人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

鈴木県立大学長がILC誘致で見解(岩手、宮城県議会議員連盟講演会)

投稿者 : 
tanko 2024-2-10 7:50

写真=岩手県立大の鈴木厚人学長が講師を務め、ILCの動向を解説した

 岩手県議会・宮城県議会ILC(国際リニアコライダー)建設実現議員連盟の講演会は8日、盛岡市内のホテルで開かれた。両県の県議、仙台市議ら約60人が参加。岩手県立大の鈴木厚人学長(素粒子物理学)が講師を務め、ILCの概要と最近の動向を解説した。
 鈴木学長は「人類誕生以来の知のフロンティアとして、地球から日本・世界の未来を切り拓く」とILCによる挑戦を示し、人の集積や国によるイノベーションの創出など期待される効果を述べた。
 ILC研究所の建設予定地を中心に、「地域から未来へ、世界に開かれた地方創生ができる。仙台市から盛岡市へ広域でILCのコアゾーンを分担し合う」とコンパクトシティーの構想を述べた。
 「科学に国境はない。国家間で協力がしやすい分野。東北地域が地球村として次世代人材の育成やSDGsの先導を担える」と波及効果を示し、先端テクノロジーと環境施策の両立を強調した。
 ILCの現状については、2022(令和4)年4月に発表された国際将来計画委員会の「工学設計に進むことができるレベル」という報告を紹介。一方で鈴木学長は、一部の研究者によりILC技術開発の現状について誤った見解が流布されているとの認識を示した。
 「ある研究者がILCの技術開発が未熟であると文科省に説明していて、支援・推進に支障を来している。技術要素は確立されていて、建設開始ができる段階にあることに矛盾はない。準備研究所の設立の機は熟している」と指摘。日本誘致の勢いを取り戻すことと、オールジャパン体制の再構築を求めた。
 議員連盟代表の工藤大輔岩手県議会議長は、「両県議会においてILC実現に向け要望活動などさまざまな取り組みを進めてきた。まだまだ大きなハードルもある。一層の取り組みを通じ実現に向けまい進したい」と話していた。
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