人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

青少年の向学心支え30年(水沢・小林奨学育英会)

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tanko 2017-5-5 14:30
 胆江地区の高校卒業者や同地区出身・在住者らの進学を支援している奥州市水沢区佐倉河の公益財団法小林奨学育英会(小林正典理事長)は今年、設立から30年の節目を迎えた。本年度は8人を奨学生に認定。同区内のホテルで4日、認定証を交付した。関係者は、高い志を持って夢への一歩を歩み始めたばかりの学生たちに、エールを送った。
(児玉直人)

 同育英会は、旧水沢商工会議所の会頭などを歴任した故小林隆夫氏が創設。自身の経験などから「向学心がありながら経済的理由で進学を諦めようとしている青少年を何とか手助けしたい」と1987(昭和62)年、還暦を迎えた記念に私財を投じて財団法人を立ち上げた。現在は隆夫氏の長男、正典氏が理事長を務めている。
 各種奨学金制度を運用する団体などでは昨今、貸与した奨学金の返済が滞るといった問題に直面。経済・雇用に関する社会情勢の影響のほか、奨学金制度に対する認識の在り方などが背景にあるとみられる。同育英会も例外ではなく、理事会などで議論を重ね2012(平成24)年度、貸与方式から、返済義務不要の給付方式に転換している。
 同育英会が創設時から認定した奨学生は、本年度も含めて214人。定時制高校からの進学や、5年制の高等専門学校から大学に編入したという例もあり、多様な「学び」のスタイルを支えてきた。奨学金を受け無事に卒業した学生や保護者からは、「親の負担やバイト時間を気にせず、勉学に専念することができた」「地域のために貢献することで給付の恩返しができれば」などといった手紙が寄せられている。
 本年度は過去最高の44人の申し込みがあった。成績や人間性、将来目標の設定などを基準に8人の奨学生を選定した。
 認定証交付式で小林理事長は「大学に入るのは『目的』ではなく、将来の目標や目的を達成するための『手段』に過ぎない。目的と手段を混同しないでほしい。私たちは皆さんが素晴らしい社会人になることに期待をしており、しっかり支援すると約束する。さまざまな人と出会い学び、世の中に貢献できる人になってほしい」と激励。一人一人に認定証を手渡した。
 県立水沢農業高校を卒業し、帯広畜産大学畜産学部に通い始めた小野寺梨紗さん(18)は「農業高校の教員を目指しており、地域農業の発展に貢献したい」。県立杜陵高校奥州校から県立大学ソフトウェア情報学部に進んだ佐藤蒼柊さん(18)は「東日本大震災を経験したので、災害に強い通信ネットワークを作り上げたい。国際リニアコライダー(ILC)にもソフトウェアの面で、何らかの形でかかわることができたら」と夢を描いていた。

写真=小林正典理事長(左)から認定証を交付される奨学生
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