ILC誘致実現への壁 指摘(学術会議で検討委員長務めた家泰弘氏)
- 投稿者 :
- tanko 2020-1-1 6:30
写真=一関市大東町大原のILC建設候補地を眺める家泰弘氏。後方に見える壁面には、誘致実現を願うスローガンなどが記されている
国際リニアコライダー(ILC)誘致の行方を左右する日本学術会議(山極寿一会長)の「マスタープラン2020」が、今月中にも策定される見通しにある。昨年出されたILCに関する政府見解について、「関心表明」と受け止める向きがあるものの、実現への道程は縮まっているのだろうか。学術会議で、ILCに関する検討委員会委員長を務めた家泰弘氏(68)=日本学術振興会理事=へのインタビューを通じて、実現を阻む「問題点」を整理する。
(児玉直人)
家氏は昨年末、奥州、一関両市を訪問した。現計画について、「予定通り研究を終えても、見えてくる成果は『登山道の入り口』というレベル。物理の探究は完結せず、継続には再び巨額投資が伴う」と強調。さらに安全面が重視される粒子ビームの処理装置「ビームダンプ」に対する危機管理対応などにも、信用性が欠けると指摘した。
昨年3月の政府見解は「学術会議の回答内容に即した内容だった」との認識。しかし、回答で指摘した重要な諸課題が地域社会に伝わっていないと感じており、推進派研究者らの「関心表明」という解釈には疑問を呈した。
本紙は、家氏のほか、推進派の産学官関係者で組織する東北ILC準備室(室長・鈴木厚人県立大学長)へも、政府見解の受け止め方や誘致活動の在り方に関し同様に質問。返ってきたのは、「多くの方々の声を踏まえて、ILCの推進活動を行っている。マスコミの皆さまには、引き続き、定例の記者勉強会の開催等も検討して参る」とのコメントのみで、具体回答は得られなかった。