人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

国際協力の在り方、課題指摘への対応……(KEKがILC提言公表)

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tanko 2019-10-3 10:30
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の実現に絡み、ILC関連の技術研究拠点となっている高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市、山内正則機構長)は2日、国際分担の在り方などをまとめた提言を公表。厳重な放射線管理が求められる「ビームダンプ」と呼ばれる装置に関しては、運用実績がある欧米の研究機関と連携を図りながら設計し、安全性を確保するとした。KEK広報室によると、提言文書はすでに文部科学省に提出しているという。(児玉直人)

 提言は、KEKが設置した「ILC国際ワーキンググループ(WG)」の報告書を基にまとめた。KEKは、文部科学省が今年3月に「ILC計画に関心を持って意見交換を継続する」と政府見解を示したのを受け、国内外の素粒子研究者らによる国際WGを設置した。
 メンバーは欧・米・亜の研究者7人(うち日本人2人)。所属研究機関などの代表ではなく、個人的立場を前提に参加した。5月の立ち上げ以降、9月まで技術改良や経費、施設運営、国際分担の在り方などについて、5回の会合を開き協議。このほどKEKに報告書を提出した。
 今回公表された内容のほとんどは、ILCを推進する研究者間で検討済みの内容。研究者側の観点でプロジェクト推進の在り方をあらためて整理した意味合いが強く、正式な政府間協議が始まった際には議論のたたき台として活用されるのを見込んでいる。
 提言書には、文科省のILC有識者会議や日本学術会議の検討委員会で出された指摘事項への対応も記載された。
 このうち、実験で生成された電子や陽電子のビームを処理する装置「ビームダンプ」に関して、有識者会議や学術会議からは装置の信頼性、地震発生時の対策、ビームと反応した水の封じ込めなどに懸念が示されていた。ビームと装置内の水が反応すると放射性物質の一種「トリチウム(三重水素)」が発生。人体への影響は弱いとされるが処理が難しいため、内部の水が外部に漏れないようにするなど安全性を高めた設計にしなければいけない。
 提言書でKEKは、欧米の既存施設におけるビームダンプの運用事例を示しながら「彼らは(ILCの)ビームダンプ設計のための重要なパートナーになる可能性がある。KEKはビームダンプ施設のシステム設計を主導し、政府、業界、および科学界の協力を得ながら環境や放射線に関する安全性を確保する」と強調した。
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