欧州計画にILCを 登載期限は12月18日(独研究所教授)
- 投稿者 :
- tanko 2018-2-21 9:50
※訂正…2018/2/21 9:50ごろから2018/2/22 15:50ごろまでの間、この記事の内容が誤ったまま配信されていました。ヨーロッパの次期素粒子物理学計画の提出期限の日付が「10月18日」となっていましたが、正しくは「12月18日」です。お詫びして訂正します。
北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関連する国際会議「ILD(アイエルディー) meeting(ミーティング) 2018」が20日、3日間の日程で一関市の一関文化センターを主会場に始まった。初日の開幕行事では、ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)のティズ・ベーンケ教授がヨーロッパの次期素粒子物理学計画に触れ、同計画にILCを盛り込むために必要な諸資料の提出期限が今年12月18日までだと説明。日本はILCのホスト国として期待されているが、日本政府側の方針を示す時期が刻一刻と迫っていることをあらためて浮き彫りにした。
ILDはILCで用いる大型測定機の一つ。日本とヨーロッパの研究者らが中心となり開発に向けた協議が進められている。
これまでもILDを担当する研究者らが顔を合わせる場面はあったが、他のILC関連の国際会議に合わせて行っていた。ILD単独での国際会議開催は、2014(平成26)年に奥州市水沢区で開催して以来、4年ぶりという。
今回は63人が参加し、このうち39人が海外の研究施設所属。ドイツ、フランスを中心に、スペイン、オランダ、セルビア、アメリカから訪れている。
開幕行事では、一関市の長田仁副市長が歓迎のあいさつ。引き続き、ILD研究者グループの共同代表者でもあるベーンケ教授が、ILC計画やILD開発の流れと今後の動きについて発表した。この中でベーンケ教授は、2020年5月を始期とするヨーロッパの次期素粒子物理学計画について説明した。
ILCは国際協力体制の下に建設、運営される施設。同計画のような国レベルの上層計画にILCが組み込まれなければ、国際協力体制の構築ができなくなり、計画が頓挫する可能性も出てくる。
ベーンケ教授は、科学的意義などをまとめた諸資料を、12月18日までに提示する必要があるとし「コスト関係もしっかり調べ確認する必要がある」と強調。日本政府に対しても、ILC計画に対する明確な方針が示されることを期待した。
ILCとILD
ILCは素粒子物理学の大型実験施設として計画。最新の方針では、全長25kmの直線トンネルを掘り、電子と陽電子を両端からほぼ光速に近い状態にまで加速させ、中心部で衝突させる。衝突時の現象を調べることで、物質に質量を与える「ヒッグス粒子」の詳細研究や、未知の素粒子の探索などを進める。
肉眼には見えない現象を捉えるために必要なのが測定機(検出器)で、中心衝突地点に設置される。現計画では、測定方式が異なる「ILD(International Large Detector)」と「SiD(Sillicon Detector)」の2台を設置。双方とも高さ10m以上、重さは1万t以上にもなる。ILDは主に日本とヨーロッパ、SiDはアメリカを中心とした研究者らによって開発しようとしている。
写真上=国内外の研究者が集まり始まった「ILD meeting 2018」
写真下=ヨーロッパの次期素粒子物理学計画などを交えながら、今後の方向性について語るティズ・ベーンケ教授
北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関連する国際会議「ILD(アイエルディー) meeting(ミーティング) 2018」が20日、3日間の日程で一関市の一関文化センターを主会場に始まった。初日の開幕行事では、ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)のティズ・ベーンケ教授がヨーロッパの次期素粒子物理学計画に触れ、同計画にILCを盛り込むために必要な諸資料の提出期限が今年12月18日までだと説明。日本はILCのホスト国として期待されているが、日本政府側の方針を示す時期が刻一刻と迫っていることをあらためて浮き彫りにした。
ILDはILCで用いる大型測定機の一つ。日本とヨーロッパの研究者らが中心となり開発に向けた協議が進められている。
これまでもILDを担当する研究者らが顔を合わせる場面はあったが、他のILC関連の国際会議に合わせて行っていた。ILD単独での国際会議開催は、2014(平成26)年に奥州市水沢区で開催して以来、4年ぶりという。
今回は63人が参加し、このうち39人が海外の研究施設所属。ドイツ、フランスを中心に、スペイン、オランダ、セルビア、アメリカから訪れている。
開幕行事では、一関市の長田仁副市長が歓迎のあいさつ。引き続き、ILD研究者グループの共同代表者でもあるベーンケ教授が、ILC計画やILD開発の流れと今後の動きについて発表した。この中でベーンケ教授は、2020年5月を始期とするヨーロッパの次期素粒子物理学計画について説明した。
ILCは国際協力体制の下に建設、運営される施設。同計画のような国レベルの上層計画にILCが組み込まれなければ、国際協力体制の構築ができなくなり、計画が頓挫する可能性も出てくる。
ベーンケ教授は、科学的意義などをまとめた諸資料を、12月18日までに提示する必要があるとし「コスト関係もしっかり調べ確認する必要がある」と強調。日本政府に対しても、ILC計画に対する明確な方針が示されることを期待した。
ILCとILD
ILCは素粒子物理学の大型実験施設として計画。最新の方針では、全長25kmの直線トンネルを掘り、電子と陽電子を両端からほぼ光速に近い状態にまで加速させ、中心部で衝突させる。衝突時の現象を調べることで、物質に質量を与える「ヒッグス粒子」の詳細研究や、未知の素粒子の探索などを進める。
肉眼には見えない現象を捉えるために必要なのが測定機(検出器)で、中心衝突地点に設置される。現計画では、測定方式が異なる「ILD(International Large Detector)」と「SiD(Sillicon Detector)」の2台を設置。双方とも高さ10m以上、重さは1万t以上にもなる。ILDは主に日本とヨーロッパ、SiDはアメリカを中心とした研究者らによって開発しようとしている。
写真上=国内外の研究者が集まり始まった「ILD meeting 2018」
写真下=ヨーロッパの次期素粒子物理学計画などを交えながら、今後の方向性について語るティズ・ベーンケ教授