人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC「関心ある」4分の1 市内高校生、学校や学科で温度差

投稿者 : 
tanko 2015-5-8 9:50
"1/4 of Oshu High School Students `Interested in ILC`: Gap in Enthusiasm Between Schools and Academic Departments"
In English http://www.city.oshu.iwate.jp/htm/ilc/english/news.viewer.html?prm=2015050800

 奥州市内の高校生で国際リニアコライダー(ILC)計画に関心があるのは4分の1程度で、理系の進路を考えている生徒らに偏っていることが奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)の調査で分かった。巨大プロジェクトでありながら国民世論の高まりに乏しいILC計画。官民挙げ誘致に熱を注ぐ国内候補地の“お膝元”であっても、地域の将来を担う若い層への理解浸透は道半ばの状態だ。ILCを見据えた地域社会では多様な人材の力が求められると言われており、「ILCと自分たちの関係」を考えるような取り組みが求められそうだ。
(児玉直人)

 同協会は今年3月、市内の全日制高校7校に調査を依頼。1、2年生(水沢のみ2年生。いずれも調査当時)1408人から回答を得た。その結果、ILC関連のニュースに「興味がある・とてもある」と答えた生徒は25%。「ILCの講演会等を聞いたことはあるか」「ILCについて知っていることはあるか」「期待することはあるか」の各設問で、「ある」と答えた生徒は30%前後だった。
 関心の高い生徒は水沢高の理数科など、理系分野に興味関心がある生徒に集中。同じ水沢高でも文系コースの生徒の関心はあまり高くなかったという。
 「ILCが何なのか知らない生徒も結構いるようだ」と同協会の渡部千春事務局長。4月24日に市内を訪れた国内外の素粒子物理研究所広報担当者に調査結果を公表したところ、イギリス科学技術施設会議の担当者が「駅前で(ILCの)のぼり旗や看板を見て、ものすごい歓迎ぶりを感じていたのに驚いた」と話していたという。
 渡部事務局長は「物理の実験施設ではあるが、産業や教育、環境、まちづくり、文化振興など日常生活にかかわるさまざまな面に関連性が生まれる。胆江地区には多様な学科があり、それぞれの分野で学んだことが、地元で役立つ可能性もある。科学技術という一面だけにとらわれず、ILC誘致の意義を深める必要があるのではないか」と指摘する。
 ILCを迎える上で不安に思うことも尋ねたところ、放射線の影響の有無のほか「国際化によって日本文化が崩壊するかもしれない」「テロの標的になるのでは」といった声も寄せられた。東日本大震災や福島第1原発事故、テロリストによる残虐な事件など、社会の大きな出来事と照らし合わせながら答えたとみられる。
 渡部事務局長は「英語ができるか、異文化になじめるかという不安もあるが、語学力や知識よりも相手を思いやる気持ちが大切。これは普段の日本人同士の生活でも同じだ。(スイス・ジュネーブの)CERNでは、60年前の建設時に地元住民に丁寧な説明を繰り返し、歩み寄ったという。アンケート結果は県と市のILC推進室にも提供し、お互いに理解普及策などを考える参考にしたい」と話している。
トラックバックpingアドレス http://ilc.tankonews.jp/modules/d3blog/tb.php/378

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動