人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

タクシー業界の意識改革と挑戦    (コラム「ほっとジャーナル」より)

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tanko 2016-7-4 17:10
 外国人から見た「日本の不思議」を題材にした雑誌に、タクシーに驚かされたことが書かれていた。待っていると一台のタクシーが停車し、自動的に後部ドアが開いたことにまずびっくり。さらに制服姿の乗務員(ドライバー)が丁寧に自己紹介したことに再び驚いたという話。
 日本人はタクシーの後部ドアの自動開閉など意識しないが、外国人にとっては驚きと不思議な現象らしい。誠実で親切な態度と付加価値のあるサービスは日本人ならではの「おもてなし」。評価される一つでもある。
 現実として、タクシーの接遇サービスはずいぶん向上していると実感する。病院通いなどにタクシーを利用している人も少なくなかろう。筆者の母親も高齢で、ちょくちょくタクシーを利用している。乗り降りするときは乗務員に「足元に気をつけて」と声を掛けられ、時に体を支えてもらうこともあるという。
 スーパーでの買い物帰りにタクシーに乗車する時は、カートの買い物袋を乗務員にトランクに運んでもらう。自宅に着けば再び乗務員が降り、買い物袋を両手に持ち、玄関まで運んでくれる。何と親切なことだろう。
  ◇  ◇  ◇
 この種のサービスが当たり前の光景になっているが、20、30年前は考えられなかった。東京在住時代、乗車拒否されたことは数知れず。遠回りされたり目的地以外で降ろされたこともある。無愛想で返事もしない。昔のタクシー運転手といえば、おおかたそんな印象だった。
 いつから親切になったのか。業界関係者から話を聞くと、20年ほど前の規制緩和によって売り上げが減少し、経営が悪化したことが契機になったという。
 タクシーの使命は何かという問いが生まれた。客の立場を思い、時代に適応するために乗務員らの研修、教育指導を徹底。「乗せてやる」から「乗っていただく」への意識改革。それが「かゆいところに手が届く」現在のサービスと接遇へと結びついたのではないだろうか。
  ◇  ◇  ◇
 胆江の業界のことをいえば、異業種を含め奥州・金ケ崎観光ガイドタクシー運営委員会を組織し、この地方を訪れた人たちに地域の魅力を伝える奥州プレミアムタクシー認定乗務員の養成にも乗り出した。地元の歴史や文化の知識習得のための講座や試験の受験にも積極的。業界が一体化して取り組むところに意義があるし、期待感が持てる。
 京都や大阪などのタクシーを利用すると、乗務員がいろいろ話しかけてくるし、やりとりも愉快だ。名だたる観光地であり客慣れしているからだろうが、この地方だって決してできない接遇ではない。
 当面は岩手国体や国際リニアコライダー(ILC)誘致を見据えた他県者客への対応が中心だろうが、使命感を自覚し、客本意の姿勢で実行を継続していくことで、乗務員も業界もいま以上に質が高まる。結果、地元利用客や観光客に親しまれ、信頼されるタクシーになるはず。業界にはまだまださまざまな?外敵?が押し寄せているというが、それをはね返すくらいの挑戦を望む。見守り、応援したい。
(編集委員:渡辺晃)
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