人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
投稿者 : 
tanko 2019-3-16 11:30
 わたしは水沢に生まれ、福島の大学に進学し、現在は東京の大学院で研究をしている。ILCの誘致をめぐって行われた科学技術コミュニケーションを題材に、修士論文をまとめることを考えている。
 3年ほど前、帰省したときに喫茶店のオーナーから、ILCの誘致さえ決まれば、奥州市は仙台を超える国際研究都市になるという話を聞かされ、驚かされた。
 最近、幾人かの人が指摘するように、ILCは「そのようなもの」ではない。日本学術会議も指摘しているが、ILC固有の技術応用は、あまり期待できない。
 当たり前のことではあるが、ILCは、ヒッグス粒子の精密測定を目的とする基礎研究のための「実験器具」である。何らかの技術への応用、産業への発展を目的とするものではないのだ。
 何より、懸念していることは「ILCで復興」を目指すはずが、復興を妨げることになりはしないかということである。
 岩手県は、これまで「ILCで復興」というスタンスを打ち出している。推進する側とすれば、通常の科学技術などの枠外で予算措置を講じるべきと主張する。
 しかし、その予算はどこから持ってくるのだろうか。本来、学術関連予算から拠出されるべきILC予算を「復興予算」で賄うということは、分配されるはずだった予算が被災地に措置されないことになりかねない。
 わたしは、ヒッグス粒子の精密測定という学術的意義を軽視するつもりはないが、説明責任を果たした上で遂行されるべきである。
菅原風我(東京都)
投稿者 : 
tanko 2019-3-16 11:30
 広大な奥州市の西にそびえる「奥羽山脈の山並み」と、東に望む「北上山地の稜線」は、おらがふるさとのお宝であると捉えています。奥羽の山並みに残る豊かなブナ林を「胆沢ダムと栗駒焼石ほっとライン」に活用し、北上山地の自然を「種山ケ原と宮沢賢治」にスポットを当てて活用したことはさすがだと思います。
 さて昨今、これらのお宝に関わることで気になることが2件あります。1件目は栗駒焼石ほっとライン上で「ライトトラップ採集」が見受けられることで、2件目は北上山地が「核の最終処分場に適地」と言われていることです。
 ライトトラップ採集とは夏場の夜間に、森林などに大々的にライトの光を当ててオオクワガタ、ヒメオオクワガタなどの昆虫を寄せて捕まえることです。これらの昆虫は、一般社会人の月給(手取り)ほどの高値で売買されているらしいのです。
 栗駒焼石ほっとライン周辺の森林は東北森林管理局が設定した「奥羽山脈緑の回廊」の中核になっているもので、「栗駒山・栃ケ森山周辺森林生態系保護地域」に指定されています。生態系バランスを崩すような昆虫など動植物の採集、乱獲はしてはいけない場所です。以前、ライトトラップ採集を確認した森林ボランティア活動員が、そのことを関係機関などに話したところ、「何ら取り締まりの法規がないので何ともならない」という対応だったそうです。
 この話を聞いて問題だと感じました。真に森林生態系指定地域を保全するためには、「生態研究のための調査」以外の採集などはすべきではありません。こうした金銭目的や興味本位の採集への指導、取り締まりが可能となるような対策が必要だと思います。
 2件目の「核のゴミ最終処分場」については、2012(平成24)年に大阪府堺市で開かれた日本地質学会で、専門家が同処分場の適地は▽根釧(北海道)▽阿武隈高原北部(福島県)▽北上山地(岩手県)――の三つを挙げ、特に阿武隈高原北部と北上山地としたことが発端です。同年、北海道は「受け入れ拒否の宣言」をし、道内の該当市町村も条例を制定しました。この後、政府は原発事故発生を踏まえ、阿武隈高原北部を適地対象から除く方針を示しました。岩手県は受け入れ拒否の宣言をしていません。そして昨年7月、政府は同処分場に適した地域を大まかに示しました。もちろん北上山地は入っています。
 この処理場適地問題は、国際リニアコライダー(ILC)誘致を推進する岩手県や奥州市にとって微妙な問題だと思います。「ILCは核廃棄物処理場の下地づくりではないのか」という過激な噂話も耳にしています。ILC推進派の研究者は「核廃棄物処理施設になるというのは誤解です。トンネルを掘るから連想されたのでしょうが、地下100mといっても、標高百数十mのところの地下ですから、核廃棄物処理をするのは原理的に無理です」と述べています。しかし、ILCの周辺やILCのさらに地中深くに設ける可能性については言及されていません。また、長い時間が経過し、その時に生きる人が同処理場の足掛かりにする可能性も「なきにしもあらず」です。そうしたことも想定した対策も考えてもらいたいと思います。誘致賛成、反対のいずれにせよあらゆる可能性と対策についてしっかりと議論をしてもらえることを希望します。
 多くの人が「奥州市に一番住みたい」と思うような地域にするためにも、われわれは今ある自然環境を維持・保全し、後から来る人、後から生まれる人たちのためにその「お宝」を残しておく責務があります。奥州市は広域振興局や岩手南部森林管理署など関係機関と連携を図り、主体的に対策に着手し、条例の制定などへの動きを起こすべきだと思います。

阿部恵彦(胆沢若柳)=奥州自然研究会代表世話人
投稿者 : 
tanko 2019-3-16 11:20
 奥州市は15日、2019年度定期人事異動を内示した。組織体制の強化を掲げ、政策課題の解決に着目したセクションの新設・見直し、各総合支所のグループ制導入によるサービス向上を図る。総務企画部参事兼ILC推進室長に菊地厚商業観光課長(57)を起用する。異動規模は前年度より152人多い552人。発令は4月1日付。
 2019年度は小沢昌記市長が市政のかじを取り10年の節目。重点政策課題に対応できる組織体制の強化を進める。職員の能力や資質向上も考慮し、意識と意欲を高め組織運営における好循環につながるよう、適材適所の人員配置にも努めた。
 異動者総数552人のうち、異動・昇任は464人(部長級17人、課長級36人)、新規採用38人(人事交流含む)、退職50人(人事交流と再任用含む)。昇任者(医師除く)は部長(参事)級9人(うち女性1人)、課長(主幹)級13人(同2人)、課長補佐(副主幹)級26人(同13人)、係長(主査)級16人(同3人)。


写真=奥州市ILC推進室長に就任する菊地厚氏

《奥州市ILC推進室に係る異動》
※ILC推進室とともに他部署を兼務している場合、同推進室における肩書のみの記載とさせていただきます。同推進室以外からの転入や転出についてはすべて記載しています。

●ILC推進室へ転入または内部異動、昇任等
菊地厚…ILC推進室長(商工観光部商業観光課長兼ロケ推進室長)
高野聡…ILC推進室主幹(総務企画部政策企画課長兼人口プロジェクト推進室長)
阿部記之…ILC推進室副主幹(協働まちづくり部地域づくり推進課地域支援室副主幹)
千田悟…ILC推進室主査(ILC推進室上席主任)
今野美享…ILC推進室上席主任(総務企画部総務課上席主任兼選挙管理委員会事務局上席主任)
佐々木聖…ILC推進室上席主任(都市整備部下水道課主任)
柴田長志…ILC推進室上席主任(ILC推進室主任)
千葉宏…ILC推進室主査(総務企画部総務課付上席主任〈岩手県知事部局派遣〉)
安部和亜…ILC推進室主任(都市整備部土木課主任)
佐藤智行…ILC推進室主任〈元気戦略室主任兼務追加〉(ILC推進室主任)
西村史樹…ILC推進室主事(健康福祉部長寿社会課主事)

●ILC推進室から転出異動
瀬川達雄…議会事務局長(ILC推進室長)
村上幸男…総務企画部行政経営室主幹兼元気戦略室主幹(ILC推進室副主幹)
小川丈晴…総務企画部総務課付主査〈陸前高田市派遣〉(ILC推進室主査)
阿部瑠美香…財務部財政課主任(ILC推進室主任)
小野寺圭子…健康福祉部子ども・家庭課主任(ILC推進室主任)
伊藤幸弘…都市整備部土木課主任(ILC推進室主任)
渡邉浩太郎…会計課主任(ILC推進室主任)
投稿者 : 
tanko 2019-3-16 11:20
 岩手県は15日、2019年度定期人事異動を内示した。胆江2市町などを管轄する県南広域振興局では、退職する細川倫史局長の後任として、県東京事務所長の平野直氏が就任する。素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」誘致実現の取り組みを一層強めるため、関連部署の組織体制を見直し。ILC対応だけに特化した専担組織「ILC推進室」を、県庁の政策地域部内に設置する。同日は医療局などの異動も内示された。発令は4月1日付。
 県人事課によると、知事部局の異動規模は1800人で、前年度より225人多い。
 2019年度は、次期総合計画の実施初年度。同計画に掲げられた重点的な取り組みを意識した異動内容とした。具体的には津波・台風被災地の復興、ILC誘致、ラグビーワールドカップ2019や東京2020五輪・パラリンピックなど大型スポーツイベントの対応が的確に行えるよう、人的資源を重点配置した。
 県南局長に就任する平野氏は、これまで企画部門や岩手競馬関連の業務などを歴任。2014年4月から2年間、県南局副局長を務めた実績もある。
 3人いる副局長ポストも、退職や転出で2人が交代。県議会事務局次長の千田利之氏と、沿岸広域振興局農林部長の高橋昭雄氏を起用した。千田氏は政策地域部ILC推進室の首席ILC推進監を、高橋氏は県南局農政部長をそれぞれ兼務する。
投稿者 : 
tanko 2019-3-9 11:10
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設、国際リニアコライダー(ILC)は、誘致表明や公式な国際協議入りといったレベルの政府見解は得られなかったものの、「関心を持って国際的な意見交換を継続する」という方向性は示された。
 同時に文部科学省は「正式な学術プロセス」を踏むこべきだと強調した。具体的には日本学術会議が策定する「学術の大型施設計画・大規模研究計画に関するマスタープラン」に掲載され、さらに文科省の大型科学プロジェクト推進に関する基本構想「ロードマップ」にも計画が位置付けられることだ。高エネルギー加速器研究機構(KEK)の円形加速器施設「Bファクトリー」なども同様の手順を踏んでおり、ILCだけ「特別扱い」とはならないようだ。
 ロードマップで実施優先順位の高い計画になれば、実現の可能性は一気に高まるが、そう容易な話ではない。現行の「マスタープラン2017」では、24分野182計画が掲載されたが、この中から「ロードマップ」に新たに加えられたのはわずか7計画だ。
 学術会議は今月末まで、次期マスタープランの計画を公募。KEKの山内正則機構長は、7日のILC関連国際会議後の記者会見で、KEKが申請者となりILC計画を申し込む考えを明らかにした。誘致を望む人たちは、一刻も早い国の誘致表明を期待している。だが、これらのプロセスに要する時間を考えると、誘致表明のタイミングはまだまだ先の話だ。
 もう一つ認識しておきたいのは、慎重論が根強い他分野研究者のチェックを今後も受ける点だ。学術会議や文科省有識者会議のこれまでの審議を振り返れば、想像に難くない。推進派研究者が、過去に指摘された事項をどれだけ丁寧に説明し、理解を得られるかがポイントになる。
 他分野研究者の理解は、どうすれば得られるのか。誘致を願う候補地周辺の自治体議会や経済団体なども頭を悩ます。省庁や国会関係者への要望活動は数多くこなしているが、学術関係者に対する申し入れ行動は皆無に等しい。学術界では、政治などの権力と一線を画し、科学的な観点で議論をする環境が必要。要望活動を「やらない」のではなく、「できない」という状況に近い。
 奥州市議会ILC議連の渡辺忠会長は、2014(平成26)年6月に学術会議が開催した「ILCフォーラム」に出席。推進派の素粒子物理学者だけでなく、社会学や行政経営、自然環境など多様な分野の専門家による見解に触れた。
 渡辺会長は「門前払いを受けるようなことかもしれないが、どうすれば他分野の方々が理解をしてくれるのか、そして彼らが何を問題視しているのかを知る上でも、何らかの方法が取れないかと考えている。(2014年開催の)フォーラムのような場を候補地の地元で設けるのも、互いの考えを聞き合う一つの方法だとは思うが」。学術界の独立性に配慮しながらも、互いの理解形成につながるような道筋を探っている。
(児玉直人)

写真=2014年6月に日本学術会議が主催したILCフォーラム
投稿者 : 
tanko 2019-3-9 11:00
 国際リニアコライダー(ILC)に対する文部科学省の見解を受け、関係する国際研究者組織の代表らが、現状を見据える形でILC計画実現に向けた取り組みを継続するとしたことについて、小沢昌記・奥州市長と奥州市議会ILC議連の渡辺忠会長は8日、それぞれコメントを発表した。
 小沢市長は「政府がILC計画に関心を示したのは初めてのこと。これを受け、研究者側も前向きに受け止めたと認識している。市では両見解を歓迎し、国際的な議論が進展し、日本政府の誘致表明を大いに期待する」とした。
 渡辺会長も歓迎の意を示しながら、大型施設計画等に関するマスタープランを策定する日本学術会議の動向に注視したいとコメント。「今後も市当局と歩調を合わせ、近隣市町村議会とも連携しながら誘致推進に取り組んでいきたい」と述べた。

東北ILC推進協議会の高橋宏明代表もコメント
 文部科学省がILC計画について国際的な意見交換、すなわち国際協議の継続を表明したことは心強い。これはILC計画の推進にとって着実な前進である。
 とりわけILC計画の立地地域への効果について言及されたことは、東北の皆さまのご支援ご協力があったからこそと思う。
 東北ILC推進協議会は、引き続き全国の関係組織と連携し、ILCの地域受け入れ準備を進めていく。また、積極的に国際協議に協力し、真にILCの日本誘致が実現するよう取り組んで参りたい。
投稿者 : 
tanko 2019-3-8 11:10
 どう受け止めればよいか――。文部科学省が7日、国際リニアコライダー(ILC)計画を推進する研究者組織に現時点での公式見解を示した。「国際的な意見交換の継続」「ILC計画に関心を持って」など前向きな表現と、「現時点で日本誘致の表明には至らない」「正式なプロセスで議論を」など後ろ向きな表現や指摘事項が混在。有力候補地・北上山地の地元関係者や物理学の専門家の反応もさまざまで、壮大なプロジェクトを実現させる困難さをあらためて浮き彫りにした。

「どうまとめたらよいのか……」。磯谷桂介・文科省研究振興局長の見解について、大勢の報道陣と一緒に内容を聞いていた勝部修・一関市長は戸惑いを隠さなかった。「階段の踊り場にいる状態なのだろうが、とても広い踊り場のようだ。次の段に上がっているのか、まだ踊り場にいるのか。下がっているとは思わないけれど」。そして、こう付け加えた。「欧州の研究者は納得していないだろう」
 7日の会議終了後、会見に応じたリニアコライダー国際推進委員会(LCB)の中田達也委員長は「文科省は、海外でILCに興味を持っている省庁との意見・情報交換をしていきたいと明言した。KEKに対しては、科学者コミュニティー内の話をまとめてほしいという話もした。この二つは公に言われたことはなかった。そういった意味で、今回の見解による進展があったと思う」と前向きに受け止める。
 ILC計画を推進している研究機関、高エネルギー加速器研究機構の山内正則機構長は、文科省の見解で求められた「正式なプロセス」を行うため、今月が締め切りとなっている日本学術会議策定のマスタープランへの応募を行うと表明。ただ、他分野研究者との厳しい議論を再び行うことになる。報道陣の「学術会議の同意を得るのは厳しいのでは」との質問に、山内機構長は「指摘を受けた事項も含め、きちんとした解決策を示せば理解されると思っている」と強調した。
 ILC誘致に慎重な見解を示している市民団体「ILC誘致を考える会」は、「二度にわたる学術会議の否定的な見解は、ILC推進の同意を得るのは途方もなく難しいことを示している」と指摘。これ以上の誘致活動は意味がないと指摘し、県や地元自治体に誘致活動からの撤退を求めた。

写真=文科省の見解を受けてコメントする(右から)KEKの山内正則機構長、ICFAのジェフリー・テイラー議長、LCBの中田達也委員長(東京大学山上会館)

=================================================================
 文科省ILC有識者会議委員を務めた中野貴志・大阪大学核物理研究センター長の話
 ILCは、標準理論を超える物理を探索する上で現在のテクノロジーでは最善の方法という理由で科学的意義は高いと思う。一方、費用対効果や他分野からの理解、国際貢献の見込みなど、解決しなければならない課題も多いことは、有識者会議や学術会議で指摘された通り。計画の実現のためには、学術界でのさらなる検討とともに政府間協議が必要。今回の見解は国として、真摯にそのプロセスに向き合うことを表明したもので評価できる。

 本県で科学特別授業などを展開してきた斎藤武彦・理化学研究所主任研究員の話
 岩手と東北を応援する者の一人として、岩手と東北の子どもたちの未来のためにILCはぜひ岩手に建設されてほしいと思う。今回の政府見解は大きな一歩とはならなかったが、それでもまだまだ希望はある。そのためには、学術会議の見解とILCに懸念を示す方々の声に、推進する側はしっかり向き合い、今までのやり方における反省点をしっかりと踏まえ、進めていく必要がある。
投稿者 : 
tanko 2019-3-8 11:00
 達増拓也知事は7日夜、盛岡市内で取材に応じ、「日本政府がついにILCについて正式に組織的に取り組む出発の日といってよい」と述べた。「日本政府がILC計画に関心を示したのは初めて。意思表明を歓迎する」と前向きに受け止めた。その上で「今後においても地元として政府間、研究者間の協議が円滑に進むよう協力、サポートしていく」と語った。
 鈴木厚人県立大学長は、文科省の見解の後段部分を取り上げ「政府が公式にILC計画という表現を使ったのは初めて。さらに『関心を持って』というのは大きな意味を持つ。非常に前向きな決断をされた」と期待感を表明した。ICFAがKEK(高エネルギー加速器研究機構)にワーキンググループを設置し、国際分担など実施計画を詰めるよう求めたことも重要視した。
 谷村邦久県ILC推進協議会長は「ILC計画がもたらす技術的研究の推進や立地地域に対する効果への可能性について明記されたのは、誘致実現に向けた確かな一歩。経済界、地元の人間として、未来を担う若者、子どもたちに夢と希望を与える誘致実現を目指し、引き続き国民理解を深める活動を強化し、受け入れ態勢の整備に努めたい」と述べた。
 奥州市の小沢昌記市長は「政府は正式なILC誘致のゴーサインを出したものではないが、今後においてILCがいかに有意義なものであるかを含め、協議を進めていくことを明確に表明した。ILC建設に向けては大きな第一歩と捉えている」とコメントした。
投稿者 : 
tanko 2019-3-8 11:00
 「日本政府にはもう少しはっきりとした声明を期待していたが、決してILC計画の終わりではない」
 文部科学省が国際リニアコライダー(ILC)誘致について見解を表明したのを受け、国際将来加速器委員会(ICFA)が7日、都内で開いた記者会見。奥州市は会見映像を中継するパブリックビューイング(PV)を市役所本庁1階市民ホールに設け、集まった市民や市職員ら約60人が画面に食い入るように様子を見守った。
 記者会見は英語で行われ、奥州市ILC国際化推進員のトマス・アンナさんが要所を通訳した。
 会見終了後、水沢羽田町の梅田邦光さん(72)は「政府には積極的な対応をしてもらいたかった。地元としては実現してほしい思いは変わらない。できるだけ早く状況が好転してほしい」と願った。
 羽田地区センターの今野俊宏センター長(63)は「うれしさ半分、悲しさ半分。そう簡単に決まる問題ではないが、機が熟せば政府も良い見解を示してくれるはずだ」と期待をにじませた。
 ILCサポート委員会委員長で水沢福原在住のビル・ルイスさん(50)は「ILCは岩手や東北にとって大きな影響力があるのに決まらなかったのは残念。政府には早く意思を決めてほしい。残念な結果ではあるが、今後もILC計画は続いてほしい」と望んだ。

写真=パブリックビューイングが行われたICFAの記者会見を見つめる市民ら
投稿者 : 
tanko 2019-3-8 10:50
正式プロセスで議論を 学術会議の所見を重視

 【東京=児玉直人】 文部科学省の磯谷桂介・研究振興局長は7日、素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関する同省の見解をILC計画を推進する研究者組織に説明した。昨年、同省に提出された日本学術会議の所見を重視。学術会議が策定する「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」に掲載されるなど、正式な学術プロセスによって議論されるべきだと強調した。これまで実施してきた事務レベルの国際的な意見交換は継続する一方、いわゆる公式の国際協議というレベルの対応や誘致表明という段階には現時点では「至らない」とした。誘致表明を期待していた研究者サイドからは「残念」との声も聞かれたが、日本側の現状に一定の理解を示し、現実的な対応の中で引き続き計画実現に向け取り組む姿勢だ。学術会議の次期マスタープランは、今月末まで搭載計画の公募が行われているが、他分野研究者によるチェックやライバルとなる大型研究も多数あり、大きなハードルとなりそうだ。

 磯谷局長は、東京大学で始まった国際将来加速器委員会(ICFA)、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)などによる合同会議に出席。会議は冒頭のみ報道陣に公開された。
 説明や質疑応答終了後、報道陣の取材に応じた磯谷局長は「国際協議を開始するということまでは申し上げていない。これまでの意見交換を継続することを申し上げた。『誘致に至らない』というのは、誘致するかしないかという点に関して表明するまでの熟度になっていないということ。それを前提に、計画そのものには関心を持ち、関心があるからこそ意見交換は続けていきたいという理解だ」と述べた。
 正式な学術プロセスを踏むという見解は、柴山昌彦・文部科学大臣も強調していた点。磯谷局長は「研究者側が(学術会議の)マスタープランに応募し、正規のプロセスに入るとなれば、段階が前進したということになるのでは」との考えを示した。
 文科省の見解を受けICFAのジェフリー・テイラー議長(メルボルン大教授)、LCBの中田達也委員長(スイス工科大ローザンヌ校教授)、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の山内正則機構長は7日夕、東京大山上会館で会見を開いた。
 テイラー議長は、磯谷局長の会議出席に敬意を表しながら「(誘致表明がなく)残念だったという意見もあった。しかし、6日夜に日本の国会議員と会談したときは、前向きな印象を受けた。行き止まりではなく、期待より遅れるかもしれないが、現実の中で対応していくしかない。欧州次期素粒子物理戦略も現状に基づいて策定されるのではないか」との見解を述べた。

写真=ILCに関する政府見解説明のため国際会議に出席した文科省の磯谷桂介・研究振興局長(前列左)ら(東京大)

=======================================================================
文部科学省の見解全文
 本日のリニアコライダー国際推進委員会開催にあたり、本レターを送付できることは大変光栄です。
 国際リニアコライダー(ILC)計画は、国際的な研究者組織において検討が進められてきた素粒子物理学分野における学術の大型プロジェクトであると承知しています。
 これまでわが国においては、ILC計画について、わが国の科学コミュニティの代表機関である日本学術会議における「国際リニアコライダー計画に関する所見(2013年9月)」を契機として、文部科学省において「国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議」を設置し、科学的意義、コスト及び技術的成立性、人材の確保・育成方策、体制及びマネジメントの在り方等の観点から、検証を進めてきました。
 2017年11月には、ILCに関する国際的な研究者組織において、欧州CERNにおけるLHC実験を踏まえて、ILCの衝突エネルギーを500GeV(ギガ電子ボルト)から250GeVとする見直し案(250GeV ILC計画)が公表されました。
 これを受けて、有識者会議においてILC計画についてあらためて検証を行い、2018年7月に「ILC計画の見直しを受けたこれまでの議論のまとめ」を取りまとめ、計画の全体像を可能な限り明確に示した上で、日本学術会議に対して、ILC計画についてあらためて審議を依頼しました。
 2018年12月には、日本学術会議より文部科学省への回答として「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見」が取りまとめられ、「政府における、ILCの日本誘致の意思表明に関する判断は慎重になされるべきであると考える」とされました。
 文部科学省においては、同所見の内容を精査しつつ、ILCに関する意義や効果について、学術的な観点のみならず、関係省庁とも連絡を密にして意見を聴取し、検討を行いました。
 ここに現時点のILC計画に関する見解を述べます。
 国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議による「ILC計画の見直しを受けたこれまでの議論のまとめ」を受け、日本学術会議が審議を行い公表した「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見」において、「現状で提示されている計画内容や準備状況からして、250Gev ILC計画を日本に誘致することを日本学術会議として支持するには至らない」「大型計画について学術会議としてさらに検討するとすれば、マスタープランでの枠組みで行うのが適切」とされたことを踏まえ、ILC計画については、現時点で日本誘致の表明には至らないが、国内の科学コミュニティの理解・支持を得られるかどうかも含め、正式な学術プロセス(日本学術会議が策定するマスタープラン等)で議論することが必要であると考えます。
 併せて、国外においても、欧州素粒子物理戦略等における議論の進捗を注視することとします。
 また、ILC計画については、日本学術会議の所見において、諸分野の学術コミュニティとの対話の不足、成果が経費に見合うか、技術的課題の克服、実験施設の巨大化を前提とする研究スタイルの持続性といった懸念が指摘されている一方、素粒子物理学におけるヒッグス粒子の精密測定の重要性に関する一定の学術的意義を有するとともに、ILC計画がもたらす技術的研究の推進や立地地域への効果の可能性に鑑み、文部科学省はILC計画に関心を持って国際的な意見交換を継続します。

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動