人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC国際都市へ民間支援は不可欠 (斎藤教授<独マインツ大>が指摘)

投稿者 : 
tanko 2014-5-18 10:20
外国人市民組織が水沢で意見交換

 外国人市民の有志組織「インターナショナルILCサポート委員会」(ビル・ルイス委員長)は17日、ドイツ・マインツ大学の斎藤武彦教授を招いた意見交換会を水沢区の奥州市水沢地域交流館(アスピア)で開いた。国際リニアコライダー(ILC)の誘致を見据え、外国人研究者を受け入れる国際的なまちづくりに必要な支援体制を多様な視点から探った。

 ILC誘致の実現を目指し、国際研究都市の形成へ市民レベルでできることを考えようと企画。同委員8人が出席した。
 斎藤教授は、ILCの誘致で海外から訪れる研究者は2〜5年滞在する若手研究者と、博士を目指す学生が大半を占めると推察。「何十年も長くいるわけではなく、入れ代わり立ち代わりで多くの関係者が来る。ずっとサポートしていく体制が必要となる」と説明した。
 ドイツやアメリカでは研究施設内には「外国人局」機能を持つ部署があり、ビザの更新から住居探し、子どもの教育までサポートする。加えて、仲間の外国人研究者の多くが相談に乗ってくれるという。
 「これは既に多くの外国人研究者がいて、一種のコミュニティーが形成されているからできること。本県に誘致が期待されるILCの場合、そもそものコミュニティーがないので、誰かがサポートしなければならない」と斎藤教授。行政だけでなく、民間レベルでの支援の必要性を説いた。
 参加者からは「英語だけの対応で大丈夫か」「ドイツでは各国の宗教に対してどのように対応しているか」など具体的な質問も相次いだ。
 斎藤教授は「奥州市に多くの研究者が居住するためには、多くのサポートが必要。そうでないと東北大学のある仙台に留まり、通うようになってしまうだろう」と指摘。県南地域での異文化に対する理解醸成やサポート体制の構築に期待した。
 斎藤教授は、18日午後2時半から市役所江刺総合支所で開かれる市ILC推進協議会総会に招かれ、「子どもたちに伝えたいILCの魅力」と題して講演する。
写真=インターナショナルILCサポート委員と意見を交換する斎藤武彦教授(左)
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