人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2014-6-18 11:30

 外国人市民の有志組織「ILCサポート委員会」(ビル・ルイス委員長、委員12人)は17日、国際リニアコライダー(ILC)の誘致を見据え、図書館の国際化や宗教的配慮への理解促進、生活情報の翻訳作業の必要性などを小沢昌記奥州市長に提言した。
 同委員会は「国際研究都市の形成に向けて市民レベルでできることを考えよう」と5月17日、水沢区内で独マインツ大の斎藤武彦教授(原子核構造物理学)と意見交換。外国人研究者や家族らを迎えるために必要な国際的なまちづくりをめぐり、委員8人が議論した。
 これを受け17日、委員のケン・デイヴィスさん(40)と市国際交流協会職員2人が小沢市長を訪問。意見交換した内容を伝えたほか、今後の活動に理解と協力を求めた。
 デイヴィスさんら3人は、斎藤教授からインターナショナルスクールの県内新設や、宗教的な配慮の必要性などの意見が出されたと説明。意見交換会を踏まえ、外国語の書籍を寄付したり表示の多言語化を図ったりして図書館の国際化を進めることや、飲食店メニューなど生活情報の翻訳促進、宗教的な配慮を中心とした住民意識向上への協力などを今後の活動案に加えるとした。
 デイヴィスさんは、救急車を手配する際の手続きなどを懸念し、「市だけでなく岩手は英語教育に力を入れるべきだ」と要望。小沢市長は「日常生活で互いに意思疎通できるよう問題意識を持つことが大切。今後も提案型の相談をしていただき、行政としてサポートしたい」などと述べた。
写真=小沢昌記市長と懇談するケン・デイヴィスさん(左)
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tanko 2014-6-11 19:40
 市議会6月定例会は10日、一般質問で再開。今野裕文(共産党)菊池利美(新世会)菅原圭子(同)広野富男(市民クラブ)千葉悟郎(同)の5氏が市当局の見解をただした。
 菊池氏はJR水沢江刺駅の無料駐車場について「観光客を迎え入れるには手狭であり、通勤客らも他の新幹線駅を利用するようになる」と述べ、増設の可能性を尋ねた。
 市設置の無料駐車場は駅開業に伴い1985(昭和60)年に179台分を整備した。その後、459台分まで増設。2013年度の1日平均利用台数は464台となっている。
 小沢市長は「現状は駐車可能台数と平均利用台数は同程度で利用客の多い時期は一時的に不足することもある。民間駐車場との兼ね合いもあり、増設は利用状況をみながら検討したい」と答弁した。
 菊池氏の同駅周辺の開発計画をめぐる問い掛けに、小沢市長は「国際リニアコライダー(ILC)の動向も見ながら、市の玄関口としてふさわしい土地利用が図られるよう民間誘導も含め努力したい。駅名を変えてでもILCの拠点、玄関口であることを世界に向け標榜するぐらい価値がある場所だ」と述べた。
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tanko 2014-6-11 19:40
 岩手県が児童・生徒向けに制作した国際リニアコライダー(ILC)解説動画が、海外の素粒子研究者たちの間でも好評を博している。動画内には、金ケ崎小学校での英語授業も登場。候補地周辺の様子にも触れることもでき、研究者からは「英語版はないのか?」との声も上がっている。
 解説動画は、5月12日から同16日にかけ米国イリノイ州シカゴ近郊のフェルミ国立加速器研究所で開かれた国際会議「リニアコライダー会議2014(LCWS14)」の会場で上映された。
 子ども向け動画は、県が今年3月に完成させたもの。宮沢賢治をモチーフにした「賢治先生」などが登場する人形劇で、県ホームページにも公開している。金ケ崎小学校の英語授業の様子や、水沢高校でのILC出前授業なども登場する。
 事実上、世界唯一のILC候補地に位置付けられている北上山地。しかし、欧米の研究者らの中には北上山地どころか、東北が日本のどこにあるのかすら知らない人も少なくないという。インターネットで「北上(Kitakami)」と検索しても、北上市に関係した情報が真っ先に出てくるのが実態だ。
 このため研究者らが一堂に会する国際会議や学会などの場を利用し、北上山地を紹介する取り組みが進められている。
 LCWS14の会場でも、日本の関係者が広報映像を複数用意して放映。すると、一般向けにつくられた英語版動画より、日本語で作られた子ども向け動画に人気が集まった。研究者からは「英語版は無いのか?」との声も多く寄せられた。
 県の宮昌隆ILC推進課長は「海外の研究者の皆さんのこうした反応は非常にうれしい」と話している。
(児玉直人)

写真=ILC子ども向け動画に見入る外国人研究者ら
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tanko 2014-6-10 19:30
 奥州市議会6月定例会は9日、一般質問で再開し、佐藤郁夫(市民クラブ)千田美津子(共産党)及川佐(奥和会)高橋政一(市民クラブ)菅原由和(奥和会)の5氏が市や市教委当局の見解をただした。国際リニアコライダー(ILC)計画を踏まえ、市は誘致実現後の都市像を描いた「まちづくりビジョン」の策定に本年度着手する方針を示した。
 まちづくりビジョンをめぐる佐藤氏の質疑に対し、小沢昌記市長は「東北ILC推進協議会が策定したビジョンの中で奥州市が国際科学技術研究圏域の機能、空間両面で中心範囲に位置している」とし、「中心範囲での施設配置の具体的な協議が始まる前に、市としてILCを将来のまちづくりにどう生かしていくかなどについて整理する必要がある。現状では熟度の高いビジョンを描くことは困難だが、基本的な事項から取りまとめ、段階的に高めたい」と答弁した。
 県や他自治体との連携について小沢市長は、県が昨年度設置した県庁内ILCワーキング・グループの分科会に本年度から奥州、一関両市の職員が加わると説明。「市町村の役割分担を見据えた検討が進むと期待している」と述べ、金ケ崎を含め他自治体との連携強化に引き続き取り組む意向を示した。
 市ILC推進室の及川健室長は、まちづくりビジョンの策定時期について「本年度にも市としてのあるべき姿を描いておきたい」と答弁。一方で「本年度に着手するが、(国の動きなど)不確定な要素もあるため、年度内にまとまるかどうかははっきりしない」と付け加えた。
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tanko 2014-6-8 10:50
郷土の未来へ大人も夢を


 県南広域振興局副局長(企画部門担当)の傍ら、本年度の定期人事異動で「首席ILC推進監」を兼務することになった。
 「住民の皆さまへの理解普及はもちろんですが、地元企業をいかに参入させるかが重要なポイント。しっかりフォローしなくてはいけません」。県庁内に本年度新設された科学ILC推進室と連携しながら、草の根的な部分の取り組みに力を注ぐ。
 大学で情報工学を学び、県職採用後は多くの製造企業を訪問。技術開発で共に汗も流した。一時は総務系の業務に従事したこともあったが、再び学んだ知識と経験をフルに生かせるチャンスがきた。しかも、世界の国々が動くビッグプロジェクトが相手だ。
 一般的には非常に難解なイメージが持たれがちな素粒子物理の研究。実験装置には最先端の技術が用いられる。しかし、及び腰になる必要はないという。
 「確かに精度は高い装置。しかし、構造は非常にシンプルだと思う。県南には大手のように名は知られていなくても、日本や世界に誇れるぐらいの技術を持った会社がたくさんある。ILCに参入できる可能性は非常に大きい。自社の強みをILCのどこに生かせるか、参入に向けた具体的なマッチングの推進に今後着手していく」と力を込める。
 子どもたちに関心を高めてもらう取り組みも重要だ。「既に奥州市では市内中学2年生全員への出前授業を始めていますが、やはり県南全体に広げていきたい」と希望する。今の中学2年生が企業の中堅どころになろうとする30歳前後のころに、ILCは動きだす。「ぜひ今のうちに関心を持ってほしい。研究者を目指す子だけでなく、農業や商業などさまざまな産業がILCに関係してくるのですから」
 ILC完成の暁には、世界中の子どもたちを呼ぶプログラムの実施を思い描く。「ILC本体はもちろん、平泉文化の礎となっている平和思想にも触れてもらいたい。世界の教育拠点というイメージです。世界の子どもたちにとって宝になる地域になってくれたら」と夢は尽きない。
 「だって、大人が夢を持たなければ、子どもだって夢を持たなくなりますよ」
(児玉直人)

 プロフィル…旧大迫町出身。岩手大学工学部情報工学科を卒業し、1983(昭和58)年県職員に採用。子ども2人は既に独立。「勤務地の空気を吸いながら仕事に励むことを基本にしている」と、水沢区北栗林の県職員公舎に妻多喜子さん(54)と暮らす。趣味は読書とゴルフ。
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tanko 2014-6-7 9:30
 奥州市議会は6日、会派代表者会議を開き、ILC(国際リニアコライダー)に関する特別委員会を設置する発議案を19日の最終本会議に提案する方針を決めた。
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tanko 2014-6-7 9:30
 国際リニアコライダー(ILC)の北上山地誘致事業を推進している県政策地域部の大平尚副部長は6日、奥州市文化会館(Zホール)で講演。ILC建設国内候補地に北上山地が選ばれた後の大きな動きとして、「文部科学省が5月に設置した『ILCに関する有識者会議』が検討結果を示すおよそ2年後、政府がどう判断するか注目すべきだ」と述べた。
(児玉直人)


 大平副部長は、いわて加速器科学推進会議(亀卦川富夫代表幹事)と、一般社団法人国際経済政策調査会(東京都、高橋佑理事長)が主催したILC講演会に登壇。ILC実現を目指した現状と課題について触れた。
 直近の動向に触れる中、5月に文科省が有識者会議を設置したと説明。「早ければ来年度中にも一定の結論が出るが、同時にそれまでは踏み込んだ話や要望を政府に持ち掛けづらいことを意味する。文科省に要望しても『有識者会議で検討中だ』という回答ぐらいしか得られず、大きなニュースはなかなか生まれにくいだろう」との考えを示した。
 一方、国外の動きとして、米国高エネルギー物理学諮問員会(HEPAP)の下部組織「P5」が5月下旬、ILC計画に対する強い支持を明記した報告書をまとめた。報告書では向こう5年間、米国はILCに何らかの関与をすべきだと提言している。
 大平副部長は「文科省の有識者会議が早くて2年後『ILCを日本に誘致すべきだ』と方針を示せば、げたは政府に預けられる。その判断に注目すべきだ」と強調。さらに「米国が『5年間は関与する』と言っているということは、逆に『5年以上たっても動きがなければ米国はILCに参加しない』ということも考えられる。米国の協力を得るためにも、日本政府は有識者会議の判断が出たら早いうちにゴーサインを出さなければいけない」と語った。
 このほか大平副部長は、昨今話題となっている人口減少問題にも絡めながら「ジュネーブのCERN(欧州原子核研究機構)では博士号を取ったばかりの若い研究者を中心に研究している」とし、ILCの場合も同様の傾向になると推測。「人口減少対策は若者と女性の定着が鍵。若い人が来ると地域に活気が生まれる」とし、人口減対策の面からもILCが果たす役割の大きさをアピールした。
 同日は財団法人日本生産性本部公共政策部の澤田潤一部長も講師に招かれ、ILC計画がもたらす経済効果や技術革新など波及効果について解説した。

写真=文科省有識者会議の検討後の動向に今後は注目すべきだと語る大平尚副部長
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tanko 2014-6-6 18:40
 奥州市議会6月定例会は5日、施政方針、教育行政方針への質問で再開。小沢昌記市長は重点課題に掲げる財政健全化と協働のまちづくりの推進について、人口減や財政難を念頭に「公約に掲げた自立と自律を確かにしたい」と述べた。
 佐藤郁夫氏(市民クラブ)が「財政難は理解できるが、施政方針には市民が夢を持てる話を盛り込むべきだ」と問いただしたのに対し、小沢市長は「財政健全化と行政組織改革の先に非常に大きなものが見えてくると確信している。それをしっかりと進めたいという思いを施政方針で強く表現した」と応じた。
 一方で市長は「夢はたくさんある。特にILC(国際リニアコライダー)」とし、「これが実現すれば人口増加さえ見込める。そのためにも全市民に教育、医療、福祉をしっかりと提供できる体制を整える基本を今つくらなければならない。夢を確かにするためにも現実を見据え、改革改善することが何よりも必要」と続けた。
 鈴木雅彦氏(奥和会)の「ILCをどうまちづくりに生かすのか具体策が見えない」とした質問に対し、市長は「空き家をより流動化させるなど各施策を打ち出し、居住するのに便利で快適であることを発信できれば強みになる」などと答えた。
 高橋政一氏(市民クラブ)は協働施策の方向性に関して質疑。市長は「厳しい財政状況の中でルールを決め、そのルールに従い行政サービスを着実に提供できる自治体に変貌しなければならない」などと述べた。
 空席となっている副市長の人事について阿部加代子氏(公明党)が「早めに体制を整えるべきだ」と尋ねたのに対し、市長は「選挙で掲げた公約を実行し施政方針に沿った市政を運営しなければならない。これを強力にサポートしてくれる副市長をできるだけ早く決めなければならない。検討している最中」と述べるにとどめた。
 6日は一般質問で再開する。
(若林正人)
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tanko 2014-6-6 18:40
 金ケ崎町教育委員会は5、6の両日、町内全小学校で高エネルギー加速器研究機構(KEK)による国際リニアコライダー(ILC)の出前授業を実施している。5日に行われた町立西小学校(千葉由美子校長、児童71人)では5、6年生22人が参加。KEK素粒子原子核研究所講師で理学博士の藤本順平さんが「君たちをILCが待っている」と夢を与えながら、実験内容や研究の意義を分かりやすく伝えた。
 北上山地が建設候補地になったILCへの理解醸成が狙い。昨年度に中学校で行ったが、小学校では初めての試みだ。
 ILCについて学ぶのは初めてという子どもたち。藤本さんは「ILCのIはいろんな国の人と一緒に。Lは真っすぐに、Cはぶつける装置という意味。いろんな国の人と一緒に真っすぐな装置を造り、粒と粒をぶつける実験をしようという取り組み」と、施設の大きさや形などを紹介した。
 「実験することで自然のきまり、宇宙の法則が分かる」と藤本さん。「宇宙のものは、体も机も全て素粒子という粒でできている」との言葉に、自分の手を不思議そうに見る児童も。素粒子測定器の原理になっている「霧箱」を用いた実験では、アルコールが霧状になって浮かび上がらせる電子など粒子の飛跡を夢中になって観察した。
 藤本さんは「霧箱が作られたのは100年前。100年たつと人間はすごい工夫をする。それがILC」と解説。「大きな装置を造るのは、今まで誰も見つけていない粒のきまりを見つけたいから。それを君たちに見つけてほしい。これは君たちのマシン。ILCが君たちを待っている」と呼び掛け、児童たちの未来に国際的な研究に携われる可能性があることを強調した。
 6年の高橋マユさん(11)は「実験ではいろんな線が見えて驚いた。素粒子の実験を始めようというILCのことがたくさん分かった」。5年の及川琉毅君(10)は「実験は楽しかった。ILCでやる実験に興味が湧いた」と目を輝かせた。
 同日は同小と三ケ尻小で行われ、6日は第一小と金ケ崎小、永岡小で実施される。
写真=霧箱で素粒子測定器の原理を学ぶ町立西小児童たち
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tanko 2014-6-4 18:30
 県南広域振興局管内の8市町が抱える諸課題解決に向けた事務レベル組織「県南広域圏政策課題研究会」が3日、発足した。圏域の市町から提示された人口減少などの課題に対し、県側もサポートする形で対策などを検討していく。
 同研究会の設置は、今年4月8日に北上市内で開かれた県南広域圏首長懇談会の席上で提案された。同振興局管内8市町の政策・企画担当職員が一堂に会し、圏域の諸課題について情報共有しながら、市町と県の連携体制を密にするのが狙いだ。
 水沢区大手町の奥州地区合同庁舎で開かれた初会合には、8市町の係長級職員と同振興局経営企画部担当者ら計14人が出席。各市町が抱える現状や課題の説明があったほか、今後の進め方について意見を交わした。
 各市町から示された課題のうち、特に目立つのが人口減少対策と行政システムに関する事柄。特にも人口に関しては、5月に日本創世会議・人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也前知事)が、人口減少による地域崩壊や自治体運営の行き詰まりを指摘する調査結果を公表したばかり。初会合では、若者の定住化や婚活支援の必要性などが示された。
 このほか、国際リニアコライダー(ILC)誘致への対応やJR北上線利用促進など具体的な課題についても報告があった。
 同部企画推進課の菊池修一課長は「なるべく参加市町が主体となり、県がそこに寄り添うような形で課題に対応していけるような姿にしたい。5回ぐらいの会合を経て、8市町の首長に中間報告できるような状況ができれば」と話す。

写真=発足した県南広域圏政策課題研究会。県南8市町の担当者が集い、課題解決策を探る

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