向きな意思表示が必要と強調。要望では、速やかに日本主導で国際協議を開始するよう求めたほか、震災復興や成長戦略、地方創生などの柱にもILCプロジェクトを位置付けるよう訴えた。
 ILCを巡っては、今月19日に日本学術会議(山極寿一会長)が文部科学省からの審議依頼に対する回答を提出。科学的意義は認めながらも、現状で提示されている計画内容や準備状況から判断し、「日本に誘致することを支持するに至らない」として、政府における誘致意思表明に関する判断は「慎重になされるべきだ」との所見をまとめた。
 誘致推進派の関係者は、ILCの科学的意義について認められていることを重視。公式な国際協議の場をまずは設けた上で、学術会議などが指摘する諸課題や国民理解などの対応に努めていく姿勢を示している。
 21日は内閣府や文部科学省にも要望書を提出した。

写真=ILC誘致につながる国際協議の早期開始などを求めた東北ILC推進協の関係者ら(奥州市ILC推進室提供)
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tanko 2018-12-20 11:30
 【東京=児玉直人】 日本学術会議(山極寿一会長)は19日、文部科学省から審議依頼されていた国際リニアコライダー(ILC)見直し計画について、科学的意義は認めながら「現状で提示されている計画内容、準備内容から判断して、日本に誘致することを支持するに至らない」とする回答を同省に提出。政府におけるILC誘致の意思表明について、「判断は慎重になされるべきである」とした。ILC推進派の研究者や国会議連、経済関係者らによる諸団体は同日、相次ぎコメントを発表。科学的意義を認めている点を重視し、指摘された課題への対応も進めながら公式な国際協議の開始や国民理解の形成に努めていくとした。

 同会議は今年7月の審議依頼を受け、ILC見直し計画案に対する検討委員会(委員長・家泰弘日本学術振興会理事、委員10人)を設置し、計11回の会合を開き審議してきた。
 提出された回答内容は、11月14日に示された「回答案」と趣旨に大きな変更点はない。科学的意義を認めながらも▽素粒子物理学分野における諸研究プロジェクトへの人材配置や予算の配分にまで踏み込んだ議論の段階には至っていない▽他の諸学問分野の大型研究計画も含めた広い視野でのILCの位置付けについてはさらに広範の議論が必要▽地域振興や土木工事、放射化物生成の環境への影響について、国民、特に建設候補地の地域住民に対し一層充実した対話が求められる――などの問題点、課題を指摘した。
 推進派研究者から「事実誤認」と指摘があった回答案の「当該分野での理解が得られていない」とする趣旨の表記については、「高エネルギー素粒子物理学のコミュニティーにおいて合意が得られている」と改められた。
 総合所見では「国内誘致について現状では支持できず、政府の意思表明に関する判断は、慎重になされるべきだ」と記した。加えて、実験施設の巨大化を前提とする研究スタイルは「いずれ限界に達する」とし、「ビッグサイエンスの将来の在り方は学術界全体で考えなければならない課題」とまとめた。
 19日、東京都港区の学術会議大会議室で開かれた学術会議第273回幹事会で、家委員長が回答書の内容を説明。目立った異論はなく承認された。
 家委員長はそのまま文科省に出向き、磯谷桂介・研究振興局長に回答書を提出。磯谷局長と非公開の懇談を終えた後、報道陣の取材に応じた家委員長は「巨額予算の問題もさることながら、建設開始から実験終了までの間、現状の日本国内の人的資源だけでは足りず、明白な見通しが得られていないという点、(ILC用の)加速器自体も簡単な装置ではなく検討の余地がまだあるという指摘もあり、現時点でゴーサインを出すには至らないという結論になった」と説明した。
 慎重な見解を示した学術会議側の見解に対し、政治側の判断で誘致に向けた動きが前進した場合について問うと、「そのことに関してはコメントする立場にはない」との考えを示した。
 誘致推進の立場にあるILC国会議連の河村建夫会長、東北ILC推進協議会の高橋宏明代表、素粒子物理学者を中心とする研究者グループは同日、学術会議の回答書提出を受けてのコメントを相次いで表明。このうち河村会長は「誘致実現は政治の使命として進めていくべき課題と捉えている」と強調した。

写真=磯谷桂介・研究振興局長(右)に回答書を手渡す家泰弘委員長(文部科学省研究振興局長室)
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tanko 2018-12-11 11:40
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の北上山地誘致を推進する地元行政と、慎重な姿勢を示す市民団体双方の見解を聴く学習会が9日、水沢佐倉河の奥州市文化会館(Zホール)で開かれた。出席者からは「最初は夢のある話だと思っていたが、リスクを初めて聞いて『本当に大丈夫なのか』と感じた」「県や市のレベルで放射性廃棄物処分場への転用を阻止できるのか」といった声が相次いだ。

 学習会を主催したのは、全日本年金者組合胆江支部(菅章夫執行委員長)。同組合会員にとどまらず、一般市民や一関市の住民なども含め、年配者を中心に50人余りが参加した。
 同支部では当初、ILC計画を推進している素粒子物理学者ら専門家から直接説明を受けることを希望。奥州市ILC推進室、県科学ILC推進室に講師紹介を依頼したが「日程が合わない」との理由で実現できず、奥州市の推進室職員が実施している「出前講座」の範囲内でILCの科学的意義やメリット、直近の情報を説明するスタイルに変更となった。慎重派の見解については、一関市を拠点に活動している市民団体「ILC誘致を考える会」共同代表の原田徹郎氏が述べた。
 奥州市ILC推進室の職員はILCで行われる研究概要などに加え、11月14日に明らかとなった日本学術会議ILC検討委による文部科学省への回答案についても触れた。質疑応答では「海外にも同様の施設があり、KEK(茨城県の高エネルギー加速器研究機構)でも新たな実験が始まろうとしている中、ILCをやる必要性は何なのか」「決定する前にリスクを説明すべきだ」「放射能への対応は」など、リスク面への不安や懸念を示す意見や質問でほぼ占められた。市は学習会を主催した同組合を通じ、文書で回答するとした。
 考える会の原田氏は、学術会議の回答案で指摘されていた項目の多くは、地元住民の間でも心配されていた点だったと評価。「地元住民へ十分なリスク説明をしないで推進しようとする姿勢の在り方が問題。行政や議会、商工団体、一部報道機関も含め誘致推進に動いており、疑問の声を上げにくい雰囲気になっている。科学の発展に貢献するという主張は分からなくもないが、震災被災地での生活再建も終わっておらず、われわれ地域住民が生きる上でやらなければいけないこともたくさんある。懸念要素が多い中、ILCは最優先でやるべき事業ではない」と主張した。
 原田氏と共に活動している自営業菅原佐喜雄氏=一関市千厩町=は、推進派と慎重派が感情的にぶつかり合い、地域を二分にするようなことがあってはならないと強調。その上で「本当は心配だが声を上げないという人は、『賛成している』とカウントされてしまう。ILCを推進する人たちや、KEKの中にもいろいろな立場や考えの人たちがおり、それぞれの話を聞かないと全体像はつかめない」との考えを示していた。

写真=ILC推進、慎重双方の立場の話に耳を傾ける出席者
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tanko 2018-12-9 16:30
 ドイツのヘルムホルツ重イオン研究センターで研究グループリーダーを務めている、斎藤武彦教授(47)=神奈川県出身=は7日、協和学院水沢第一高校(生徒370人、伊藤勝校長)で宇宙や物理など科学に関する特別授業を行った。斎藤教授は科学にとどまらず、さまざまな仕事や活動は今後、国際的に行われる場面がますます増えると指摘。「世界を知ることは、自分自身のためにもなるし、岩手や世界のためにもなる。世界に出て、いろいろと学んでほしい」と呼び掛けた。

 児童・生徒や一般地域住民らを主対象とした斎藤教授の特別科学授業は2012(平成24)年以降、東日本大震災被災県を中心に毎年開催されている。同校での授業は斎藤教授の活動を支援している一般社団法人SAVE IWATE(寺井良夫理事長)と、奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)の協力で実現した。
 普通科の1〜3年から1クラスずつと、調理科1年の生徒計約100人が聴講。斎藤教授は、宇宙の成り立ちやスケール感を分かりやすく解説した。
 宇宙がなぜ誕生したか、なぜ物質が存在するのかを知るために、使用される実験装置が「衝突型加速器」。スイスのジュネーブ近郊で欧州原子核合同研究機構(CERN)が運用する大型ハドロン衝突加速器(LHC)の様子を例に、国際協力の下で科学の研究が行われている点を紹介した。
 LHCと同様に国際協力での運用が計画され、北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」についても触れた。「実現すれば岩手で世界の様子に接しられるようになるが、本当に実現できるかどうかはまだ分からない」としながら、「科学に限らず、これからの時代は世界の人たちと協力して仕事をする場面がもっと出てくる。皆さんはまだ若いので、ILCが来る来ないにかかわらず、どんどん世界を見てほしい。もしILCが来たら、それをうまく活用すればいいと思う。英語をはじめとするさまざまな言語も学んで、世界を引っ張っていけるような人材になってほしい」とエールを送った。

写真=宇宙や物理の研究について解説する斎藤武彦教授

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