岩手県奥州市・金ケ崎町をエリアとした地域新聞社による国際リニアコライダー(ILC)関連記事を掲載。 奥州市東部の北上山地は、現時点における世界唯一のILC候補地に選定されました。当サイトにはILCをはじめ、理系分野やILCに関連性のある地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)についての記事を随時アップします。

【連載】ILC子ども科学相談室・20 快適に暮らせるまちとは?

投稿者 : 
tanko 2018-3-23 11:20
 国際リニアコライダー(ILC)の実現したときのまちの様子について、いろいろと考えてきました。外国人を含めた多くの人たちが快適に暮らせる、にぎやかなまちをつくることで、今のまちより活気が生まれると思います。一方で豊かな自然をなくさないでほしいという意見もありました。どういうまちの姿が一番いいのでしょう?

「大都会=すべて快適」ではない
 「便利で快適なまち」をイメージするとき、東京や仙台のような大都会を思い浮かべる人がいるかもしれません。
 超高層ビルが立ち並び、地下鉄が網の目のように走り、地上ではアリの行列のように自動車が走る。たとえ電車に乗り遅れても、数分後に次の電車がやってきます。デパートやブティック、いろいろな分野の専門店が数知れずあり、欲しいものは何でもそろいます。年中無休、24時間営業の飲食店もあちこちにあるなど、都会での生活は便利な面がたくさんあります。
 ただし「お金があれば」という条件が付きます。例えば住むことを考えてみると、都会の土地や家賃の価格は、奥州市の何倍、何十倍もします。たくさんの人や車が走り、建物も多いので、岩手と比べれば空気が「きれい」とは言いにくい面もあります。お金や自然環境などから考えると、本当に快適なのかと思う点があります。そしてこれらはすべて「便利さの代償」です。
 確かに奥州市や金ケ崎町では、JRの列車は1時間に1本程度しか走っていません。路線バスは、1日数本しか走っていない場所もあり、土・日は運休という路線もあります。このような点だけを見れば、都会よりも不便だと感じます。
 しかし、ものは考えようです。1時間に1本しか列車が来ないことが分かっているのですから、列車の時刻に合わせ、集中して仕事や買い物をすればよいのです。無駄な時間やお金を消費するのを抑えることは、自然と環境保護にもつながるとともに、非常に高効率的な暮らしができます。
 とはいえ、生活するうえで最低限度の「便利さ」は必要です。どのような、まちが理想的でしょうか?
 第一に考えなければならないのは、高齢化対策です。特に、電車や路線バスなど交通インフラ(基盤)の充実です。交通インフラが充実すると、マイカー利用も少なくなり、排出ガス公害も少なくなります。交通事故、飲酒運転の心配も今までより少なくなる良さも生まれます。
 次に住宅です。ILCに関連したまちづくりの計画を見ると、住居の基本的な考え方は、コンクリートの高層マンション、アパートではなく、日本家屋形式の平屋一戸建ての住宅です。戸建のほか、単身者や2〜3人の小人数家族用の住宅、コミュニケーションを目的とした集会所のような交流施設なども必要です。
 道路網の整備、そして標識の充実も求められます。外国の人々はアウトドア派が多いです。岩手県は自然が豊かであり、田んぼ、畑、森林、河川、湖、海に加え、多くの温泉もあります。そのような場所への道路アクセスをよくしたり、外国人ドライバーにも分かりやすい案内標識の整備が必要になってきます。
 皆さんに認識してほしいのは、多くの高層ビルが立ち並び、電車やバスがひっきりなしに行き交い、店舗やショップが多く立ち並ぶまちが「便利なまち」「快適なまち」だとは言い切れないという点です。そして今まで岩手県で生活してきた皆さんが、いかに自分たちの生活環境を犠牲にせず、気兼ねなく外国人研究者を含むILC関係者と接し、協働生活ができるかということに尽きるでしょう。
(中東重雄・奥州宇宙遊学館館長)

番記者のつぶやき
 仕事やレジャーで年数回、東京や仙台に足を運ぶことがあります。その都度感じるのが、岩手で生活しているとき以上に「歩く運動をしているなあ」という点です。
 大人になって車を運転するようになると、家から店の目の前の駐車場まで車に乗ったまま一気に移動ができます。ところが都市部では、お目当ての店のすぐ前に駐車場があるとは限らず、少し離れた有料駐車場などを利用して歩いていかなければいけません。
 地下鉄の乗り換えでは、同じ駅でも500m以上歩かなければいけない場所も。やっとのことで、列車に乗り込んだ時には汗だくという状態です。
 車を運転できるうちは、都会よりも地方の生活のほうが実は便利と感じる面もあります。しかし、確実に運動不足になってしまいますね。便利すぎることには、欠点がつきものなのかもしれません。
(児玉直人)

写真=大都会はさまざまな魅力がありますが、すべてにおいて「快適」とは言い切れません。自然豊かな地方だからこその「快適さ」もあります(資料)
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