人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
投稿者 : 
tanko 2014-5-16 10:00

 いわて自動車関連産業集積促進協議会といわて半導体関連産業集積協議会の合同総会は15日、北上市のホテルシティプラザ北上で開かれた。県内企業群が東日本に形成される「地域完結型コンパクト車開発・生産拠点」の中核になり、東日本大震災からの復興をけん引する役割も果たすため、産学官が連携していくことなどを確認した。
 県内のものづくり企業や教育機関、行政関係者など約300人が出席。自動車促進協の代表幹事を務める達増拓也知事は「自動車と半導体の二つの産業が連携することにより、新たな価値の創造やものづくり基盤の強化が大いに期待される。両協議会の活動を中心に、産学官が一体となって取り組みを進めていきたい」と、一体的な取り組みへ協力を求めた。
 自動車促進協は本年度、今後東北で生産拡大が見込まれる分野の技術動向など参入促進に向けた研修会などを計画。研究開発促進の分野では、世界と競争できる「次世代モビリティ開発拠点」として、持続的に革新し続ける地域を目指し、技術開発・事業化を図っていく。
 半導体促進協では、自動車、医療機器、国際リニアコライダー(ILC)関連など、異業種参入を視野に入れた勉強会や、県内大手半導体メーカーと地場企業との技術交流に重点的に取り組む。半導体製造装置メンテナンス参入研究会の活動や人材育成、専門展示会の出展なども継続実施する。
 同日は、両促進協の合同総会に先立ち、同ホテルで北上川流域ものづくりネットワークの定時総会も実施。工場見学や出前授業など子どもたちの興味関心を引き出す取り組みを継続するほか、新たに工業高校の教諭を対象とした研修会を実施し、指導力強化を図る。

写真=いわて自動車・半導体関連産業集積協議会の合同総会であいさつする達増拓也知事
投稿者 : 
tanko 2014-5-14 5:50
前国立天文台長、奥州にゆかり
「科学者にとっても挑戦」

 北上山地への誘致が期待される素粒子物理研究施設・国際リニアコライダー(ILC)に関する文部科学省の有識者会議(座長・平野真一名古屋大学名誉教授)がこのほど設置された。メンバーには、前国立天文台長を務めた広島大学学長室特任教授の観山正見(みやま・しょうけん)氏も加わる。観山氏は胆江日日新聞社の取材に、東京オリンピックに匹敵する国民的支持の必要性を指摘。その上で「私も含め、日本の科学者にとっても大きなチャレンジになる」との考えを示す。(児玉直人)

 ILCの北上山地建設に期待が高まる中、文科省は日本学術会議が提言した一層の調査・検討を行うため、有識者会議を設置。13人で構成し、今月8日に文科省内で初会合が開かれた。誘致建設経費の全容と関係国との分担、人材確保、他の国家事業や諸学術分野に影響を及ぼさない予算の枠組みの在り方などを2、3年かけ検討する。
 委員の中には、天文学者の観山氏が名を連ねる。
 観山氏は京都大学を経て1889(平成元)年に国立天文台天文学研究系助教授に就任。企画調整主幹、副台長などを経て2006年から2012年まで第4代台長を務めた。
 台長就任時、当初取り壊しが予定されていた同天文台水沢VLBI観測所敷地内の「旧水沢緯度観測所本館」をめぐり、保存活用に向けた協議の真っただ中にあった。奥州市側の保存意向を受け、同天文台は同市への建物無償譲与を決定。観山氏自ら奥州市役所を訪れ、市側に通知した経緯がある。
 旧本館は奥州宇宙遊学館として現在に至っているが、観山氏は2008年4月の開館式典にも出席。記念講演の講師を務めたほか、地方自治体との間では初となる「相互友好協力協定」を奥州市と結んだ。
 今回、再び同市が関係するプロジェクトの検討に携わることになった観山氏。本紙の取材に「会議は始まったばかり。基本的にはそこで示される学術データや組織人員体制、予算規模の詳細を聞いて適切な意見を表明したい」と述べ、「今まで一つも無かった『真の国際的学術機関』が国内にできることは重要であり、日本としても良い経験になる。ILCの学術的価値も大変大きい」との認識を明らかにした。
 その上で、「建設費や運営費が大変高額。1年間の経費で(ハワイ島に同天文台が設置している)すばる望遠鏡ができるほどだ。極めて慎重な検討が必要であり、『国際』と名を打っている以上、半分以上は海外からの貢献が必要だと思われる」と指摘。「何よりも国民の大きな支持が必要。その意味で、東京オリンピックに匹敵するような期待が求められるだろう。私を含め日本の科学者にとって、良い面でも厳しい面でも大きなチャレンジになる」との考えを示した。

写真=観山正見氏
投稿者 : 
tanko 2014-5-11 19:50
 国際リニアコライダー(ILC)計画の実現を主張している、ドイツ・マインツ大学教授の斎藤武彦氏による講演会「子どもたちに伝えたいILCの魅力」は、18日午後2時半から奥州市役所江刺総合支所多目的ホールで開かれる。小中高生でも理解できる内容だといい、多くの来場を呼び掛けている。入場無料。
 講演会は奥州市ILC推進協議会の総会に合わせ開催。同日午後2時からの総会が終了した後、斎藤氏の講演を行う。
 ドイツ在住の斎藤氏は、2012年5月から沿岸被災地支援の一環で、高校や小中学校で科学授業を展開してきた。
 自身の専門は原子核構造物理学で、ILCが関係する素粒子物理学とは異なる分野だが、被災地での特別授業を進めているうちに、ILCの東北誘致に賛同。地域社会や人材育成における効果の大きさと意義を主張している。
 講演は小中高生をはじめ誰でも聴講可能。希望者は市役所本庁のILC推進室(電話24・2111、内線415)へ。
写真=斎藤武彦氏
投稿者 : 
tanko 2014-5-2 19:40
 奥州市は、市立中学全12校の2年生を対象に本年度初めて実施するILC(国際リニアコライダー)出前授業の日程を固めた。NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)が講師派遣を請け負い、20日の田原中学校(川邊秀樹校長、江刺区)を皮切りに年内に一巡する。奥州市がこれまでに開いたILC関連の出前講座は大人向けの企画が多く、本年度は地域社会の将来を担う若年層に対象を拡大。ILCへの理解促進にとどまらず、将来を見据えた人材育成や誘致機運の盛り上がりも図りたい考えだ。

 素粒子研究施設・ILCの国内候補地として北上山地が選ばれたのを機に、市ILC推進室が出前授業の実施を検討。今年1月の校長会で協力を求め、了承を得た。
 同室によると、出前授業は12校の2学年計35学級・1147人を対象に実施。1回の授業に2時限を充て、12校で計28回行う。
 1時限目は国立天文台の教授らが指導。ILC計画を理解する前段として、宇宙や科学全般の基礎的な知識を紹介するなど生徒の興味をかき立てる内容の授業を進める。
 2時限目は、同実践センターが養成し科学体験講座の実績がある理系出身のサイエンス・コンダクターらを中心に授業を展開。ILC計画について分かりやすく説明したり、真空放電管を使った実験を行ったりして誘致後のILC運用に理解を深める。このほかILC誘致後の市の将来像や、生徒一人一人のかかわりを考えてもらうグループワークも取り入れる予定だ。
 初回の出前授業は田原中2年生7人が受ける予定。川邊校長は「理科や数学に関心のある生徒が多い。ILC誘致は先の話だが、生徒なりに理解できる機会になれば」と期待する。
 同室の及川健室長は「出前授業を通じILC誘致後のそれぞれの暮らしぶりについて真剣に考えてほしい」と話す。
 出前授業開催日程は次の通り。
【水沢区】
水沢中=9月2、3、5、8、9日
東水沢中=12月1、4、9日
水沢南中=10月6、7、8、9、10、14日
【江刺区】
江刺第一中=7月7、8日
田原中=5月20日
江刺南中=7月18日
江刺東中=6月25日
【前沢区】
前沢中=12月3日
【胆沢区】
小山中=12月12日
南都田中=6月30日
若柳中=6月5日
【衣川区】
衣川中=9月4日
投稿者 : 
tanko 2014-5-1 9:20
 まさにシンプル・イズ・ベスト! 奥州市ILC推進室が製作したILC(国際リニアコライダー)PR用のオリジナルのクリアファイルが、ひそかな人気を呼んでいる。ILC関連の会議や外国人研究者らの視察時に配布するもので、デザインを重視する欧米人のハートをつかむことはできるか――。
 「ILCの広報担当者と会談する機会があり、日本の観光パンフレットは説明文が長く、写真が小さいなどと指摘を受けた」と同室の亀井帝主任。「欧米人が好むようなデザインにしよう」と職員間で検討し、伝統的工芸品・岩谷堂箪笥の飾り金具や市内景勝地や祭典の写真を大きく配置。文字は「ILC in JAPAN」「Oshu City・Iwate」のみとした。
 手始めに、このほど東北ILC推進協議会総会や奥州商工会議所ILC推進委員会の出席者にお披露目を兼ねて配布。「とてもいいデザイン」と好評だった。次は外国人研究者の反応も見たいところだ。
(児玉直人)

写真=奥州市が製作したILCクリアファイル

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動