人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

「外国政府の意向が鍵」 KEKの横谷名誉教授(国際研究チーム・アジア地区ディレクター)

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tanko 2013-1-20 17:30
 国際リニアコライダー(ILC)国際研究チーム・アジア地区ディレクターで、高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の横谷馨名誉教授は19日、市国際交流協会主催の講演会開会前に胆江日日新聞社の取材に応じ、「今、最も気にかかるのは外国政府の意向。各国政府に対し、どうプッシュしていくかが重要になってくる」との考えを示した。

 ILC建設をめぐり、日本では今夏にも北上山地か脊振山地(北九州)かに国内候補地が絞り込まれる。ここ数日、下村博文文部科学相や根本匠復興相ら関係閣僚の間から日本への誘致に前向きな発言が相次ぐなど、政府として正式に誘致へ乗り出す可能性が高まっている。
 しかし横谷氏は「本当に重要なのは海外政府の意向」と語る。ILCの建設費は2007(平成19)年時点の試算で約8000億円に上り、関係国間で分担する。その半分はホスト国(建設地の国)が支出する見込みだが、欧米諸国もそれなりの負担が生じる。
 横谷氏は「国内外の科学者たちは、ILCを実現させたいと思っている。だが、欧米の政府が実際に費用や人を出すことを認めてくれるかどうかが問題で、まだ見えてこない。日本政府だけがILC受け入れを了承したところで、実現できるものではない」と強調。
 「ここ5年でまったく進展がなければ、計画自体が立ち消えになる恐れがある。3年ぐらいの間に実施するか否かの結果が出なければいけない。(KEKの)鈴木厚人機構長を中心に、関係各国への働き掛けを強めていくことになるだろう」と話した。

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外国市民も実現へ期待 (水沢で初、英語でILC講演会)
 外国人市民らを対象とした国際リニアコライダー(ILC)講演会が19日、奥州宇宙遊学館(河野宣之館長)で開かれた。市国際交流協会(佐藤剛会長)が主催。ILC国際研究チーム・アジア地区ディレクターを務めているKEK名誉教授の横谷馨氏が、素粒子研究の基礎知識やILCの概要などを英語で解説した。北上山地が有力候補地となっているILCは、素粒子物理学の国際的な研究拠点に位置付けられており、聴講した外国人は「実現したら東北はとても素晴らしい地域になるだろう」と期待を寄せた。

 胆江地区とその周辺に暮らす英語圏出身の外国人市民12人が参加。このほか、県立水沢高校の生徒や一般市民、県議、市議ら約60人も詰め掛け、ILC計画への関心の高さをうかがわせた。
 講演に先立ち、佐藤会長が「東京ではオリンピック、東北ではILCの誘致に一生懸命だ。オリンピックは2週間ほどで終了するのに対し、ILCは半世紀近くにわたり科学研究の拠点となる。震災復興の面でもプラスになるだろう」。小沢昌記市長は「ILC誘致は経済や雇用にも大きな効果をもたらす。最先端の発見でノーベル賞がこの地から誕生することもあり得る。誘致が実現し、外国人研究者が住むようになったら、ぜひ彼らをサポートしてほしい」と、ともに英語であいさつした。
 講演で横谷氏は、素粒子物理学の基礎知識やILCの必要性、どのような研究施設になるのかなどを分かりやすく解説した。横谷氏によると、専門家が集まる学会などでは英語でやりとりするが、一般の外国人に英語でILCや物理学の基礎などを説明をする場面はほとんどなく、横谷氏自身にとっても初めての体験となった。
 参加者は「日本以外にも候補地はあるのか」「地震や電力不足の影響は大丈夫か」などと質問。横谷氏は「アメリカのシカゴ近郊やCERN(欧州原子核研究機構)があるスイス、ロシア、ドイツなども候補に挙がっている」「東日本大震災の時は、確かに地上では大変な被害を受けたが、仙台市の地下鉄など地下にある施設は大きな被害を受けなかった」などと説明した。
 イギリス出身で北上市に住んでいるジャクソン・リーさん(26)は「とても分かりやすかった。もしILCがここに来たら、東北は世界中の人から見ても有名な場所になるし、経済的にも発展するのでは」と話していた。

写真=地域在住の外国人らに対し英語でILC計画を説明する横谷馨・KEK名誉教授(奥州宇宙遊学館)
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