首都圏政財界に誘致の意義PR(東北推進協都内でシンポ)
- 投稿者 :
- tanko 2013-5-31 8:40
【東京=報道部・児玉直人】 北上山地への国際リニアコライダー(ILC)誘致を目指す東北ILC推進協議会(事務局・東北経済連合会)は30日、東京都千代田区大手町の経団連会館でシンポジウムを開催。首都圏の政財界関係者らを前にILCがもたらす波及効果などについて有識者が意義を訴え、全国的な関心の高まりを図った。科学技術だけでなく人材育成面にも計り知れない効果があるといった説明に、出席者は熱心に耳を傾けていた。
「日本再生〜ILCを核とした科学技術創造立国と東北のポテンシャル」と銘打った今回のシンポジウムは、4月に開催した同推進協総会の中で本県の達増拓也知事の提案を受け開催。事務局の東経連が準備を進めていた。
東経連によると、出席者の9割が首都圏在住者で、そのうちの8割近くが建設業者など民間企業の関係者だったという。東北からは、同推進協の代表を務める里見進東北大学総長と高橋宏明東経連会長、達増知事、村井嘉浩宮城県知事、小沢昌記奥州市長らが出席した。
前段はILCの研究概要について、東京大学の山下了准教授が解説。前岩手県知事で日本創成会議座長の増田寛也氏も登壇し、地域政策の観点から話題を提供しながら「財政課題を抱える中で多くの国民の理解を得るには、ILCを日本に誘致する大義をきちんと伝えることが重要だ」と主張した。
後半は達増、村井両知事と、NPO法人とうほくPPP・PFI協会の大村虔一会長、(株)ベネッセホールディングスの内永ゆか子副社長によるパネルディスカッションが繰り広げられた。
達増知事は岩手、宮城両県や東北各県の都市機能や環境が外国人研究者の受け入れに十分対応できるとアピール。村井知事は「研究者間で『東北に』となれば、しっかりと実現に向けたバックアップをする。違う場所になったとしても、そこでの実現に向けた応援はしっかりしたい。研究者の皆さんにはしっかりと候補地選定の評価をしてほしい」と述べた。
都市計画の権威である大村会長は、建設想定地域周辺の学校や医療施設の分布図、公共交通網の現状を提示。「新しく何かを作るのではなく、もともとある山村基盤を用いて素朴でおおらかな研究環境を築いてはどうか」と持論を展開した。
内永副社長は「日本には高い技術力を持った人はいるが、国際社会の中でリーダーシップを取れる人材が少ない。技術はあるが、ビジネスに結び付けることができておらず、双方の間に『死の谷』がある」と指摘。「ILCは物理研究だけでなく、人材育成やビジネス発展に多大な効果がある」と強調した。
終了後、取材に応じた達増知事は「首都圏の皆さんとILCをめぐる情勢を共有できた。今後も国内の関心を高めていくことや、政府の決断を助けるような働き掛けをしていきたい」。小沢市長は「人材育成や技術革新的な効果に関しては壮大なものがあると感じた。建設にかかる8000億円という投資は、将来につながるものであり、決して高いものではない」と話した。
同推進協は31日、文部科学省や内閣府などを訪れ、ILCの日本誘致を要望する。
写真=都内で開かれたILC誘致に向けたシンポジウム。首都圏の企業関係者らが集まり、ILCの意義や効果に理解を深めた(東京都千代田区、経団連会館)
「日本再生〜ILCを核とした科学技術創造立国と東北のポテンシャル」と銘打った今回のシンポジウムは、4月に開催した同推進協総会の中で本県の達増拓也知事の提案を受け開催。事務局の東経連が準備を進めていた。
東経連によると、出席者の9割が首都圏在住者で、そのうちの8割近くが建設業者など民間企業の関係者だったという。東北からは、同推進協の代表を務める里見進東北大学総長と高橋宏明東経連会長、達増知事、村井嘉浩宮城県知事、小沢昌記奥州市長らが出席した。
前段はILCの研究概要について、東京大学の山下了准教授が解説。前岩手県知事で日本創成会議座長の増田寛也氏も登壇し、地域政策の観点から話題を提供しながら「財政課題を抱える中で多くの国民の理解を得るには、ILCを日本に誘致する大義をきちんと伝えることが重要だ」と主張した。
後半は達増、村井両知事と、NPO法人とうほくPPP・PFI協会の大村虔一会長、(株)ベネッセホールディングスの内永ゆか子副社長によるパネルディスカッションが繰り広げられた。
達増知事は岩手、宮城両県や東北各県の都市機能や環境が外国人研究者の受け入れに十分対応できるとアピール。村井知事は「研究者間で『東北に』となれば、しっかりと実現に向けたバックアップをする。違う場所になったとしても、そこでの実現に向けた応援はしっかりしたい。研究者の皆さんにはしっかりと候補地選定の評価をしてほしい」と述べた。
都市計画の権威である大村会長は、建設想定地域周辺の学校や医療施設の分布図、公共交通網の現状を提示。「新しく何かを作るのではなく、もともとある山村基盤を用いて素朴でおおらかな研究環境を築いてはどうか」と持論を展開した。
内永副社長は「日本には高い技術力を持った人はいるが、国際社会の中でリーダーシップを取れる人材が少ない。技術はあるが、ビジネスに結び付けることができておらず、双方の間に『死の谷』がある」と指摘。「ILCは物理研究だけでなく、人材育成やビジネス発展に多大な効果がある」と強調した。
終了後、取材に応じた達増知事は「首都圏の皆さんとILCをめぐる情勢を共有できた。今後も国内の関心を高めていくことや、政府の決断を助けるような働き掛けをしていきたい」。小沢市長は「人材育成や技術革新的な効果に関しては壮大なものがあると感じた。建設にかかる8000億円という投資は、将来につながるものであり、決して高いものではない」と話した。
同推進協は31日、文部科学省や内閣府などを訪れ、ILCの日本誘致を要望する。
写真=都内で開かれたILC誘致に向けたシンポジウム。首都圏の企業関係者らが集まり、ILCの意義や効果に理解を深めた(東京都千代田区、経団連会館)