人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
投稿者 : 
tanko 2019-8-20 19:00
 岩手県は19日、いわて県民計画に掲げるILC(国際リニアコライダー)プロジェクトを全庁を挙げて推進するため、ILC推進本部を設置した。従来の副部長級による県ILC推進研究会を発展的に移行し、知事を本部長に副知事や部局長などで構成する部局横断的な組織。第1回の会議が同日、県庁で開かれた。
 同本部は▽ILC推進に関する情報収集・連絡調整▽ILC推進に関する施策▽その他ILC推進に関する重要事項――などを所管する。本部の下に、まちづくり・インフラ整備、外国人居住環境、外国人研究者等の医療、外国人研究者等子弟の教育、産業振興、地域資源活用の六つの分科会を設置し、ILCによる地域振興ビジョンに係る取り組みについて具体的に検討を進めていく。
 今年3月7日の政府見解表明では、日本学術会議が策定するマスタープランなど正式な学術プロセスでの議論が必要との指摘もあり、高エネルギー加速器研究機構(KEK)が次期マスタープランを検討中。現在、研究者の国際ワーキンググループでILC計画の国際的な役割分担や費用分担を検討しており、今年9月に取りまとめとなる見込み。同本部では、国際分担の状況などを見据えながら、受け入れの準備やILCの効果を地域で発揮させるための検討を重ねていく。
 本部長の達増拓也知事は「今年3月、政府が初めて(ILCに)関心表明をし、それを受けて国内外の動きが活発になってきている。県としてもこの動きに的確に対応しながらILCが持つ多様な効果が地域で最大限発揮されるよう準備に万全を期したい」と述べ、「いわて県民計画に掲げるILC推進プロジェクトの多分野にわたる取り組み、ILCによる地域振興ビジョンへの積極的な対応など、全庁で総合的な取り組みを進める」とした。
投稿者 : 
tanko 2019-8-18 19:40

写真=いわて銀河フェスタ2019のポスター

 国立天文台水沢キャンパスの研究施設などが公開される「いわて銀河フェスタ2019」は、24日午前10時から午後8時半まで水沢星ガ丘町の同キャンパスで開かれる。毎年恒例のイベントだが、今年は人類初のブラックホール撮影成功をはじめ、国際緯度観測120年の節目に当たるなど話題が多い年。市内外から例年以上に多くの来場者が訪れそうだ。一部の施設見学や体験コーナーは、当日配布の整理券が必要となる。

 今年のテーマは「ブラックホール最前線! 120年続く国際観測」。ブラックホール撮影の国際プロジェクトに、同キャンパス内に拠点を置く水沢VLBI観測所の本間希樹所長ら5人が携わっており、今回のフェスタはブラックホール研究を前面に押し出す内容となっている。
 フェスタ開幕に先立ち、「オウシュウ・ブラックホール・プロジェクト」を推進している市内の菓子製造販売事業者らで構成する水沢菓子組合(千葉亮組合長)は、加盟各社の持ち味を生かし、ブラックホールをイメージした菓子やパンを奥州宇宙遊学館前で発表。開幕後、会場内で販売会を実施する。
 午前11時半からは、ブラックホールのクイズ大会。午後3時半からは講演会。同4時45分には5人の研究メンバーによる座談会が、いずれも遊学館2階セミナー室で開かれる。講師はもちろん、クイズの進行も研究者自らが担当。歴史的な快挙に携わった研究者と触れ合える貴重な機会になりそうだ。本間所長との記念撮影会も予定している。
 キャンパス敷地内では、直径20mの電波望遠鏡内を見学できる「アンテナツアー」、天文学専用のスーパーコンピューター「アテルイ供弩学ツアーなどを実施。アンテナツアーは小学3年生以上で身長120cm以上、スニーカーなど歩きやすい靴での参加が条件となっている。
 旧緯度観測所時代から続く120年の歴史を感じられる企画として、国の登録有形文化財(建造物)に指定されている旧眼視天頂儀室の室内を公開。木村栄記念館に常設展示している各種資料と、現在使用している電波望遠鏡や観測関連施設を見比べることで、水沢で続けられている国際天文観測の意義やスケールの大きさを実感することができる。
 施設公開などのイベントは夕方で終了。午後6時からは「星の部」に移行し、第2東水沢保育園児による太鼓演奏などが繰り広げられ、同7時から星空観察会を実施する。荒天の場合は中止する。
 イベントの詳細は同フェスタのウェブサイト

http://www.miz.nao.ac.jp/content/openhouse

で確認できる。問い合わせは、奥州宇宙遊学館(電話0197・24・2020)へ。
投稿者 : 
tanko 2019-8-11 19:40

写真=調査結果を発表する高校生たち

 高校生が国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)の電波望遠鏡を使って天体観測する「Z星研究調査隊」(県高等学校文化連盟自然科学専門部など主催)は、このほど終了した。活動最終日には生徒たちが調査結果を発表。新天体は発見できなかったが、生徒たちは限られた時間の中で力を出し合い、天文学への情熱を新たにした。
 県内外から集まった生徒10人は、2班に分かれ調査に挑んだ。これから生まれようとしている星、または一生を終えようとしている星から出される「水メーザー」と呼ばれる電波を探査。観測には同観測所の直径20m電波望遠鏡が使われた。観測計画の立案やデータ解析、研究報告のまとめも自分たちで行った。
 A班はミラ型変光星と呼ばれる12天体を順次観測。比較的高感度な電波を発した1天体に的を絞って再度観測したが、水メーザーは検出できなかった。盛岡市立高校3年の千葉衣織さん(17)は「参加は2回目だが、昨年の方がしっかり見られた気がする。また研究の機会があれば今度こそデータを精査したい」と悔しさをにじませた。
 活動に協力した奥州宇宙遊学館の中東重雄館長(74)は、自身が学位論文を発表するまでに約14年かけたことなどを話し「研究は時間がかかるもの。苦労し、その結果何も発見できなかったという経験は、君たちが社会人になった時に必ず役立つ」と激励した。
投稿者 : 
tanko 2019-8-9 18:00

写真=講演する県ILC推進局の重浩一郎特命課長

 岩手県ILC推進局事業推進課の重(しげ)浩一郎特命課長は8日、奥州市役所江刺総合支所で開かれた同市ILC推進連絡協議会(会長・小沢昌記市長)総会後の講演会で直近のILC(国際リニアコライダー)を巡る動向を解説。地元大学との連携の在り方に関する聴講者からの質問に、「外国人研究者や家族の受け入れに関連した部分で、教育や看護の面での人材を育成できる可能性があるかもしれない」と私見を示した。
(児玉直人)

 素粒子物理学の国際研究施設として、本県南部から宮城県気仙沼市にかけての北上山地が建設有力候補地となっているILC。誘致実現に向け、産学官の連携によるさまざまな取り組みが進んでいる。
 この日の講演で重特命課長は、直近のILCを巡る動向などを説明。奥州市がすでに策定した「ILCビジョン」を示しながら「市と県との取り組みを連動させていきたい。現状では、いつ、何が、どうなるといった明確な期日を示すことはできないが、一歩一歩前に進んでいることは確かだ」と述べた。
 岩手大学や県立大学との連携に関しての質問には、「ILCそのものについては岩手大学の理工学部が取り組んでいるが、例えば岩手大の教育学部や県立大の看護学部のように、さまざまな学部でILCに関連した人材を育成できる可能性はあるだろう」との見方を示した。
 講演前の同連絡協総会では、本年度事業計画などを原案通り承認した。官民合わせ市内64団体で構成する同連絡協は、予算は持たず加盟各団体が誘致活動に関する情報を共有し、ILC普及活動や誘致機運の醸成など、必要な取り組みを企画している。
投稿者 : 
tanko 2019-8-8 18:00
 奥州市は7日、本年度の統一要望24項目を県南広域振興局に示した。重点要望には「ILC(国際リニアコライダー)実現に向けた取り組み」「公立病院における医師確保」「広域生活バス路線維持対策」の3項目を盛り込んだ。本年度は近隣関係市町との「広域」の要望を新たに加え、「『束稲山麓地域の世界農業遺産』への取り組みに向けた支援」など6項目を登載。小沢昌記市長らが同日、平野直局長に要望書を手渡した。

 奥州市は、岩手県や県を通じた国への要望活動を毎年実施。水沢東町の水沢グランドホテルを会場に要望を行い、達増拓也知事宛ての要望書を小沢市長と小野寺隆夫市議会議長の連名で提出した。
 要望は新規8項目と、昨年度に続く継続16項目で構成。重点3項目はいずれも継続要望で、「ILC実現に向けた取り組み」については、日本誘致の方針を早期決定するよう国に強く働き掛けるとともに、受け入れ環境の整備や普及啓発への配慮を求めた。
 「公立病院における医師確保」は、特に産科と小児科の常勤医師の確保を要望。「広域生活バス路線維持対策」は、県単独補助事業継続と補助要件緩和による民間バス事業者の路線維持への対応を求めた。
 このうち、「医師確保」について小沢市長は「安心して生活できる基盤をつくらなければならない。県と市の連携のさらなる強化を期待する」と述べた。
 平野局長は、県が本年度策定する医師確保計画に触れ「関係機関と協議しながら実効性の高い施策を計画に盛り込み、対策を講じる」と応じた。
 「広域」の要望は、「JR東北本線の利便性向上」(新規)、「胆江地域における地域医療・介護連携の充実」(同)、「『束稲山麓地域の世界農業遺産』への取り組みに向けた支援」(同)など6項目。東北本線の利便性向上については、北上川流域の産業集積や生活環境充実につなげるため、北上駅から一ノ関駅までの運行本数増加(上下線とも平均30分1本)の働き掛けを要望した。「束稲山麓地域」については、前沢生母地区、一関市舞川地区、平泉町長島地区で構成する同地域の世界農業遺産認定について、再申請に関わる取り組みの一層の支援を求めた。
 県への要望では、新たに「えさしクリーンパークの営業継続」も加えた。2022(令和4)年度以降も営業継続を求める内容。継続を望む1万5000人超の署名、市議会で請願が採択された経緯がある。
 重点要望以外の要望項目は次の通り
【広域として県へ要望】
 ▽JR東北本線の利便性向上(新規)▽県立胆沢病院の医療体制の充実(継続)▽胆江地域における地域医療・介護連携の充実(新規)▽(仮称)新金ケ崎大橋の新設(新規)▽「平泉の文化遺産」の世界遺産拡張登録の推進(同)▽「束稲山麓地域の世界農業遺産」への取り組みに向けた支援(同)
【県への要望】
 ▽いわて地域農業マスタープラン実践支援事業の推進(継続)▽公共牧野の維持管理に対する支援(同)▽工業団地などへの企業誘致の促進に係る支援(同)▽工業用水に係る補助、助成制度の導入(同)▽一般県道玉里梁川線のバイパス整備促進(同)▽県管理河川の河道整備(同)▽指導主事の派遣(同)▽小学校英語専科教員の配置(新規)▽カヌー競技の推進(継続)▽えさしクリーンパークの営業継続(新規)
【県を通じ国へ要望】
 ▽介護保険制度の充実強化(継続)▽一般国道4号水沢東バイパスなどの整備促進(同)▽北上川における築堤などの整備促進(同)▽テレビ共同受信施設組合への支援(新規)▽基盤整備事業の推進(継続)
投稿者 : 
tanko 2019-8-7 19:30

写真=観測に関わる説明を受ける高校生たち

 高校生が最新鋭電波望遠鏡を使って天文観測を体験する「Z星研究調査隊」の活動が6日、水沢星ガ丘町の国立天文台水沢VLBI観測所で始まった。県内外の高校生10人が8日まで3日間の日程で参加。「天の川銀河の地図作り」につながる電波探索に挑みながら、宇宙への好奇心を膨らませている。
 自然科学への興味関心を高めてもらおうと開催している恒例の活動。県高校文化連盟自然科学専門部、同観測所、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターが主催した。
 生徒たちは2班に分かれ、同観測所の直径20mの電波望遠鏡を活用し、天体観測とデータ解析に挑戦。生まれる星や一生を終えようとしている星の周りにある水分子が出す電波(水メーザー)を探査しており、発見は天の川銀河の地図作りにつながるという。観測結果を整理し、最終日の8日には発表会を開く。
 県立水沢高理数科2年の榊朋香さん(16)は「もともと天体に興味があり、先生の勧めもあって参加した。電波望遠鏡はめったに使えないものなので、勉強になるいい機会」と笑顔を見せた。
 生徒たちを指導する理学博士で同観測所の亀谷收助教は「電波望遠鏡の観測の仕方を知ってもらい、面白みを感じてもらえたら」と生徒たちの取り組みに期待していた。
投稿者 : 
tanko 2019-7-31 19:40

写真=寄贈された本を手にする子どもたちと歓談する、本間希樹所長と田崎文得特任研究員

 ブラックホールの撮影に成功した国際研究プロジェクト、イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)に参加している国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)在籍の研究者ら5人が30日、市立図書館全5施設にブラックホールや天文学に関係する書籍9種類を寄贈した。5人がポケットマネーを出し合い購入したもので、本間所長は「科学に興味を持ってもらえるきっかけになれば」と希望している。
(児玉直人)

 本を寄贈したのは、本間所長と秦和弘助教、小山友明特任専門員、田崎文得特任研究員、中国から同観測所に留学している崔玉竹(ツェイ・ユズ)さんの5人。ブラックホールや宇宙の謎にまつわる書籍で「子どもたちにも分かりやすい内容」「科学的な考えがしっかり書いている」という視点で、5人が厳選したもの。自費購入した図書のほか、水沢の観測所やブラックホール撮影成功に関する記事が掲載された国立天文台発行の広報誌も合わせて寄贈した。
 寄贈本のうち、本間所長が執筆した「巨大ブラックホールの謎」(講談社ブルーバックス)には、本間所長のサインが入っている。「宇宙は何でできているか 素粒子物理学で解く宇宙の謎」(幻冬舎新書)の著者は、素粒子物理学者の村山斉氏。北上山地が有力候補地となっている実験施設、国際リニアコライダー(ILC)にも触れている。
 今回の書籍寄贈のきっかけは、胆沢図書館(藤田司館長)で開催中のブラックホール企画展。企画展開催を知った田崎特任研究員らが、同館職員とやりとりする中、5人が感銘を受けた「おすすめ本」の紹介やトークイベントを開催する運びに。トークイベントは今月27日、田崎特任研究員を講師に招き同館で開かれた。
 同館で行われた贈呈式には本間所長と田崎特任研究員、小沢昌記市長らが出席。本間所長から小沢市長に書籍と目録が手渡された。小沢市長は「とてもいい時期に貴重な本をいただいた。一人でも多くの人に天文学に興味を持ってもらい、第二の本間所長のような人材がこの地から輩出されれば」と述べた。
 贈呈式後には、来館していた夏休み中の子どもたちがさっそく本を手に取っていた。田崎特任研究員は「子どもたちには、身の回りのものに興味を持ってもらい、いろいろなことに挑戦してほしい」と願っていた。
投稿者 : 
tanko 2019-7-31 18:30
 岩手県は30日、素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現を見据えた地域づくりの基本方向をまとめた「ILCによる地域振興ビジョン」を策定した。ILCに関連した各種ビジョンやマスタープラン(基本計画)は、奥州市や東北の誘致団体レベルでも策定しているが、県独自のビジョン策定は初。国際研究都市の形成支援など五つの柱を掲げ、ILC誘致を契機に未来に向かって発展する本県の進むべき道を明らかにしている。
(児玉直人)

 ILCは加速器と呼ばれる精密機器を利用し、肉眼では確認できない電子と陽電子をほぼ光速に近い状態で衝突させた際の現象を測定する施設で、物質の成り立ちや宇宙誕生の謎に迫る研究が進むと期待される。世界中の素粒子物理学者が中心となって計画。現時点での建設有力候補地が、本県南部の北上山地になっており、奥州市を含む周辺自治体や地元経済団体などは、研究者や国政関係者らと連携した誘致運動を展開している。
 今年3月7日に、文部科学省はILC計画に関心を持って国際的な意見交換を継続すると表明。さらにILCプロジェクトの推進を盛り込んだ「いわて県民計画」が本年度にスタートしたことに合わせ、県レベルのILCビジョンを初めて策定した。
 同ビジョンには、東北ILC推進協議会が東北全体の取り組み方針をまとめた「ILC東北マスタープラン」や、「いわて県民計画」の考えに基づき、具体的な取り組み方針、目指すべき姿が列挙されている。
 ILCプロジェクトを進めるために必要な政策を「五つの柱」として分類。々餾欷Φ翕垰圓侶狙支援▲ぅ離戞璽轡腑鵑料禄亅ILCによるエコ社会の実現ここ宛Φ羲圓亮け入れ環境整備ジ鯲人口拡大と地域の科学技術教育水準の向上――を掲げている。
 このうち「エコ社会の実現」については、実験過程で生じる熱を地域産業や住民生活に有効活用する方針が示された。
 「海外研究者の受け入れ」に関しては、すでに奥州市国際交流協会が実践する「医療通訳」のような外国人の生活をサポートする体制を拡充。外国人研究者の家族と地域住民が融合した新しいまちづくりの姿を追求する。
 ILCが本格運用するまでには、建設前の準備期に4年、建設期に9年の歳月を要するとされ、運用期を含めて滞在する人の数や職種も変動する。ビジョンでは準備期、建設期、運用期ごとに取り組むべき事柄を細分化しており、適切な対応でILCによる地域振興実現を目指す。
 ビジョンの内容は、県公式ホームページ内

https://www.pref.iwate.jp/kensei/seisaku/suishin/ilc/1022387.html

で閲覧できる。
投稿者 : 
tanko 2019-7-31 18:30

写真=提言書と要望書を小沢昌記市長に手渡す海鋒守会頭(右)

 奥州商工会議所(海鋒守会頭)は29日、国際リニアコライダー(ILC)を核とした都市づくりの提言書を市に提出した。地域・産業振興と中小企業支援策に関わる6項目の要望書も提出し支援を求めた。
 提言書と要望書は水沢東町の水沢サンパレスホテルで同日、海鋒会頭が小沢昌記市長に手渡した。奥州商議所と市のそれぞれの幹部合わせて20人が出席した。
 毎年実施している要望書の提出で、提言書は初めての試み。提言書ではILCの建設候補地となっている北上山地のすそ野にある市の立地を生かした都市づくりを求めた。「ILCとともに成長する都市づくりへの提言」と題し、重点項目に▽ILC関連事業への地元企業参入の仕組みづくり▽加速器産業集積地への取り組み▽市民生活向上への取り組み――を盛り込んだ。
 このうち地元企業参入については、ILCの〃設工事期間機器設備等導入期間施設稼働期間――の各段階に応じた情報提供や環境整備などを求めた。
 加速器産業集積地への取り組みでは、道路網など社会基盤整備や国際都市としての人材育成を提言。市民生活向上については、産婦人科や小児科、脳神経外科などの医療環境整備を盛り込んだ。
 要望書には、地域振興・産業振興のため▽市への誘客促進(奥州湖の交流人口拡大策、訪日外国人観光客の受け入れ強化対策)▽道路整備(国道4号水沢東バイパスの早期完成と4車線化促進、一般県道玉里梁川線の整備促進)▽企業誘致の促進▽奥州ブランドの推進――を列挙。中小企業支援策の▽地元企業の支援強化▽支所事業維持に伴う財政支援――を含め計6項目を明記した。
 海鋒会頭は「市民に元気と希望を与える施策展開を望む」と期待し、小沢市長は「一つでも多く実現するよう力を尽くしていく」と応じた。
投稿者 : 
tanko 2019-7-25 6:50

写真=ILC誘致を巡る直近の動向を説明する鈴木厚人学長(左)と山下了教授(仙台市内)

 【仙台市=児玉直人】 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の日本誘致に向け、高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市、山内正則機構長)が設立した国際ワーキンググループ(WG)は、費用分担や組織運営などに関する報告書を9月中にも文部科学省に提出する。東北ILC推進協議会の内部組織、東北ILC準備室長を務める鈴木厚人・岩手県立大学長が24日、仙台市内で開かれた記者説明会で「政府間協議が始まった際のたたき台になるもの。報告書の完成は、新しいステップの始まりでもある」と強調した。日米間ですでに実施している政府高官レベルでの議論の体制を日欧間にも立ち上げる予定で、ILC実現に向けた環境を整える。

 ILC誘致を巡っては、3月7日に東京大学で開かれた素粒子物理学関係の国際会議の席上、文科省が「ILC計画に関心を持って意見交換を継続する」と、政府見解を表明した。
 これを受けILC関連の技術研究を進めているKEKは、国内外の素粒子研究者らによる国際WGを立ち上げた。技術改良や経費、施設運営、国際分担の原案を作成し、9月をめどに報告書を文科省へ提出する。
 ただし、報告すべき案件は、すでに研究者間などで検討されてきた経過がある。鈴木学長によると、ゼロからの協議ではなく最終案的な形で取りまとめるといい、「政府間協議が始まった際には、報告書を基に費用割合などを議論する。いわばたたき台だ」と説明した。
 日本学術会議では「学術の大型施設計画・大規模研究計画に関するマスタープラン」の策定が進む。同プランへのILC計画掲載も誘致実現の条件になるが、他分野の研究者らの納得を得られるかがポイントとなる。
 記者説明に同席した東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は「(学術会議での議論が)どういう状況まで来ているか直接聞く立場になく、伝えることはできないが、課題とされてきた点について、幅広い学術分野の方々に説明し、理解を得られるよう全力を挙げている」と述べた。
 このほか東北推進協の対応として、仙台市で今秋に開催されるILC関連の国際会議「LCWS2019」での情報発信、地域ビジョンの検討などにも力を注ぐという。

「直接対話が一番」(山下教授、不安解消へ私見)
 国際リニアコライダー(ILC)の誘致活動が進む中、施設の安全性や放射線の影響を懸念する声もある点について、誘致を推進する東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は24日、個人的見解と前置きした上で「直接話すことが一番重要だ」と強調。ILCに懸念を示す地域住民や団体の関係者との直接対話を望んだ。
 有力候補地である北上山地周辺では、自治体や経済団体などが中心となり誘致運動を展開。早期実現を望む声がある一方で、安全性や誘致活動の在り方に疑問を示す住民もいる。
 東北ILC推進協議会は、同日の記者説明会の中で、ILCの社会周知活動を進めるとともに、放射線などに対する「正しい情報提供」「丁寧な説明」を行い、住民不安を払拭する考えを示した。
 山下教授によると、今年3月に奥州、一関両市で開催されたリスク説明会を今後も定期的に開催するほか、各種講演会で質疑応答の時間を十分に確保するなどの方法が予定されているとした。

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動