身近な天文学ユーモア交え(天文台水沢の本間所長、生涯学習講座で解説)
- 投稿者 :
- tanko 2023-10-13 17:40

写真=ブラックホール研究や天文台の歴史を解説する本間希樹所長
水沢地区センターと市が共催する生涯学習講座「立生(りゅうせい)大学」の本年度最終講座が12日、水沢聖天の同地区センター体育館で開かれた。国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長が地域史の話題を交えながら、同観測所が取り組んでいるブラックホール研究について講演。ユーモアも交えた分かりやすい解説に、受講生はうなずきながら聞き入っていた。
立生大学は60歳以上の市民を対象に実施。論語の一節「本立而道生」の精神を基に、江戸時代の水沢に開設された郷学「立生館」にあやかっている。本年度は70人が受講登録。5月11日に開講し、6回の全体学習と受講生が選択する学部講座に励んだ。
閉講式に先立ち行われた講演で本間所長は、日本が太陰太陽暦から太陽暦(グレゴリオ暦)に改暦してから今年でちょうど150年に当たると紹介。「改暦を中心になって行った和算家の内田弥太郎(内田五観)は、高野長英の弟子で獄中や逃亡中の長英を支えた人物。現在の暦の作成、主に春分の日や秋分の日、二十四節気を決めているのは私たち国立天文台だ」と、生活に身近なカレンダーが郷土の偉人や天文台に関係していることに触れた。
旧緯度観測所時代からの成り立ち、現在の施設名称にある「VLBI(超長基線電波干渉計)」の意味も分かりやすく説明した。4年前に発表したブラックホールの撮影については、「誰もが納得する『目で見て分かる証拠』を示せたことが非常に重要」と強調。この快挙を祝い、市内の菓子業者がブラックホールの菓子を発売したが、「ブラックホールの可視化と菓子化に成功した」とジョークを飛ばし、笑いを誘った。