人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
投稿者 : 
tanko 2009-5-21 19:50
 世界的素粒子研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」の有力候補地の一つに、北上高地が挙がっていることを受け、市は調査費用を補正予算に計上する方針を固めた。市議会6月定例会への提案を目指す。

 北上高地の地下に広がる花こう岩盤は、地殻変動の影響を受けにくい。震動を嫌うILC建設には最適な環境で、最大50kmに及ぶ直線地下トンネルを掘るのに十分な距離を確保できるなど、最適な条件が整っているとされる。
 水面下の情報調査や先進地視察などが行われていたが、ことしに入り、東北経済連合会と東北大学、東北6県による「東北加速器基礎科学研究会」が発足。北上高地がILCの有力候補地であることが知られ始めてきた。
 県は本年度当初予算に調査費800万円を計上。建設ルートとして想定される場所に、二つの花こう岩体が接している部分があり、建設への影響を探るための地質調査(ボーリング作業)に充てる。
 市も、建設ルートに江刺区の東部地域が該当することから調査費の計上を目指す。ただ、国内の関連機関への訪問や研究会などへの出席に伴う旅費が中心で、金額は数十万円程度を見込んでいる。
 相原正明市長は「世界遺産の登録延期、大地震、景気低迷という話題が多い中、明るく夢の持てる話題だ。(建設が決まれば)素粒子研究の分野でのメッカ(中心地)になるだろう」と話す。
 ILCの建設候補地として、北上高地のほか九州の脊振山地、国外では米国シカゴ近郊やスイスのジュネーブ近郊などが挙げられている。
 今は誘致運動というよりは、ILCの概要などを知る勉強段階。東北でも産学官の情報交換や、有識者による講演会などが中心だ。
 達増拓也知事はことし2月19日の会見で、「過度な誘致合戦が国際的研究活動の妨げになっては好ましくない」と述べた。必要な情報や資料の収集、研究者による現地調査、地元理解の増進に県として協力する構えを示している。
 相原市長も同様で、「市に専門担当部署を設けるようなことは次の段階。当市だけが抜き出て進めるものでもないし、逆に『何も知らなかった』ではいけない。県などとうまく連携を取っていきたい」としている。
投稿者 : 
tanko 2009-5-21 19:50
 県南広域振興局の勝部修局長は、「国際リニアコライダー(ILC)」の建設地について、「国内候補地に順位を付けるなら、北上高地はトップ」との考えを示した。このほど、水沢区内のホテルで開かれた奥州市、金ケ崎町両議会交流会の講演で、ILC誘致の可能性に触れた。
 勝部氏は、県科学技術振興室の室長補佐だった93(平成5)年、ILCの誘致に向けた事業に携わった。ことしに入り急浮上したILC誘致だが、10年以上も前から情報収集が行われていたという。
 ILCは地下に直線状のトンネルを掘り、すべての物質を形成する最小単位の一つ「電子」と「陽電子」を超高速で衝突させるという大規模実験装置。「ぶつけると言っても、危険なものではありません」と、分かりやすい切り口でILCの構造を説明した。
 北上高地がILC設置の候補に選ばれた理由は、その強固な岩盤。田瀬湖の南側から、江刺区の学間沢バス停付近、米里、伊手、阿原山へと至り、一関市の大東、千厩へと至るラインが、すべて硬い花こう岩盤になっており、実際に踏査もしたという。
 勝部局長は「最初は延長25km程度のトンネルを想定していたが、30km、50kmと想定規模が大きくなるにつれ、候補地も次々に絞られてきた。国内候補地に順位を付けるなら北上が一番と言いたい。地質学者にサンプルの岩を調べてもらったら、その硬さに驚いていた」と語った。
 今後については、「海外研究者を含めた居住環境の受け入れを考えると、岩手県だけでは課題が多すぎる。つくば(茨城県にある学術研究都市)には、海外研究者の子どもを学ばせる教育環境がなく不評だという。こうなると、東北各県と協力しないといけない。岩手というより、東北として何とか誘致しようという機運を高めていく必要がある」と訴えた。

写真=ILCの誘致について認識を深めた奥州、金ケ崎両議会の交流会
投稿者 : 
tanko 2009-5-18 19:40
 北上高地が有力候補地とされる、世界的素粒子研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致に向け、関係機関による「勉強会」が相次いで開かれる。誘致運動が本格化する前に、まずは施設に対する関係者の理解構築を図ろうとする狙いがあるとみられる。

 ILCは、あらゆる物質を構成する最小単位の一つ、「素粒子」を扱う地下研究施設。素粒子の一種、電子と陽電子をILCを使って超高速で衝突させることで、宇宙誕生の謎を解明するという。
 世界の素粒子研究機関の間では、2020年ごろの稼働を目指し、候補地を検討中。この候補地の一つに、江刺区を含む北上高地の地下にある花こう岩体が挙がっている。地殻変動を受けにくいことが、設置の必須条件となる。
 こうした、ILCにまつわる基本情報や想定される地域への効果などについて、共通認識を図ろうとする動きが表面化している。
 ことし4月には、産学官連携組織として「東北加速器基礎科学研究会」が発足。同会は先端加速器科学技術推進協議会とともに、6月2日、仙台市内でシンポジウムを開催する。
 同6日には、国際経済政策調査会が、奥州市文化会館(Zホール)を会場に、第57回「加速器科学研究会」を開催。同調査会は一昨年から3回、仙台市で研究会を開いていたが、今回、ILC候補地の近くで研究会を開き、誘致実現への機運を盛り上げる考え。高エネルギー加速器研究機構(KEK)の、吉岡正和教授が、ILC計画について講演する。
 このほか、市町レベルでの勉強会も行われる。今月18日には奥州、金ケ崎両市町議会議員交流会で、県南広域振興局の勝部修局長がILCに関し講演する。
 ILCで行われる研究は、「基礎科学」と呼ばれる専門性の高い分野。研究結果が、一般市民生活に直結するわけではない。基礎科学の分野で解明された事柄を応用的に活用し、新製品や新技術の開発に発展していく形だ。
 一方で、世界に一つだけしか設置されない研究施設が立地されることは、地域振興の面にも追い風になるなど、間接的な効果を期待する声もある。

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動