人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ヤマ場「次は2年後」 注目される政府判断(水沢で講演会)

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tanko 2014-6-7 9:30
 国際リニアコライダー(ILC)の北上山地誘致事業を推進している県政策地域部の大平尚副部長は6日、奥州市文化会館(Zホール)で講演。ILC建設国内候補地に北上山地が選ばれた後の大きな動きとして、「文部科学省が5月に設置した『ILCに関する有識者会議』が検討結果を示すおよそ2年後、政府がどう判断するか注目すべきだ」と述べた。
(児玉直人)


 大平副部長は、いわて加速器科学推進会議(亀卦川富夫代表幹事)と、一般社団法人国際経済政策調査会(東京都、高橋佑理事長)が主催したILC講演会に登壇。ILC実現を目指した現状と課題について触れた。
 直近の動向に触れる中、5月に文科省が有識者会議を設置したと説明。「早ければ来年度中にも一定の結論が出るが、同時にそれまでは踏み込んだ話や要望を政府に持ち掛けづらいことを意味する。文科省に要望しても『有識者会議で検討中だ』という回答ぐらいしか得られず、大きなニュースはなかなか生まれにくいだろう」との考えを示した。
 一方、国外の動きとして、米国高エネルギー物理学諮問員会(HEPAP)の下部組織「P5」が5月下旬、ILC計画に対する強い支持を明記した報告書をまとめた。報告書では向こう5年間、米国はILCに何らかの関与をすべきだと提言している。
 大平副部長は「文科省の有識者会議が早くて2年後『ILCを日本に誘致すべきだ』と方針を示せば、げたは政府に預けられる。その判断に注目すべきだ」と強調。さらに「米国が『5年間は関与する』と言っているということは、逆に『5年以上たっても動きがなければ米国はILCに参加しない』ということも考えられる。米国の協力を得るためにも、日本政府は有識者会議の判断が出たら早いうちにゴーサインを出さなければいけない」と語った。
 このほか大平副部長は、昨今話題となっている人口減少問題にも絡めながら「ジュネーブのCERN(欧州原子核研究機構)では博士号を取ったばかりの若い研究者を中心に研究している」とし、ILCの場合も同様の傾向になると推測。「人口減少対策は若者と女性の定着が鍵。若い人が来ると地域に活気が生まれる」とし、人口減対策の面からもILCが果たす役割の大きさをアピールした。
 同日は財団法人日本生産性本部公共政策部の澤田潤一部長も講師に招かれ、ILC計画がもたらす経済効果や技術革新など波及効果について解説した。

写真=文科省有識者会議の検討後の動向に今後は注目すべきだと語る大平尚副部長
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