人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

「最大の課題」は手つかず(6回目のILC有識者会議)

投稿者 : 
tanko 2017-2-3 10:10
 ILC有識者会議は、6回目の会合で作業部会をまた新設した。検証すべき事柄はもちろん重要なことだ。
 ただ、有識者会議設置当初から指摘されていながら、本当に解決するつもりがあるのかと首をかしげたくなる「最大の課題」が手つかずのような気がする。「国民理解の形成」だ。
 なぜ国民の間にILCが浸透していないのか――。問い掛け自体は実に単純だ。本紙も機会を見つけては、ILCの周知の在り方について取り上げてきた。
 「今回もそういう指摘はあったが、それに対する回答は『その通りですね』という程度だった」。傍聴した市担当職員はそう話す。震災復興、地方創生、教育など今の日本や地域が抱えている問題とリンクさせた議論がもっと前面に出てきていいはずだが、まだまだ「物理のお話」に終始している。ILCを身近な話題、問題と捉える人はどれだけいるのだろうか。これでは国民の関心は高まるはずがない。
 五輪や新市場など「東京」の問題が全国的な関心を呼んでいるのは、生活に身近なスポーツや食が関係しているからではないか。「基礎科学があるから今の生活が……」ということは、説明されてはじめて分かること。直感ではない。
 もし政府がゴーサインを出さなかったとき、「国民理解の形成が不十分だから」との理由が挙げられたとしても、今の状況だったら何ら不思議ではない。
(児玉直人)
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