人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

東北ILC推進協が「準備室」立ち上げ 室長に鈴木厚人・岩手県立大学長(前KEK機構長)

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tanko 2016-6-15 14:00
 国際リニアコライダー(ILC)受け入れを意識した具体的な地域づくりの計画策定や産業支援などに対応するため、東北ILC推進協議会は14日、「東北ILC準備室」を立ち上げた。同日、仙台市内のホテルで開かれた同推進協総会の席上、設置議案を可決。室長には岩手県立大学の鈴木厚人学長が就任した。政府によるILC日本誘致が明確になっていないものの、候補地の地元として、受け入れに本腰を入れている姿勢を強力に示す狙いがある。
(児玉直人)

 同推進協の事務局を務める東北経済連合会(東経連)は、東北大学と共にILCなど最先端科学技術を駆使した研究施設の集積による地域・産業振興を掲げた「ILCを契機とした東北・北上エリアグランドデザイン」(基本構想)の策定作業を進めていた。「東北ぐらし」をキーワードに、ILC誘致実現による東北地方での質の高い「暮らし」が、地元住民や研究者を問わず実感できるような地域将来像を描いている。
 今回設置した準備室は、グランドデザインの考えを反映させた「地域広域基本計画」の策定作業に取り組むほか、地域の受け入れ態勢を構築するために必要な準備作業を進める。
 メンバーは▽岩手大▽岩手県立大▽東北大▽岩手・宮城両県▽仙台市▽岩手県ILC推進協議会――の関係者らで構成。候補地の地元に深くかかわる協議も想定される中、奥州市や一関市などは名を連ねていない。東経連の西山英作産業経済部長は取材に対し、「本年度から奥州市の小沢昌記市長ら候補地の自治体首長を東北ILC推進協の参与にお願いした。参与は幹事会のメンバーとなるため、地元市の意向などはそこで伺い、準備室の運営にも反映させたい」と説明した。
 準備室には▽地域産業支援▽地域受入体制▽広報▽技術的検討――の4部会を設け、建設準備や実施における地域負担経費の試算や財源確保戦略など専門的な課題を検討する。広報部会では、候補地における準備状況を国内外に向け発信することなどを検討する。
 室長を務める鈴木学長は取材に対し、「今まではILCを実現しようと活動していながらも、それぞれの動きの情報がしっかりと共有されていない面があった。ILC誘致が地域住民の皆さんも絡んだ動きになるよう頑張りたい」と力を込めた。また、ILC計画が全国的に知られていない点について、「月1回のペースで報道関係の皆さんに情報提供をできるような場を設けたい」と話した。

写真=「東北ILC準備室」設置を受け、意気込みを語る鈴木厚人学長(右)
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