人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2018-9-26 12:50
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関連した住民の懸念に、研究者や行政の担当者が説明する「ILC解説セミナー」が24日、一関市の一関保健センターで開かれた。約140人が参加。住民との質疑応答は、予定時間をオーバーして行われたものの、放射能関連の質問が相次ぎ、まちづくりや誘致運動と教育の関係などの質問ができなかった人もいた。「メリットより、リスクの方を早く知らせるべきだ」「一関以外でもリスク説明の開催を」などの声もあった。

 東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長)が主催。佐々木淳・岩手県理事兼科学ILC推進室長(同準備室地域部門長)と、岩手大学の成田晋也教授(同準備室広報部門長)が講師を務めた。
 今回のセミナーは、8月にILCに関連するさまざまなリスク、誘致活動の在り方を疑問視する声が一関市民を中心に表面化したことを受け企画。これまで一関市や奥州市などで開催されてきた誘致機運醸成を主とする講演会やセミナー、出前授業などとは開催経過や背景が異なる。
 参加者や会場に居合わせた誘致関係者らによると、冒頭の講演や解説は従来のILC講演会とほぼ同様の雰囲気だったが、質疑応答になると放射性物質の管理などリスク面に関する質問が相次いだ。中には「ILC誘致によるメリットより、リスクの説明をするのが先。順番が逆ではないか」と、誘致を推進する研究者や行政の姿勢に不信感をのぞかせる人も。さまざまな疑問や安全性を求める質問に、同調者から拍手が起きる場面もあったという。
 聴講した「ILC誘致を考える会」の原田徹郎(てつお)共同代表は、「多くの参加が在り関心の高さを実感した」と振り返る。「高レベル放射性廃棄物への転用懸念については、構造上あり得ないという説明だったが、県は積極的に造らせない姿勢を見せるべきだ」と指摘。セミナー全体の様子については「質疑時間が少なく、放射能関連の質問が中心になってしまった。まちづくりや誘致運動と教育のあり方に関する質問を用意していた人たちは、残念がっていた。ILCは一関だけが候補地ではないので、今回だけで終わらせず、胆江地域や北上などでも開催してほしい」と希望している。
 佐々木理事は「住民の皆さんと一緒にやっていく上で、どういう方法でどんな説明が必要か、しっかり検証したい。リスク面も含めた事実関係の共有にも努めたい」と話している。

写真=一関市で開かれた東北ILC準備室主催の解説セミナー(同市役所提供)
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tanko 2018-9-23 14:30
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致活動に疑問を呈している一関市の僧侶、千坂げんぽう氏(※)ら僧侶3人は21日、「県は文部科学省ILC有識者会議や日本学術会議で指摘されているILC誘致に伴う問題点を県民や国民に公開し、情報を共有すべきだ」とする趣旨の意見を表明。その上で、東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長)が24日に同市内で開くILC解説セミナーについて「全く的外れの対応」と批判した。
 意見表明したのは千坂氏のほか、平泉町の菅野成寛氏と佐々木邦世氏。3人は8月10日、首都大学東京の山下祐介教授らを加えた計6人の連名で、学術会議に「ILCの日本における意見書」を提出している。「リスク検証が不足しているままでの誘致決断は将来に禍根を残す」などの考えを学術会議側に示していた。
 意見書は学術会議宛てのものであったが、報道などで千坂氏らの動きを知った、鈴木学長や大平尚・県企画理事は記者会見を開き、県のILC誘致に対する基本的考え方を明らかにした。さらに、今月14日には同準備室の主催で解説セミナーを一関市内で開くことを告知した。セミナーは、ILCの基本情報や自然、日常生活へのリスクについて、同準備室広報部門長の成田晋也・岩手大学教授らが対応する。
 千坂氏らは「学術会議がILCの問題点を総合的に検討しているとき、その結果を待たずに一関市民に『安全で不安はありません』と説明することが、公正と言えるのか」と批判。これまでの誘致活動が、メリットのPRに重きを置き過ぎている点を問題視していると主張し、「県民、国民に多大な影響を与える巨大公共事業を推進する際の進め方や責任の在り方が極めてあいまい。手法が問われている」と指摘した。
 セミナーは24日午後3時から同4時半まで、一関保健センター多目的ホールで開かれる。

※…千坂氏の名前の漢字表記は、山へんに諺のつくりで「げん」、峰で「ぽう」
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tanko 2018-9-21 19:50
 国際リニアコライダーでは「電子」と、その反物質「陽電子」をぶつける実験をするそうですが、存在している二つの物質をぶつけるのに、なぜ二つとも消滅して違うものが生まれてくるのでしょうか? そもそも普通の物質と反物質は何が違うんですか?

詳細なことはまだ分かりません
 まず物質と反物質について理解を深めてみましょう。
 この世には「反物質」は事実上存在しません。反物質が存在していたのは、約138億年前の宇宙誕生時に起きた大爆発「ビッグバン」の直後のみだと考えられています。ただ、本当にわずかですが宇宙線のような非常に高いエネルギーを持った粒子が地球の大気中で反応した直後や、実験室や一部の医療施設で人工的に生成される例はあります。これらは非常にまれで、しかも極めて寿命が短いのです。
 ビッグバンが起きた時には、粒子(物質)と反粒子(反物質)が対(ペア)で誕生したと考えられています。物質と反物質は「同じ数だけあった」というわけです。
 しかし、現在の宇宙には反物質でつくられたような星(恒星)や銀河、生物などは確認されていません。反物質が消滅したことを意味するのですが、なぜ反物質がなくなったのか、現状では全く分かっていません。なぜ反物質がなくなったのか、この事実や理論を提唱した人は、確実にノーベル賞を受賞できます!
 ビッグバン直後に誕生した電荷がマイナスの物質(電子)と、電荷がプラスの反物質(陽電子)は、衝突すると消滅するという現象を起こします。これを「対消滅」といいます。そして消滅すると同時にエネルギーが発生。エネルギーの大きさは、その粒子と反粒子の重さ(質量)によって異なります。発生したエネルギー(光)の大きさに応じて、新しい物質や反物質が生まれます。この現象は、特殊相対性理論の「E=mc2」という式で表すことができます。Eはエネルギー、mは質量、cは光の速度です。
 原子や分子、素粒子のようなミクロの世界の振る舞いは「量子力学」という学問によって説明されており、現代物理学の基礎をなしています。イギリスのディラックという物理学者は、量子力学とアインシュタインの相対性理論とを合体させる作業を始めました。このようにして出来上がったのが、「ディラックの方程式」という式で、この方程式を解くと、マイナスの電荷をもつ「電子」を表すだけでなく、電子と同じ性質を持ちながら、電荷のみがプラスという粒子(陽電子)の存在を示す解が出てきます。このようにして反物質の存在が理論的に予言され、説明されました。
 ちなみに、0.5グラムの物質と0.5グラムの反物質を衝突させたときに発生するエネルギーは約90兆ジュール。その規模を分かりやすく示すと、約60m四方の水を0度から100度にまで上げられるほどの膨大な熱量が得られます。

番記者のつぶやき
 ILCの話を初めて聞いた時、私自身もでしたが多くの人が「え?」と思うのが、ぶつけた二つの物質が消えてなくなるという点ではないかと思います。消滅するとともに大きなエネルギーが生じ、そのエネルギーの大きさによって、全く違う物質や反物質が生まれるという、なんだか手品でも見せられているような不思議な現象です。
 素粒子実験施設ではこのエネルギーの大きさが非常に大切なポイントです。エネルギーの大きさによって研究できる内容、見ることができる現象が異なるためです。
 衝突させる物質や反物質を加速させる加速器の施設規模によって、エネルギーが最大どれくらい出せるのかが決まってきます。施設が大きければ、いろいろな事象が見られるようですが、当然、お金もかかります。限られた予算の中、いかに有意義な研究成果を出すべきかという判断はとても難しいです。研究者の間でも意見が分かれています。
 ILCの場合、当初は全長約30kmの長さとし、両方から電子、陽電子を加速させ中央部分で衝突させる仕組みを提唱しました。この施設規模で出すことができるエネルギーの大きさは500ギガ電子ボルトという数値と単位で表現されます。研究者は「500GeV」と言っていますが、本紙では分かりやすいように施設の長さで伝えるようにしています。
 現在は、物質に質量を与えるヒッグス粒子の詳細な研究を進めるのに適した全長約20kmの施設規模に見直されています。エネルギーの大きさは250GeVです。
(児玉直人)

図=物質(正物質)と反物質の衝突によって得られるエネルギーのイメージ
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tanko 2018-9-21 17:30
 奥州市水沢の羽田地区振興会(菊池誠会長)は20日、北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現を願う地区住民687人分の署名を市ILC推進連絡協議会(会長・小沢昌記市長)に提出した。
 同協議会が展開している「ILC Supporters(サポーターズ)6万人署名運動」に呼応した取り組み。サポーターズは今年4月、ILCの国民理解や周知を図るため、映画監督の押井守氏が発起人となり発足した応援組織。サポーターズの活動趣旨に賛同した同協議会は、市民の過半数となる6万人を目標とした署名運動を独自に展開している。
 JR水沢江刺駅が立地し、ILC建設候補地の北上山地にも近い同地区では、ILC関連の講演会開催や誘致を願う看板の設置などが繰り広げられてきた。地区のコミュニティー計画にもILC実現を見据えた文言が入っており、まちづくりの一つとしてILCを位置付けている。
 同振興会は8月上旬、地域内の班長らの協力を得て1071世帯に署名記入用紙を配布。9月中旬までの間に、地域内人口の約2割に当たる687人分の署名が集まった。人数に含まれていないが、同協議会事務局である市ILC推進室にメールやファクスで提出した住民もいたという。
 菊池会長から署名簿を受け取った小沢市長は、「振興会挙げての署名運動に感謝申し上げたい。日本にとって前例のない国際研究機関の誘致であるがゆえ、有識者の間でも慎重な姿勢にならざるを得ない部分もあるが、市にとってはILCは千載一遇の好機と捉えている。皆さんから寄せられた熱意をばねに前に進む努力をしたい」と話した。
 市ILC推進室によると、現時点で約3万人分の署名が寄せられている。11月ごろをめどに東北ILC推進協を通じて、政府関係機関へ提出するという。

写真=小沢昌記市長(右)に署名簿を提出する羽田地区振興会の菊池誠会長(右から2人目)
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tanko 2018-9-21 17:30
 一関市を拠点とする市民団体「ILC誘致を考える会」(共同代表=千坂げんぽう氏(※)、原田徹郎(てつお)氏)はこのほど、日本学術会議(山極寿一会長)に国際リニアコライダー(ILC)誘致にかかる問題点などをまとめた意見書を提出。同会議に開設中の「ILC計画の見直し案に関する検討委員会」(家(いえ)泰弘委員長)において、ILC候補地住民が抱く不安などに考慮した審議を進めるよう求めた。意見書は18日に開かれた同検討委の第5回会合で、参考資料として委員に配布された。
 考える会は8月、ILCの疑問点や問題点を取り上げた公開質問状を勝部修・一関市長に提出した。1回目の回答内容に不満があるとして再質問する一方、学術会議の山極会長とILC検討委の家会長宛てに問題点などを集約した意見書を今月8日付で送付していた。
 意見書では、科学的意義と経済効果などメリット部分が強調され、文部科学省の依頼で民間研究所がまとめたリスクに対する事柄については、住民にしっかり伝えられていないと主張。「リスク面を知らないまま誘致に同意したことになりかねず、他地域のみならず将来世代に対しても迷惑をかけることになる」などと指摘した。
 学術会議には同市在住の僧侶である千坂氏が、考える会共同代表の立場とは別に、知人の僧侶や社会学系の大学教授ら有志5人と共に8月10日付でILC誘致の問題点を指摘した意見書を提出している。同検討委にはこのほか、ILCを推進する立場としてフェルミ研究所(米国)、ILC国会議連、東北ILC準備室からも意見書が届いている。いずれも参考資料として、検討委の委員に配られている。

※…千坂氏の名前の漢字は、山へんに諺のつくりで「げん」、峰で「ぽう」


 ◇再質問状への回答届く(一関・考える会)
 市民団体「ILC誘致を考える会」が今月5日付で提出していた、ILC誘致に関する勝部修市長宛ての再質問状の回答がこのほど届いた。考える会の原田徹郎共同代表によると、1回目の回答内容と基本的に大きな違いはなかったという。
 ILC誘致に対する懸念の表面化を受け、誘致実現を推進している岩手、宮城両県の産学官関係者で組織する東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長)は、24日午後3時から同4時半まで一関市山目字前田の一関保健センターで解説セミナーを開催。候補地の地元住民が抱く疑問などに答える場を設ける。
 原田代表は「出席する考えではいるが、どれだけ多くの市民が参加するのかが気掛かり。開催した実績だけをつくるような場になってほしくはない」と話している。
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tanko 2018-9-18 16:50
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)への疑問や住民関心事を解説するセミナー(東北ILC準備室主催)が、24日午後3時から同4時半まで、一関市山目字前田の一関保健センター多目的ホールで開かれる。
 ILCに関連するセミナーや講演会が盛んに開催されている同市で同セミナーを実施することになった背景には、地元住民から自然環境や放射線の影響に対する疑問、誘致運動の在り方に対する苦言が表面化したことがある。
 一関市や平泉町内の僧侶、社会学が専門の大学教授らによる有志は8月10日付で、ILCの建設に関する意見書を日本学術会議(山極寿一会長)に提出。同24日には、同市を拠点としている市民団体「ILC誘致を考える会」が、ILCの疑問点や問題点を取り上げた公開質問状を勝部修・一関市長に提出した。
 ILCに対する疑問や批判的な声は、全く無かったわけではなく、ネット上でも見受けられた。誘致を推進する研究者組織や日本の産学官連携組織、地元自治体などは講演会の質疑応答、ホームページを通じて説明や理解を求める対応をしてきたが、地元住民の理解や同意は誘致実現に欠かせない要素であることから、県や研究者サイドの担当が地元側の質問に直接答える場をあらためて設けた。
 主催する東北ILC準備室は岩手・宮城両県の産学官関係者で組織。今回のセミナーは、岩手県と一関市が共催し、奥州、盛岡、大船渡の3市が後援に名を連ねる。当日は岩手県理事で科学ILC推進室の佐々木淳室長がILCの最新動向について説明。同準備室で広報部門を担当している岩手大学理工学部の成田晋也教授が、ILCに対する住民側の質問や疑問について答える。
 問い合わせは、岩手県庁の同推進室(電話019・629・5203)へ。
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tanko 2018-9-13 12:40
 金ケ崎町議会9月定例会・決算審査特別委員会(千田力委員長)は12日、2017(平成29)年度一般会計決算の第2区分(議会費・総務費・民生費)と第3区分(衛生費・労働費・農林水産業費)について審査。空き家対策や防災、国際リニアコライダー(ILC)誘致などについて、議論を交わした。
 空き家対策については、及川みどり氏が質問。同町では昨年度、空家等対策計画(2018〜2021年度)を策定しており、「空き家の発生抑制」「空き家の利活用促進」「空き家の適正管理の促進」「危険空き家の抑制・解消」を基本方針に、ふるさと納税を活用した空き家管理など具体的な対応策を盛り込んでいる。
 計画に基づいた具体対応について、千田美裕総合政策課長は「空き家バンクへの登録を促しているほか、町民からの情報提供を受け、現地確認の上で所有者に連絡するなどしている」と説明。及川氏が主張した、農業振興地域など宅地の確保が難しい地域における敷地面積の広い農家空き家の分譲地化など、民間連携による利活用促進については、「町内事業者でも空き家への関心があるところがあり、話し合いながら検討したい」と答えた。
 全国的に大雨などによる災害が発生する中で、ため池ハザードマップ作成に関連し、使われていないため池の有無やハザードマップの内容周知などについて、阿部隆一氏や千葉良作氏が質問。阿部一之農林課長は「町内のため池は個人管理も含め32カ所。このうち使われていないのは永沢に1カ所あるが、今後行うほ場整備で壊す予定になっている」と説明した。
 同町では昨年度、水防法の改正に伴い「想定しうる最大規模の降雨」による北上川の浸水被害に対応する「町防災マップ」を作製。災害時に周辺への被害を及ぼす可能性がある防災重点ため池である▽千貫石ため池▽橇引沢ため池▽高谷野ため池▽入道森2、3ため池――の決壊時の最大浸水深を表示したハザードマップとの両面印刷になっており、全戸配布されている。
 町は本年度、生活圏ごとに自主防災組織のリーダーを対象とした研修会を実施。鈴木敏郎生活環境課長は「自治会や自主防災組織で集まった際に話題とし、共通理解を深めてほしい」と行政による啓発だけでなく住民の主体的な防災意識高揚を求めた。
 北上山地が有力候補地の素粒子実験施設・ILCについて千葉氏は、一関市を拠点とする市民団体が同市に対し質問状を提出したことを踏まえ、市民団体が懸念しているような建設に伴うデメリットの説明について、町としての対応を問いただした。
 千田総合政策課長は「町ではILCへの理解を深めるため、小学校での出前授業を実施している。(市民団体の質問状は)負の面もあることをしっかり啓発していくべきだという趣旨ととらえている。政府による国内誘致の表明後には、環境や放射能管理について説明していく必要があると考えている」と答えた。
 13日は一般会計決算の第4区分(商工費・土木費・消防費)の審査で再開する。
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tanko 2018-9-13 12:30
 奥州市議会9月定例会は12日、決算審査特別委員会(及川善男委員長)による審査が始まった。市財務部のまとめによると、2017(平成29)年度の一般会計と特別会計を合わせた決算状況は、歳入905億6657万円に対し歳出892億9776万円となり、繰り越し財源を差し引いた実質収支は11億9013万円の黒字となった。

 一般会計は歳入580億6634万円で、地方交付税や国庫支出金の減少などから前年度比4.6%減少した。市税は132億1426万円で同1.4%増となり、市民税が所得増により個人・法人ともに増加した。
 歳出575億4546万円は同4.7%減。特に普通建設事業費(45億1151万円)は胆沢の統合中学校新築や水沢の久田前田中線整備など大規模事業完了で前年度に比べ減少した。
 2017年度は第2次市総合計画初年度に当たり、主な事業としては、奥州市版総合戦略事業(1億7221万円)を安定雇用や結婚支援・子育て環境充実などの基本目標を基に実施。国際リニアコライダー(ILC)推進(1277万円)や地域づくり推進(1億8040万円)の各事業を展開した。胆沢のスマートインターチェンジ(3億9882万円)、震災復興特別交付税を活用し衣川総合支所建設(3億8224万円)にも取り組んだ。
 2017年度初開催のいわて奥州きらめきマラソン(1609万円)、カヌージャパンカップ(1010万円)はスポーツを通じた市のアピールに役立てた。
 市債(借金)残高は減少傾向で、一般会計738億1261万円、特別会計と企業会計542億7942万円。貯金に当たる基金残高のうち財政調整基金は91億2003万円、減債基金は26億1584万円。財源不足に対応し2016年度から財政調整基金を取り崩し当初予算を編成している。
 自治体財政の健全度を測る比率のうち、実質公債費比率は16.2%(前年度比0.2ポイント増)。18%以上は新たな借り入れに県知事許可が必要になるが2011年度から下回っている。将来負担比率は114.4%(同3.0ポイント増)となった。いずれも基準値を超えていないが、県内市町村や類似団体の平均と比較し高い状況。赤字額がないため、実質赤字比率や連結実質赤字比率、資金不足比率は数値がない。
 決算審査特別委は12日、総務企画部門と財務部門を審査。省庁などで取り扱いが問題となった公文書管理の在り方に関連し、阿部加代子氏が質問。浦川彰総務課長は、市では内部規定を設けており「条例制定の考えは現在ないが、他自治体の動向を注視したい」と述べた。
 13日は教育委員会、協働まちづくり部門、会計課等を審査する。
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tanko 2018-9-7 18:20
 奥州市立図書館と市ILC推進室がスクラムを組み、国際リニアコライダー(ILC)誘致の機運を高める企画展が6日、水沢佐倉河の市立水沢図書館を皮切りに始まった。市内の5図書館が共通のテーマを設け、市全域を巡回する初めての試み。蔵書と関連資料を交え、ILCの誘致実現を応援しながら図書館利用の促進にもつなげる。11月24日まで。
 市町村合併から12年が経過し、読書推進の分野でも「オール奥州」での取り組みが求められている。水沢図書館の佐藤良館長は「巡回展示を最初の一歩とし、相互の連携を強めたい」と話す。
 市立図書館連携企画展の第1弾は、政府の最終判断が迫る「ILC」をテーマに取り上げ、児童書や科学雑誌、ベストセラー小説など関連80冊を展示。解説パネルとPR映像も交え「ILCは長さ約30kmの加速器。新しい発見や産業の創出など多くの可能性がある」などとアピールしている。
 各館の展示スケジュールは▽水沢(6〜18日)▽胆沢(20〜30日)▽前沢(10月4〜16日)▽江刺(同18〜30日)▽衣川(11月1〜13日)▽水沢(同15〜24日)――を予定。11月24日には、ILC誘致の最新情報を盛り込んだ講演会が水沢図書館で開催される。

写真=「ILC応援」をテーマにした市立図書館連携企画展(水沢図書館)
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tanko 2018-9-7 18:20
 宇宙誕生の謎に迫る国際リニアコライダー(ILC)ですが、誕生や終わりと同じぐらい謎なのが「宇宙の果て」です。地球を飛び出したら、どこまで宇宙空間は広がっているのでしょう?


二つの仮説が示されています
 宇宙の果てに関する二つの仮説を説明する前に、「遠くの星を見る」とはどういうことなのかを考えてみましょう。
 夜空に輝いて見えるほとんどの星は、太陽と同じように自ら光を放っている「恒星」と呼ばれる星です。月や火星、木星も光って見えますが、太陽の光を反射しているだけで、自分で光っているわけではありません。
 夜空の星の「光が見える」ということは、その天体が発した光が地球に届いたということです。
 この連載でも過去に説明しましたが、この世で最も速いのは「光」です。光の速度(光速)は秒速約30万kmです。しかし宇宙にある多くの天体は、非常に遠い場所にあるので、光でさえも何年、何百年、何千年もかかって私たちのところに届きます。光が1年かかって進む距離を1光年といいます。
 例えば、1万光年離れた天体を考えると、1万年前に天体を出た光が宇宙空間を飛び続けて、やっと地球に届いたのです。つまり私たちが今見ている天体の姿は、その天体の1万年前の姿になります。
 宇宙が誕生したのが138億年前だと言われています。なので、138億光年より遠いところを見ようとしても、そこには天体どころか宇宙そのものが存在していない。何もないと考えられています。したがって宇宙のどの方向を見ても、138億光年の距離が「宇宙の果て」だと言えます。
 さて、その宇宙の果ての「外側」には何があるのか。現代の物理学では二つの仮説があります。
 一つは「開いた宇宙」と言われるものです。宇宙空間は、無限の空間の中でビッグバンが起きてできたので、無限の空間の中にいる宇宙自体に「果て」などは存在しない、という説です。
 もう一つは「閉じた宇宙」と言われるものです。例えば、ボールの表面をなぞっていくと、当然またもとの位置に戻ってきます。そして、ボールの周囲を無限に回り続けることができますが、ボール(宇宙)自体の大きさは「有限」であるというイメージで、現在宇宙は膨張しているものの、永久に膨張していくのではなく、ある時から収縮に転じ、最後はゼロとなる。その収縮に転じた地点が、「宇宙の果て」という考えです。
 しかし、二つの仮設に対する明確な答えは、今のところ見当たりません。
(奥州宇宙遊学館館長・中東重雄)

番記者のつぶやき
 大昔の人たちは、「海の向こうはどうなっているのか」「広々とした大地の向こう側には誰がいるのだろうか」と想像を巡らせました。まだ科学的な研究や理論というものが確立していない、そして飛行機や遠洋航海が可能な船舶がなかったころの時代です。
 古代には「地球は真っ平だ」と唱える説も存在していました。もちろん、現代を生きる私たちは球体であることを常識的に知っていますが、当時の人たちはあれこれと思案しながら自分たちの暮らしている場所について考えたことでしょう。実は現代でも「地球は丸くない」と信じている人がいるそうで、「地球平面協会」という団体もあります。
 さて、宇宙に果てはあるのかないのか、宇宙の外側はあるのかないのか。この謎の解明にはどれくらいの時間がかかるでしょうか。
(児玉直人)

画像=はくちょう座を構成する主要な星までの距離を示した図。数字の単位は「光年」。同じ平面に描かれているように見える星座ですが、地球から一つ一つの星までの距離はばらばらであることが分かります

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