人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2015-12-10 16:00
 北上山地への誘致が期待されている素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)に関心を深めてもらおうと、岩手県県南広域振興局(堀江淳局長)は、全国の小学生を対象に「ILC絵画コンクール」を実施する。ILCが実現した場合の様子を想像してもらいながら、思い思いに未来予想図を描いてもらう。締め切りは来年1月22日(必着)。
 ILC普及啓発事業の一環。奥州市や金ケ崎町を含む同振興局管内8市町と各市町教育委員会のほか、宮城県気仙沼市と気仙沼市教育委員会が共催する。
 8市町と気仙沼市の児童は、各小学校で作品を取りまとめた上で、所管する市町教育委員会やILC担当課が同振興局に届ける。それ以外の地域に住む児童は、各自で直接同振興局に送付する。
 低学年と高学年の2区分ごとに、それぞれ最優秀賞などの賞を選考。最優秀賞(1点)には図書カード1万円分が贈られる。
 応募作品は来年3月中に奥州市内と一関市内で全品展示する予定。その後も、ILC関連イベントや各種啓発事業の中で活用する。
 問い合わせは、同振興局経営企画部企画推進課(電話0197-22-2812)へ。
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tanko 2015-11-17 9:20
 ドイツ・マインツ大学教授や岩手大学客員教授を務める斎藤武彦氏(原子核構造物理学専攻、神奈川県出身)はこのほど、水沢区龍ケ馬場の岩手県立胆沢病院(勝又宇一郎院長)で講演。素粒子研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」の北上山地誘致が実現した場合、地域で外国人研究者らが中・長期間滞在することに関連し「日本と海外とでは医療保険制度が異なる。外国人が住みたいと思うようなまちを目指すならば、行政や近隣住民が丁寧な説明を心掛けることが重要な鍵となる」と述べた。(児玉直人)

 「ILCと医療」について一般市民や同病院関係者に理解を深めてもらおうと、同病院と奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)が共催。一般市民や同病院関係者ら約60人が聴講した。
 ILCが北上山地に建設された場合、外国人研究者や技術者が家族と共に中・長期間にわたり滞在することが見込まれている。彼らを受け入れる上で、日常生活に直結するサービスや制度の仕組みをしっかり説明することが重要となる。
 医療保険制度もその一つで、日本と海外とでは患者の自己負担の有無や適用範囲などは大きく異なる。斎藤教授もドイツで生活し始めたころは、現地の医療保険の仕組みが分からず、苦労したという。
 妻子と3人暮らしの斎藤教授は、ドイツの医療保険に加入し、毎月18万円(家族総額)の保険料を支払っている。ただし、歯科や特殊な治療例を除き、治療費は全額保険でカバー。通院時の支払い(自己負担)は生じない。重粒子線がん治療など最先端高度医療などに対しても適用されるという。
 「しっかりとした説明がなければ、外国人は通院すらためらうかもしれない。それは、気持ちの面からみても苦しいこと」と斎藤教授。「日本の医療保険制度を今すぐ変えることは難しい。それ以外で可能なことは、外国人研究者らに丁寧な説明をすること。行政だけでなく、近所の人たちも日本語で構わないから支えるような雰囲気をつくってほしい。そうしたサポート環境の有無も、研究者たちが生活する場を選ぶ上で一つの基準になると思う」と述べた。
 斎藤教授は今月、岩手、宮城、福島の3県で2週間にわたり小学校などを訪問し科学授業を展開。奥州市内では胆沢病院のほか、市少年少女発明クラブの児童や保護者らに対しても科学やILCに関する特別授業を実施した。

写真=「日本と海外の医療保険制度の違いをしっかり説明することが重要」と説く斎藤武彦教授
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tanko 2015-11-8 18:40
 奥州市水沢区羽田町の市立羽田小学校(三田卓郎校長、児童141人)で5日、国際リニアコライダー(ILC)計画に関する出前講座が開かれた。同校はILC候補地の北上山地に近く、新幹線の駅があるなど、ILC実現を見据えたまちづくりを進める上で、重要な役割を果たす地区とも言われている。講師を務めた奥州市ILC推進室の職員らは、無限の可能性を秘めるILCを誘致する意義を伝えた。
 地元周辺に関わりがあるILCについて学ぼうと、同校PTA会員研修会(今野裕記会長)が企画。3〜6年生の児童106人とPTA会員約30人が、同推進室の渡辺浩太郎主事と、ILC国際化推進員アンナ・トマスさん=米オレゴン州出身=の話に耳を傾けた。
 「ILCが実現すると国際化が進み、外国人の友達ができる。外国語を学ぶチャンスになる」とトマスさん。渡辺主事は「誘致が順調に進めば、みんなが�y歳をすぎるころに運用開始となる。水沢江刺駅周辺を中心に発展が進み、スーパーマーケットや映画館などいろいろな施設ができるかもしれない」と期待をふくらませた。
 「ILCは何の役に立つのか」「施設の建設で自然が破壊されないか」などの疑問や不安に対しても丁寧に説明。渡辺主事は「建設費用は莫大だが、経済効果はそれ以上と試算されている。事前調査で自然や地域への影響を最小限にとどめるようにするなど、皆さんと考え一緒に進めることができれば」とまとめた。
 児童会長の6年小野寺駿君(12)は「ILCができる意味や何ができるかなど、分かりやすく教えてもらいよかった」と話していた。

写真=羽田小学校の児童たちにILC計画の意義を伝えるアンナ・トマスさん

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Hada Elementary School (Close to ILC Candidate Site) Learns about ILC

On November 5th, a talk about the ILC was held at Hada Elementary School in Mizusawa, Oshu (Principal Takuro Mita, 141 students). The Hada area is said to have an important role in city planning for the ILC because it contains a bullet train station and is close to the Kitakami mountain ILC candidate site. The two lecturers from Oshu City ILC Promotion Division taught about the importance of attracting the ILC, which holds infinite possibilities.

The event was planned as a Hada Elementary PTA training session to learn about the ILC and its close relationship to the area. 106 3rd through 6th grade students about 30 PTA members listened to the talk by Oshu ILC Promotion Division employees Kotaro Watanabe and Anna Thomas (from Oregon, USA).

“When the ILC is realized, this area will become more international and you can made friends with foreign people, and have the chance to learn foreign languages,” said Thomas. Watanabe fanned expectations for the ILC, saying “If all goes according to plan, the ILC will start its run when you are all in your twenties. The area around Mizusawa-Esashi shinkansen station will develop: maybe facilities like supermarkets and movie theaters will get built.”

The lecturers also carefully explained about questions and doubts like “What good will the ILC do?” and “Won`t building the ILC be destructive to nature?” Watanabe noted that, “While the cost of building is considerable, the calculated economic benefits will surpass that. We`ll keep the effect on nature and the area at a minimum by conducting surveys beforehand: we want to move forward with everyone`s involvement.”

Student body president Shun Onodera (age 12, 6th grader) said “It was good because they taught about why the ILC will be built in a way that was easy to understand.”

Photo = Anna Thomas, who convey the significance of the ILC plan to schoolchildren of Hada elementary school
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tanko 2015-11-6 18:40
 奥州市と金ケ崎町は5日、自民党岩手県連(鈴木俊一会長)と民主党岩手県連(黄川田徹代表)に対し、公立病院の環境整備や国際リニアコライダー(ILC)誘致に向けた取り組みなどを要望した。
 自民、民主の各県連は毎年、県内各市町村に出向き要望事項を聴取している。
 両県連に対する奥州市の要望は▽公立病院の医師、看護師の確保▽ILC実現に向けた取り組み▽スクールソーシャルワーカー配置――など4項目。金ケ崎町は▽国道4号の4車線拡幅整備▽県立胆沢病院の医療体制充実▽千貫石茅場への支援――など6項目。
 奥州市は、江口友之副市長らが市役所本庁を訪れた各県連役員にそれぞれ要望。自民県連の工藤勝子幹事長は「子どもたちが夢と希望を持ち、将来岩手で働ける環境が整うことにも期待したい」と話すなど、ILCの誘致実現に向け、県がリーダーシップを発揮すべきとの考えで同県連側と市当局の意見が一致した。
 民主県連の高橋元代表代行は「胆江地区の公立病院に産婦人科がないのが一番の問題。厳しい医療環境への解決策が見えないことに不安があると思う。努力したい」と述べた。県内で発生した中学生の自殺問題を受け、教育環境を充実させる必要性にも触れた。
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tanko 2015-11-6 18:30
 国際リニアコライダー(ILC)と医療との関係について考えてもらう講演会は、13日午後6時から同7時まで奥州水沢区龍ケ馬場の岩手県立胆沢病院(勝又宇一郎院長)玄関ホールで開かれる。聴講無料で、一般市民の気軽な参加を呼び掛けている。
 同病院と奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)が共催。ドイツのマインツ大学教授や岩手大学客員教授を務め、市内でも数回の講演経験がある斎藤武彦氏を講師に招く。
 聴講の事前申し込みは不要。問い合わせは市水沢地域交流館(アスピア)内の同協会事務局(電話0197−22−6111、月曜休館)へ。
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tanko 2015-11-1 18:30
 岩手県立大(鈴木厚人学長)の地域創造学習プログラムに参加した同大の学生25人によるフィールドワーク(実地調査)が31日、2日間の日程で奥州市内を会場に始まった。市長の講話を聞いたり関係先に出向いたりして、農業の6次産業化や国際リニアコライダー(ILC)誘致をめぐる地元の取り組みなどに理解を深めている。

 同プログラムは、岩手の未来を創造する地域中核人材の育成が目的。学生が自ら企画した1泊2日の行程で実践的な地域づくりを学ぶ。本年度は6月以降、陸前高田や久慈、北上など県内各地で計7回実施しており、震災復興や防災、観光などに関する課題の解決方法を考察。奥州市での開催で本年度の日程を締めくくる。
 今回は「広い視点から奥州市の『今まで』と『これから』を知り、自分なりの考えを持つきっかけにする」をコンセプトに、希望した各学部の1、2年生が参加した。
 初日は、江刺区の岩谷堂地区センターで行われた小沢昌記市長の講話でスタート。小沢市長は「協働のまちづくりについて」と題し、ILC誘致や市が進める地域6次産業化施策に関しても紹介した。
 講話後の質疑で、学生が広域合併後の奥州市全体としての魅力について尋ねたのに対し、小沢市長は「単一ではなく多様化した文化が市の最大の魅力。それを皆が強く認識し、認め合うことをさらに醸成すれば全国に誇れる素晴らしい市になる」と答えた。
 総合政策学部1年の遠藤樹(たつき)さん(20)は「出身地の八幡平市と奥州市の住民性の違いを知ることができれば」。水沢区出身で社会福祉学部2年の千田捺紀(なつき)さん(20)は「フィールドワークを通じ市の良さを再認識し、地元で一生懸命取り組めることを見つけたい」と話していた。
 引き続き学生は2班に分かれ、水沢市街地を踏査。水沢区横町のメイプル地階で市国際交流協会から講師を招いたワークショップも行い、多文化共生社会を確立するためのまちづくりについて考えた。
 11月1日は、市内の農事組合法人や関連企業などから6次産業化の取り組みを聞き取るほか、奥州地区合同庁舎でグループワークも行う。

写真=小沢昌記市長の講話に耳を傾ける県立大生ら
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tanko 2015-10-28 18:20

 北上山地への誘致が期待される素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)をPRしようと、岩手県内の誘致団体による「オリジナル年賀はがき」が、相次いで発売されることになった。本県など候補地に程近い地域を除けば、ILC計画自体がほとんど知られていない状況にある。全国に配られる年賀状を利用して、周知を図ろうとしている。(児玉直人)



 奥州宇宙遊学館=奥州市水沢区星ガ丘町=に事務局を置く、いわてILC加速器科学推進会議(亀卦川富夫代表幹事)は、はがき裏面下段にPR欄を設け、1万枚を水沢区内2カ所で販売する。
 初めての取り組みで、「ILC誘致と声を上げても、そもそも何をやる施設なのか、知らない人は全国にまだまだ多い」と亀卦川代表。PR欄には施設の概要を簡単な言葉にまとめた。背後の写真は、金ケ崎町西根和光の三角点展望台で撮影した北上山地からの日の出で、胆江日日新聞社が提供した。
 一方、県ILC推進会議(谷村邦久会長)も昨年度に続き、PR年賀はがきを2万8000枚販売する。
 県印刷工業組合と盛岡広域振興局、盛岡中央郵便局の協力を受け企画。料額印面部分(切手の位置)の下にILCのロゴを配置。「お年玉抽選番号」の中央部分には、県のイメージキャラクター「わんこきょうだい」とILCの加速器トンネルのイラストを描いた。
 研究者や候補地の地元、文部科学省の担当レベルでは誘致に向けた協議、市民に対する広報普及活動が盛んに行われているが、全国的な認知度は決して高くない。国内初の国際研究機関となり得る壮大なプロジェクトでありながら、国民に十分知れ渡っていないのが現状だ。
 それぞれのはがきの購入方法など、詳細は次の通り。
 【いわてILC推進会議版】 ▽購入方法…奥州宇宙遊学館(奥州市水沢区星ガ丘町、電話0197−24−2020)または、奥州市まちなか交流館(同区横町、電話0197−25−3001)で▽価格…1枚52円▽その他…なくなり次第終了。インクジェット紙ではなく普通はがきと同じ
 【県ILC推進協版】 ▽購入方法…県印刷工業組合(電話019・641・4483)か、同組合加盟印刷会社に問い合わせる▽価格…1枚52円▽その他…なくなり次第終了。インクジェット紙ではなく普通はがきと同じ

写真(上)=いわてILC推進会議の年賀はがき
写真(下)=県ILC推進協の年賀はがき
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tanko 2015-10-18 13:10
 「先端加速器科学技術推進シンポジウム2015in東北」(いわてILC加速器科学推進会議など主催)は17日、水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)で開かれた。北上山地への誘致が期待される国際リニアコライダー(ILC)の意義や、建設実現によってもたらされる効果について3人の有識者が講演。誘致関係者に加え、将来を担う中高生も多く聴講した。(児玉直人)


 約800人が聴講。次世代を担う世代にもILC計画の意義を知ってもらおうと、胆江地区を中心とした中学、高校生にも参加を呼び掛けたこともあり、一般市民に交じり若い世代の姿も目立った。小沢昌記市長をはじめ、戸田公明大船渡市長、青木幸保平泉町長らも駆け付けた。
 同区の認定こども園日高ななつ星・日高さくら木による「いわて国体ダンス」が披露され、和やかに開幕。園児たちの「みんなの希望ILC!」と元気のいいメッセージに、会場は大きな拍手に包まれた。
 講師として迎えられたのは▽山内正則氏(高エネルギー加速器研究機構長)▽山下了氏(先端加速器科学技術推進協議会大型プロジェクト研究部会長、東京大学准教授)▽増田寛也氏(日本創成会議座長、前岩手県知事)――の3氏。
 山内機構長は、素粒子物理学の基本的な話から研究者が解明しようとしている宇宙にまつわる「謎」について解説。山下氏はILCの構造や計画の推進状況を紹介した。
 前知事の増田氏は「もしILCが立地した場合、海外研究者の住環境をどう考えるかとなるが、失敗例が研究学園都市として整備されたつくば市だ。特別に何か身構えてしまう必要はない。地域と交流するという発想がなく、専用住宅を造るようなことをしてしまった」などと指摘。「空き家を少し手直しするなど、今あるものを活用し、地域に彼らを溶け込ませるような考えで進めたほうがいい。研究者に日本語を教えるようなボランティアがいてもいい。お互いの橋渡し役にもなる」と提唱した。
 聴講した県立水沢高校1年の菅原志保さん(16)は「(素粒子の話は)少し難しかった。ILC実現で外国人がたくさん居住すると聞き、自分も英語を覚えなくてはいけないと思っていただけに、増田さんが『身構える必要はない』と言ってくださったのは新鮮だった」。県立前沢高校1年の鈴木脩矢君(16)は「宇宙の話とかに興味があった。可能ならILCで働いてみたい」と話していた。
写真=(左から)増田氏、山下氏、山内氏


【宇宙の大きな謎とILC=山内正則氏(KEK機構長)】
 宇宙は素粒子でできているとはいうものの、それは宇宙全体の4%にすぎない。残り馥%は人類の知らないものだ。宇宙のことはほとんど知らない。�|%を暗黒物質や暗黒エネルギーが占める。これらの全体像を明らかにしようというのが素粒子物理学の大きな役目だ。
 宇宙の謎を解くため、日本にはいくつかの研究計画がある。茨城県東海村のJパークや、同県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)にあるBファクトリーという装置を使った研究だ。
 そのほかに、海外ではスイス・ジュネーブの欧州原子核研究機構(CERN)のLHCという装置を使った実験をしている。最終的には日本にILCを誘致したいと考えている。
 科学の流れにとって重要なのは経験の積み重ね。宇宙の大きな謎を発見していきたいと思う。
 ILCを実現するため、KEKではナノビームという小さなビームを作るための施設を造り、練習している。また、長い直線加速器が必要なのでその研究も進めている。
 サイエンスと技術を高め、結集してILCにつなげていきたい。

【日本初の国際研究所を=山下了氏(東京大准教授)】
 ILCの特徴は世界の研究所という点。日本だけで造れるものではない。人も予算も各国が持ち寄る。今、日本には国際研究所がないので、非常にいいチャレンジになる。
 既にILCの研究所が目指すもの、建設場所、製造技術がそろっている。政府内での検討もスタートし、一部では海外の政府間との議論も始まっている。
 建設時は、今ある環境を十分に生かして造らないといけない。そこへ国際的都市として必要な要素を付け加える形だ。
 ユーロ誕生前の紙幣を見ると、フランスフランはキュリー夫妻、ドイツマルクは数学者のガウスだった。ヨーロッパでは文化の中に科学や数学が根付いていた。そのような雰囲気が息づく地域を日本の中につくれると本当に素晴らしい。
 ILCを誘致するというこの機会を使い、日本全体で教育、技術、科学、文化・ブランドなどを考えてもらいたい。
 単にILCの建設計画を作るだけではいけない。ILCをいかに地域や日本全体のために生かしていくのか、皆さんと一緒に考えていきいたい。

【決して身構える必要ない=増田寛也氏(日本創成会議座長)】
 今地方創生が言われているのは、人口が地域を維持できないくらい減っているからだ。これを何とか変えていきたいという狙いがある。「経済を良くする」ということだけでは不十分。次世代、次々世代までを見据えて、この地域で安心して生活し、希望があるならば結婚し子どもを産み育て、学べる地域にしていくことまで考えなければいけない。これまでの「地域振興」とは違う。
 今日は多くの高校生がいらっしゃっているが、自らの夢や希望をかなえられる地域を見通さないといけない。
 ところが、全国で出来上がろうとしている地方創生の総合戦略を見ると、どれもアイデア不足だ。
 一方で、この地域はILCという可能性を持っている。多国籍の研究者が家族を含め多い時で1000人が地域に溶け込む。その効果は絶大で、このような可能性があるのはこの地域だけだ。
 政府を含め、着々と準備が進んでいるので、研究者の居住環境などを含め、どんな準備が必要か考えてもらいたい。だが、決して身構える必要はない。今ある資源や環境を活用してほしい。
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tanko 2015-10-16 9:20
 国際リニアコライダー(ILC)計画を推進している高エネルギー加速器研究機構(山内正則機構長、茨城県つくば市、KEK)はこのほど、米国エネルギー省(DOE)と、「高エネルギー物理学分野における研究協力に関する事業取決」を締結。北上山地が有力候補地となっているILCを含む次世代加速器や検出器などの研究・開発をめぐり、日米間のさらなる協力を推進する。
 同取決の締結は、東京都港区の駐日米国大使公邸で行われた。KEKの山内機構長と来日中のDOE高エネルギー物理学部長ジム・シーグリスト氏が同取決に署名。文部科学省の下村博文大臣(当時)、キャロライン・ケネディ駐日米国大使も立ち会った。
 KEKによると、同取決はDOEと文科省の間で結ばれている「エネルギーおよび関連分野の研究開発における日米協力に関する実施取極」(2013年4月13日締結)に基づくもの。素粒子物理学分野の研究に欠かせない次世代加速器や検出器の開発をめぐる日米の協力を推し進める狙いがある。
 具体的には高エネルギー物理実験やビーム技術、粒子測定器開発、実験用データ処理に関する両国間の技術協力などを進める。KEKは「高エネ研究分野全体における協力のための締結で、ILC関連のみを推進するものではなく包括的な協定だ」と強調。ただ、ILCを推進する関係研究者らは「ILCにとって(今回の協定が)良いものであることは明らか」と歓迎。国際協力体制の形成進展に期待を寄せた。
 KEKのホームページには、署名式でケネディ大使が「高エネルギー物理学における日米両国の協力が長年続けられてきたことを喜ばしく思う。科学技術分野における日米両国の連携は非常に重要。ぜひ将来の世代へと伝えていきたい」とあいさつしたことが紹介されている。

山内機構長ら3氏(17日、水沢でシンポ)
 いわてILC加速器科学推進会議(亀卦川富夫代表幹事)などが主催する「先端加速器科学技術推進シンポジウム2015in東北」は、17日午後1時半から奥州市水沢区佐倉河の奥州市文化会館(Zホール)で開かれる。市民や次世代を担う中高生らにILC計画の意義を伝える。
 「ILCによってもたらせるもの」と銘打ち、KEKの山内正則機構長、東京大学の山下了准教授、日本創成会議座長の増田寛也前岩手県知事の3氏が話題を展開する。入場は無料。
写真=シンポジウムのポスター
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tanko 2015-10-8 18:50
 地域の魅力を知り尽くした運転手がおもてなし――。来年の希望郷いわて国体・いわて大会や国際リニアコライダー(ILC)誘致を見据え、「奥州・金ケ崎観光ガイドタクシー乗務員」の24人が誕生した。タクシー業界がスクラムを組んだ地域観光の振興策として期待される。
(千葉伸一郎)


 本県では初の試みで、同観光ガイドタクシー運営委員会(委員長・小野幸宣県タクシー協会胆江支部長)が認定書を交付。同支部加盟の6社24人が1期生となった。
 認定乗務員は、6月からの養成研修の全課程修了者。接遇研修や、高齢者・障害者の介助向上のためのユニバーサルドライバー研修を修了し、地元の歴史を学ぶ「奥州おもしろ学」講座と初級以上の試験をパス。地理研修も受けた。無事故無違反3年以上などの基準も設けられた。
 認定証書の交付式が7日、水沢区羽田町の市鋳物技術交流センターで行われた。運営委の小野委員長は「乗務員としてレベルアップした形で国体を迎えられる。この取り組みを機にお客さまに喜んでいただき、業界の発展と社会貢献につながることを願う」とあいさつ。伊藤博幸副委員長(NPO法人奥州おもしろ学理事長)が一人一人に認定証書を授与した。認定は3年間有効で更新があり、次年度以降も新たな乗務員を養成する。
 認定乗務員を代表し、(株)北都交通の渡辺和村さん(57)が「学び得た知識、おもてなしの心を大切にし、切磋琢磨しながら郷土愛を忘れず、親近感に満ちあふれる奥州・金ケ崎ガイドタクシーとなるよう精進する」と誓った。
 「奥州・金ケ崎観光ガイドタクシー乗務員」の愛称を募集している。詳しくは同支部(電話0197-23-3714)へ。

写真=郷土愛を携え、観光客を迎える「奥州・金ケ崎観光ガイドタクシー乗務員」

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