人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2017-5-13 10:00
 東北ILC準備室(室長・鈴木厚人県立大学長)と、いわて加速器関連産業研究会(会長・藤代博之岩手大理工学部教授)が主催する本年度第1回「ILC技術セミナー」は、24日午後1時半から奥州市水沢区佐倉河の奥州市文化会館(Zホール)で開かれる。加速器空洞の電解研磨や組み立て場所となるクリーンルームなど、加速器装置を支える周辺設備とその技術を中心に解説する。加速器関連産業やILCに関係したものづくりに興味のある企業関係者らを対象に参加を呼び掛けている。聴講無料だが、終了後の交流会は会費制(4500円)となる。

 素粒子研究施設ILC(国際リニアコライダー)誘致を見据え、地元企業の加速器関連産業参入を促進する目的で昨年度に引き続き開催する。盛岡市や一関市、北上市を会場に実施していたが、奥州市では今回が初めて。
 当日はILCに関する基本情報について、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の早野仁司教授が紹介。続いて、KEK特別技術専門職の沢辺元明氏が加速器空洞内の電解研磨技術、KEKの阪井寛志准教授がクリーンルーム技術についてそれぞれ講演する。
 ILCの心臓部とも言える加速器空洞は、ほぼ光の速さの状態で電子や陽電子の粒子が加速する蛇腹状の筒。ニオブと呼ばれる希少金属を使い、超電導状態にして粒子を加速させるが、内部にわずかな突起やほこりがあると実験に支障を来す。電解液を用いて微細な突起を取り除く電解研磨のほか、「クリーンルーム」で加速器を組み立てることで、内部にほこりが入るのを防いでいる。
 加速器本体や衝突現象を捉える検出器など、メーンとなる装置に注目が集まりがちだが、加速器の運転や建設、メンテナンスにも多様な技術が必要。地元企業がそれぞれに得意とする分野をILCに注ぎ込む狙いもあることから、これまでセミナーやILC関係の講演などに参加したことがなかった企業も含め、多くの聴講を呼び掛けている。
 定員は100人。申し込み、問い合わせは19日までに公益財団法人いわて産業振興センターものづくり振興部(電話019・631・3825、電子メール
kenkyu@joho-iwate.or.jp
)へ。

資料写真=クリーンルーム内で行われるILC加速器空洞の組み立て作業(茨城県つくば市のKEK)
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tanko 2017-5-13 9:50
 奥州市内小学生を対象にした素粒子研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」の本年度出前授業が12日、奥州市江刺区の市立大田代小学校(高橋正好校長、児童16人)を皮切りに始まった。児童たちは、身近な地域が候補地になっている国際的ビッグプロジェクトに触れながら、ILC誘致実現後の地域の姿や自分たちの将来について想像をめぐらせた。

 奥州市ILC推進室が2015(平成27)年度から取り組む事業。希望のあった小学校に職員が出向き、ILC実現後の地域社会の一翼を担う子どもたちに、計画の目的や研究内容、実現後の地域イメージなどを伝えている。これまでに1097人の小学生が受講しており、本年度は同校を含め12校の5、6年生584人が受講を予定する。
 同日は、同推進室の渡辺浩太郎主任と後藤舞主任が訪問。5、6年生6人が授業を受け、県が制作した子ども向け解説動画やクイズなどを通し、楽しみながらILCの概要をつかんだ。
 「研究が始まるころには、今の大谷翔平選手ぐらいの年齢になっている」と説明を受け、ILC実現後の将来を身近にした児童たち。6年の熊谷流星君(11)は「パソコンが得意。ILCができた時、プログラミングなどの仕事に就いてみたい」。阿部美結羽さん(12)は「つくる系が好き。建物の設計をしていると思う」と目を輝かせ、「ILCができると岩手にたくさんの人が来ることが印象に残った」と話していた。
 高橋校長は「身近な地域が持っている良さを感じ、自分たちが将来関わっていくイメージを描くことができれば」と願っていた。

写真=クイズなどを楽しみながら、ILCについて理解を深めた大田代小の児童たち
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tanko 2017-5-13 9:50
 ILCの有力候補地である北上山地周辺地域の産業や生活環境を把握しようと、ドイツの高エネルギー加速器・物理学研究所「ドイツ電子シンクロトロン(DESY)」から2人の研究者が12日、金ケ崎町や北上市の企業を訪問した。
 本県を訪れたのは、クラウス・ジンラム博士とトーマス・ショーナーサデニウス博士の2人。クラウス博士はILCで行う電子、陽電子の衝突現象を捉える大型検出器「ILD」の設計に、トーマス博士は欧州合同原子核研究機構(CERN)での実験にそれぞれ携わっている。
 一行は盛岡市の県工業技術センターに集合後、北上市村崎野の東北精密などを視察。金ケ崎町内については、訪問先名も含め非公表扱いとなった。夕方には盛岡市内のホテルで生活環境の整備も含めた意見交換会に臨んだ。
 県科学ILC推進室によると、今回の訪問は北上山地周辺の加速器関連企業などを視察し、地域の産業や技術の状況を把握するのが狙いという。
 意見交換会は、外国人研究者の受け入れ環境の整備など、日常生活に関わる部分についても取り上げた。県のほか、建設想定エリアに該当する奥州市や一関市の担当者らも出席し、研究者側のニーズ把握に努めた。
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tanko 2017-5-10 14:47
ネックは「PB黒字化目標」

 経済評論家の三橋貴明氏(47)は8日夜、水沢青年会議所(阿部由起男理事長)の創立��周年記念講演会で、北上山地への誘致が期待される素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」について、日本のデフレ経済脱却の起爆剤になると主張した。その上で、ILC実現のネックになっているのが、国の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)黒字化目標だと指摘。「財務省はPB目標を盾に、ILC計画をつぶそうとしている。これを破棄させるには、皆さんが声を上げて国会議員を動かさなければいけない」と主張した。

 会場となった水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)には、市民ら約450人が集まった。三橋氏は経済の入門知識を説明しながら、デフレ状態が長引く日本経済の現状を解説した。
 「バブル崩壊を機に、人々は夢や希望を失い、将来への投資をせず、目先のことしか考えなくなった。とはいえ、民間や家庭に投資しろと言っても現実的には難しいので、本来であれば政府が公共投資をしてデフレから脱却しなくてはいけない。だが、実際には何もしないどころか、むしろ削ってしまっている」と指摘。ILCの実現は、デフレ脱却に必要な有効需要を創出する上で格好の事業であることを強調した。
 デフレ脱却以上に重要な効果が、技術力の向上。「ILCを造ることは決して容易ではないが、困難を解決することで技術力は高まる。ILC建設によってこの地域は『知の中心』となる。もちろん、新しいまちが生まれ、雇用創出やインフラ整備も進む。このような事業をやらない手はない」と主張した。
 さらに三橋氏は、ILC日本誘致の前に立ちはだかる問題として国のPB黒字化目標を批判。「何らかの大きな事業をするときには、支出に見合う税収でイコールにしろという考え方だ。東日本大震災の復興のために創設された復興税がいい例。ILCも同様で、もし誘致するなら他の何らかの予算枠を減らすか『ILC税』のようなものをつくるという理論になる。PB目標を破棄できれば、ILC実現の可能性は大いに高まる」と述べた。「PB目標を破棄させるには、皆さんがしっかり知識武装して、政治の側にどんどん声を上げていくことが大切だ」と呼び掛けた。

写真=デフレ脱却や日本の技術力向上のためにILC計画は意義があると訴えた三橋貴明氏
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tanko 2017-5-5 14:30
 胆江地区の高校卒業者や同地区出身・在住者らの進学を支援している奥州市水沢区佐倉河の公益財団法小林奨学育英会(小林正典理事長)は今年、設立から30年の節目を迎えた。本年度は8人を奨学生に認定。同区内のホテルで4日、認定証を交付した。関係者は、高い志を持って夢への一歩を歩み始めたばかりの学生たちに、エールを送った。
(児玉直人)

 同育英会は、旧水沢商工会議所の会頭などを歴任した故小林隆夫氏が創設。自身の経験などから「向学心がありながら経済的理由で進学を諦めようとしている青少年を何とか手助けしたい」と1987(昭和62)年、還暦を迎えた記念に私財を投じて財団法人を立ち上げた。現在は隆夫氏の長男、正典氏が理事長を務めている。
 各種奨学金制度を運用する団体などでは昨今、貸与した奨学金の返済が滞るといった問題に直面。経済・雇用に関する社会情勢の影響のほか、奨学金制度に対する認識の在り方などが背景にあるとみられる。同育英会も例外ではなく、理事会などで議論を重ね2012(平成24)年度、貸与方式から、返済義務不要の給付方式に転換している。
 同育英会が創設時から認定した奨学生は、本年度も含めて214人。定時制高校からの進学や、5年制の高等専門学校から大学に編入したという例もあり、多様な「学び」のスタイルを支えてきた。奨学金を受け無事に卒業した学生や保護者からは、「親の負担やバイト時間を気にせず、勉学に専念することができた」「地域のために貢献することで給付の恩返しができれば」などといった手紙が寄せられている。
 本年度は過去最高の44人の申し込みがあった。成績や人間性、将来目標の設定などを基準に8人の奨学生を選定した。
 認定証交付式で小林理事長は「大学に入るのは『目的』ではなく、将来の目標や目的を達成するための『手段』に過ぎない。目的と手段を混同しないでほしい。私たちは皆さんが素晴らしい社会人になることに期待をしており、しっかり支援すると約束する。さまざまな人と出会い学び、世の中に貢献できる人になってほしい」と激励。一人一人に認定証を手渡した。
 県立水沢農業高校を卒業し、帯広畜産大学畜産学部に通い始めた小野寺梨紗さん(18)は「農業高校の教員を目指しており、地域農業の発展に貢献したい」。県立杜陵高校奥州校から県立大学ソフトウェア情報学部に進んだ佐藤蒼柊さん(18)は「東日本大震災を経験したので、災害に強い通信ネットワークを作り上げたい。国際リニアコライダー(ILC)にもソフトウェアの面で、何らかの形でかかわることができたら」と夢を描いていた。

写真=小林正典理事長(左)から認定証を交付される奨学生
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tanko 2017-4-29 14:40
 東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は、東北ILC推進協議会総会後に講演し、ILCの建設コストに対し「今までは1兆円と言われていたが、昨年12月に打ち出された削減案で実施すれば建設費は当初の半分。日本の負担額はさらにその半分になるのでニ千数百億程度となる」との見解を示した(※)。
 ILC誘致をめぐる最新動向を伝えた山下特任教授。ILCを実現する上で、ネックとされていた巨額な建設費について、研究者らは昨年12月、盛岡市で開かれたILC関連の国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」の中で、当初計画より約10km短い直線距離20kmで建設する新方針を打ち出したことを紹介した。
 山下特任教授は「過去の大型事業を例に『費用は計画の3倍は膨れ上がる』と言われているが、加速器施設に関してはそれはない」と断言。施設を徐々に拡張していくため、研究の進展は段階的にはなってしまうが、誘致実現の可能性は格段に上がると強調した。

※補足説明…直線加速器は、実験の進展状況などに応じ、段階的に本来目指す加速器トンネルの長さに拡張するのが容易。最初の投資額を低く抑えられるメリットがあることから、研究者サイドは、徐々に拡張していくこの方針を打ち出していた。
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tanko 2017-4-29 14:30
 素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)の北上山地誘致を進めている東北ILC推進協議会(代表・里見進東北大学総長、高橋宏明東北経済連合会名誉会長)は本年度、ILCを核とした国際研究都市の形成や東北全体の創生を図るため、1次産業や3次産業などの分野を対象とした育成・連携事業に取り組む。本年度中とも言われている日本政府の誘致判断が迫る中、新たな地方創生モデルの提示を目指す。
(児玉直人)

 本年度の事業方針は、28日に仙台市内のホテルで開かれた同協議会総会で示された。総会に先立ち里見代表は、「本年度は誘致を決める重要な年。これまでの加速器関連産業の育成活動に加え、国際的なまちづくりを一層検討していくため衣食住の国際化を進めていきたい」とあいさつ。政府の誘致判断に向けた動きが正念場を迎えることにも触れ、「ILC推進の司令塔である協議会の役割を果たしていきたい」と述べた。
 本年度事業の柱の一つである1次産業や3次産業も加えた地場産業の育成は、ILCを核とした国際研究都市を構築する上では必要不可欠な取り組み。同推進協をはじめとするILC関連の誘致団体では、加速器本体やそれらを支える関連機器、土木・建設技術などを中心としたセミナーや企業交流会が多く行われており、団体加盟企業も2次産業に分類される業種が目立っていた。いわゆる「加速器関連産業」の育成と連携に力を注いできた。
 しかし、研究者やその家族、見学者などの受け入れ態勢を整える上では、地域の1次産業や3次産業、さらには地域の活動団体などの協力や育成も不可欠。ILC誘致によってもたらされる波及効果は、研究や技術開発面のみならず、日常生活に身近な食産業やまちづくりなど多岐に及ぶため、産業全体や町内会、商店街といった地域レベルの団体などの協力と国際化に向けた育成が必要となる。
 育成事業は、同推進協事務局を務める東北経済連合会(東経連)が設置する民間支援組織「東経連ビジネスセンター」と連携し、観光や食などに関する産業の育成を推進。多くの人材が定着、交流できるようなまちづくりの検討も進め、新たな地方創生モデルの提示を目指す。
 総会では、関係自治体や団体の代表者による決意表明も行われ、本県の達増拓也知事は「いよいよ正念場。やるべきことをしっかりやり、全国の皆さんにもILCの意義を理解してもらえるよう頑張りたい」。奥州市の小沢昌記市長も「決断を待つばかりではなく、皆さんで何ができるかを考え、大きなうねりを起こしていこう」と呼び掛けた。

写真=本年度事業などを決めた東北ILC推進協議会の総会
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tanko 2017-4-28 20:00
 “音楽の都”として知られるオーストリアの首都、ウィーンを拠点に活動する5人の管楽器奏者が27日、金ケ崎町立金ケ崎中学校(遠藤宗俊校長、児童452人)を訪問。世界の音楽ファンをうならせる最高の響きを生徒や地域住民らの前で披露した。
 同校を訪れたのは、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団のヘルベルト・マデルターナーさん(オーボエ)、ペーター・ロイットナーさん(クラリネット)、ヤン・ヤンコヴィッチさん(ホルン)と、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のマティアス・シュルツさん(フルート)、ウィーン交響楽団のリヒャルト・ガラーさん(ファゴット)。
 5人は、トヨタ自動車が実施している社会貢献活動事業「トヨタ・マスター・プレイヤーズ ウィーン」に参加するため来日。同事業のためだけに、ウィーンの名門オーケストラに所属する演奏家30人で編成された室内管弦楽団で、今月15日の大阪を皮切りに26日の仙台公演まで国内各地で演奏活動を繰り広げた。
 公演の合間を縫って、学校などへの訪問演奏も実施。金ケ崎中は、トヨタ自動車東日本岩手工場が近くにある縁もあって実現した。
 全校生徒や地域住民らが集まる体育館に姿を見せた5人は、息の合ったアンサンブルを披露。フルート奏者のシュルツさんが、曲の説明をしたり楽器の紹介をしたりして楽しませた。
 演奏のお礼に、同校応援団が和太鼓のパフォーマンス。質問コーナーでは、吹奏楽部の生徒たちを中心に「演奏会に臨むときに心掛けていることは」「どうしたら緊張しないで演奏できるか」などと尋ねた。シュルツさんは「練習をたっぷりすること。そして音楽をすることを喜び、そのことに感動することが大切だ」とアドバイスした。

写真=息の合ったアンサンブルを披露する5人の管楽器奏者たち
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tanko 2017-4-24 19:30
 金ケ崎町を訪問中の姉妹都市ドイツのライネフェルデ・ヴォアビス市訪問団は23日、森山総合公園や金ケ崎要害歴史館など、町内施設を視察。要害歴史館では、一昨年行われた新町誕生60周年記念行事で、ゲルト・ラインハルト前市長が植樹した桜を鑑賞し、桜の成長に重ねて両市町友好交流の発展を願った。訪問団は24日朝に同町を出発し、25日に離日する。

 訪問団は、マルコ・グロサ市長とゲルト・ラインハルト前市長、市長秘書のビルギット・メーレケ氏、市経理担当のハイケ・ゲンツェル氏、同市スポーツ余暇公社のアンドレアス・エベルト代表、ノインシュプリゲ醸造所のベルント・エーブレヒト代表の6人。
 一行は、19日に来日。都内で同町との交流の端緒を開いた伊藤邦明東北大名誉教授らとの懇談機会を設けた後、21日に金ケ崎入りした。初日は町と町議会主催の歓迎式が町役場議場で行われたほか、「町民お花見会」に参加。22日は盛岡市内のビール醸造所を見学し、北上市の展勝地で花見を楽しんだ。
 視察最終日の23日は、社会人硬式野球の「第53回JABA県知事旗争奪春季大会」が行われている森山総合公園の野球場など、スポーツ施設を視察。芝やプールの水質管理などに関心を示したという。
 金ケ崎要害歴史館では、同町の歴史に理解を深めた。同館の庭には一昨年10月に同市と中国・長春市、米国アマースト町の訪問団がそれぞれ植えた桜がある。新町誕生60周年記念式典に合わせて行われた交流事業計画締結式の際に植栽したもので、ラインハルト前市長が植えた荘川桜(アズマヒガンザクラ)が、今回の訪問団来町に合わせるように植樹から初めての花を咲かせている。
 1.7mほどに成長した桜を前に、ラインハルト前市長は「姉妹都市関係にも花が咲いていると感じられ、非常にうれしい」と笑顔。ともに植樹した長春、アマーストの両市町と2001年に、金ケ崎で開かれた4極サミットに参加した思い出を振り返り、「金ケ崎町との姉妹都市交流を通して、他の都市との交流に広がっていくことを期待する」と述べた。
 同町や県内の視察を通してグロサ市長は「どこに行っても非常にきれいで、自分たちの街にも取り入れられないかと考えている」と印象を語り、「今後は、姉妹都市関係が市民に分かるような形を検討したい」という。今訪問団には民間からも参加しており、「秋にドイツに来る金ケ崎町の訪問団には、ぜひさまざまな分野の人に参加してもらいたい。実際に私たちの市を見てもらい、経済交流も含めどのような交流ができるか考えていきたい」と希望した。

写真=ライネフェルデ・ヴォアビス市訪問団を歓迎するように咲いた桜
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tanko 2017-4-24 19:20
 岩手県とその周辺に住むフィリピン人の生活向上や抱えている悩みなどを聞く会合が23日、奥州市水沢区吉小路の市水沢地域交流館(アスピア)で開かれた。会合を主催したのは、同国のドゥテルテ大統領の政策などに基づいたフィリピン人の支援活動を展開する団体「キルサング・パグババゴ(改革運動)」。現地フィリピン人だけでなく、海外に住むフィリピン人にも政府の取り組みを周知するとともに、生活支援に役立つ情報や講座を展開している。同日は、同居家族の世話や就労面でも役立つ介護に関する講座なども行われた。

 麻薬撲滅などの政策や就任前後の過激な発言が世界の注目を集めたドゥテルテ大統領。キルサング・パグババゴは、麻薬など薬物の使用や犯罪の根絶、腐敗政治の払拭、貧困緩和などドゥテルテ政権が推進する政策に関係した情報提供や、さまざまな講習会を開催している。その取り組みは自国内にとどまらず、日本など海外に暮らすフィリピン人も対象としている。
 埼玉県熊谷市に暮らすジョージ・アスティリアさん(59)は、東日本エリアでの活動を担当。政府側の情報を提供したり、日本で暮らす上で制度的に困っていることはないかなど、会合を通じて聞き取り、母国政府側へフィードバックしている。
 アスピアでの会合は、水沢区姉体町に住む及川アイリーンさん(41)らが中心となり、県内や宮城県気仙沼市に住むフィリピン人に参加を呼び掛けた。約40人が集まった。
 この日は、情報提供や意見交換のほか、介護に関係した講習も実施した。
 地方で生活するフィリピン人女性の多くは、夫の両親らと同居する例が多く、在宅介護の必要性も出てくる。また、収入確保のための就職先としても介護関係は注目されており、介護に対するフィリピン人女性たちの関心は高い。会合では、介護士資格を持つフィリピン人女性が、介護の基本知識や介助の仕方を実演。参加者は真剣な表情で聞き入っていた。
 会合の様子は、フィリピンの国営放送PTVも取材。後日、現地で放送するという。

写真=介護に関する基礎知識を学ぶ地域在住のフィリピン人女性たち

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