人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2018-2-14 19:10
 岩手県商工労働観光部雇用対策・労働室は、今春県内の高校を卒業する生徒らに、岩手の魅力を情報発信する「いわてカレンダー」と企業・就職情報提供サービスなどの案内チラシを配布した。人口減少が著しい本県にあって、3月は1年の中で最も人口が減る時期。県外へ進学、就職する若者が多いことなどが主な要因となっている。生徒たちそれぞれの夢や目標を尊重しつつも、大学卒業後や一定の職業スキルを身に付けた後に「岩手に戻りたい」という気持ちになるよう、卒業生本人はもちろん、親に対しても情報を提供していく。(児玉直人)

 【地域の魅力満載のカレンダー】
 カレンダーやチラシの配布は昨年度から実施。1月23日に県内各高校に配布し、卒業式までに3年生各生徒に配るよう呼び掛けている。
 カレンダーはA4サイズで、4月からスタートする「年度タイプ」となっている。各月の下半部は日付、上半分は素朴な岩手を象徴する事柄や物産などを列挙したイラストになっている。
 イラストには、胆江地区ゆかりの事柄も見られる。9月のテーマは「伝統工芸」で、岩谷堂箪笥や南部鉄器などを紹介。10月は「偉人」で、後藤新平や高野長英らの姿も。最終月の3月は「最前線」で、国際リニアコライダー(ILC)やスローライフ、ラグビーワールドカップ2019を取り上げている。
 カレンダーとともに配布したのが、就職関連情報を提供するサービスの登録案内と、各種相談窓口の紹介チラシ。生徒用と保護者用の2種類を用意した。
 事前登録制の情報提供サービスは、主に県外など自宅から離れた地域の大学や短大、専門学校に進学する生徒向けに実施。月1回程度の割合で、県内企業の紹介やインターンシップ、就職関連イベントの案内などを配信する。
 保護者向けのチラシには相談窓口のほか、わが子との今後の関わり方に関するアドバイス文も掲載している。肉体的、精神的な疲労、悩みを抱えて落ち込んでいる子を心配する余り、あれこれ聞きだしたり、アドバイスしたりしそうになるが「過干渉や指示的な関わり方はNG」と指摘。「子どもが話したいと思う時に、ゆっくり様子を聞きながらサポートを」と説明している。

 【3月は人口激減期】
 県がこのような配布物を通じ、高卒者に「つながり」の意識付けを図っている背景には、急速に進む人口減の問題がある。人口推移に関する諸統計を見ると、県内では出生数の減による減少に加え、毎年3月には就職や進学を機に岩手を離れる人により、3500〜4000人規模の急激な人口減が生じている。水沢公共職業安定所がまとめた昨年12月末現在の新規高卒者の就職内定状況によると、就職先が決まった367人のうち138人は県外企業。3人に1人は本県を離れて就職する状況だ。
 人口減少は産業活動や地域振興、税収などあらゆる面に影響を与える問題だけに、さまざまな分野で対策が講じられている。一方で今回のような取り組みは、結婚や出産・子育て支援などと同様、当事者個々の思いや考え方も尊重する必要もある。公的立場からの押し付けや一方的な雰囲気づくりにならないような配慮と事業展開が大切となる。
 配布事業に携わったジョブカフェいわての担当者は「新しい門出を祝い、県外に行く人でもまずはそれぞれの進学先や就職先で頑張ってもらいたい」と話す。その上で本県の魅力や就職情報を配信することで、卒業後、または将来的に、古里に戻りたいと考えている人たちに対し、丁寧にサポートしていきたいとしている。

写真=県内就職促進に向けた「いわてカレンダー」。間もなく卒業する高校3年生全員に配布される
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tanko 2018-2-14 19:00
 世界各国の国際リニアコライダー(ILC)関連の研究者が集まる「ILD meeting 2018」は20日から22日まで、一関市の一関文化センターを主会場に開かれる。2014(平成26)年に水沢区で開催したのに続き、国内では2回目。素粒子の衝突現象を捉える検出器「ILD(International Large Detector)」の研究開発に携わる国内外の関係者約70人が参加し、会議や意見交換会などを行う。

 ILDミーティングの開催は、13日に盛岡商工会議所が開いた定例会見で明らかにされた。すでにネット上には同会議のホームページ(英文)が開設されており、日程等が閲覧できる状態になっている。
 会議を主催するのはILD meeting 2018国際組織委と同現地実行委。現地実行委議長は、東北大大学院理学研究科物理学専攻の佐貫智行准教授が務める。
 開幕初日、岩手県ILC推進協議会(会長・谷村邦久盛岡商工会議所会頭)が共催するウェルカムレセプションを、一関市内の郷土料理レストランで開催。勝部修一関市長らも出席する予定だ。21日のバンケット(夕食会)には、候補地周辺の自治体や谷村邦久会長らが出席する。
 ILCは、物質の起源や宇宙誕生の謎を解明することなどを目的に、世界に唯一つくる国際研究所。世界中の素粒子物理学者らが実現に向けて協議を進めており、江刺区から一関市、宮城県気仙沼市にかけての北上山地が最有力候補地となっている。
 実験を行う施設の主要部分は、地下に掘られる直線トンネルの中にあり、その中心部分で両端から加速させた電子と陽電子を衝突させる。衝突部分に設置されるのが検出器で、「ILD」と「SiD(Sillicon Detector)」の2台を設置する計画だ。双方とも高さ10m以上、重さ1万t以上という巨大な装置で、目には見えない素粒子の衝突現象を捉える。

ILD(右下)とSiDの完成予想図。矢印部分に描かれた人間のイラストから装置の巨大さが想像できる((C)Rey.Hori/KEK)
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tanko 2018-2-12 19:00
 江刺ユネスコ協会(高橋新平会長)主催の第23回江刺ユネスコ作文コンクール表彰式は10日、江刺生涯教育センターで行われ、世界平和の尊さなどについて真っすぐな意見をつづった区内の中高生12人をたたえた。中学生の部では市立江刺一中2年の生野愛奈さん、高校生の部では県立岩谷堂高3年の千葉優香さんがそれぞれ最優秀賞に輝いた。
 ユネスコ協会が主唱する世界平和や環境保護などについて考えるきっかけにしてもらおうと開催しているコンクール。昨年10月から募集を開始し、中学生の部に12点、高校生の部に5点の応募があった。岩谷堂高の大内高志校長を委員長とする審査員ら5人で今年1月24日に審査を実施した。
 表彰式で高橋会長は「人生では、さまざまな人との関わりが大切。感謝の気持ちを忘れずに立派な人間に成長して活躍してほしい」とエールを送り、受賞者に表彰状と盾を授与した。
 大内審査委員長は「国際リニアコライダー(ILC)やSNSについて取り上げた作文もあり、新たな傾向も見られた」と講評。「作文を通じて皆さんの体験をこれからの将来にどう生かすかを知ることができた。たくさんの人と手を取り合って平和を実現してほしい」と激励した。
 生野さんと千葉さんを除く受賞者は次の通り。
 【中学生の部】▽優秀賞…太田仁奈(江刺東2年)久米紗奈(江刺南2年)▽優良賞…阿部唯果(江刺東2年)千田愛蘭(江刺南2年)三上愛(江刺一2年)千葉万穂(同)
 【高校生の部】▽優秀賞…菊地琴葉(岩谷堂3年)菊地一輝(同)菊地美玲(同)▽優良賞…及川由紀菜(同)

写真=祖父母から聞いた戦争体験を基に世界平和の尊さを訴え、高校生の部最優秀賞に輝いた千葉優香さん
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tanko 2018-2-9 18:50
 国際リニアコライダー(ILC)が実現したら、大勢の外国人がこの地域に生活し、さまざまな施設もできるそうですね。ILCは北上山地にできるということは、山の中に外国人が暮らす巨大な都市ができるということですか?

施設近くは実験関連の建物が中心

 ILCの実現が決まった場合、建設技術者や研究者、その家族など年間1万人程度の外国人が来ると見込まれています。これは、スイス・ジュネーブにある欧州原子核研究機構(CERN)の実績に基づくものです。しかもこれらの人たちは、短期の来日ではなく、数年にわたる長期の滞在です。
 このため、ILCで行う研究や実験などに関する話し合いと並行して、外国人を含む関係者の受け入れに必要な環境整備、まちづくりについても、研究者ばかりでなく、行政や経済産業団体の関係者が話し合っています。もしILCが実現したらどんなまちになるのか、とても気になるところです。
 ILCは有力候補地である北上山地の地中にトンネルを掘って造ります。なので「山の中に巨大な研究所や研究者が造るまちができる」と思ってしまいそうですが、少し違います。
 まず、ILCの実験施設のほとんどは、地中のトンネルや大きな部屋の中に装置を置くので、地表からそれらの施設が見えるわけではありません。地中の実験施設へは、地上とをつなぐアクセストンネルを通って入っていくことになります。
 アクセストンネルは、検出器など巨大な実験装置を置く部屋がある中央部分(衝突地点)のほか、加速器を中心とした装置が設置される直線トンネルの途中数kmごとに造られる予定です。
 中央部分の出入り口付近には、素粒子の衝突現象を計測するのに必要な施設が集まる「実験サイト」になります。装置を動かしたり、修理をしたりする現場の拠点です。途中のアクセストンネルの出入り口近くには、加速空洞を冷やすための「液体ヘリウム」を製造する装置や電源など、関連する施設が設置される程度です。
 「実験サイト」からおよそ30〜40分ぐらいの範囲で移動できる場所に造られるのが、「メーンキャンパス」と呼ばれる中核施設です。参加研究機関や大学など約370機関の事務室や研究施設が集まる「ILC国際研究所」をはじめ、さまざまな情報を管理するコンピューターセンター、国際会議・研修施設、宿泊・飲食施設、サービス施設などが集まるエリアです。
 新幹線駅があり、研究者の皆さんの生活エリアを想定する平野部や市街地からも30〜40分ぐらいで到達できる場所を想定。つまり、実験サイトと市街地の中間地点にメーンキャンパスをつくることで、自宅やまちからの通勤も、実験施設にも行くのにもちょうどいいわけです。バス停やヘリポートなどの交通系施設など基幹となる重要な建物や施設も建設・整備されます。
 このほか、ILCに直接関連した技術、応用した技術などを活用し、新製品や新素材を生み出す研究拠点の整備も検討されています。
 このようにILCの本体のすぐそばには、実験に必要な施設や設備が、必要最小限の範囲で開発や建設されることになると思います。巨大なビルや建物を山の中につくって、都会のように開発をするというわけではありません。周辺の自然環境や、もともとそこに生活していた地域住民に極力影響を与えないようにすることが大切です。
(中東重雄・奥州宇宙遊学館館長)

番記者のつぶやき
 加速器を設置する直線トンネルの途中に造られる「アクセストンネル」と、ほぼ似たような役割を果たしている施設が奥州市前沢区や平泉町にあります。JR東北新幹線の一ノ関トンネルに設けられた「斜坑」という施設です。一ノ関トンネルは一関市舞川から前沢区生母字下沢田までの全長9730mに及ぶトンネルです。その途中に、地上へと通じるトンネルが2カ所あります。山肌から斜めに掘られている坑道(トンネル)なので「斜坑」と呼ばれています。
 長いトンネルを建設するとき、両端から掘ったり資材を運んだりしていると時間がかかるので、途中に横穴を掘って作業をすることがあります。完成後は、保守点検のための出入り口や緊急避難時の通路に使うことが可能です。
 周辺は有刺鉄線の付いたフェンスで囲われ、斜坑の扉も鍵のついた頑丈なものになっています。勝手に中に入ったり物を投げ入れたりすると、厳しく罰せられるので絶対にやめてください。
(児玉直人)

写真=JR東北新幹線・一ノ関トンネルの斜坑一つ「音羽斜坑」(奥州市前沢区生母地内)
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tanko 2018-2-9 18:40
 国際リニアコライダー(ILC)誘致に関連した奥州市議会の特別委員会と議員連盟は8日、市役所本庁7階委員会室で相次いで会合を開き、これまでの取り組みを総括した。任期満了に伴う市議選を3月に控えており、両組織はいったん閉じた上で、新しい議会構成の中で活動を継承させる見通しだ。
 特別委は議長を除く全議員、議連は全議員で構成し、どちらも2014年に設置した。特別委では各種視察や誘致を巡る現状把握などの調査活動を実施。議連は、国政関係者らへの要望活動や地元中学生らの絵を活用したILC宣伝看板の設置などを展開した。
 会合終了後、議連会長でもある同特別委の渡辺忠委員長が取材に応じ、市が2016(平成28)年度に策定した「ILCまちづくりビジョン」に基づく具体的な取り組みがほとんどなされていない点を指摘。「近隣自治体の議会との連携も含め、新しい議会でつくる組織に検証などを申し送りしたい」と述べた。
 大船渡市議会が昨年6月、ILC議連を立ち上げたことに触れ「沿岸を含めた県南地域の議会が一体になって行動するような勢いが必要。国への要望も、ほかの要望事項に付け加えるのではなく、ILC一本で行くぐらいの気構えが必要だろう」と指摘した。
 同特別委の調査報告は、開会中の市議会2月定例会の最終日に行われる。

写真=市が2016年度に策定したILCまちづくりビジョン
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tanko 2018-2-8 19:10
 鈴木俊一オリンピック・パラリンピック担当大臣(衆院岩手2区)や達増拓也知事らは7日、大島理森衆院議長(衆院青森2区)ら国政関係者や文部科学省に対し、素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の日本誘致と早期実現を求める要望書を提出した。

 要望活動に参加したのは鈴木大臣、達増知事のほか、県立大学の鈴木厚人学長、県ILC推進協議会の谷村邦久会長(県商工会議所連合会会長)ら。大島議長をはじめ、ILC議連の河村建夫会長(衆院山口3区)と塩谷立幹事長(衆院静岡8区)、新妻秀規・文部科学政務官(参院比例)に提出した。
 要望書ではILCが科学技術創造立国の実現やものづくり産業の競争力強化などを促すプロジェクトであることを強調。中国においてILCのライバルと言われている超大型円形加速器「CEPC」の設計が急速に進められている現状や、東北や岩手県内における準備状況についても触れた。
 その上で国に対し?政産学および地域社会での取り組みを海外政府に発信し、海外からの大きな資金分担の可能性と研究参加に関する国際調整を速やかに進めること?産業・情報・技術のネットワークと国際科学技術イノベーション拠点の形成、民間活力を伸ばす成長戦略、地方創生など学術以外の観点についても可能性を検討すること?ILCの中心を成す超電導加速器技術は基礎科学・医療・エネルギー・安全保障など幅広い利用が進むことから、省庁横断的に取り組むこと?具体的かつ建設的な国際プロセス案、投資や人材の国際分担に対する基本的な考え方を日本政府として早期に明示すること――を求めた。
 要望に同行した県科学ILC推進室の佐々木淳室長は、胆江日日新聞社の電話取材に「大島議長からは、同じ東北出身の議員として実現に向けて進みたいとするニュアンスの言葉をいただいた。塩谷幹事長は、欧州側との議論も始まったことなど、実現に向けた取り組みの状況の説明があった」と答えた。
 ILCは世界に唯一作られる素粒子実験施設として、世界中の素粒子物理学者らを中心に計画。江刺区から宮城県気仙沼市にかけての北上山地が有力候補地となっている。
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tanko 2018-2-6 18:50
 岩手県は5日、歳入歳出をそれぞれ9533億4800万円とする2018(平成30)年度一般会計当初予算案を発表した。東日本大震災の復興関連事業がさらに進んだことで、2017年度当初比で263億8500万円(2.7%)減少した。予算規模は縮小しているものの、人口減少がさまざまな分野に影響を及ぼしている実態を踏まえ、県ふるさと振興総合戦略(2015年度策定)に基づいた取り組みに力を入れる。国際リニアコライダー(ILC)誘致実現に向けた調査研究事業費は、同比3390万円増の1億490万円とした。当初予算案は15日招集予定の県議会2月定例会に上程し、審議される。

 県予算は大震災発生翌年の2012年度以降、一般的な行政運営や全県を対象とした予算を「通常分」、震災復興に関連した予算を「震災分」に大別している。
 2018年度の通常分予算は、6684億4100万円で、2017年度当初比69億6200万円(1.0%)減。震災分は2849億700万円で、同比194億2200万円(6.4%)少ない。
 通常分歳入のうち自主財源は2743億2300万円で通常分総額の41.0%に相当する。依存財源は3941億1800万円で、通常分の59.0%を占める。自主財源は2017年度当初比0.5%、依存財源は同比1.4%それぞれ少ない。
 通常分歳出は、人件費などの義務的経費が3013億300万円で、2017年度当初比98億3000万円(3.2%)減。投資的経費は939億9200万円で、同比3.7%増。補助費や貸付金などを含むその他経費は2731億4700万円で、同比0.2%減とした。
 2018年度についても、大震災や一昨年の台風10号被害からの復旧・復興に最優先で取り組む方針。災害公営住宅整備事業費は48億6330万円で、沿岸市町村のほか内陸部への整備を進める。台風関連では、岩泉町などの河川復旧・改修事業費に総額約117億2430万円計上した。
 災害関連以外で重要視しているのが「ふるさと振興」。人口減少に歯止めをかけるため、県ふるさと振興総合戦略に掲げた「働く」「育てる」「暮らす」の3分野に基づいた取り組みを展開する。
 各種産業振興や定住化促進を図る「働く」では、水稲や園芸作物などの産地化・競争力強化を図る取り組みを支援する「強い農業づくり交付金」は8億9800万円。ものづくり産業の高度技術・技能人材育成事業に2億5000万円計上した。
 子育て支援や出生率向上を目指す「育てる」に該当する事業では、周産期医療対策費として3億2700万円、新生児のヘリコプター搬送用設備整備の経費補助として500万円を盛り込んだ。市町村が行う地域子育て支援拠点事業や一時預かりなどへの経費助成は、2017年度当初より1億5060万円多い14億6760万円とした。
 地域社会の魅力向上や医療福祉の充実、文化・スポーツの振興などに関する「暮らす」の分野では、津波で被災したJR山田線・宮古〜釜石間を三陸鉄道(株)に経営移管するための交付金として19億9900万円を投じる。
 文化・スポーツ関係は「ラグビーワールドカップ2019」「東京オリンピック・パラリンピック(オリ・パラ)」を意識した事業がめじろ押し。県産材をオリ・パラ選手村施設に使用する事業に3300万円。GAP(農業生産工程管理手法)を取得し県畜産品のオリ・パラ施設供給などにつなげる事業に900万円計上した。
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tanko 2018-2-4 18:50
 奥州市は、政治家・椎名悦三郎氏(1898〜1979)の旧邸宅などが残る水沢区吉小路の市有地で、建物類の解体工事を進めている。外務大臣や自民党副総裁などの要職を務めた悦三郎氏、衆参両議院を務めた次男の素夫氏(1930〜2007)を知る人たちにとっては、思い出深い場所。敷地一角にある悦三郎氏の胸像などは、そのまま残される。素夫氏は生前、「水沢3偉人」などの顕彰の場になることを望んでいたといい、地元住民らを中心に有効活用を願う声もあるが、市は当面、公有車の駐車場にするという。

 市財産運用課によると、解体しているのは悦三郎氏が暮らしていた邸宅と、後援会の会合などに使われていた「清和会館」、悦三郎氏の実弟で元県議の故・後藤五郎氏の邸宅、市道に面していた門など。作業に先立ち、市は地元への説明を済ませており、歴史的価値のある遺品や文献の有無などについても、市教育委員会歴史遺産課が調査したという。
 悦三郎氏は旧商工省総務局長などを経て、1955(昭和30)年に衆院議員に初当選。官房長官、通商産業大臣、外務大臣、自民党副総裁などの要職を歴任した。市民運動の形で浮上した東北新幹線の「新水沢駅」誘致にも携わり、悦三郎氏の死後、水沢江刺駅として実現している。悦三郎氏の地盤を引き継いだ素夫氏は、生まれも育ちも東京だが、水沢入りした際には邸宅で過ごすこともあったという。
 清和会館前には悦三郎氏の顕彰碑や胸像がある。胸像は馭年の悦三郎氏生誕100年を記念し建立したもので、台座の銘版は韓国の外務部長官を務めていた李東元氏(1926〜2006)が揮毫。李氏は、悦三郎氏が外相時代に取り組んだ日韓条約締結交渉の際、韓国側の外相を務めていた。
 悦三郎、素夫両氏をよく知り、自らも新幹線駅誘致に奔走した同区新小路の箱崎清高さん(84)は「最近は建物がぼろぼろになり雑草も伸び放題。前を通るたびに忍びなかった」と語る。
 吉小路は高野長英や後藤新平、斎藤實の「水沢3偉人」の誕生の地。旧椎名邸前の市道は「偉人通り」の愛称で呼ばれ、年に一度顕彰イベントが繰り広げられている。箱崎さんによると、素夫氏は市に土地や建物を寄贈するに当たり、地元支援者らからのアドバイスもあって、3偉人を顕彰するための場としての利用を望んでいたという。
 市財産運用課は、地元から有効活用を望む声があることを認識しながら「当面は、公用車の駐車場として使いたい」としている。

写真=解体工事が進む旧椎名邸や清和会館などがある水沢区吉小路の市有地。写真右側に見える悦三郎氏の胸像などは残される

※補足…椎名素夫氏が代表を務めていた国際経済政策調査会(PSG)は1999年「加速器科学研究会」を設置。以来、ILCに関する情報収集や学習機会を設けていた。
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tanko 2018-2-4 18:40
 第68回胆江地区児童画展は3日から4日まで、水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)で開かれた。児童たち一人一人の個性が輝く絵画が並び、市民らの関心を引いていた。
 児童たちの造形意欲や豊かな情操を育むことを目的に、胆江地区図工研究会(会長・高橋豊和水沢小学校校長)が毎年開催。年度の終盤に開かれ、児童たちの取り組みの集大成を披露する場として定着している。本年度は、管内の30小学校から652点の作品が集まった。
 会場には、お気に入りの物語や学びやの風景画などに加え、浮世絵にチャレンジしたり仕掛けを施したりとアイデア満載の絵画も。国際リニアコライダー(ILC)を題材にした作品もあり、子どもらしい伸び伸びとした発想を画用紙に表現している。
 同研究会事務局は「各校のカラーや児童の個性があふれる作品が勢ぞろい。児童たちの努力の足跡を見に来てもらえたら」と話していた。

写真=児童たちの力作が並ぶ胆江地区児童画展
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tanko 2018-2-2 18:40
 ILCは宇宙誕生の謎を調べるそうですが、どうして宇宙に始まりがあることが分かったのでしょうか。宇宙が誕生する前は、一体何があったのでしょうか。

理論と観察結果から分かりました

 「宇宙には始まりがある」という科学的な考え(学説)は、いつごろからあったか、振り返ってみましょう。
 アルベルト・アインシュタイン(1879〜1955)は、1915年に重力場の理論である「一般相対性理論」を発表しました。この理論によって「宇宙誕生のモデル」が作れるのではないかと考えたのです。
 アインシュタインは、当時信じられていた「宇宙は静止している」という「定常宇宙モデル」を導こうとして、自身の基礎方程式である「アインシュタイン方程式」を解き始めます。しかし「アインシュタイン方程式」では、万有引力はすべての物質に引力として働くため、はじめは静止していても宇宙の物資はお互いの重力が作用し合い動いてしまうので、宇宙は「膨張」または「収縮」してしまいます。
 その後、旧ソ連の宇宙物理学者、数学者のアレクサンドル・フリードマン(1888〜1925)や、ベルギーの宇宙物理学者ジョルジュ・ルメートル(1894〜1966)は、アインシュタイン方程式を解きます。その結果、フリードマンは「大きさのない宇宙が誕生」し「膨張する」か「膨張後、収縮する」。ルメートルは「宇宙は膨張している」という考えをそれぞれ発表しました。このように理論的には「宇宙は、どうやら膨張しているらしい」と考えられるようになります。
 1929年になり、エドウィン・ハッブルというアメリカの天文学者が、銀河を観測していたところ「宇宙が膨張している」ことを発見しました。ハッブルは、遠くの銀河ほど速い速度で遠ざかっていることを見いだし「ハッブルの法則」として発表した。理論だけでなく観測結果からも「宇宙は膨張している」ことが分かったのです。このことは「宇宙には始まりがある」ということを端的に示している重要な観測事実です。
 また「空間が膨張している」という観測事実は、「宇宙全体の体積が増加するため、物質やエネルギーの密度は低下する」ということを物語っていることになります。
 逆に、現在から宇宙誕生の瞬間に向かって時間をさかのぼっていくと、密度は上昇することになります。物質の密度やエネルギーはどんどん増大すると、温度も上昇します。
 単純に考えれば、138億年前には密度と温度が無限大となります。この状態が、宇宙誕生直後の大爆発「ビッグバン」に当たります。宇宙は、密度と温度が極めて大きい、超高温・超密度状態から始まったことになります。
 では、フリードマンらが提唱した「大きさのない宇宙」とはどのような宇宙なのでしょうか。これまでにさまざまな理論が唱えられていますが、それらを用いて宇宙誕生前の状態を解き明かすには、あと100年ぐらいはかかるとも言われています。残念ながら、現在の物理学では「宇宙の始まり」について何も答えることができません。
(中東重雄・奥州宇宙遊学館館長)

番記者のつぶやき
 久しぶりに「科学」の専門的な話を取り上げました。
 宇宙もそうですが、科学の世界には一度疑問を持ちだすと、次から次へと「なぜだろう」「わからない」という新たな疑問が生まれてきます。一般の人たちからすれば、研究者の皆さんは難しそうな研究や観測、実験に挑んでいるように見えますが、おそらく、とても素朴で単純な疑問がすべての始まりなのではないかと思います。
 宇宙に誕生する瞬間があったとすれば、もしかしたら「終わる瞬間」もあるかもしれません。知りたいような、知りたくないような……ですね。
(児玉直人)

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