人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

「日本誘致」早期表明を (東北推進協 関係省庁、議連に要望)

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tanko 2013-6-1 5:00
 【東京、報道部=児玉直人】東北ILC推進協議会(事務局・東北経済連合会)は31日、内閣府や文部科学省などを訪問し、素粒子研究施設「国際リニアコライダー」(ILC)の日本誘致に向け、国家プロジェクトとして早期に位置付けるよう要望した。北上山地への誘致を推進する同協議会だが、実現するには政府が国家事業として位置付ける必要がある。要望活動に参加した岩手県の達増拓也知事は、「日本全体で取り組んでいこうという思いが、以前にも増して浸透しているように感じた」と一層の期待を込めた。

 要望活動を行ったのは、同協議会代表の里見進東北大学総長と高橋宏明東経連会長のほか、達増知事、村井嘉浩宮城県知事、小沢昌記奥州市長、勝部修一関市長ら。この日は山本一太科学技術担当相や丹羽秀樹文部科学政務官、長島忠美復興政務官、超党派組織「ILC国際研究所建設推進議員連盟」の河村建夫会長の元を訪問した。
 このうち山本担当相への要望で里見総長は、ILCにおける研究の意義を説きながら「本来ならば他国との競合が起きてもおかしくないプロジェクトだが、関係各国がこぞって支援を表明しているという状況だ。今、日本への誘致を表明しなければ後世に顔向けできなくなる。ぜひ国策として誘致することを早期に表明してほしい」と訴えた。
 達増知事は「科学者の間でベストな建設地を選定しており、必要な資料提供などの協力を進めている。東北誘致が決まったら、国内外の研究者らの生活環境支援などに全力を尽くす」。村井知事は「科学研究にとどまらず、シリコンバレーのように産業界への発展に結び付けるような工夫を図りたい」とそれぞれ述べた。
 要望後、達増知事は「山本担当相からは総合的に検討すると前向きの発言があり、かなり深い話もできた。まずは科学者間で立地場所の絞り込みをしてもらうことが必要で、そのために必要なデータは県としても積極的に提供していく。(国内候補地の絞り込みまで)政府も見届けているという感じだと思う」と話した。
 ILCの誘致をめぐっては北上山地のほか、北九州の脊振山地が国内有力候補地に挙がっている。これまで、米国のシカゴ近郊やスイスのジュネーブ近郊なども候補地に名を連ねていたが、経済情勢の悪化や過去に計画された国際プロジェクトの不調などを背景に、素粒子物理学者の間では日本への建設を求める声が急激に高まっている。
 このため、7月下旬に予定されている国内候補地の一本化は、事実上の建設地決定との見方が強く、東北と九州双方の誘致活動は活発化している。
写真=山本一太科学技術担当相(左)に要望書を手渡す東北大の里見進総長
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