人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

意義と課題考える (日本学術会議・都内で23日フォーラム)

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tanko 2014-6-3 10:40
 北上山地への誘致が期待される素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)について考えるフォーラムが、23日午後1時から東京都港区六本木の日本学術会議講堂で開かれる。研究自体の意義にとどまらず、誘致による社会的な効果や課題に至るまで、6人の有識者が意見を交わす。
(児玉直人)

 同会議は首相所轄の特別機関。昨年、文部科学省研究振興局長名でILCがもたらす学術的、社会的意義などについて審議するよう依頼を受け、同6月に「ILCに関する検討委員会」(委員長・家泰弘東京大学物性研究所教授)を設置した。日本の素粒子研究者サイドによる国内候補地一本化に向けた作業が大詰めを迎えようとしていた中で、議論は進められた。
 審議過程を伝える主要報道では、費用負担や人材確保、他学術分野への影響を懸念する部分が強調され、ILCの国内建設にブレーキがかかったかのような印象が一時国内外に広まった。
 最終的に同会議は、ILCで予定されている研究自体には学術的意義を認めつつ、巨額の財政負担や国民理解などの諸課題が存在すると指摘。2〜3年かけ集中的な調査・検討が必要であるとし、政府において調査経費などを措置することや、海外主要国とも国際分担などに関して協議するよう文科省に提言した。
 文科省は今年5月、省内に「ILCに関する有識者会議」(座長・平野真一名古屋大学名誉教授)を設置。誘致建設経費の全容と関係国との分担、人材確保などを検討する作業が始まった。
 今回のフォーラムは学術会議が主催。ILCを取り巻く流れが新たなステージに入ったことや、学術コミュニティー全体の合意形成、さらには国民理解の醸成を図ろうと企画した。
 時間は午後1時から同6時まで。定員300人で当日、先着順で受け付ける。問い合わせは同会議(電話03・3403・6295)へ。
 登壇者と演題は次の通り。

【1】村山斉氏(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構機構長)…ILCでのサイエンス
【2】山下了氏(東京大学素粒子物理国際研究センター准教授)…ILCの加速器・測定器
【3】有本建男氏(政策研究大学院大学教授)…学術政策・行政の観点から見たILC
【4】駒宮幸男氏(東京大学大学院理学系研究科教授)…ILC計画推進の国際体制
【5】今田高俊氏(東京工業大学名誉教授)…人文社会学の観点から
【6】石川幹子氏(中央大学理工学部人間総合理工学科教授)…地域・環境の観点から
 

写真=日本学術会議の検討委で議論を交わす有識者ら。9月末に文科省へ所見が提出された(昨年8月12日の第6回会合の様子)
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