人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2020-12-20 10:10

写真=水沢図書館で開かれている企画展「宇宙×ILC」

 素粒子物理学研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」について紹介する企画展「宇宙×ILC」(県南広域振興局主催)が、水沢佐倉河の市立水沢図書館で開かれている。ILCをはじめ、宇宙科学に関する本やパネル、県立水沢工業高校の生徒が作った模型も並び、科学的好奇心を刺激している。22日まで。月曜休館。
 建設の有力候補地として北上高地が挙げられるILCについて広く知ってもらおうと、県南局が国立天文台水沢VLBI観測所の協力を得て企画。管内の8市町を巡回している。
 子ども向けの解説パネルも用意。昨年同観測所の本間希樹所長らが貢献した、ブラックホールの観測を扱った図書も並ぶ。
 ILC推進モデル校でもある水沢工高の生徒が制作した模型は、赤と青の発光ダイオード(LED)を使い陽電子と電子が衝突し素粒子が生じる現象を表現。水沢佐倉河の小川原輝真君(11)は「ILCは聞いたことがある。宇宙船みたい」と興味を示しながら模型を眺めていた。
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tanko 2020-12-18 10:30

写真=賞状を手渡される児童

 「宇宙の日」記念全国小・中学生作文絵画コンテストの入賞者表彰式がこのほど、水沢星ガ丘町の奥州宇宙遊学館(中東重雄館長)で行われた。
 文部科学省や宇宙航空研究開発機構(JAXA)、同遊学館など全国57の応募協力科学館が主催。今回は「50年後の宇宙生活」をテーマに応募を呼び掛けた。同遊学館では作文3点、絵画19点を受け付け。同遊学館スタッフや隣接する国立天文台水沢VLBI観測所の所員らを交えた審査で、作文2点、絵画7点の入賞を決めた。全国審査の対象となる最優秀賞は、該当がなかった。
 表彰式では、中東館長や同観測所の亀谷收助教が、入賞者に賞状を手渡した。中東館長は「50年先を見据えた作品の多くに感動させられた」と講評。亀谷助教は「夢がある作品ばかりで感心した。大きくなったらぜひ研究者になってほしい」と呼び掛けた。
 絵画の部で「天文台所長賞」を受賞した、市立常盤小学校5年の星野友佑君(11)は、大好きな天文学と鉄道の世界を織り交ぜた作品。「地球から新幹線で宇宙旅行できたらいいなと思い描いた」という。表彰式に同観測所の本間希樹所長は出席できなかったが、館内に展示されている本間所長の写真パネルの前で賞状を手に写真を撮り、記念にしていた。
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tanko 2020-12-9 6:30
 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)の本年度当初予算が大幅に削減された問題などを調査・検討をしてきた、「国立天文台コミュニティ間意思疎通推進委員会」(委員長・観山正見広島大学特任教授)はこのほど、中間報告書を取りまとめ公表した。同天文台(常田佐久台長)執行部と観測現場の研究者らとの間では、意思疎通の不十分さからさまざまな問題が生じていた。国の財政難を背景に、競争的環境下での資金配分、トップダウン(上意下達)型の運営などが強く推奨されてきたことが原因とみられる。推進委は、天文台側と現場研究者側双方に改善に向けた提言を行った。
(児玉直人)

 推進委は元天文台長である観山教授と、佐藤勝彦・前自然科学研究機構機構長の提案により、同天文台運営会議の下に設置された。今年5月21日から11月30日まで25回にわたり会合を開いた。観山、佐藤両氏のほか5人の有識者が委員を務めた。
 同観測所に関連する報告には、予算削減に至った経緯が詳細に記されている。
 執行部は2018(平成30)年6月、2019年度から2022年度までの4年をかけ、観測所予算を2018年度の半分に減らすよう要求した。観測所は要求に従い、削減案を検討し計画案を提示。執行部は了承した。
 昨年12月、削減計画に基づいた2020年度予算要求額を執行部に提出。ところが執行部は、「2019年度予算の半分に」という新たな条件を提示。加えて、同観測所が運用するVERA(天文広域精測望遠鏡)を使ったプロジェクトも前倒しで終了するよう伝えてきた。
 観測所が説明を求めても「予算が厳しい」という以外、具体的説明がなかった。今年2月に本間所長ら関係者8人が常田台長に要望書を提出しても、無回答だった。
 3月下旬、予算は大幅減の状態で通達。新年度に入り、常田台長は関連する研究者団体に対し、台長裁量で配分する「リーダーシップ経費」に申請すれば、予算追加の可能性があるとの方針を示した。結果として、本年度分の電波望遠鏡運用が可能な経費は補填された。
 推進委は「予算決定の手続きの不透明性、観測所への説明責任を果たしていないことは、執行部の対応として不適切」と批判。「予算の厳しさは観測所長も理解していた。それを考えると執行部の手続き不備、観測所とのコミュニケーション不足が大きな問題に発展した」と結論付けた。
 このほかに調査対象とした複数の問題でも、執行部と研究者側のコミュケーション不足が直接のきっかけとなるなど、いくつかの共通点が確認できた。執行部からの不快な発言や叱責など、ハラスメント(嫌がらせ、いじめ)と捉えられる可能性の高い行為も複数指摘されたという。
 推進委は、国の財政難に適応した組織運営や、国際プロジェクト「TMT(30m望遠鏡)計画」への対応に労力を注ぐあまり、執行部は天文学全体の発展に関して目が向きにくくなったと指摘。研究者側と意思疎通を図ることなく、トップダウンで進めてきたため、随所で問題が起きたとしている。
 推進委は、天文台側の改善策として▽委員会規則の改訂を含む意思決定システムの改善▽議事録の速やかな公開▽ハラスメント防止体制の改善▽運営評価委員会の新設――を提言。研究者側に対しては、基礎学術を巡る現状などを主体的に理解、天文台の運営に主体的に関わるよう求めた。
 水沢VLBI観測所の本間所長は、胆江日日新聞社の取材に「大先輩である重鎮の方々に客観的に検証していただいた。指摘された問題点が改善されていくことを期待したい」とコメントした。
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tanko 2020-12-7 10:20


写真=酒井栄さんが撮影した「はやぶさ2」の光跡(矢印部分)。6日午前1時55分ごろ

 日本の小惑星探査機「はやぶさ2」本体の撮影に6日未明、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター理事の酒井栄さん(67)=水沢東大通り=が成功した。
 酒井さんは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ2プロジェクト」、日本惑星協会、日本公開天文台協会が共同実施する「はやぶさ2おかえり!2020共同観測キャンペーン」に参加。水沢黒石町にある私設の天体観測施設で、上空を通り過ぎるのを待った。
 探査機は、小惑星「リュウグウ」で採取した物質を収めたカプセルを前日のうちに放出。カプセルの大気圏突入を撮影するため、高度約200〜300kmまで降下している最中だった。この高度は国際宇宙ステーション(ISS)よりも低い位置で、降下の様子はISS滞在中の日本人宇宙飛行士・野口聡一さんも見届けたと、自身のツイッターに投稿していた。
 酒井さんは、5年前の12月3日に同探査機の撮影に成功。今年10月18日には、目的地だった小惑星「リュウグウ」もとらえている。
 同探査機から分離されたカプセルは6日午前2時半ごろ、大気圏に突入しオーストラリア南部のウーメラ砂漠に着地。日の出後に回収され、同8時すぎに現地の本部に到着した。
 一方同探査機本体は、次の目的地である小惑星「1998KY26」を目指し、地球から離れている。到着は11年後の予定。
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tanko 2020-12-6 10:10

奥州宇宙遊学館で行われた「はやぶさ2」カプセル分離の中継放映。手前は、来館者から寄せられた応援メッセージ

 日本の小惑星探査機「はやぶさ2」は日本時間の5日、小惑星で採取した物質が入ったカプセルを地球に向け本体から分離、放出した。「玉手箱」の愛称で呼ばれているこのカプセルは、順調に進めば6日未明にオーストラリア南部のウーメラ砂漠に着地、回収される。探査機本体には、国立天文台水沢キャンパス内にあるRISE月惑星探査プロジェクト(竝木則行室長)などが開発した機器も搭載。キャンパス敷地内の奥州宇宙遊学館(中東重雄館長)は5日、カプセル放出の中継動画を放映した。
(児玉直人)

 同探査機は、2014(平成26)年12月に打ち上げられた。目的地の小惑星「リュウグウ」の名称は、おとぎ話『浦島太郎』にあやかったもので、小惑星表面のクレーターや岩にも「ウラシマ」「オトヒメ」といった名前が付けられている。
 地球から約3億km離れた「リュウグウ」に到達した同探査機は、表面や内部の物質を採取。「玉手箱」カプセルに取り入れた。
 探査機本体には、水沢に本拠地を置くRISEなどが開発したレーザー高度計(LIDAR)が搭載されている。レーザー光を小惑星表面に照射し、反射してくる時間から高度を割り出す装置で、物質採取の成功を支えた。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、同探査機は5日午後2時半、地球まで22万3000kmの地点で衛星本体から予定通りカプセルが分離された。問題がなければ6日午前2時半ごろ、大気圏に突入し、同2時分ごろに着地する。カプセル内に収められた物質は、太陽系の進化や生命誕生の謎を解く研究に活用される。
 一方、探査機本体はカプセルが大気圏に突入する様子を撮影するため、国際宇宙ステーションの軌道よりも低い高度約200〜300kmまで降下。その後、別の小惑星探査に向けて再び地球から離れる。
 宇宙遊学館では、JAXAが提供する中継映像を放映。来館者に「はやぶさ2」への応援メッセージ記入の協力も求めた。茨城県つくば市のJAXA筑波宇宙センターを見学したこともある金ケ崎町立第一小学校6年の稲邑瑛人君(11)は、カプセル分離成功を喜ぶJAXAスタッフの姿を見届け、「無事に成功してとてもうれしかった」と笑顔を浮かべていた。
 同館での応援メッセージの記入は今月25日まで受け付け、画像にしてJAXAに後日届ける。18日から来年1月10日までは、同探査機の運用エピソードをまとめた漫画「こちら『はやぶさ2』運用室」のパネル巡回展を開催する。
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tanko 2020-12-4 10:20
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設、国際リニアコライダー(ILC)誘致について小沢昌記市長は3日、研究者界や関係する国内外の動向を「大きく進展していると感じられる」と評価。県や誘致組織などと連携し、施設受け入れに向けた準備を進めるとともに、市民の理解普及につなげるため、丁寧な情報発信を今後もしていくと述べた。
(児玉直人)

 同日の市議会12月定例会一般質問で、佐藤郁夫氏(無会派)と及川春樹氏(新奥会)が、ILC誘致の現状認識、今後の誘致活動について市当局の考えをただした。
 今年策定された新しい欧州素粒子物理戦略には、ILCへの期待が明記。当該分野の研究者コミュニティーで組織する「国際将来加速器委員会(ICFA=イクファ)」は、国際準備研究所(プレラボ)を立ち上げるための「国際推進チーム」設立を提言し8月に発足した。これに同調するように北上山地周辺の自治体などは、施設の受け入れに必要な対応を検討する「東北ILC事業推進センター」も設置した。誘致関係者は着実な進展と受け止めている。
 千葉典弘総務企画部長は、関連答弁で「何より大きいのが、米国のエネルギー省と国務省が、省庁横断的にILCを支持した。経済だけでなく、科学分野でも世界をリードするアメリカの政府が初めて支持したのは大きい」と述べた。
 ILCの国内推進母体である高エネルギー加速器研究機構(KEK)は今年2月、文部科学省が策定する「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップ(2020)」に係る審査を申請していた。しかし、ICFAの提言など国際的な体制が大きく進展する動きを見据え、3月下旬、申請を取り下げた。
 小沢市長は「ロードマップ申請の取り下げ経緯や状況がよく分からず、誘致実現を不安視する声もあった。市広報や講演会などを通じ、国際的な協力体制ができつつあることを伝えている。今後も機会を捉え、丁寧な説明をしていく」と述べた。
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tanko 2020-12-2 10:40

写真=子どもたちの絵画や作文が展示されている奥州宇宙遊学館

 「宇宙の日」を記念した「全国小・中学生作文絵画コンテスト」の応募作品展が、水沢星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で開かれている。作品テーマは「50年後の宇宙生活」。子どもたちの想像力あふれる作文や絵画が来館者の関心を呼んでいる。13日まで。
 「宇宙の日」は、日本科学未来館館長などを務めている毛利衛さんが、スペースシャトル「エンデバー号」で初めて宇宙に旅立った日にちなむ。宇宙を身近に感じてもらおうと、文部科学省や宇宙航空研究開発機構(JAXA)、同遊学館など全国の応募協力科学館などが同コンテストを主催している。
 同館に集まった作品は作文3点、絵画19点。新型コロナウイルス感染症の影響もあって、例年より参加は少なかった。全国審査に回る最優秀賞は作文、絵画とも該当はなかった。
 入賞者への表彰式は展示最終日の13日、同館で行われる。入賞者は次の通り。
 【作文】
 ▽優秀賞…眤捨神検弊臑罅若林小3年)▽佳作…神垣歩美(仙台・八幡小4年)
 【絵画】
 ▽優秀賞…眤捨神検弊臑罅若林小3年)▽佳作…佐々木里空(伊手小3年)▽天文台所長賞…星野友佑(常盤小5年)▽天文台賞…山崎玲央奈(伊手小3年)▽理事長賞…児玉煌茉知(金ケ崎小6年)▽遊学館館長賞…和川智輝(伊手小3年)▽遊学館賞…平雅久(金ケ崎小4年)
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tanko 2020-11-29 10:30

写真=ゲームの問題が構内に掲げられている水沢VLBI観測所

 水沢星ガ丘町の国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)は、30日まで観測所構内を利用した謎解きゲーム「宇宙の危機を救うのは君だ!」を開催している。宇宙の謎と日々向き合っている現役研究員らが発案しただけに、じっくり考えないと解けない高レベルな内容。「分からない……」と頭を抱える大人がいる一方で、子どもたちの反応は上々だという。
 毎年夏に行っている観測所の一般公開イベント「銀河フェスタ」が、新型コロナウイルス感染防止のため中止に。代わりに企画したゲームだが、県内の感染状況の動向などを踏まえ、対策を講じてようやく実現できた。
 ゲームの出題内容やシナリオは二つあり、同観測所の田崎文得・特別客員研究員と蜂須賀一也・特定技術職員がそれぞれ考案。構内の奥州宇宙遊学館で解答用紙を入手し、架空の物語に沿って構内見学コース4カ所に掲げられている問題を解いていく。天文学の専門知識を問う出題はないが、テレビのクイズ番組で求められるような「ひらめき」や柔軟な発想が試される。
 全問正解し、くじ引きでも当たりが出ると、プレゼントが贈られる。
 正答率は3割程度。同観測所広報担当の小沢友彦・特任専門員は「『全員正解』とかではなく、あえて難しいものにした」と説明する。「家族や友人が考えを出し合い答えを導いたり、一つの問題を地道に解いて積み重ねたりする作業は、研究者が常に行っていること。謎を解明する大変さと達成感を味わってもらえたら」と話している。
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tanko 2020-11-26 9:20

画像1=天の川銀河の想像図に重ねた224天体の位置と動きを示す矢印。矢印の長さは速度を表しているが、内側も外側もほぼ同じ長さであることから、場所に関わらず各天体の回転速度がほぼ一定であることが分かる((C)国立天文台)

距離や速度 教科書改訂へ結ぶ成果

 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)と鹿児島大学天の川銀河研究センター(半田利弘センター長)を中心とする研究メンバーは26日付で、天の川銀河の精密測量に関する研究成果を発表した。同観測所が運用するVERA(天文広域精測望遠鏡)などを用いた観測で、太陽系から天の川銀河中心部までの距離が、国際天文学連合の推奨値よりも近いことが判明。回転速度も含め、誤差が非常に小さい信頼性の高い結果を示すことができた。天体の距離や速度は、天文学研究を進める上で重要な基本情報。研究者らは「教科書の改訂につながるような成果だ」と強調している。
(児玉直人)

 VERAは水沢など国内4カ所の電波望遠鏡を連動させ、天体の位置をより精密に測ることができる。観測局の一つ、鹿児島県薩摩川内市の「入来局」では、地元の鹿児島大の学生らが望遠鏡の保守や見学者対応に協力。観測や研究にも直接かかわっている。
 今回の成果は日本天文学会欧文研究報告(PASJ)の「VERA特集号」で発表された。VERA4局の観測でこれまでに得られたデータは99天体分。これに世界各地の電波望遠鏡で観測した分を加えた224天体の位置データを使用し解析した。
 その結果、地球がある太陽系から天の川銀河中心までの距離は2万5800光年(1光年=約9.5兆km)であることが判明。1985年に国際天文学連合が定めた推奨値2万7700光年より1900光年近いという。
 各天体の移動速度は平均して秒速227km。銀河中心部に近い場所も、太陽系より外側のエリアもほぼ一定だった。理由として、正体不明の物質「暗黒物質(ダークマター)」の存在が影響していると言われている。
 今回判明した距離や速度の誤差は5%程度で、信頼性の高さを裏付けている。天文学研究では、天体の距離や移動速度は重要な情報。研究の積み重ねが必要ではあるが、今回の成果は天文学関連の教科書改訂に結びつく可能性があるという。
 このほか、星の集団が渦巻きを描く「銀河の腕」の本数が4本であることも判明。天の川銀河の構造がより解き明かされた。



画像2=VERAプロジェクトの最新成果をまとめた論文が掲載されたPASJの表紙。水沢など4カ所の観測局の名称が英字で表記されている


 同観測所は今年、予算削減問題が注目されたが、論文のとりまとめや成果発表はそれとは直接関係なく、もともと予定されていたもの。ただ、25日の記者会見では同問題に絡めた質問も相次いだ。
 本間所長は、市民有志によるVERA存続を求める署名が24日に文部科学省に提出された件に触れながら、「いろいろな方々に支えてもらっているのを感じた。基礎科学研究は地道に成果を積み上げていくもの。そのためにも、安定した研究環境が大切になる」と話している。
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tanko 2020-11-25 9:40

写真=三谷英弘政務官(左から2人目)に署名簿を手渡す、小野優市議(同5人目)ら(VERAサポーターズクラブ提供)

 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)が運用する天文広域精測望遠鏡(VERA)について、文部科学省の三谷英弘政務官(自民党、衆院神奈川8区)は24日、当初計画にある2022(令和4)年度までは、着実に運用できる予算を確保していく考えを示した。同日、同観測所の研究を支援する民間団体「VERAサポーターズクラブ」(木村隆代表)が集めた1万6548筆の署名提出を受けて明言。2022年度以降についても、「研究者コミュニティーでしっかり意見集約し、検討するよう促したい」とした。
(児玉直人)

 この日は本県から、署名呼び掛け人として名を連ねている小野優・奥州市議のほか、署名活動に協力した花巻ロータリークラブの橋川秀治副会長、螳ど製作所=北上市=の阿部紀子専務が上京。さらに、VERA観測網の一つ「石垣局」がある沖縄県石垣市の八重山青年会議所の上地誠・直前理事長も合流した。
 署名簿の提出には、藤原崇氏(自民、衆院比例東北)、文科省研究開発局の生川浩史局長らも同席。小野市議らは「ブラックホールの撮影成功を機に、天文台への興味関心が、子どもから大人まで高まっている」「この先まだ年使える装置。有効活用してもらいたい」などと訴えた。
 小野市議によると、三谷政務官は予算確保にしっかり取り組み、少なくとも当初運用計画で示された2022年度まで、予算削減しない方向で進めたい意向を示したという。
 署名は、提出直前の集計段階で1万6344筆だったが、さらに200筆余り加わった。
 VERAは水沢、石垣、鹿児島、小笠原諸島父島の4カ所に同一仕様の電波望遠鏡を設置。連動させて同じ天体を高い精度で観測している。近年は東アジア観測網の一翼も担っており、特に日本のVERAの存在は観測精度の面からも重要度が高い。
 国立天文台執行部は昨年12月、観測所予算の大幅削減方針を観測所側に通達。今春、市民にも知られるところとなり、署名や寄付などの形で支援する動きが広がっていた。

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