岩手県奥州市・金ケ崎町をエリアとした地域新聞社による国際リニアコライダー(ILC)関連記事を掲載。 奥州市東部の北上山地は、現時点における世界唯一のILC候補地に選定されました。当サイトにはILCをはじめ、理系分野やILCに関連性のある地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)についての記事を随時アップします。

科学する心支え10周年(奥州宇宙遊学館)

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tanko 2018-3-23 11:10
 国立天文台水沢キャンパス=水沢区星ガ丘町=にある奥州宇宙遊学館(中東重雄館長)は、来年度で開館10周年の節目を迎える。研究施設の敷地内という立地条件もあって、開館当初は「どこにあるか分からない」という状況だったが、天文学を中心とした多彩な学習イベントの開催、出前講座の実施などを通じて知名度が上がり、年間来館者数は上昇傾向にある。同館の指定管理者であるNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)は4月21日、記念式典などを水沢区内のホテルで予定している。

 同館の整備は、1921(大正10)年に建築された旧水沢緯度観測所(現・国立天文台水沢VLBI観測所)2代目本館の取り壊し問題が発端。老朽化を理由に2005年度中に取り壊しする方針だったが、保存活用を求める熱烈な市民運動により一転、国から市へ無償譲渡され、耐震補強や改装工事を経て2008年4月20日にオープンした。
 宇宙や天文学、緯度観測所の歴史を楽しく学べる常設展示コーナーをはじめ、特殊な眼鏡を装着して星空や惑星を立体視できる「3Dシアター」は、大人から子供まで根強い人気。近年は、北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関連した展示スペースも設けている。建物自体の歴史的価値も認められ、昨年国の登録有形文化財(建造物)になった。
 来館者数は初年度1万620人。その後しばらくは、1万3000人台を推移。当時は天文台の場所自体が広く認知されておらず、案内表示の改善を求める声が市議会などから上がっていた。その後、国道4号など主要幹線路に誘導看板が設置された。
 2012(平成24)年度から1万6000人台を突破するようになり、本年度は今月19日時点で1万8898人が来館。過去最高だった前年度の1万8100人を上回り、1万9000人台に手が届きそうな勢いだ。
 同種の博物館・科学館施設で来館者確保に頭を悩ませる中、同館の来館者増を支えている秘密が、多彩な体験型イベント。天文学に限らず、自然科学や関係する歴史、文化などに触れて学ぶ場を次々と提供している。
 「単なる実験ショーに終わらせない」をモットーに、少しでも学習につながるような内容にしている。大江理事長ら天文台OBや現役研究者のほか、元理科教師やエンジニア、医師ら地域在住の有識者が講師などの形で協力。日食や月食、日本人宇宙飛行士が搭乗するロケットの打ち上げなど、宇宙や天文に関する話題を積極的にイベントや企画展示などの形で取り入れている。
 これまでの歩みを振り返り大江理事長は「天文台や市民の皆さんの協力もあって、他ではできないような取り組みも実現できた。一方で反省点や課題もまだまだある。科学館的な機能を持たせる上でも、学芸員のような専門職の採用も視野に入れた環境整備が必要になると思う。行政側のさらなるバックアップをお願いできれば」と話している。
 関係者を招待しての記念行事は、4月21日に実施。国立天文台天文シミュレーションプロジェクト長の小久保英一郎教授を招いての講演会、記念式典、祝賀会を予定している。

写真=開館10周年を迎える奥州宇宙遊学館
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