人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

奥州市の将来像とILC(構想策定へ事前学習)

投稿者 : 
tanko 2015-6-2 10:00
"Future Vision of Oshu City and the ILC (Guest Lecture for Forming of City Planning Vision)"
By Ai Kikuchi
In English http://www.city.oshu.iwate.jp/htm/ilc/english/news.viewer.html?prm=2015060200


 国際リニアコライダー(ILC)誘致を視野に入れたまちづくりビジョン(都市構想)策定を目指す奥州市は5月31日、独マインツ大学の斎藤武彦教授(原子核構造物理学)による特別授業を水沢区の奥州宇宙遊学館で開いた。参加した市民らは、斎藤教授の講演を通してヨーロッパでの研究機関と立地地域との関係について理解を深めながら、ILCと地域の将来に思いを巡らせた。
(菊池藍)

 奥州市は、ビジョンのたたき台となるアイデアや地域課題などを市民から吸い上げる「ワークショップ」の設置を計画。ワークショップ参加者を集める呼び水にしようと、特別授業を企画した。斎藤教授は「子どもへの効果」を中心に国際的研究機関が周辺地域に与える効果を説明した。
 参加者からは「ILCのデメリットは何か」「外国人が増えることでの文化的摩擦をどう解消するか」などの質問が出た。斎藤教授はデメリットの一つとして、環境保全と研究推進をめぐる主張の対立の発生を挙げた。「互いに極論になりがち。解決には歩み寄りが必要」との考えを示した。
 外国人との文化の違いよる摩擦の解消は「国際地域としてすばらしいパラダイスが最初からできるわけではない。地道に対応するしかない」と強調。トラブル解決には語学が重要だが「現地の言葉で話し掛けられると、受け入れられていると感じる。お年寄りは、いつも通り日本語で話し掛けていいが、その分、若い人たちはお年寄り5人分をサポートするぐらいの気持ちで、英語を頑張ってほしい」とエールを送った。
 同日は市民や関係者のほか、奥州市内出身の大学生も受講した。県立大看護学部2年の及川美雪さん(19)は「今まで聞いたILCの話はメリットを強調するものが多かったが、デメリットについても対策が取れることが分かって良かった。地域の活性化にILCが重要だと感じた」。同大盛岡短期大学部で国際文化を専攻する佐藤梨那さん(19)は「ビジョン策定にぜひ参加したい。新しいことを進めるのは大変だが、わくわくする。住民が受け入れられるよう、理解を深める方法も考えたい」と話した。

写真=参加者の質問に耳を傾ける斎藤武彦教授
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