岩手県奥州市・金ケ崎町をエリアとした地域新聞社による国際リニアコライダー(ILC)関連記事を掲載。 奥州市東部の北上山地は、現時点における世界唯一のILC候補地に選定されました。当サイトにはILCをはじめ、理系分野やILCに関連性のある地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)についての記事を随時アップします。
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tanko 2017-4-29 14:40
 東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は、東北ILC推進協議会総会後に講演し、ILCの建設コストに対し「今までは1兆円と言われていたが、昨年12月に打ち出された削減案で実施すれば建設費は当初の半分。日本の負担額はさらにその半分になるのでニ千数百億程度となる」との見解を示した(※)。
 ILC誘致をめぐる最新動向を伝えた山下特任教授。ILCを実現する上で、ネックとされていた巨額な建設費について、研究者らは昨年12月、盛岡市で開かれたILC関連の国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」の中で、当初計画より約10km短い直線距離20kmで建設する新方針を打ち出したことを紹介した。
 山下特任教授は「過去の大型事業を例に『費用は計画の3倍は膨れ上がる』と言われているが、加速器施設に関してはそれはない」と断言。施設を徐々に拡張していくため、研究の進展は段階的にはなってしまうが、誘致実現の可能性は格段に上がると強調した。

※補足説明…直線加速器は、実験の進展状況などに応じ、段階的に本来目指す加速器トンネルの長さに拡張するのが容易。最初の投資額を低く抑えられるメリットがあることから、研究者サイドは、徐々に拡張していくこの方針を打ち出していた。
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tanko 2017-4-29 14:30
 素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)の北上山地誘致を進めている東北ILC推進協議会(代表・里見進東北大学総長、高橋宏明東北経済連合会名誉会長)は本年度、ILCを核とした国際研究都市の形成や東北全体の創生を図るため、1次産業や3次産業などの分野を対象とした育成・連携事業に取り組む。本年度中とも言われている日本政府の誘致判断が迫る中、新たな地方創生モデルの提示を目指す。
(児玉直人)

 本年度の事業方針は、28日に仙台市内のホテルで開かれた同協議会総会で示された。総会に先立ち里見代表は、「本年度は誘致を決める重要な年。これまでの加速器関連産業の育成活動に加え、国際的なまちづくりを一層検討していくため衣食住の国際化を進めていきたい」とあいさつ。政府の誘致判断に向けた動きが正念場を迎えることにも触れ、「ILC推進の司令塔である協議会の役割を果たしていきたい」と述べた。
 本年度事業の柱の一つである1次産業や3次産業も加えた地場産業の育成は、ILCを核とした国際研究都市を構築する上では必要不可欠な取り組み。同推進協をはじめとするILC関連の誘致団体では、加速器本体やそれらを支える関連機器、土木・建設技術などを中心としたセミナーや企業交流会が多く行われており、団体加盟企業も2次産業に分類される業種が目立っていた。いわゆる「加速器関連産業」の育成と連携に力を注いできた。
 しかし、研究者やその家族、見学者などの受け入れ態勢を整える上では、地域の1次産業や3次産業、さらには地域の活動団体などの協力や育成も不可欠。ILC誘致によってもたらされる波及効果は、研究や技術開発面のみならず、日常生活に身近な食産業やまちづくりなど多岐に及ぶため、産業全体や町内会、商店街といった地域レベルの団体などの協力と国際化に向けた育成が必要となる。
 育成事業は、同推進協事務局を務める東北経済連合会(東経連)が設置する民間支援組織「東経連ビジネスセンター」と連携し、観光や食などに関する産業の育成を推進。多くの人材が定着、交流できるようなまちづくりの検討も進め、新たな地方創生モデルの提示を目指す。
 総会では、関係自治体や団体の代表者による決意表明も行われ、本県の達増拓也知事は「いよいよ正念場。やるべきことをしっかりやり、全国の皆さんにもILCの意義を理解してもらえるよう頑張りたい」。奥州市の小沢昌記市長も「決断を待つばかりではなく、皆さんで何ができるかを考え、大きなうねりを起こしていこう」と呼び掛けた。

写真=本年度事業などを決めた東北ILC推進協議会の総会
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tanko 2017-4-28 20:00
 “音楽の都”として知られるオーストリアの首都、ウィーンを拠点に活動する5人の管楽器奏者が27日、金ケ崎町立金ケ崎中学校(遠藤宗俊校長、児童452人)を訪問。世界の音楽ファンをうならせる最高の響きを生徒や地域住民らの前で披露した。
 同校を訪れたのは、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団のヘルベルト・マデルターナーさん(オーボエ)、ペーター・ロイットナーさん(クラリネット)、ヤン・ヤンコヴィッチさん(ホルン)と、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のマティアス・シュルツさん(フルート)、ウィーン交響楽団のリヒャルト・ガラーさん(ファゴット)。
 5人は、トヨタ自動車が実施している社会貢献活動事業「トヨタ・マスター・プレイヤーズ ウィーン」に参加するため来日。同事業のためだけに、ウィーンの名門オーケストラに所属する演奏家30人で編成された室内管弦楽団で、今月15日の大阪を皮切りに26日の仙台公演まで国内各地で演奏活動を繰り広げた。
 公演の合間を縫って、学校などへの訪問演奏も実施。金ケ崎中は、トヨタ自動車東日本岩手工場が近くにある縁もあって実現した。
 全校生徒や地域住民らが集まる体育館に姿を見せた5人は、息の合ったアンサンブルを披露。フルート奏者のシュルツさんが、曲の説明をしたり楽器の紹介をしたりして楽しませた。
 演奏のお礼に、同校応援団が和太鼓のパフォーマンス。質問コーナーでは、吹奏楽部の生徒たちを中心に「演奏会に臨むときに心掛けていることは」「どうしたら緊張しないで演奏できるか」などと尋ねた。シュルツさんは「練習をたっぷりすること。そして音楽をすることを喜び、そのことに感動することが大切だ」とアドバイスした。

写真=息の合ったアンサンブルを披露する5人の管楽器奏者たち
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tanko 2017-4-24 19:30
 金ケ崎町を訪問中の姉妹都市ドイツのライネフェルデ・ヴォアビス市訪問団は23日、森山総合公園や金ケ崎要害歴史館など、町内施設を視察。要害歴史館では、一昨年行われた新町誕生60周年記念行事で、ゲルト・ラインハルト前市長が植樹した桜を鑑賞し、桜の成長に重ねて両市町友好交流の発展を願った。訪問団は24日朝に同町を出発し、25日に離日する。

 訪問団は、マルコ・グロサ市長とゲルト・ラインハルト前市長、市長秘書のビルギット・メーレケ氏、市経理担当のハイケ・ゲンツェル氏、同市スポーツ余暇公社のアンドレアス・エベルト代表、ノインシュプリゲ醸造所のベルント・エーブレヒト代表の6人。
 一行は、19日に来日。都内で同町との交流の端緒を開いた伊藤邦明東北大名誉教授らとの懇談機会を設けた後、21日に金ケ崎入りした。初日は町と町議会主催の歓迎式が町役場議場で行われたほか、「町民お花見会」に参加。22日は盛岡市内のビール醸造所を見学し、北上市の展勝地で花見を楽しんだ。
 視察最終日の23日は、社会人硬式野球の「第53回JABA県知事旗争奪春季大会」が行われている森山総合公園の野球場など、スポーツ施設を視察。芝やプールの水質管理などに関心を示したという。
 金ケ崎要害歴史館では、同町の歴史に理解を深めた。同館の庭には一昨年10月に同市と中国・長春市、米国アマースト町の訪問団がそれぞれ植えた桜がある。新町誕生60周年記念式典に合わせて行われた交流事業計画締結式の際に植栽したもので、ラインハルト前市長が植えた荘川桜(アズマヒガンザクラ)が、今回の訪問団来町に合わせるように植樹から初めての花を咲かせている。
 1.7mほどに成長した桜を前に、ラインハルト前市長は「姉妹都市関係にも花が咲いていると感じられ、非常にうれしい」と笑顔。ともに植樹した長春、アマーストの両市町と2001年に、金ケ崎で開かれた4極サミットに参加した思い出を振り返り、「金ケ崎町との姉妹都市交流を通して、他の都市との交流に広がっていくことを期待する」と述べた。
 同町や県内の視察を通してグロサ市長は「どこに行っても非常にきれいで、自分たちの街にも取り入れられないかと考えている」と印象を語り、「今後は、姉妹都市関係が市民に分かるような形を検討したい」という。今訪問団には民間からも参加しており、「秋にドイツに来る金ケ崎町の訪問団には、ぜひさまざまな分野の人に参加してもらいたい。実際に私たちの市を見てもらい、経済交流も含めどのような交流ができるか考えていきたい」と希望した。

写真=ライネフェルデ・ヴォアビス市訪問団を歓迎するように咲いた桜
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tanko 2017-4-24 19:20
 岩手県とその周辺に住むフィリピン人の生活向上や抱えている悩みなどを聞く会合が23日、奥州市水沢区吉小路の市水沢地域交流館(アスピア)で開かれた。会合を主催したのは、同国のドゥテルテ大統領の政策などに基づいたフィリピン人の支援活動を展開する団体「キルサング・パグババゴ(改革運動)」。現地フィリピン人だけでなく、海外に住むフィリピン人にも政府の取り組みを周知するとともに、生活支援に役立つ情報や講座を展開している。同日は、同居家族の世話や就労面でも役立つ介護に関する講座なども行われた。

 麻薬撲滅などの政策や就任前後の過激な発言が世界の注目を集めたドゥテルテ大統領。キルサング・パグババゴは、麻薬など薬物の使用や犯罪の根絶、腐敗政治の払拭、貧困緩和などドゥテルテ政権が推進する政策に関係した情報提供や、さまざまな講習会を開催している。その取り組みは自国内にとどまらず、日本など海外に暮らすフィリピン人も対象としている。
 埼玉県熊谷市に暮らすジョージ・アスティリアさん(59)は、東日本エリアでの活動を担当。政府側の情報を提供したり、日本で暮らす上で制度的に困っていることはないかなど、会合を通じて聞き取り、母国政府側へフィードバックしている。
 アスピアでの会合は、水沢区姉体町に住む及川アイリーンさん(41)らが中心となり、県内や宮城県気仙沼市に住むフィリピン人に参加を呼び掛けた。約40人が集まった。
 この日は、情報提供や意見交換のほか、介護に関係した講習も実施した。
 地方で生活するフィリピン人女性の多くは、夫の両親らと同居する例が多く、在宅介護の必要性も出てくる。また、収入確保のための就職先としても介護関係は注目されており、介護に対するフィリピン人女性たちの関心は高い。会合では、介護士資格を持つフィリピン人女性が、介護の基本知識や介助の仕方を実演。参加者は真剣な表情で聞き入っていた。
 会合の様子は、フィリピンの国営放送PTVも取材。後日、現地で放送するという。

写真=介護に関する基礎知識を学ぶ地域在住のフィリピン人女性たち
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tanko 2017-4-22 19:30
 金ケ崎町の姉妹都市ドイツのライネフェルデ・ヴォアビス市訪問団が21日、同町を訪問。町役場4階の議場で町と町議会による歓迎式が行われ、町立金ケ崎中学校の生徒が、同市縁の曲「野ばら」を演奏した。一行は、隣接する街地区体育館で開かれた「町民お花見会」にも参加。訪問団メンバーが経営するビール醸造所の生ビール100リットルが振る舞われた。お花見会には町民ら約280人が参加し、本場の味を楽しみながら一行と交流を深めた。
(菊池藍)

 両市町の交流は、歴史的な建造物の保存活用などを共通項としてスタートし、2002(平成14)年に旧ライネフェルデ市と姉妹都市締結した。2004年に2市7町が合併し現ライネフェルデ・ヴォアビス市が誕生した後も、交流を継続。市制・町制施行の節目などでの訪問団や文化使節団の派遣、職員の交流研修などを行ってきた。
 今回同町を訪問したのは、マルコ・グロサ市長とゲルト・ラインハルト前市長、職員2名のほか、同市スポーツ余暇公社のアンドレアス・エベルト代表、ノインシュプリゲ醸造所のベルント・エーブレヒト代表が同行。23日までの滞在中、工業団地や森山総合公園を視察するほか、町内でイベントを開催している盛岡市のビール醸造所も見学。産業文化に広く触れる機会を盛り込んでおり、今後の新たな交流の形を探る。
 歓迎式で高橋由一町長は、訪問団に民間人が参加したことに「新たな分野での交流につながる」と期待。伊藤雅章議長は、「桜が見ごろを迎え、水田では米の作付け準備が盛んに行われている。金ケ崎の風景をご覧いただきながら、友好関係を深めていきたい」と述べた。
 グロサ市長は、市の行政組織や都市整備事業、今後の自治体合併に向けた動きなどを紹介。姉妹都市を締結した当時のラインハルト前市長は「共に若い町で、それぞれ興味深い歴史があり、継続可能な発展が期待される」とし、「人的交流が今後も継続され、お互いの関心がさらに成長し学び合えれば」と願った。
 式では金ケ崎中学校吹奏楽部3年生11人による演奏も。同市出身の作曲家、ヴェルナーの名曲「野ばら」で、訪問団を歓迎した。グロサ市長は「中学生の演奏は非常に良かった」と笑顔で話し、「(今回は)姉妹都市交流を強固なものにしていくための訪問。住宅建築など今後計画している政策に反映できるよう、さまざまなものを学びたい。職員の研修派遣など人的交流を今後できたらと思う」と意欲を示した。
 「町民お花見会」で一行は鏡開きに登壇。乾杯後、ノインシュプリゲ醸造所のピルスナータイプの生ビールが来場者に振る舞われた。
 同醸造所では、年間700万リットルのビールや2万リットルのウイスキーなどを製造しており、旧東ドイツ地域で広く親しまれている。エーブレヒト代表は「伝統的な造り方を採用している。日本のビールと同じようにガスが少なく飲みやすい。日本のビールも飲み比べてみたが、非常に良かった」と話していた。

写真上=歓迎式であいさつするマルコ・グロサ市長

写真下=金ケ崎中吹奏楽部の演奏を楽しむ、ライネフェルデ・ヴォアビス市訪問団
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tanko 2017-4-18 19:10
 東海林誉(しょうじ・たかし)社長(39)が11年前に起業した(株)ショージックは、江刺区八日町に本社を構えるスタッフ5人のIT企業。外国人旅行客の接客に使える多言語案内アプリを開発するなど、「IT(情報技術)を用いた人と人をつなぐサービス」を使命に事業を進める。
 東海林社長の転機は16歳で訪れた。一関高専に入学後、パソコンに詳しい親友の話を聞いて「すごいことが起きている」と直感。アルバイトでためた50万円でパソコンを買い求め、使い方を一から学んだ。指導を受けた教授もパソコン愛好者で、関連機器がそろった研究室に足しげく通った。本来の専攻は化学だったが、パソコンの魅力に引きこまれ、「この道で生きていきたい」。好奇心と人との出会いが、その後の進路を決定付けた。
 卒業後は仙台市のシステム制作会社に勤務。産業装置の制御プログラムの開発などに4年間携わった。知人の誘いを受け、旧江刺市のホームページ制作会社に移ったのを機に、江刺に家族で移住した。5年近く勤め、2006年6月、28歳で独立。名前を覚えてもらう狙いで社名は自身の名字にちなみ、ホームページ制作などから請け負った。
 受注や工程の管理などに使う業務システムの開発を手掛けるようになってから、経営の幅が広がった。ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)に絡んだ技術開発も強みという。
 ショッピングサイトの構築も、事業の柱の一つ。全てではないが、顧客に対し成功報酬型の提案をすることもある。この場合、ネットショップの立ち上げから運用までを顧客に代わって行い、売り上げの一部を支払ってもらう。東海林社長は「顧客とタッグを組んで売り上げを上げていくような関係を増やせれば」と話す。
 昨年、外国人旅行客向けの多言語案内アプリを開発。タブレット端末で、飲食店のメニューなどを複数の言語で表示でき、平泉町の中尊寺境内のレストランで利用されている。
 北上山地が有力候補地に挙がる国際リニアコライダー(ILC)の誘致や東京五輪などを見据え、「奥州市の国際化や魅力の発信に貢献したい」と抱負を述べる。
(若林正人)



【ひと声】
代表取締役社長 東海林誉さん(39)
 「ウェブは人と人とのつながりが最も重要です。パソコンでつながるだけのサービスを提供するのでなく、お客さまと信頼し合い、共に成長できればと願っています」

【会社データ】
 奥州市江刺区八日町一丁目8-12-1。資本金200万円。従業員数4人。2012(平成24)年に仙台営業所を開設。翌2013年に株式会社化した。顧客の発展が自社の発展につながるとの信念で事業を進める。東海林社長はスタッフのチームワークも自社の強みと強調。システム開発やショッピングサイト構築、映像編集、語学など各分野に精通したスタッフが連携しながら、顧客の要望に応える。
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tanko 2017-4-15 9:40
本間希樹・国立天文台水沢VLBI観測所長も参加

 謎だらけの天体「ブラックホール」を直接撮影する世界初の試みが今月上旬、アメリカや南米、南極などの観測局が連携し行われた。アジアや欧米の天文学者らによる国際共同研究事業で、国立天文台水沢VLBI観測所=水沢区星ガ丘町=の本間希樹(ほんま・まれき)所長もその一員。ハワイで撮影作業を見守り、帰国したばかりの本間所長が13日夕、胆江日日新聞社の取材に応じ「解析や画像化する作業などを経て、早ければ年内にも公開できるだろう。非常に楽しみだ」と心を躍らせている。
(児玉直人)

 本間所長が参加する国際プロジェクト「EHT(Event Horizon Telescope)」は、ブラックホールの真の姿をとらえることを最終目標に活動してきた。強大な重力であらゆるものを吸い込む、ミステリアスな印象を与えてきたブラックホールの姿は、これまで「想像」でしか描かれていなかった。
 EHTは今回、地球から約2万5000光年離れた場所にある「いて座Aスター」と、約5400万光年離れたおとめ座方向にある「M87銀河」の中心に潜む巨大ブラックホールを撮影対象とした。いて座Aスターは、太陽の400万倍の質量を持ち、直径は太陽の17倍。M87中心部のブラックホールはさらに巨大で、質量は太陽の60億倍。直径は太陽の2万5500倍あるとされている。
 撮影作業(観測)は、米国のハワイ島やアリゾナ州、メキシコ、チリ、南極、スペインの世界6カ所にある計8局の電波望遠鏡を連動させ実施。できるだけ遠く離れた複数の電波望遠鏡が、一斉に同じブラックホールを観測することで、実際に製造不可能な直径1万kmの電波望遠鏡で観測したのとほぼ同じ精度の高いデータが得られる。VLBI(Very Long Baseline Interferometry=超長基線電波干渉計)と呼ばれ、水沢VLBI観測所が運用する「VERA(ベラ)」も同じ仕組みを採用している。
 撮影作業は今月5日から11日までの間、計5日にわたり行われた。ハワイ島の観測施設「ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(JCMT)」に出向いた本間所長は、「すべての地域で天候が良く、またトラブルもなく順調にできた。こんなにうまくいくとは思わなかった」と喜ぶ。
 今後、各局で得られた電波の強弱などを表すデータを解析し画像化を進める。本間所長は「日本やアメリカのメンバーがそれぞれ提案している技術で“絵”にしていく。国際的に協力し合う一方で、いい意味の競争が生まれる。最終的には1枚の姿を公開するが、日本の提案する処理方法が採用されるよう頑張りたい」と意気込む。
 公表されるのは早くて年内。本間所長は「今まで見えなかった姿が見えてくることで、ノーベル賞級の発見があってもおかしくない。非常にわくわくするし、このようなプロジェクトに携われたこと自体うれしい」と話している。

写真=ブラックホール撮影立ち会いのため、ハワイ島のJCMTに集まった天文学者たち。左が本間希樹所長(写真提供、本間所長)
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tanko 2017-4-14 19:20
 東京・千代田区の北の丸公園内にある科学技術館は、文字通り科学技術の普及、啓発のためにつくられた施設だ。3月末、東京に出掛けた折、立ち寄ってみた。「理科離れ」「理系離れ」が指摘されるなかで、子供たちのグループや家族連れなどで盛況だった。不思議なつくりの創作物に触れたり、異次元空間に身を置くなど、科学技術の世界を楽しんでいた。
 17日から科学技術週間だ。日本の科学技術の振興を図るために1960年に制定されたというから、半世紀を超える取り組みになる。期間中、文部科学省は功労者表彰を予定するほか、国内各地で講演会や公開講座、博物館や文化館での特別公開などが行われるという。科学技術館でも無料開館日を設けるほか、関連イベントを予定している。
 文科省の推進要綱によると、科学技術と社会は相対するものとして位置付けられていたが、研究者や国民、産業界などによる「共創」する関係が求められる。そんな科学技術の進歩で恩恵を受けるわたしたちがいっそう理解を深めるための1週間という位置付けのようだ。
 科学技術館の館長は、2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治氏。野依館長は、科学知識について「人類共通の資産。科学知に基づく技術の開発は現代文明の礎」と言っている。科学の営みは「果てしなく続く知の旅」とも語る。
 このため、青少年らが学校での理科教育だけでなく、産学官などによる環境づくりの必要性も訴える。科学技術館内には、協賛・協力企業に常設展示室がある。展示するテーマに関連する企業や団体に制作の協力をしてもらう内容で、「味の素」「昭和シェル石油」「キヤノン」などのコーナーが見られる。
 親子連れや子どもたちのグループのほか、外国人らの姿も多く、見たり触れたりの体験型の展示に列をなしていた。科学を学ぶというより、目の錯覚を利用した面白い空間、てこの原理を活用して車を動かすコーナーなど、遊園地のアトラクションを楽しむ感覚のようだ。
 一方で、理科の学力低下や文系志向などを背景に「理科離れ」「理系離れ」が言われて久しい。文科省の全国学力テストでも理科離れは顕著。「理科が好き」なのは、小学6年生で8割を超え、中学3年で6割程度になるらしい。
 確かに、観察や実験などの体験型授業であれば、一種のアトラクションのようで楽しいのだろう。中学生ともなると、教科書を広げて理論を学ぶ。学年が進むにつれて難しくなり、理解しにくくなるというのは経験上、よく分かる。
 この半世紀、高度成長期を経て商工業技術の進歩は著しい。一般家庭での電化製品の普及は、生活様式を変えるほどだ。かつて、粗悪品の代名詞だった「メイド・イン・ジャパン」は、高品質と信頼性の象徴といえる言葉になった。社会や日常生活を支える科学技術の進歩である。
 胆江地区を含む県南部では今、国際リニアコライダー(ILC)の建設に期待感がある。学術や産業、地域振興など多く分野での効果が期待される。科学技術の恩恵を得られる施設だけに、週間に合わせて知識を深めてみたいものだ。
(小野寺和人)

写真=科学技術を結集し構想されるILC。写真は、本県で開かれた国際会議で、候補地一帯を立体視する航空写真に見入る外国人研究者(昨年12月、一関市で)
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tanko 2017-4-13 9:50
 茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK、山内正則機構長)は、北上山地への誘致が期待される素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の広報活動資金を得るため、個人や法人・団体からの寄付を募っている。目標額は1000万円で、2019年3月31日まで呼び掛ける。
 KEKでは、ILCで使用される加速器や電子・陽電子ビームの研究開発が進められている。併せて、国内での理解周知を図る広報活動、出前講座なども展開している。
 ILC計画の広報普及活動をめぐっては、素粒子物理の研究者界や胆江地区など有力候補地である北上山地の周辺地域では一定の認知度があるものの、首都圏をはじめ候補地以外の地域ではまだまだ知られていない状況。これまでも各種誘致団体などと連携し、さまざまな切り口から宣伝しているが、KEKは「ILC計画に対する調査・研究などが進められている今、時機を逸することなく理解増進活動をさらに充実させたい」とし、支援を呼び掛けている。
 寄付協力者への特典も用意。個人で10万円以上、法人・団体で100万円以上寄付すると金額に応じた称号が与えられ、KEK敷地内「小林ホール」にネームプレートが掲示される。税制上の優遇措置も受けられる。
 寄付方法は個人の場合、1000円からの受け付け。銀行振り込みやKEKへの持参のほか、クレジットカードの利用も可能。法人の場合は銀行振り込みか持参のみ。詳しくはKEKの公式サイト
http://www2.kek.jp/ilc/ja/contents/contribution/index.html
を参照のこと。問い合わせはKEK内のILC推進準備室(電話029・864・5131)へ。

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The High Energy Accelerator Research Organization (KEK, Masanori Yamauchi) of Tsukuba City, Ibaraki Prefecture, is soliciting funds for promotional activities, hoping to attract the elementary particle experimental facility "International Linear Collider (ILC)" to the Kitakami Mountains. They are seeking donations from individuals as well as corporations and organizations. Their target is 10 million yen by March 31, 2019.

KEK is currently doing research and development of accelerators and electron / positron beams to be used by the ILC. At the same time, they are developing public relations activities and lecture courses to inform the public about the ILC project. There is a certain degree of recognition in the area around the candidate site in the Kitakami Mountains and the Tanko district (south area of Iwate), but outside these areas the situation is not well known yet.

KEK is calling for support, saying, "We would like to further enhance our promotional activities as quickly as possible, as investigations and research on ILC projects are ongoing."


Donor benefits are also available. If you donate 100,000 yen or more for individuals and 1 million yen for corporations or groups, a title according to the amount will be given and a name plate will be posted on "Kobayashi Hall" at KEK. There are also tax incentives for donations.

Individuals can donate from 1000 yen by bank transfer, credit card, or in person at KEK. For corporations, donations are only accepted by bank transfer or in person. For details, please see KEK's official website
http://www2.kek.jp/ilc/ja/contents/contribution/index.html. For more information, please contact KEK's ILC Promotion Preparation Office (telephone 029-864-5131).

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢区柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

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