岩手大に物理系学部を (斎藤武彦教授=独マインツ大) 人材育成必要性訴える
- 投稿者 :
- tanko 2013-6-30 5:40
独マインツ大学教授の斎藤武彦氏(42)=原子核構造物理学=は29日、盛岡市内のホテルで開かれた岩手県ILC推進協議会(元持勝利会長)主催の国際リニアコライダー(ILC)誘致県民集会で講演。「沿岸被災地を含めた地域の子どもたちが、ILCで行われる国際的な科学研究に興味を持ち、活躍したいという夢をかなえるには、彼らの故郷から近距離にある岩手大学への物理系学部設置が求められる」と持論を展開。さらに「地元と研究施設との連携や協力体制をうまく進める上で、私たち科学者の安全意識があらためて問われている」と述べた。
斎藤氏は来月5日まで、胆江地区を含む県内小中高校などでILC特別授業を展開。ILCで行われる研究分野の専門ではないものの、東日本大震災被災地に住む子どもたちの教育や、被災地域の将来を考える上で、世界の物理学研究の中心になり得るILCの存在は有意義であると考え、誘致実現に協力している。斎藤氏は特別授業の様子などを紹介しながら、ILCに対する自身の見解を述べた。
日本国内で物理学を専門とする大学施設の分布を示した斎藤氏は「残念ながら東北は関東以西に比べ、物理系学部は多くない。ILCの中心点から最も近い東北大学でさえ約100kmある」と述べた。
「沿岸被災地の子どもたちがILCに興味を示し、物理系の道に進みたいと夢を抱いたとしても、地元から遠い場所にしか学ぶ場所がない。結局、夢を諦めてしまう子もいるだろう」と指摘。最先端の研究施設がありながら、地元の人間が活躍できない状態が起きることを懸念した。
「さまざまな課題はあるだろうが、ILCが誘致できたとしても、教育環境が現状のままなら、岩手にとっては非常に損なこと。ぜひ岩手大学に物理系学部を設置してほしい。世界有数の大学に成長するチャンスだ」と訴えた。
このほか斎藤氏は、5月23日に茨城県東海村の大強度陽子加速器施設「J−PARC」内で発生した放射能漏れ事故についても触れ、「科学者が安全を軽視し研究ばかりを重視していたら、ILCにおいても地元住民と上手に連携できない」と強調した。
県民集会に出席した岩手大学の藤井克己学長は、胆江日日新聞社の取材に応じ、斎藤氏の提言について「とても熱意あるありがたい主張だ。地域の子どもたちの学力を確かなものにし、大学機能の強化を進める上でも(物理系学部設置は)重要なこと」と理解を示していた。
(児玉直人)
写真=岩手大学への理系学部設置などを提言した斎藤武彦氏(盛岡市内のホテル)
斎藤氏は来月5日まで、胆江地区を含む県内小中高校などでILC特別授業を展開。ILCで行われる研究分野の専門ではないものの、東日本大震災被災地に住む子どもたちの教育や、被災地域の将来を考える上で、世界の物理学研究の中心になり得るILCの存在は有意義であると考え、誘致実現に協力している。斎藤氏は特別授業の様子などを紹介しながら、ILCに対する自身の見解を述べた。
日本国内で物理学を専門とする大学施設の分布を示した斎藤氏は「残念ながら東北は関東以西に比べ、物理系学部は多くない。ILCの中心点から最も近い東北大学でさえ約100kmある」と述べた。
「沿岸被災地の子どもたちがILCに興味を示し、物理系の道に進みたいと夢を抱いたとしても、地元から遠い場所にしか学ぶ場所がない。結局、夢を諦めてしまう子もいるだろう」と指摘。最先端の研究施設がありながら、地元の人間が活躍できない状態が起きることを懸念した。
「さまざまな課題はあるだろうが、ILCが誘致できたとしても、教育環境が現状のままなら、岩手にとっては非常に損なこと。ぜひ岩手大学に物理系学部を設置してほしい。世界有数の大学に成長するチャンスだ」と訴えた。
このほか斎藤氏は、5月23日に茨城県東海村の大強度陽子加速器施設「J−PARC」内で発生した放射能漏れ事故についても触れ、「科学者が安全を軽視し研究ばかりを重視していたら、ILCにおいても地元住民と上手に連携できない」と強調した。
県民集会に出席した岩手大学の藤井克己学長は、胆江日日新聞社の取材に応じ、斎藤氏の提言について「とても熱意あるありがたい主張だ。地域の子どもたちの学力を確かなものにし、大学機能の強化を進める上でも(物理系学部設置は)重要なこと」と理解を示していた。
(児玉直人)
写真=岩手大学への理系学部設置などを提言した斎藤武彦氏(盛岡市内のホテル)