人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

多才ぶり 市民ら魅了(木村栄博士の書展スタート)

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tanko 2024-3-3 17:40

写真=奥州宇宙遊学館で2日に始まった「木村栄の書展」

 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)の前身、水沢緯度観測所の初代所長を務め「Z項」発見者として知られる木村栄(きむら・ひさし、1870〜1943)の書を集めた展示会が2日、水沢星ガ丘町の同観測所敷地内にある奥州宇宙遊学館(亀谷收館長)で始まった。天文学者としての実力だけではなく、卓越した書の腕前だった木村の多才ぶりに触れた来場者から感嘆の声が上がっている。10日まで(5日は休館日)。
(児玉直人)

 木村の功績や緯度観測所の歴史について調査・研究している国立科学博物館(科博)の馬場幸栄研究員と、胆江日日新聞社(小野寺弘行代表取締役社長)が主催。国立天文台(常田佐久台長)とNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)などが協力し、市と市教育委員会、水沢書道協会(高橋祥陽会長)の後援を受けた。
 掛け軸や額装された状態で個人宅や学校、公共施設などから借用した書や関連品など19点を公開している。いずれも木村が生前に残した貴重な書だ。
 このうち、江刺中町の日本料理店・新茶家(和賀総店主)が所有する書「能周小事然後成大事(しょうじをめぐらし、のちにだいじをなす)」は、古代中国の周王朝時代に生きたと伝えられている思想家・関尹子が残した一文。「小さな事でも周到にできたら、その後、大きな事を成すことができる」との意味がある。
 来場した二戸市福岡の小保内威彦さん(43)は、呑香稲荷神社の宮司。同神社は木村の師に当たる地球物理学者・田中舘愛橘(1856〜1952)にゆかりがある。
 小保内さんはこの日、水沢中上野町の駒形神社に偶然訪れ、境内に掲示されていた書展のポスターを見て立ち寄ったという。「田中舘博士も関係した場所ということで以前から訪れたいと思っていた。木村博士のことは天文学の功績しか知らなかったが、このような書の才能もあったとはすごい人物だと思う」と感心しきりだった。
 3日は午前11時半から、馬場研究員による記念講演会を予定している。書展鑑賞には、同館入館料(一般300円、児童・生徒150円)が必要となる。
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