人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

中学生に科学の魅力を 先人の生い立ちも教材に

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tanko 2014-5-16 10:10
連載企画・ただいま準備中より 「ILC出前授業」

 北上山地への建設が期待される素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)。順調に建設計画が軌道に乗れば、十数年先には実現しているかもしれない。奥州市はILC実現の将来を見据え、市内の中学2年生全生徒を対象に、ILC出前授業を実施する。“先生役”を務める関係者は、ILC計画のPRにとどまらず、これからの地域を担っていく生徒たちの活躍を願いながら準備を進める。
(児玉直人)

 出前授業の“先生”は、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターのサイエンスコンダクターや、国立天文台水沢VLBI観測所の研究スタッフら。子どもの理科離れが叫ばれている昨今、中学生に対し、理系の大学院生レベルに匹敵する研究プロジェクトをどう伝えるか……。関係者はさまざまな方法を考えた。
 同NPO理事長で、国立天文台名誉教授でもある大江昌嗣さん(73)=同区川端=は、冒頭部分に科学界に偉大な功績をのこした偉人たちの生い立ちを盛り込むことにした。
 「万有引力の法則を見つけたニュートンの伝記を最近読んだが、幼少期は体もさほど丈夫じゃなかったらしい。両親をめぐる環境に恵まれず、母親への反発から『放火して殺す』と、脅したこともあったそうだ」
 大江さん自身、子どもの頃は決して体は丈夫ではなかった。一方で、けんかっ早い性格でクラスメートとも「よくやり合って、先生に怒られた」という。やがて天文の世界に興味を抱き、研究者としての道を歩むことになった。
 ニュートンら、科学界の偉人の人間臭い面に触れているうちに、自分の人生がなんとなく重なって見えた。
 「ものすごい功績をのこした偉人であっても、深い悩みや苦労、決して褒められないような行動をして悔いるようなこともあった。今、何かの悩みにぶつかっている生徒さんがいるかもしれない。『この先、まだまだいろんな道が開けるんだよ』ということを伝えた上で、自然科学やILCの魅力や意義を示せたら」と話している。

写真1=宇宙線などの放射線を目視観察できる装置「霧箱」。ILCで素粒子反応をとらえる検出器の原理を紹介する際に用いる予定だ
写真2=科学の楽しさを伝えながら、ILCへの関心を高めたいと奮闘する大江昌嗣さん(右)
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