人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

国内体制・管理運営検証へ部会新設(ILC文科省有識者会議)

投稿者 : 
tanko 2017-2-3 10:00
 文部科学省の国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議(座長・平野真一名古屋大学名誉教授)は、ILCを実現する上での国内体制の在り方や管理運営体制について検証する。1日に東京都千代田区の同省5階会議室で開かれた第6回会合で、関連事項を専従的に検証する部会「体制およびマネジメントの在り方検証作業部会」設置を了承した。同有識者会議の作業部会設置は四つ目となる。

 同有識者会議はILCの日本誘致を実現する上で解決すべき課題などを検証。政府判断の参考材料となる。
 会議を傍聴した奥州市ILC推進室の担当によると、同日の会合には高エネルギー加速器研究機構(KEK)の山内正則機構長、東京大学素粒子物理国際研究センターの駒宮幸男センター長が招かれた。
 山内機構長は、文科省と米国エネルギー省との協議経過を報告。課題となっている膨大な建設費を削減するため、今年4月からKEKと米国のフェルミ国立加速器研究所(FNAL)が共同で、加速空洞に用いる素材の低価格化などの研究を開始することを紹介した。ILCでは電子、陽電子が駆け抜ける加速空洞の製造に「ニオブ」と呼ばれる金属を使用する計画だが、価格が高いことから純度を落としたニオブでも必要な能力を発揮できるかどうかを研究する。
 駒宮センター長は、昨年12月に盛岡市で開かれた国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」で明らかにした、段階的な施設建設によるコスト抑制策を説明した。当初は全長31kmの直線トンネルを掘り、実験をスタートさせる予定だったものを同20kmに短縮。コンパクトサイズで実験を開始する内容だが、出席委員からは「建設費用は削減されるだろうが、維持費用も減らすことはできるのか」「1兆円だった建設費がたとえ半額になっても金額は大きい。国民は果たして受け入れるだろうか」といった質問や疑問も投げ掛けられたという。
 設置を確認した四つ目の作業部会は、KEKや国内の関係大学の研究者を中心とした国内体制の在り方、国際研究所の意思決定メカニズムなどを検証する。部会座長は、元国立天文台長の観山正見・広島大学特任教授が務める。
トラックバックpingアドレス http://ilc.tankonews.jp/modules/d3blog/tb.php/557

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動