理系の女性活躍 可能性示したい(ブラックホールの謎に挑む研究員 田崎文得さん(34))
- 投稿者 :
- tanko 2020-10-18 8:40

国立天文台水沢VLBI観測所の特別客員研究員。本間希樹所長らと共に、ブラックホールの直接撮影に挑む国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」の一員だ。「今後はブラックホールの成長や、ブラックホールから噴き出すジェットについて調べていきたい」と意欲をみせる。
房総半島の中東部、千葉茂原市出身。身近な自然や理数の世界に興味を抱きながら育った。
数学を究めたいと京都大学へ進学したが、「自然科学の世界、どうせなら遠い世界を」と、天文学の道を選んだ。大学院の修士課程、博士課程を含め京都暮らしは9年間。のちに夫となる吉次孝太さん(33)とも出会った。
2014(平成26)年、博士課程を修了し東京都三鷹市の国立天文台本部へ。本間所長(当時准教授)の研究室で、ブラックホールの観測データを画像化する方法などの開発に従事した。
長女の出産を経て2017年、水沢へ転居。既に本間所長も赴任していた。ちょうど孝太さんは、自宅で仕事ができるIT関連会社に就職。「東京に住んでいる理由、ないよね」と、岩手行きはすんなり決まったという。
昨年春のブラックホール撮影成功。本間所長ら観測所のメンバーらと会見に同席したこともあり、ランチを食べに行った店では、「テレビ見ましたよ」と声を掛けられることも。「同じ地域で生活している私たち研究者の仕事に関心を持ってもらえるのはありがたい」と感謝する。
とある講演会で「女の子でも理系の研究者になっていいんですね」と、女子中学生から言われた。日本国内の理系研究者は、まだまだ男性の比率が高い。「自分がこのような仕事をしている姿を見せることは、女性活躍の可能性を広げる上でも意味があるんだなと感じた」
現状では、まだまだ難しい課題もあるが「自分の存在が変わるきっかけとなり、自然と理系研究職に就く女性が増えていけば」と願う。
(児玉直人)
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中学と高校で吹奏楽部に所属し、大学オーケストラではホルンを担当した。水沢への転居を機に車を所有し、自由に遠出できる楽しさを満喫。「おいしいものを食べたり、産直で買い物したり。岩手をとにかく満喫しています」。水沢福原在住。仕事では旧姓の「田崎」を使用している。