人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

県外へ進学・就職しても…… 岩手とつながって!(今春高卒者に地元の魅力PR)

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tanko 2018-2-14 19:10
 岩手県商工労働観光部雇用対策・労働室は、今春県内の高校を卒業する生徒らに、岩手の魅力を情報発信する「いわてカレンダー」と企業・就職情報提供サービスなどの案内チラシを配布した。人口減少が著しい本県にあって、3月は1年の中で最も人口が減る時期。県外へ進学、就職する若者が多いことなどが主な要因となっている。生徒たちそれぞれの夢や目標を尊重しつつも、大学卒業後や一定の職業スキルを身に付けた後に「岩手に戻りたい」という気持ちになるよう、卒業生本人はもちろん、親に対しても情報を提供していく。(児玉直人)

 【地域の魅力満載のカレンダー】
 カレンダーやチラシの配布は昨年度から実施。1月23日に県内各高校に配布し、卒業式までに3年生各生徒に配るよう呼び掛けている。
 カレンダーはA4サイズで、4月からスタートする「年度タイプ」となっている。各月の下半部は日付、上半分は素朴な岩手を象徴する事柄や物産などを列挙したイラストになっている。
 イラストには、胆江地区ゆかりの事柄も見られる。9月のテーマは「伝統工芸」で、岩谷堂箪笥や南部鉄器などを紹介。10月は「偉人」で、後藤新平や高野長英らの姿も。最終月の3月は「最前線」で、国際リニアコライダー(ILC)やスローライフ、ラグビーワールドカップ2019を取り上げている。
 カレンダーとともに配布したのが、就職関連情報を提供するサービスの登録案内と、各種相談窓口の紹介チラシ。生徒用と保護者用の2種類を用意した。
 事前登録制の情報提供サービスは、主に県外など自宅から離れた地域の大学や短大、専門学校に進学する生徒向けに実施。月1回程度の割合で、県内企業の紹介やインターンシップ、就職関連イベントの案内などを配信する。
 保護者向けのチラシには相談窓口のほか、わが子との今後の関わり方に関するアドバイス文も掲載している。肉体的、精神的な疲労、悩みを抱えて落ち込んでいる子を心配する余り、あれこれ聞きだしたり、アドバイスしたりしそうになるが「過干渉や指示的な関わり方はNG」と指摘。「子どもが話したいと思う時に、ゆっくり様子を聞きながらサポートを」と説明している。

 【3月は人口激減期】
 県がこのような配布物を通じ、高卒者に「つながり」の意識付けを図っている背景には、急速に進む人口減の問題がある。人口推移に関する諸統計を見ると、県内では出生数の減による減少に加え、毎年3月には就職や進学を機に岩手を離れる人により、3500〜4000人規模の急激な人口減が生じている。水沢公共職業安定所がまとめた昨年12月末現在の新規高卒者の就職内定状況によると、就職先が決まった367人のうち138人は県外企業。3人に1人は本県を離れて就職する状況だ。
 人口減少は産業活動や地域振興、税収などあらゆる面に影響を与える問題だけに、さまざまな分野で対策が講じられている。一方で今回のような取り組みは、結婚や出産・子育て支援などと同様、当事者個々の思いや考え方も尊重する必要もある。公的立場からの押し付けや一方的な雰囲気づくりにならないような配慮と事業展開が大切となる。
 配布事業に携わったジョブカフェいわての担当者は「新しい門出を祝い、県外に行く人でもまずはそれぞれの進学先や就職先で頑張ってもらいたい」と話す。その上で本県の魅力や就職情報を配信することで、卒業後、または将来的に、古里に戻りたいと考えている人たちに対し、丁寧にサポートしていきたいとしている。

写真=県内就職促進に向けた「いわてカレンダー」。間もなく卒業する高校3年生全員に配布される
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