誘致実現と地域社会の将来像 胆江・両磐4首長ら展望
- 投稿者 :
- tanko 2016-6-12 19:40
北上山地への国際リニアコライダー(ILC)誘致実現と地域社会の展望について意見を交わすシンポジウムが11日、水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)で開かれ、候補地周辺4市町の首長らがILCに寄せる期待と地域の将来像について持論を展開した。
(児玉直人)
同区を拠点に活動しているILC民間誘致団体、いわて加速器科学推進会議(亀卦川富夫代表幹事)が主催。県や胆江2市町、胆江日日新聞社などが共催した。同推進会議では昨年、胆江2市町と大船渡、陸前高田、住田の気仙3市町の首長らによる同様のシンポジウムを開催。候補地の地元である奥州、一関両市だけでなく、その近傍の自治体にILC計画がどのように受け止められ、現在進めているまちづくりとどう関連性を持たせられるのかなどについて意見を交わした。
今回は胆江2市町に一関市、平泉町を加えた4市町の首長と、ILC計画に長年携わってきた県立大学の鈴木厚人学長、県科学ILC推進室の佐々木淳室長の計6人が登壇。岩手大学などで客員教授を務める吉岡正和氏が進行役を務めた。
この中で平泉町の青木幸保町長は、自然との共生や平和へのメッセージが込められている平泉の世界文化遺産に触れながら、「ILC誘致に当たっては自然への影響を心配する声もあるようだが、この地域は自然も文化も大切にする地域だということも発信していくべきだろう」と提案した。
奥州市の小沢昌記市長は「人口減少や地域経済の低迷、個人消費の伸び悩みなどの課題があり、私たちはある種の改革を求められているような気がする。ILCはイノベーション(技術革新)の基になる存在で、私たちに新しい生活の形を見いだしてくれるだろう」と期待を寄せた。
金ケ崎町の高橋由一町長は、県内屈指の工業団地を抱える地域特性に触れながら「候補地に隣接する町として、町が持つ特色をILCとの関わりとの中に生かしていく必要がある」と強調。一方で実現に向け、さまざまな施設やインフラの整備費用分担を明確にする必要があると指摘した。
一関市の勝部修市長は「今回のようなシンポジウムを候補地の地元だけで一生懸命やるのではなく、東京など他都市にも波及させなくては意味がない。何とか中央の方にILC計画の存在を発信できないか頭を悩ませている」と、国民理解の醸成に向けた課題を指摘した。
4首長らの討議に先立ち、鈴木学長による基調講演も行われた。
写真=ILC誘致とまちづくりについて意見を交わす胆江、両磐4首長ら(Zホール)