人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

研究都市の未来鮮やか(県南局がILC絵画コンクール)

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tanko 2016-2-25 12:00
 国際リニアコライダー(ILC)計画の普及啓発の一環として県南広域振興局(堀江淳局長)が実施した、本年度ILC絵画コンクールに、県南8市町と宮城県気仙沼市から計馥点の応募があった。24日、水沢区の奥州地区合同庁舎分庁舎で表彰式が行われた。
 作品は低学年(1〜3年)と、高学年(4〜6年)に分け、堀江局長や高エネルギー加速器研究機構(KEK)広報室の黒川かおり特別技術専門職、元中学校美術教師の武田成喜(しげき)・奥州市立若柳幼稚園長、県内を拠点に活動しているイラストレーター「たぐさん」の4人が審査した。
 低学年最優秀賞は、気仙沼市立鹿折小2年の松岡寧佳(しずか)さんによる「み来の気仙沼」。高学年最優秀賞には、北上市立江釣子小5年の鈴木美桜(みお)さんの「岩手にILCを!」が輝いた。胆江地区からは、金ケ崎町立金ケ崎小1年、児玉煌茉知(こまち)さんが描いた「ヒッグスくんにあいたいな」が、優秀賞に選ばれた。
 応募作品の展示会は、今月27〜28日に一関市大町のなのはなプラザ3階展示スペース、3月5〜6日には奥州市文化会館(Zホール)展示室で開かれる。

写真=上から順に、最優秀賞に選ばれた松岡寧佳さん、と鈴木美桜さん、優秀賞の児玉煌茉知さんの作品








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告知時期遅い? 内容が難しい?(候補地地元 奥州市応募数ゼロ)
 県南広域振興局が児童を対象に初めて開催した国際リニアコライダー(ILC)の絵画コンクールには96点の作品が寄せられた。しかし、胆江地区からの応募は金ケ崎町の1点にとどまり、候補地の地元として誘致活動に取り組んでいる奥州市からは応募がなかった。市のILC担当者は「出前授業など、場面を捉えて呼び掛けてはいたが……」と苦い表情。他市町では学校ぐるみで取り組んだところもあり、同振興局は「告知時期や呼び掛けの方法も含め考える必要がある」と話している。

 コンクールは、ILCの普及啓発活動を進める一環として、同振興局管内8市町と宮城県気仙沼市の教育委員会も共催する形で実施。同振興局は9市町の教育委員会に堀江淳局長名の募集告知文書を発送し、周知協力を呼び掛けた。
 集まった作品を市町別にみると、最も多かったのが一関市で43点。次いで気仙沼市が41点。以下▽北上市…8点▽花巻市…2点▽金ケ崎町・遠野市…各1点――。応募がなかったのは奥州、平泉、西和賀の3市町だった。結果的に一関、気仙沼が応募総数の8割以上を占めた。
 奥州市では独自に小中学校へのILC出前授業を展開するなど、未来の地域を担う世代への周知活動には積極的に力を入れている。今回の絵画コンクールの応募対象ではないが、中学生の科学体験研修ではILC関連装置を開発している高エネルギー加速器研究機構(KEK)を訪問。奥州宇宙遊学館内にはILC解説コーナーが設けられるなど、周知環境が極めて弱いわけではない。
 次代を担う子どもたちへの周知に力を注いでいたこともあり、まったく応募が無かった状況に、市のILC担当者はもちろん、県南局の担当者も「なぜ?」と、首をかしげる。「出前授業の際に声掛けをしたが、もう一押し足りなかったのか……」(市担当者)
 1点のみだった金ケ崎町は、ILCの建設想定エリアに直接該当していないため、奥州市や一関市ほど目立った誘致活動や推進体制を整えているわけではないが、国際化社会に備えた英語教育に力を注いでいる。金ケ崎小学校では、冬休み前に募集中の各種作品コンクール等の一覧を配布。その中にILC絵画コンクールも入っていた。
 今回の応募結果について同振興局の堀江淳局長は、「募集を呼び掛けた時期が冬休み間近の12月ごろだったこともあり、学校側への周知が遅かったのかもしれない。また、コンクールのテーマ自体が小学生には難しいのではという声も審査委員会の中であった。どうしてもある程度時間を割いて事前学習する必要がある。いきなり『ILCの絵を描いて』と言われても困るだろう」と振り返る。
 一方で、学校ぐるみで応募に積極的に取り組んだ例もある。同振興局によると、気仙沼市では学校長が集まる会議の場でコンクール開催を知らせたところ、ある学校の校長が関心を示し、まとまった数の応募をしてきたという。
 堀江局長は「告知時期を含め、募集する上での工夫が必要だ。検討し、次につなげたい」と話している。
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