人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2015-5-30 10:00
"The World`s Eyes Turning to Our Hometown (ILC Guest Classes Expanded to Elementary Schools in Oshu)"
In English http://www.city.oshu.iwate.jp/htm/ilc/english/news.viewer.html?prm=2015053000

 小学生を対象にした国際リニアコライダー(ILC)出前授業が29日、奥州市立胆沢愛宕小学校(西舘修校長、児童56人)を皮切りに始まった。児童たちは、身近な地域が国際的ビッグプロジェクトの候補地として世界中から注目を集めていることを実感。ILC実現後の地域の姿に、想像をめぐらせていた。
 奥州市ILC推進室が本年度からスタートさせた事業。昨年度からNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)に委託し市内中学校へ出前授業を実施しているが、本年度は小学校にも範囲を拡大した。
 小学生向けのILC解説は、専門家が学校を訪れ単発的に開催したものや地域行事の一環で実施した例はあるが、同推進室の事業としては初めて。
 胆沢愛宕小には、同推進室の高橋秀和主任(35)と市ILC国際化推進員のトマス・アンナさん(30)が訪問。5、6年生17人が授業を受けた。
 県が制作した子ども向け解説動画を観賞し、ILCの概要をつかんだ児童たちに高橋主任らがクイズを出題。「どうして岩手が候補地に選ばれたか」「ILCができると、どんないいことがあるか」などの問題に挑戦した。
 6年の佐々木奈緒さん(12)は「今までILCの話は聞いたことがなかった。もし実現すればこの辺は、岩手の中でも一番大きな街になるんじゃないかと思う」と話していた。
 中学校での出前授業は2年生全員を対象にしているが、小学校は希望する学校のみ。6年担任の千田貴子教諭(36)は「子どもたちが地域の将来について理解を深めることは大切なことと思い、出前授業を開いた。ILCの候補地となっている自分たちの地域に誇りを持ってほしい」と希望していた。

写真=ILCについて理解を深める胆沢愛宕小の児童たち
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tanko 2015-5-29 9:50
 奥州市ILC推進連絡協議会(会長・小沢昌記市長)の本年度総会は28日、市役所江刺総合支所で開かれ、市のILCまちづくりビジョン策定への参画を柱とした本年度事業計画を承認した。同ビジョンは、市がILC建設を想定する都市構想。年度内の策定を目指しており、協議会としても積極的に関わっていくことを申し合わせた。
 あいさつで小沢市長は「市が目指すべきまちづくりにILC構想を盛り込み、建設が実現すればさらに大きなまちづくりの展開ができるような方針を作成したい。1人でも多くの人に理解いただき、熱烈な思いを全国、世界に発信できる体制を整えたい」と話した。
 本年度は、同ビジョン策定に積極的に協力するほか、県や東北地区内の関係機関・団体が行うILC建設実現に向けた活動を引き続き支援する。市広報などを活用した各種情報提供、JR水沢江刺駅、水沢駅の活用検討なども進める。

早期策定の利点説く(総会後講演で)
 総会に合わせ、奥州市がILCまちづくりビジョン策定業務を委託する(株)都市計画設計研究所=東京都=の三浦幸雄代表取締役が、同ビジョンの概要について講演した。
 三浦代表は「ILCに関するビジョンとして、ILCが立地する東北2県3市が広域の協議会を作り、まちづくり基本計画を策定することになるだろう」と見通しを示しながら、「自分たちのまちをどう創っていくか、そこにどうILCを盛り込むか奥州市として早めに作っておくと、基本計画にいろいろ提案できる」と話した。
 ILC完成までのスケジュールにも触れ、「建設工事、機器設置などを経て完成、運用までには�t年かかるが、設計段階前に基本計画を作成しないことには進まない。実際8年後には研究者が現場に入ってくる」とし、「完成を遅らせないためにも、より早い段階での計画策定が必要」と強調した。

写真=「市の将来像の実現にILCをどう生かすかが大事」と語る三浦幸雄代表
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tanko 2015-5-29 9:50
 岩手県国際リニアコライダー推進協議会(谷村邦久会長)主催の「ILCシンポジウムin岩手」は、7月2日午後2時から盛岡市愛宕下の盛岡グランドホテルで開かれる。
 2部構成で、1部は県立大学の鈴木厚人学長(前高エネルギー加速器研究機構機構長)が、「ILC実現に向けて」と題し講演。2部は、パネルディスカッション「先端科学技術が拓く未来の世界」を予定している。発言者は鈴木学長、岩手大学の岩渕明学長、朝日新聞社の高橋真理子編集委員。ILC戦略会議議長で、東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了准教授が司会を務める。
 定員は400人で、先着順で聴講申し込みを受け付ける。終了後の懇談会は会費5000円(当日徴収)。申し込み、問い合わせは同協議会事務局の県商工会議所連合会(盛岡商工会議所内、電話019-624-5880、電子メール daihyo@ccimorioka.or.jp )へ。
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tanko 2015-5-27 13:10
 奥州市ILC推進室や岩手県県南広域振興局は本年度、ILC(国際リニアコライダー)の普及活動の一環として進めている中学校出前授業を市内小学校や市外の中学校にも拡大して実施する。北上山地への建設誘致を見据え、次代を担う子どもたちの関心をより一層高める狙いだ。

 奥州市ILC推進室は、市内小学校のうち希望があった7校で今月29日から出前授業を行う。同推進室職員が講師を務める。市は本年度、ILC絵画コンクールを予定しており、その事前学習と位置付けている。
 一方、県南広域振興局は、奥州市以外の管内44中学校のうち、希望のあった14校で出前授業を繰り広げる。奥州市では市内全中学校の2年生を対象に出前授業を展開しているが、候補地の地元自治体だけでなく、より広域的に関心の輪を広げる狙いがある。実施校の中には、金ケ崎中学校も含まれており、11月4日に予定されている。
 市内中学校の出前講座と同様、事業をNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)に委託。2時限1セットで、研究内容の概要やILCと地域との関わりなどについて学ぶ。
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tanko 2015-5-25 12:20
"International Research Facility and a Future Vision of Oshu, Shown from a Personal Point of View"
In English http://www.city.oshu.iwate.jp/htm/ilc/english/news.viewer.html?prm=2015052500

 国際リニアコライダー(ILC)誘致を見据え、奥州市が年内策定を目指すILCまちづくりビジョン(都市構想)は、6月中にも策定委員会や分科会などを設置し、作業を本格化させる。市民らの意見をワークショップによって吸い上げ、分科会で専門的な見地を交えながらビジョンの詳細部分を協議。策定委員会で最終的な姿をまとめる。ビジョンが完成すれば、日常生活や地元産業など、より市民に身近な視点でILCと市の将来像との関係をイメージすることが可能に。地元自治体の具体的な考えを国内外に示すことにもつながりそうだ。
 奥州市江刺区東部などを含む北上山地への建設構想が浮上しているILC。実現すれば国内初の本格的な国際研究施設となる。国内外の研究者、技術者が滞在し、関連企業や生活支援施設などが整備されることも予想されている。
 奥州市は年内を目標に、ILC誘致を意識したまちづくりビジョンを策定。ILCの存在を市のまちづくりに生かすための地域の将来像と、メーンキャンパス(中央研究所)候補地に関する提案の二つで構成する方針だ。
 策定作業では有識者らによる策定委員会と、具体的な協議を担う分科会を設置する。分科会は▽まちづくり・地域生活支援▽産業振興▽福祉医療・教育――の三つを想定しており、各分野の専門家や関連する組織・団体等の参加を求める。
 ビジョン策定のたたき台となるアイデアや地域課題、住民の思いなどは「ワークショップ」で吸い上げる。ワークショップ参加者は一般市民のほか、13年度から開催した「まちづくりアカデミー」の修了者、県立大学の学生らを想定している。
 奥州市ILC推進室は、ワークショップ参加希望者らに対する、趣旨説明会と特別授業を今月31日午後2時から水沢区の奥州宇宙遊学館で開く。特別授業では、独マインツ大学の斎藤武彦教授(原子核構造物理学)が、ILCが地域にもたらす効果について解説する。
 ILCとまちづくりに関心がある人であれば参加可能。特別授業終了後、聴講者からワークショップへの参加意向を調べるという。
 一連の取り組みは、28日に市役所江刺総合支所で開く市ILC推進連絡協議会(会長・小沢昌記市長)の総会で説明する。総会後は、市からビジョン策定支援業務の委託を受けている(株)都市計画設計研究所(東京都新宿区)の三浦幸雄代表取締役による講演会も予定している。
 同推進室の朝日田倫明室長は「11月ごろにはビジョンの形を作り、それに対する市民意見を聞いた上で、年内策定を目指したい」と話している。
 ILCに関連したビジョンとしては、12年に東北ILC推進協議会(事務局・東北経済連合会)が「ILCを核とした東北の将来ビジョン」を策定。ILCが実現した場合の東北地方の未来像や地域経済への効果などをまとめている。
(児玉直人)
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tanko 2015-5-23 12:10
 「いわて加速器関連産業研究会」の設立総会とセミナーは、6月8日午後2時半から盛岡市のホテルルイズで開かれる。国際リニアコライダー(ILC)誘致を見据えた県内企業の加速器関連産業参入を産学官連携で後押しする。
 同研究会の設置は、今年2月に同市で開かれた加速器関連産業参入セミナー(県、いわて産業振興センター主催)の席上、県が提案。製造系を中心とした地元中小企業がILC関連装置や付随施設の整備・建設に参入できるよう、産学官の連携強化を図る。
 当日は設立総会後、東北経済連合会(東経連)ビジネスセンターの西山英作所長が「東経連加速器関連産業戦略ビジョン」について、東北大や岩手大の客員教授を務める吉岡正和氏が「加速器産業を日本の成長戦略に!」と題しそれぞれ講演する。加速器関連産業への参入や産学官連携事業に関心がある企業、行政の関係者らの参加を呼び掛けている。終了後は交流会(会費4000円)を予定している。
 セミナー参加希望者は同8日までに、同センターものづくり振興グループ(電話019・631・3825)へ。研究会の入会申し込みや問い合わせは、県庁科学ILC推進室(電話019・629・5203)。
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tanko 2015-5-23 12:10
 奥州市建設業協会(高橋健二会長、98社)の本年度通常総会は21日、水沢区のプラザイン水沢で開かれ、事業計画など3議案を承認した。地域経済の基幹産業として公共的使命を果たしていく。
 委任状を含む95社の代表が出席。事業計画では▽災害協定に基づく活動▽地域貢献活動の実施▽国際リニアコライダー(ILC)の推進活動――など6項目を重点取り組み事項に掲げる。
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tanko 2015-5-23 12:10
 国際リニアコライダー(ILC)で進められる研究やその目的を詳しく解説する一般講演会「宇宙の素粒子の謎を解き明かす最先端の3次元半導体検出器」は、6月6日午後1時半から仙台市青葉区一番町のエルパーク仙台(141ビル6階)で開かれる。入場無料。
 講師は東北大大学院の山本均教授、高エネルギー加速器研究機構の新井康夫教授、京都大学の鶴剛教授。宇宙の始まりや進化の謎に迫るための手法や、検出器の特徴などに触れる。ILCを使い、質量を与える素粒子「ヒッグス粒子」の正体をどのようにして解明するか、分かりやすく紹介する。
 聴講希望者は、講演会案内ホームページ http://epx.phys.tohoku.ac.jp/soipix2015/ から入手できる応募用紙に必要事項を記入し申し込む。定員は230人。当日、空席があった場合は申し込みしなかった人でも聴講できる。
 問い合わせは、東北大学大学院素粒子実験グループの石川明正さん(電話022・795・7730)へ。
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tanko 2015-5-22 12:00
 岩手県教育委員会主催の「今後の県立高校に関する地域検討会議」胆江ブロック(奥州市、金ケ崎町)の初会合が20日、市役所江刺総合支所4階大会議室で開かれた。高校の在るべき姿や地域事情に応じた高校配置などについて、委員らが意見交換。会議は年度内計3回の開催を予定しており、会議で出された意見を踏まえ「新たな高校再編計画(仮称)」の策定を進めていく。
(稲田愛美)

 県教委は今年4月、「県立高校教育の在り方検討委員会」が昨年度まとめた報告書「今後の県立高校の在り方について」を基に、パブリック・コメントや地域説明会などを経て「今後の高校教育の基本的方向」を改訂。
 本年度は胆江ブロック(2市町)はじめ、県内9ブロックごとに各地域検討会議を立ち上げ、基本的方向を踏まえながら、おおむね10年後を見据えた同再編計画の策定に着手する。会議では、小規模校の取り扱いも含めた各学校の在り方や学級定員、再編に伴う通学支援策などについても協議を進める方針。
 胆江ブロックの検討会議は、2市町の商工団体役員やPTA役員、農業関係者、教育長ら12人で構成。同日は、奥州市の田面木茂樹教育長、金ケ崎町の小野寺正徳副町長、両市町の商工団体、PTA関係者ら構成委員のほか、地元選出県議、県教委の川上圭一教育次長ら約30人が出席した。
 川上教育次長は「自立した社会人としての資質を有する人材育成の実現とともに、子どもたちにとってより良い教育環境を整えるため、地域の学校はどうあればよいか建設的な意見をいただきたい」とあいさつした。
 会議では、県教委が基本的方向や少子化に伴う子どもの数の推移、卒業後の進路状況などのデータについて説明。それによると、胆江管内の中学校卒業者数は2014(平成26)年3月の1345人から、現在の1歳児が卒業する28年には986人と1000人を割り込むと予測される。
 震災後3年間における中学卒業者のブロック間転出・転入状況(平均)をみると、胆江域外からの転入は89.7人にとどまる一方、転出は228.3人に上り、その差は県内最大だった。
 委員からは「再編により高校がなくなれば、学校教育だけでなく地域に与える影響もかなり大きい」「域外への流出人口が多い原因を探りながら流出を防ぎ、むしろ転入できるような策を」「魅力ある特色や受け皿があって初めて子どもたちは地元に残る。自分の力を伸ばせる魅力的な学科の見直しも必要」「ILCも視野に物理や英語、国際化分野の学科があってもいいのでは」などの意見が出された。

写真=魅力ある学科、学校づくりの必要性などが指摘された「今後の県立高校に関する地域検討会議」
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tanko 2015-5-20 13:30
 生物の進化も地球や宇宙の歴史――。奥州市水沢区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館に、生物の標本展示コーナーが登場した。岩手県立岩谷堂高校教諭の山口成実さん(64)=金ケ崎町西根辻岡=が提供したもので、来館した子どもたちが貝類や昆虫、小動物などの標本、模型を興味深く見ている。同館は天文学だけにとどらまず、さまざまな分野の科学を通じて、物の見方や考え方を育む場となるよう展示や企画の充実を図っていく考えだ。(児玉直人)

 標本を提供した山口さんは高校の生物学教諭を長年務めてきた。2011年3月、県立水沢高校副校長で定年退職したが、再任用を受け現在は岩谷堂高校の教壇に立っている。
 仕事柄、昆虫や植物の標本、小動物のはく製、骨格模型、貝がら、化石、鉱物などを収集。動物の進化や生態の教材に使えるものばかりだが、「普段の授業ではなかなか見せる時間がなく、文化祭で生徒たちの展示に乗じて飾ったぐらいだ」という。
 一昨年、同館で開催した自然体験学習会の講師を務めた山口さんは、同館にコレクションの一部を貸し出した。同館は活用方法を検討し、進化の過程を紹介する資料として、館内の「賢治の部屋」に展示した。
 「賢治の部屋」は、旧水沢緯度観測所と宮沢賢治(1896〜1933)との関係を紹介するスペース。詩人や童話作家として知られる賢治だが、天文学や生物、地質など科学の世界にも関心を示し、文学作品にはその造詣の深さをうかがわせるような文脈や要素が散見される。賢治が関心を寄せていた自然科学の一端を標本展示によって紹介するとともに、生物の進化が宇宙や地球の歴史の中の一部分であることを伝えている。
 山口さんは「リスやウサギといった見た目がかわいい動物、美しい景観などが自然保護の象徴として取り上げられやすいが、ヘビやミミズなども同じ命を持った生き物だという視点で見てほしい。生物が進化の過程で得た形や色にはそれぞれ意味があり、生きるための素晴らしい仕組みが備わっていることを知って貰えたら」と希望している。
 同館は緯度観測所時代の旧本館を使用し、国立天文台水沢キャンパスの敷地内に立地しているという性格から、天文学関連の展示が目立つものの、最近は国際リニアコライダー(ILC)計画や雪の結晶に関する展示も充実。科学全体を広く学べるような環境作りを進めている。
 同館を運営するNPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長(74)は「身近な自然現象や生き物、物質の存在に触れることは、遠い宇宙の世界を考えることにもつながっている。科学や文学、歴史、芸術などさまざまな分野の視点で物事を考えることにより、子どもたちの人間性は豊かに育まれるのではないか」と強調する。
 同館は毎週火曜休館。入館料は200円(高校生以下100円)。問い合わせ(電話)は0197-24-2020。

貝がらや小動物のはく製、昆虫標本などが多数並ぶ奥州宇宙遊学館の展示コーナー

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