岩手県奥州市・金ケ崎町をエリアとした地域新聞社による国際リニアコライダー(ILC)関連記事を掲載。 奥州市東部の北上山地は、現時点における世界唯一のILC候補地に選定されました。当サイトにはILCをはじめ、理系分野やILCに関連性のある地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)についての記事を随時アップします。
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tanko 2017-8-13 10:30
 幼いころ、父親に連れられ北上川に架かる藤橋の近くで満天の星空を眺めていた。「こうした体験の影響も少なからずあって、宇宙や自然科学に興味を持つようになった」。
 きれいな星空に加え、国立天文台水沢VLBI観測所も身近にある。宇宙大好き少年が育つには申し分のない環境だ。
 小学生の時は宇宙少年団水沢Z分団で活動。中学時代は市の科学研修で茨城県つくば市を訪問した。一関高専1年生だった5年前は、同観測所の電波望遠鏡を使い、天体観測を体験する「Z星研究調査隊」に参加。新天体を発見する貴重な経験もした。「星の動きを知るには物理を学ばなければ」と思い立ち、今年4月、東京理科大学理学部物理学科の3年生に編入学した。
 大学に通い始めた直後、書店で巨大ブラックホールに関する一冊の本を何げなく手にした。「面白い本だなあ。一体誰が書いたんだろう……」。筆者のプロフィルを見たのは、一通り読み終わってからだった。
 〈現在、国立天文台水沢VLBI観測所教授〉
 「マジかっ!」。なじみある観測所の名前が目に飛び込んできて思わず驚いた。筆者は同観測所長でもある本間希樹氏。「本間先生の研究に触れるにはどうしたらいいか」。いろいろ探して見つけたのが、水沢観測所も実施会場となる総合研究大学院大学のサマースチューデントプログラムだった。
 今月30日まで郷里に滞在。期間中、かつて参加した「Z星」も開催され、高校生たちに5年前の自分の姿を重ねた。「この中から、研究者が出てくれたら」と期待する。
 理論物理学者を目指しているといい、やはり気になるのが、北上山地への誘致が期待されている国際リニアコライダー(ILC)。ILCは素粒子物理学の研究施設だが「決して素粒子の世界だけにとどまらず、天文学などあらゆる分野に結びついていると思う。『自分はこれだけやればいい』というようではいけない」と、垣根にとらわれない幅広い視点を持つことの大切さを強調する。
 「宇宙のこともやりたいし、ILCが実現したらそっちも携わってみたい」と胸の内を明かしながら、生まれ育った奥州の地で研究活動ができる日が来ることを夢見る。「ご当地アイドルならぬ“ご当地物理学者”になってみたい」
(児玉直人)

 星空を見て育っただけに「明るすぎる東京の夜空は、ちょっとストレス」。今月19日に、同天文台で開催される「いわて銀河フェスタ」でも会場案内などに携わるという。「関係者だけで盛り上がるのではなく、一般市民の皆さんが気軽に訪れ、自然科学の世界を楽しむ雰囲気はとてもいい。同期の仲間にも見てもらいたい」と語る。実家は水沢区姉体町字水ノ口前。
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tanko 2017-8-9 10:20
 国立天文台(本部・東京都三鷹市、林正彦台長)が、水沢区星ガ丘町の同天文台水沢キャンパス敷地内に設置しているスーパーコンピューター(スパコン)「アテルイ」は、機器更新に伴い本年度で運用終了となる。19日に同キャンパスで開かれる「いわて銀河フェスタ2017」は、一般市民がアテルイの姿を見られる最後のチャンス。後継のスパコンは引き続き水沢に設置されるが、愛称は未定という。
(児玉直人)


 スパコン「アテルイ」は1秒間に約1000兆回の足し算や掛け算をするくらいの処理能力があり、天文学専用としては世界最速。これまでの観測成果や物理学の理論などを反映させながら、さまざまな天文現象の解明に貢献している。
 かつては三鷹の同天文台本部に設置されていたが、リスク分散や機器冷却コストを踏まえ、2013(平成25)年度から同天文台最北の施設である水沢キャンパスに移設。古代東北の英雄「アテルイ」にあやかった愛称も付けられた。
 数多くの成果を挙げてきた「アテルイ」だが、機械更新による“引退”の時期が迫ってきた。管理・運営を担当する同天文台シミュレーションンプロジェクトの広報担当者は「現在の機材での運用は本年度で終了するが、来年度はまた新しい機材を水沢キャンパスに導入する予定だ」と説明。愛称については未定という。
 19日に開催の銀河フェスタでは午前と午後合わせて13回の見学機会を設ける。所要時間は1回15分。当日午前9時45分から整理券を配布するが、見学時間を選ぶことはできない。1回当たり定員は10人。詳しくは同プロジェクトのホームページ
http://www.cfca.nao.ac.jp/pr/20170819
を参照。


ILCの関連企画も(19日の「銀河フェスタ」)

 「いわて銀河フェスタ2017」は19日午前10時から、国立天文台水沢キャンパスで開かれる。開場は同9時半で、キャンパス敷地内に駐車場が設けられる。
 同天文台水沢VLBI観測所や奥州市、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターで組織する実行委員会が主催。胆江日日新聞社などが後援する。
 特別講演会は3人が登壇。このうち午前11時からは同観測所の本間希樹所長が巨大ブラックホールの最新研究について紹介する。
 スパコン「アテルイ」や20m電波望遠鏡など一部の施設見学、体験には整理券が必要となる。午後7時からは星空観察を行う(荒天中止)。
 県南広域振興局主催の小学生向けサイエンス教室「国際リニアコライダー(ILC)って何?」も同時開催。同1時半からILCに関する紙芝居の上演や実験などを予定。定員は20人で、希望者は9日までに申し込む。
 銀河フェスに関する問い合わせは、奥州宇宙遊学館(電話0197・24・2020)。サイエンス教室申し込みは、同振興局企画推進課(電話0197
・22・2812)へ。

機器更新のため本年度で運用終了する天文学専用スパコン「アテルイ」
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tanko 2017-8-8 10:10

 早稲田大学公共経営大学院のフィールドワーク(夏季集中講座)が奥州市内で繰り広げられている。奥州市の行政課題の調査・研究に毎年取り組んでおり、今回のテーマは「奥州市に縁がある人物とのコラボレーションによる市のPR戦略」。院生らが各種調査や資料収集・分析を進め、10日に政策提言する予定だ。
 奥州市が調査・研究に協力し8年目。奥州市にとっては政策への提言を得られるほか、公共経営が専門の大学教授や全国から集まる院生との情報交換の機会になっている。
 今年は院生7人と教員が6〜10日の5日間の日程で奥州入り。市職員2人も加えテーマを追究する。
 開講式が7日、奥州市役所本庁で行われた。小沢昌記市長は講義で、「仲間と一つの目標に向かって知恵を寄せ合い、解決策を見いだすトレーニングは、今後の活動のための重要な経験になる」と院生らを励ました。
 本年度を「奥州アピール」の年と位置付け、初開催した「いわて奥州きらめきマラソン」と「カヌージャパンカップ」、「台湾をターゲットとした観光戦略」などで市の名を発信。市を含む北上山地が国内建設候補地とされている国際リニアコライダー(ILC)についても紹介した。
 院生らの「政策提言発表会」は、市役所本庁講堂で10日午後1時半から開かれる。

写真=市長の講義に耳を傾ける早稲田大学公共経営大学院の院生ら
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tanko 2017-7-29 10:10
 奥州市から県への要望会は28日、水沢区大手町の水沢翠明荘で開かれ、「国際リニアコライダー(ILC)実現に向けた取り組み」と「新市立病院建設事業への支援」を重点とする計24項目の要望書を県南広域振興局に提出した。
 県内の自治体では、県または県を通じた国への要望活動を毎年実施している。地域課題を共有し解決に向け連携して取り組む狙いで、本年度の奥州市からの要望は新規7項目、継続17項目。市側から小沢昌記市長、佐藤修孝市議会議長らが出席し、県南局側は細川倫史局長や幹部職員が対応した。奥州地区選出県議4人も同席した。
 奥州市は、第2次市総合計画に位置付けた施策の大綱を基に要望項目を整理。中長期的に取り組む二つの戦略プロジェクトにはILCと人口対策を掲げており、要望の重点とした。
 重点要望一つ目の「ILC」は継続項目。小沢市長は「昨年策定した奥州市ILCまちづくりビジョンに掲げる各種取り組みの推進に向けての支援をお願いしたい」と述べた。
 ILCは奥州市を含む北上山地が国内建設候補地とされ、誘致については国が設置の有識者会議で専門的観点から検討。議論は大詰めを迎えている。要望書では誘致方針を早期決定するよう国へ働き掛けるとともに、普及啓発の強化などを求めた。
 細川局長は「関係機関との連携を強化しながら国へ働き掛け、受け入れ環境の整備や地元の機運醸成などに引き続き取り組む」と応じた。
 重点要望二つ目の「新市立病院」は新規項目。市は、老朽化した総合水沢病院に代わる新市立病院の2021年度開院を目指している。新規項目には「カヌー競技の推進」なども盛り込んだ。

写真=本年度の要望会であいさつする小沢昌記市長
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tanko 2017-7-26 14:48
 岩手県初開催となる全国知事会議は、26日から3日間の日程で盛岡市内のホテルを主会場に開かれる。東日本大震災復興や東京五輪・パラリンピックについて意見を交わすほか、沿岸被災地の視察も予定。会議の様子はインターネットで生中継される。
 全国知事会議は全国知事会(会長・山田啓二京都府知事)が年数回実施しているが、「夏の会議」は各都道府県持ち回りで開催。本県で開くのは今回が初めて。
 26日は平泉町の毛越寺や中尊寺を視察する「プレイベント」や知事会理事会のみで、メーンの知事会議は27日から2日間。最終日の28日午後には沿岸部の震災被災地の復興状況を視察する。
 会議では、大震災からの早期復興をはじめ、原発安全対策や防災対策、地方創生、2025年万博誘致などを取り上げる。東京五輪・パラリンピック関係では、大会組織委員会副会長の遠藤利明・前五輪相との意見交換を予定している。
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」については、国内の科学技術振興や教育、地域経済など多岐にわたる波及効果が期待され、日本政府の誘致判断が気になるところだが、東京五輪や万博のように特筆した議題としては盛り込まれていない。
 ただ、来年度の国の施策や予算に関する提案・要望の中で、地域における国際科学技術研究の振興や拠点の形成に関する趣旨の文言が入る見込みという。知事会議の開催地担当窓口となっている県政策推進室によると、会場ロビーに開設する本県の観光物産PRコーナーなどと共に、ILCを紹介するスペースも用意。全国から集まる知事や自治体職員らに向け、国際研究施設の候補地であることをアピールする。
 会議の様子は、インターネットの動画サイト「You Tube(ユー・チューブ)」の「岩手県公式動画チャンネル」で中継する。27日は午前10時から午後6時半、28日は午前9時から同11時まで。
 盛岡駅西口のいわて県民情報交流センター(アイーナ)4階県民プラザでは、27日午前9時45分から午後5時まで会議中継の放映や各都道府県の特産品が当たるクイズ大会などを繰り広げる。
 イベントなどに関する問い合わせは、県庁政策地域部政策推進室(電話019・629・5213)へ。
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tanko 2017-7-22 10:34
 奥州市水沢区星ガ丘町の国立天文台水沢キャンパス内にある旧緯度観測所時代の建造物4棟が、国の登録有形文化財(建造物)に選定される見通しとなった。文部科学大臣の諮問機関である文化審議会(馬渕明子会長)は21日、登録妥当と答申した。今後、約1年をめどに官報告示され、正式登録となる。登録となれば、胆江地区では江刺区稲瀬の千葉家住宅主屋、金ケ崎町六原蟹子沢の旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎に続く3カ所目となる。

 登録妥当の答申を受けたのは、同観測所の前身「臨時緯度観測所」が設立された1899(明治32)年竣工の眼視天頂儀(がんしてんちょうぎ)室、翌年完成した同天頂儀目標台とその覆屋、初代本館(現・木村栄(きむら ひさし)記念館)。さらに、緯度観測所移行後の1921(大正10)年に建てられた2代目本館(現・奥州宇宙遊学館)の計4棟。2代目本館は2006(平成18)年から奥州市所有となっているが、それ以外は水沢キャンパス内で研究活動している水沢VLBI観測所(本間希樹所長)が管理している。
 臨時観測所は、水沢など北緯39度08分上にある世界4カ国、全6地点に同様の観測所を設け、地球の緯度変化を調べる「国際緯度観測事業」を目的に開設。日本最初の国際観測事業で、水沢の初代所長・木村栄(1870〜1943)は観測過程で、天文学史に輝く「Z項」を発見している。
 天頂儀室は、ドイツ製の緯度観測専用望遠鏡「眼視天頂儀」の1号機が設置されていた建物。中央にある本体設置の台は頑丈な石積みで、観測に影響するわずかな振動を与えないようにしていた。観測時は、屋根を東西水平方向にスライドし上部を開放。大気の内外差をなくすため、外壁には鉄製の鎧板を設けている。現在、1号機本体は初代本館内に展示しているが、台やテーブル、椅子は当時のまま残っている。
 天頂儀室から真北、約100mの地点にある目標台は、国内現存例が少ない施設。頑丈なれんが積みの直方体の台に電球点灯装置が固定されており、天頂儀室にいる観測者は、覆屋の窓越しに見える電球の明かりを頼りに正しい北の方角を確認し、天頂儀を操作していた。
 調査した東北工業大学の高橋恒夫名誉教授らは「建物に修繕などが加えられているものの、保存状態は極めて良好。近代科学黎明期の観測施設を伝え、設備・器具が残される点、この施設からZ項が生み出された点も合わせ、高い歴史的価値を持つ」と評価した。
 初代本館は木造平屋で、旧文部省建設課長・久留正道による設計。これまで数回移築したが、構造や資材はほとんどそのまま。木村栄記念館として公開されている。
 木造2階建ての2代目本館は、緯度観測国際中央局としての機能も一時果していた。国内建築史における優れた近代洋風建築としての価値も高く、中央にシンボルとなる洋風の「塔屋」を設け、小壁には星と太陽をモチーフとするレリーフを入れるなど、こだわった意匠が随所に施されている。文部科学省は2005年、老朽化などを理由に解体方針を打ち出したが、保存を求める市民運動が巻き起こり、その後は宇宙遊学館として活用されている。
 市教育委員会事務局の川田啓介上席主任学芸員は「明治に始まる国際緯度計測の装置、建物がそのまま現存しているだけでも大変なものだが、観測所本館が初代、2代目、そして現在の3代目が一緒に残っていることにも価値がある。公開・活用されていることもほかに例をみない」と説明。市教委の田面木茂樹教育長は「建物としての貴重な価値が認められ、大変喜んでいる。今後も地域の宝として大切に保存し、子どもたちの学習などに一層活用していきたい」とコメントした。

写真1=「奥州宇宙遊学館」として保存活用されている旧緯度観測所本館


写真2=木村栄記念館として公開されている初代本館


写真3=眼視天頂儀室。後方は現在使用中の20m電波望遠鏡


写真4=眼視天頂儀室の北側にある目標台の覆屋


建造物の配置図
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tanko 2017-7-22 10:30
 取り壊し目前だった建物が、国が認める文化財へ――。国の有形文化財に登録される見通しとなった、国立天文台水沢キャンパス内の建造物4棟の一つ、旧緯度観測所本館(2代目本館)は「奥州宇宙遊学館」として、楽しみながら自然科学を学ぶ拠点として大きく生まれ変わった。「天文台がある水沢にしかない建物。保存だけでなく、活用しなければ意味がない」。今から12年前、保存活用の市民運動の先頭に立った一人、イーハトーブ宇宙実践センター副理事長の佐藤一晶(さとう かずあき)さん(67)は当時の様子を振り返りながら、天文台側と連携したさらなる有効な活用の必要性を提唱する。
(児玉直人)

 金環日食を興味深げに眺める大勢の市民、実験を楽しむ子どもたち、現役の天文学者の話を真剣な表情で聞く高校生、科学談議に花を咲かせる老若男女――。
 2代目本館を保存活用し2008(平成20)年に開館した宇宙遊学館では、こうした光景が当たり前のように広がる。だが、取り壊しが計画通り進んでいたら、この「当たり前」は存在しなかった。
 「旧水沢緯度観測所本館 来年2月取り壊し 築80年、老朽化著しく」
 2005年11月22日付の本紙にこんな見出しが躍った。文部科学省は2005年10月までに2代目本館の取り壊し予算を計上していた。これに呼応した形で、旧水沢市は装飾に特徴がある玄関や階段手すり、窓ガラスなどの一部部材を保管する補正予算の議決を得る段取りをしていた。
 水沢区内で料亭などを営む経営者でもある佐藤さん。天文台への個人的な思い入れもあるが、木村栄初代所長が発見した「Z項」にちなんで「Zのまち」を掲げていながら、取り壊しへの道を進む状況を看過できなかった。市民運動組織を立ち上げ、保存活用を訴えた。
 当時の市や天文台の担当者からは「無理だからやめなさい」とまで言われ、視線も冷たかった。それでも粘り強く運動を展開した。
 天文台OBの大江昌嗣(おおえ まさつぐ)さん(76)を中心に立ち上げた「イーハトーブ宇宙実践センター」をはじめ、知人経営者らの支えもあり、保存への機運は盛り上がりをみせた。宮沢賢治が通った建物とあって、全国の賢治ファンが関心を寄せたのも大きかった。1000万円もの寄付をしてきた人もいた。結果的に議会や市、天文台を動かすことになり、保存活用へと流れが変わった。
 市民運動が実を結び、宇宙遊学館が誕生する。NPO法人格を取得した同センターが指定管理者となり、それまで近寄りがたい存在だった天文台は、誰もが気軽に科学の世界に触れて学べる場所となった。
 佐藤さんは「県南に科学に触れる施設がなかったことも、保存活用する上で大きなポイントとなった。気軽に足を運びやすくなったとはいえ、まだ来たことがないという市民はたくさんいる。天文台とも協力しながらさらなる活用策を考えていきたい」。同天文台水沢VLBI観測所の亀谷收(かめや おさむ)助教(60)も「臨時緯度観測所時代から数え、間もなく120周年になる。過去の研究から現在の研究まで、私たちの活動の一端を少しでも伝えご理解いただけるよう、遊学館とのタイアップをいろいろやっていきたい」と話す。

写真=取り壊しの危機から、奥州宇宙遊学館に生まれ変わった2代目本館と佐藤一晶さん
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tanko 2017-7-22 9:30
 岩手県は、北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現を見据え、ILCで活躍できる人材を育成するため、水沢高など県立高校4校をILC推進モデル校に指定した。
 指定校は、水沢高のほか、盛岡一高、花巻農高、一関一高。ILCに関する課題研究などを実践している、またはILCを担う人材育成に取り組もうとしている高校を選定した。
 水沢高では、ILC関連装置の研究開発を実施している高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)などへの訪問を実施する予定。盛岡一高は大学教授による講演会など、花巻農高は外国農産物の栽培研究など、一関一高は建設候補地の見学などをそれぞれ計画している。
 各校の事業実施経費に関しては、1校当たり500万円を上限に県が予算計上している。
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tanko 2017-7-15 12:00
 金ケ崎町は本年度、町内小学校を対象に国際リニアコライダー(ILC)の出前授業を実施した。町主催としては初めての試み。13日は町立三ケ尻小学校(川戸司朗校長、児童111人)の5年生19人が、アルファ線や電子の飛跡を観察する霧箱実験に挑戦。線状に発生する霧を確認すると歓声が上がり、素粒子物理学を身近にした。
 同町内では、県南広域振興局による出前授業を中学校で行っているが、小学校を対象とするのは2014(平成26)年6月に町教育委員会が実施して以来。本年度は永岡、三ケ尻、金ケ崎の3小学校で繰り広げた。
 講師を務めた東北大大学院理学研究科の佐貫智行准教授は、「空気は暖めると体積が増え、冷えると小さくなるのはなぜか」と、小学4年生の理科の復習から素粒子の世界へと児童たちを招き入れた。ビーズを入れた筒を振ることでスポンジの栓が押し出される様子を見せ、「空気も小さい粒が集まっていて、暖かくなると素早く動き回る」と素粒子の存在を説明した。
 「身の回りのものは、電子とアップクォーク、ダウンクォークという三つの粒、素粒子でできている。だからみんなの体も粒々の間は隙間だらけ」と話す佐貫准教授に、驚きの声を上げた児童たち。素粒子測定器の原理になっている「霧箱」を用いた実験では、アルコールが霧状になって浮かび上がらせるアルファ線や電子の飛跡を夢中になって観察した。
 佐貫准教授は「小さな粒をもっと大きな装置で見るのがILC。世界の人が世界に1カ所だけ造る世界的な施設ができる」とし、「理科が好きな人は理科を頑張って。でも、学者だけでなく、おもてなしをする人、生活をサポートする人など、活躍する人がたくさん必要。1人でも2人でも多くのみなさんと一緒に働けることを願っている」と語り掛けた。
 鈴木悠真君(11)は「光が走って跡が残ったように見えた。粒で体ができているという話は本当かなと思ったけれど、こんな小さな粒が体を作っているのに驚いた」と興味津々。「ILCができて、世界中から人が集まる地域になったら、本当にすごいと思う」と目を輝かせた。

差真=東北大の佐貫智行准教授と一緒に、アルファ線などの飛跡を確認する三ケ尻小児童
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tanko 2017-7-7 9:30
 江刺区東部を含む北上山地が候補地となっている「国際リニアコライダー(ILC)」について、東北ILC準備室の鈴木厚人室長(岩手県立大学長)は6日、ヨーロッパの科学計画策定などの動向を踏まえ「来年8月までに日本政府の誘致判断が出なければいけない」と強調した。同室では、地元の受け入れ態勢が万全であることを国内外に示すための協議が大詰め。今年8月には、中国で開催される研究者組織の会議でILCの新しい建設方針に対する協議が行われるほか、岩手県ILC推進協議会(谷村邦久会長)は集約作業中のILC経済波及効果の公表を予定している。鈴木室長は、政府からゴーサインを引き出すためにも「最大限の努力をしていきたい」と話している。
(児玉直人)


 同準備室は、東北ILC推進協議会(事務局・東北経済連合会=東経連)の下部組織として昨年8月に設置された。岩手県立大や東北大、岩手大、岩手・宮城両県、仙台市、岩手県ILC推進協、東経連の関係者らで構成しており、▽広報▽地域▽技術▽産業――の4部門と地下施設、マスタープランの2専門部会が、具体的な受け入れ態勢の準備を進めている。
 鈴木室長は6日に仙台市内で開かれた記者懇談会で、各部門の協議状況のほか、今後の流れやILCの日本誘致を取り巻く現状について説明した。
 直近の動きとして注目されるのが、8月9日に中国広州市で開かれる「国際将来加速器委員会(ICFA(イクファ))」の会議。ILCの建設規模を段階的に拡大していく「ステージング」と呼ばれる手法がILCを推進する国際研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」より提案され、正式承認を求める。
 ステージングは、昨年12月に盛岡市で開かれた国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」で提案された。当初計画より約10km短い直線距離20kmのトンネルを掘り建設することで初期に生じる膨大なコストを抑え、実験状況を見ながら段階的に施設規模を拡大していく手法だ。
 鈴木室長は「ICFAの承認を受けて、来年度の政府予算概算要求に向けた仕込みをしたい。現在は日米の政府間協議が実現しているが、今度は日欧の協議が進むよう環境を整えたい」と述べた。
 質疑の中で鈴木室長は、誘致実現に向けた日本政府の判断時期について来年8月がリミットになると強調した。根拠となるのがヨーロッパにおける科学計画の策定時期で、「ヨーロッパが次の5カ年計画を出すのが来年8月。それまでに日本がILCを誘致する決断をしないといけない」と指摘。ヨーロッパ側がしびれを切らしてしまえば、国際協力なしに実現できないILCは事実上、頓挫してしまう可能性もある。
 鈴木室長は「さまざまな政情もあるが、ゴーサインを引き出せるよう(日本政府に)求めていかなくてはいけない。地元や日本国内、そして世界の状況をしっかり示し、なるべく早く決断が出せるよう、どんどん訴える努力をしていきたい」と力を込めた。

写真=ILCをめぐる現状を説明する鈴木厚人室長

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