人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2014-5-19 11:00

 物理学者でドイツ・マインツ大学教授の斎藤武彦氏(43)を招いた講演会は18日、市役所江刺総合支所多目的ホールで開かれ、国際リニアコライダー(ILC)の魅力や物理学の楽しさを伝えた。ユーモアあふれる斎藤氏の話に、子どもを含む市民約130人が宇宙や科学の世界を身近にした。
 市と市ILC推進連絡協議会(会長・小沢昌記市長)が主催。同協議会総会に合わせて開かれた。
 斎藤氏はドイツ在住で、ヘルムホルツ重イオン科学センターにも所属する原子核の研究者。2012(平成24)年5月から被災地復興支援の一環で、本県などの幼稚園や小中高校で科学の特別授業を展開している。ILCの東北誘致に賛同し、各地でILCの意義と誘致効果の大きさを解説している。
 冒頭、宮城県出身の知人がきっかけとなり被災地での授業を始めたことなど、これまでの活動経緯や内容を紹介。当初は「科学で子どもたちに夢を持ってもらう。世界に目を向けてもらう」ことをテーマにし、ILCは取り上げていなかったという。
 ところが、被災地の子どもたちは「目の前の地元のことで頭がいっぱい。とても世界に目を向けられない」状況にあることに気付き、「世界が岩手にやってくる」というILC誘致の新たな価値を見いだした。「ILCが岩手に来れば、地元にいながら世界と触れ合える。岩手が世界一になり、さまざまな夢と機会が子どもたちに残せる。ILCには長所と短所があるが、それは大人にとってのもの。子どもにとって悪いことは一つもない」
 講演では「子ども向けのILC授業」も繰り広げ、アニメキャラクターなどを用いてILCが解明する宇宙の謎などを楽しく説明。「ぼくたちは宇宙にある地球の中の日本に住んでいる。つまり日本人であり、地球人でも宇宙人でもある」と斎藤氏。「みんなが古里の奥州市のことを勉強するのと、宇宙のことを勉強するのは同じこと。その宇宙の始まりを解読するのがILC」と説いた。

写真=ユーモアを交えながら分かりやすくILCの有用性などを話す斎藤武彦教授
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tanko 2014-5-18 10:50
 国際情勢を中心とした講演会事業を繰り広げてきた水沢日本外交協会(亀卦川富夫会長)は今年、設立30周年を迎えた。17日には100回目となる記念講演会が市文化会館(Zホール)で開かれ、市民ら約200人が渡辺利夫・拓殖大学総長の講演に耳を傾けた。

 同協会は一般社団法人日本外交協会(池浦泰宏理事長)の地方支部的な位置付けで、1984(昭和59)年に発足した。
 日本外交協会は、「憲政の神様」「議会政治の父」と呼ばれた尾崎行雄(尾崎咢堂)の指導の下、戦後間もない1947年に民主外交協会として設立。国際社会に対する知識や外交感覚を養ってもらおうと、講演や出版活動などを展開してきた。
 1974年、水沢出身の政治家、故・椎名悦三郎氏が会長に就任し日本外交協会に改称。その後、椎名氏が水沢に帰郷した際、当時の水沢青年会議所の会員らに「国際社会を学ぶような機会を設けるべきだ」と提言し、水沢日本外交協会が設立された。
 初回の講演会は1984年3月20日、水沢出身で現共同通信社国際戦略本部幹事の山口光氏を講師に迎えて開催。その後、現役政治家やメディア関係者、地元首長、大学教授ら多彩な顔ぶれを招いた。
 講演内容も国政から地域行政、学術など多岐に及んだ。「その時々の話題や時事問題に沿った講師や演題をお願いしている」と亀卦川会長。北朝鮮による拉致問題の国民的関心の高まりを受け、北朝鮮情勢に詳しい重村智計・早稲田大学教授を招いたこともある。
 最近では国際リニアコライダー(ILC)誘致に関連し、素粒子研究者や天文学者らによる講演も開催。基本的には会員向けの小規模な講演が多いが、節目の記念講演などでは一般市民にも公開している。
 100回の節目となる講演では、拓殖大学の渡辺利夫総長を講師に迎えた。中国とベトナム、フィリピンが南シナ海を舞台に繰り広げている領有権争い、日中韓との間の領土問題など緊張感高まる昨今の東アジア情勢などを話題に取り上げた。
 亀卦川会長は「今後も身近な話題から世界情勢も含め、地域や日本がどう歩むべきか、じっくり考えられるような講演会を企画していきたい」と話す。
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tanko 2014-5-18 10:20
外国人市民組織が水沢で意見交換

 外国人市民の有志組織「インターナショナルILCサポート委員会」(ビル・ルイス委員長)は17日、ドイツ・マインツ大学の斎藤武彦教授を招いた意見交換会を水沢区の奥州市水沢地域交流館(アスピア)で開いた。国際リニアコライダー(ILC)の誘致を見据え、外国人研究者を受け入れる国際的なまちづくりに必要な支援体制を多様な視点から探った。

 ILC誘致の実現を目指し、国際研究都市の形成へ市民レベルでできることを考えようと企画。同委員8人が出席した。
 斎藤教授は、ILCの誘致で海外から訪れる研究者は2〜5年滞在する若手研究者と、博士を目指す学生が大半を占めると推察。「何十年も長くいるわけではなく、入れ代わり立ち代わりで多くの関係者が来る。ずっとサポートしていく体制が必要となる」と説明した。
 ドイツやアメリカでは研究施設内には「外国人局」機能を持つ部署があり、ビザの更新から住居探し、子どもの教育までサポートする。加えて、仲間の外国人研究者の多くが相談に乗ってくれるという。
 「これは既に多くの外国人研究者がいて、一種のコミュニティーが形成されているからできること。本県に誘致が期待されるILCの場合、そもそものコミュニティーがないので、誰かがサポートしなければならない」と斎藤教授。行政だけでなく、民間レベルでの支援の必要性を説いた。
 参加者からは「英語だけの対応で大丈夫か」「ドイツでは各国の宗教に対してどのように対応しているか」など具体的な質問も相次いだ。
 斎藤教授は「奥州市に多くの研究者が居住するためには、多くのサポートが必要。そうでないと東北大学のある仙台に留まり、通うようになってしまうだろう」と指摘。県南地域での異文化に対する理解醸成やサポート体制の構築に期待した。
 斎藤教授は、18日午後2時半から市役所江刺総合支所で開かれる市ILC推進協議会総会に招かれ、「子どもたちに伝えたいILCの魅力」と題して講演する。
写真=インターナショナルILCサポート委員と意見を交換する斎藤武彦教授(左)
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tanko 2014-5-16 10:10
連載企画・ただいま準備中より 「ILC出前授業」

 北上山地への建設が期待される素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)。順調に建設計画が軌道に乗れば、十数年先には実現しているかもしれない。奥州市はILC実現の将来を見据え、市内の中学2年生全生徒を対象に、ILC出前授業を実施する。“先生役”を務める関係者は、ILC計画のPRにとどまらず、これからの地域を担っていく生徒たちの活躍を願いながら準備を進める。
(児玉直人)

 出前授業の“先生”は、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターのサイエンスコンダクターや、国立天文台水沢VLBI観測所の研究スタッフら。子どもの理科離れが叫ばれている昨今、中学生に対し、理系の大学院生レベルに匹敵する研究プロジェクトをどう伝えるか……。関係者はさまざまな方法を考えた。
 同NPO理事長で、国立天文台名誉教授でもある大江昌嗣さん(73)=同区川端=は、冒頭部分に科学界に偉大な功績をのこした偉人たちの生い立ちを盛り込むことにした。
 「万有引力の法則を見つけたニュートンの伝記を最近読んだが、幼少期は体もさほど丈夫じゃなかったらしい。両親をめぐる環境に恵まれず、母親への反発から『放火して殺す』と、脅したこともあったそうだ」
 大江さん自身、子どもの頃は決して体は丈夫ではなかった。一方で、けんかっ早い性格でクラスメートとも「よくやり合って、先生に怒られた」という。やがて天文の世界に興味を抱き、研究者としての道を歩むことになった。
 ニュートンら、科学界の偉人の人間臭い面に触れているうちに、自分の人生がなんとなく重なって見えた。
 「ものすごい功績をのこした偉人であっても、深い悩みや苦労、決して褒められないような行動をして悔いるようなこともあった。今、何かの悩みにぶつかっている生徒さんがいるかもしれない。『この先、まだまだいろんな道が開けるんだよ』ということを伝えた上で、自然科学やILCの魅力や意義を示せたら」と話している。

写真1=宇宙線などの放射線を目視観察できる装置「霧箱」。ILCで素粒子反応をとらえる検出器の原理を紹介する際に用いる予定だ
写真2=科学の楽しさを伝えながら、ILCへの関心を高めたいと奮闘する大江昌嗣さん(右)
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tanko 2014-5-16 10:00

 いわて自動車関連産業集積促進協議会といわて半導体関連産業集積協議会の合同総会は15日、北上市のホテルシティプラザ北上で開かれた。県内企業群が東日本に形成される「地域完結型コンパクト車開発・生産拠点」の中核になり、東日本大震災からの復興をけん引する役割も果たすため、産学官が連携していくことなどを確認した。
 県内のものづくり企業や教育機関、行政関係者など約300人が出席。自動車促進協の代表幹事を務める達増拓也知事は「自動車と半導体の二つの産業が連携することにより、新たな価値の創造やものづくり基盤の強化が大いに期待される。両協議会の活動を中心に、産学官が一体となって取り組みを進めていきたい」と、一体的な取り組みへ協力を求めた。
 自動車促進協は本年度、今後東北で生産拡大が見込まれる分野の技術動向など参入促進に向けた研修会などを計画。研究開発促進の分野では、世界と競争できる「次世代モビリティ開発拠点」として、持続的に革新し続ける地域を目指し、技術開発・事業化を図っていく。
 半導体促進協では、自動車、医療機器、国際リニアコライダー(ILC)関連など、異業種参入を視野に入れた勉強会や、県内大手半導体メーカーと地場企業との技術交流に重点的に取り組む。半導体製造装置メンテナンス参入研究会の活動や人材育成、専門展示会の出展なども継続実施する。
 同日は、両促進協の合同総会に先立ち、同ホテルで北上川流域ものづくりネットワークの定時総会も実施。工場見学や出前授業など子どもたちの興味関心を引き出す取り組みを継続するほか、新たに工業高校の教諭を対象とした研修会を実施し、指導力強化を図る。

写真=いわて自動車・半導体関連産業集積協議会の合同総会であいさつする達増拓也知事
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tanko 2014-5-14 5:50
前国立天文台長、奥州にゆかり
「科学者にとっても挑戦」

 北上山地への誘致が期待される素粒子物理研究施設・国際リニアコライダー(ILC)に関する文部科学省の有識者会議(座長・平野真一名古屋大学名誉教授)がこのほど設置された。メンバーには、前国立天文台長を務めた広島大学学長室特任教授の観山正見(みやま・しょうけん)氏も加わる。観山氏は胆江日日新聞社の取材に、東京オリンピックに匹敵する国民的支持の必要性を指摘。その上で「私も含め、日本の科学者にとっても大きなチャレンジになる」との考えを示す。(児玉直人)

 ILCの北上山地建設に期待が高まる中、文科省は日本学術会議が提言した一層の調査・検討を行うため、有識者会議を設置。13人で構成し、今月8日に文科省内で初会合が開かれた。誘致建設経費の全容と関係国との分担、人材確保、他の国家事業や諸学術分野に影響を及ぼさない予算の枠組みの在り方などを2、3年かけ検討する。
 委員の中には、天文学者の観山氏が名を連ねる。
 観山氏は京都大学を経て1889(平成元)年に国立天文台天文学研究系助教授に就任。企画調整主幹、副台長などを経て2006年から2012年まで第4代台長を務めた。
 台長就任時、当初取り壊しが予定されていた同天文台水沢VLBI観測所敷地内の「旧水沢緯度観測所本館」をめぐり、保存活用に向けた協議の真っただ中にあった。奥州市側の保存意向を受け、同天文台は同市への建物無償譲与を決定。観山氏自ら奥州市役所を訪れ、市側に通知した経緯がある。
 旧本館は奥州宇宙遊学館として現在に至っているが、観山氏は2008年4月の開館式典にも出席。記念講演の講師を務めたほか、地方自治体との間では初となる「相互友好協力協定」を奥州市と結んだ。
 今回、再び同市が関係するプロジェクトの検討に携わることになった観山氏。本紙の取材に「会議は始まったばかり。基本的にはそこで示される学術データや組織人員体制、予算規模の詳細を聞いて適切な意見を表明したい」と述べ、「今まで一つも無かった『真の国際的学術機関』が国内にできることは重要であり、日本としても良い経験になる。ILCの学術的価値も大変大きい」との認識を明らかにした。
 その上で、「建設費や運営費が大変高額。1年間の経費で(ハワイ島に同天文台が設置している)すばる望遠鏡ができるほどだ。極めて慎重な検討が必要であり、『国際』と名を打っている以上、半分以上は海外からの貢献が必要だと思われる」と指摘。「何よりも国民の大きな支持が必要。その意味で、東京オリンピックに匹敵するような期待が求められるだろう。私を含め日本の科学者にとって、良い面でも厳しい面でも大きなチャレンジになる」との考えを示した。

写真=観山正見氏
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tanko 2014-5-11 19:50
 国際リニアコライダー(ILC)計画の実現を主張している、ドイツ・マインツ大学教授の斎藤武彦氏による講演会「子どもたちに伝えたいILCの魅力」は、18日午後2時半から奥州市役所江刺総合支所多目的ホールで開かれる。小中高生でも理解できる内容だといい、多くの来場を呼び掛けている。入場無料。
 講演会は奥州市ILC推進協議会の総会に合わせ開催。同日午後2時からの総会が終了した後、斎藤氏の講演を行う。
 ドイツ在住の斎藤氏は、2012年5月から沿岸被災地支援の一環で、高校や小中学校で科学授業を展開してきた。
 自身の専門は原子核構造物理学で、ILCが関係する素粒子物理学とは異なる分野だが、被災地での特別授業を進めているうちに、ILCの東北誘致に賛同。地域社会や人材育成における効果の大きさと意義を主張している。
 講演は小中高生をはじめ誰でも聴講可能。希望者は市役所本庁のILC推進室(電話24・2111、内線415)へ。
写真=斎藤武彦氏
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tanko 2014-5-2 19:40
 奥州市は、市立中学全12校の2年生を対象に本年度初めて実施するILC(国際リニアコライダー)出前授業の日程を固めた。NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)が講師派遣を請け負い、20日の田原中学校(川邊秀樹校長、江刺区)を皮切りに年内に一巡する。奥州市がこれまでに開いたILC関連の出前講座は大人向けの企画が多く、本年度は地域社会の将来を担う若年層に対象を拡大。ILCへの理解促進にとどまらず、将来を見据えた人材育成や誘致機運の盛り上がりも図りたい考えだ。

 素粒子研究施設・ILCの国内候補地として北上山地が選ばれたのを機に、市ILC推進室が出前授業の実施を検討。今年1月の校長会で協力を求め、了承を得た。
 同室によると、出前授業は12校の2学年計35学級・1147人を対象に実施。1回の授業に2時限を充て、12校で計28回行う。
 1時限目は国立天文台の教授らが指導。ILC計画を理解する前段として、宇宙や科学全般の基礎的な知識を紹介するなど生徒の興味をかき立てる内容の授業を進める。
 2時限目は、同実践センターが養成し科学体験講座の実績がある理系出身のサイエンス・コンダクターらを中心に授業を展開。ILC計画について分かりやすく説明したり、真空放電管を使った実験を行ったりして誘致後のILC運用に理解を深める。このほかILC誘致後の市の将来像や、生徒一人一人のかかわりを考えてもらうグループワークも取り入れる予定だ。
 初回の出前授業は田原中2年生7人が受ける予定。川邊校長は「理科や数学に関心のある生徒が多い。ILC誘致は先の話だが、生徒なりに理解できる機会になれば」と期待する。
 同室の及川健室長は「出前授業を通じILC誘致後のそれぞれの暮らしぶりについて真剣に考えてほしい」と話す。
 出前授業開催日程は次の通り。
【水沢区】
水沢中=9月2、3、5、8、9日
東水沢中=12月1、4、9日
水沢南中=10月6、7、8、9、10、14日
【江刺区】
江刺第一中=7月7、8日
田原中=5月20日
江刺南中=7月18日
江刺東中=6月25日
【前沢区】
前沢中=12月3日
【胆沢区】
小山中=12月12日
南都田中=6月30日
若柳中=6月5日
【衣川区】
衣川中=9月4日
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tanko 2014-5-1 9:20
 まさにシンプル・イズ・ベスト! 奥州市ILC推進室が製作したILC(国際リニアコライダー)PR用のオリジナルのクリアファイルが、ひそかな人気を呼んでいる。ILC関連の会議や外国人研究者らの視察時に配布するもので、デザインを重視する欧米人のハートをつかむことはできるか――。
 「ILCの広報担当者と会談する機会があり、日本の観光パンフレットは説明文が長く、写真が小さいなどと指摘を受けた」と同室の亀井帝主任。「欧米人が好むようなデザインにしよう」と職員間で検討し、伝統的工芸品・岩谷堂箪笥の飾り金具や市内景勝地や祭典の写真を大きく配置。文字は「ILC in JAPAN」「Oshu City・Iwate」のみとした。
 手始めに、このほど東北ILC推進協議会総会や奥州商工会議所ILC推進委員会の出席者にお披露目を兼ねて配布。「とてもいいデザイン」と好評だった。次は外国人研究者の反応も見たいところだ。
(児玉直人)

写真=奥州市が製作したILCクリアファイル
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tanko 2014-4-26 9:30
 県南広域振興局(遠藤達雄局長)は本年度、若者や女性のパワーと魅力に着目した地域づくり事業に力を注ぐ。地域経営推進費を活用し、観光情報発信や伝統工芸後継者育成、就職支援など、若者や女性を意識したさまざまな取り組みを展開する。
 岩手県は、東日本大震災からの本格復興や地域振興を図る上で、若者や女性が持つパワーに着目。今年2月、達増拓也知事は「いわて若者活躍支援宣言」を発表し、NPO・文化国際課と青少年・男女共同参画課を統合して環境生活部内に「若者女性協同推進室」を設置した。
 県南局もこの動きに連動し、ものづくり産業を中心とした地場企業の振興、世界遺産「平泉」を核とした観光事業、地域農業の振興、国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現など従来の取り組みに、若者や女性の参加を促す事業を企画。「若者や女性が躍動する県南圏域づくり推進事業」として、本年度地域経営推進費から501万7000円を振り分け、各種事業を展開する。
 若者の活躍を後押しする事業では、伝統工芸や農業の後継者育成に関する取り組みを実施するほか、医療分野への進路選択を支援するセミナーなどを開催。学生向けの企業見学会の開催など、若者の地元定着を図る。
 女性ならではの感性や視点を生かした事業として、観光地域資源の発掘や情報発信などを予定。ILC誘致活動に絡め、理系女子が集まる会合の開催も計画している。また、女性が活躍できる場を広げる策として、農業経営への参画を支援する取り組みや、ものづくり業界における女性社員らによる連携の実現なども進める方針だ。
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本年度の地域経費
県と市町56事業に総額1億2000万円
 県南広域振興局の本年度地域経営推進費が決まり25日公表された。同局が直接実施する34の県事業に6853万4000円、市町が実施する�{の市町事業に5139万1000円が割り当てられた。
 観光集客や農林畜産業の振興、産業人材育成など、地域特性に応じた行政施策に県予算を配分するのが目的。
 県事業は、ものづくり人材の育成やILC誘致活動など34事業を推進。このうち、484万3000円を充てる「脱脳卒中宣言事業」では、生活習慣病予防に向けた専門研修の充実などを図る。
 市町事業への配分は補助金的な性質がある。奥州市は前年度より3事業少ない3事業が対象だが、配分額は387万7000円増の753万1000円。新規事業として、地元企業からの相談や助言を受け付ける「産業支援センター」の設置を目指す。
 金ケ崎町は前年度より1事業多い4事業。配分額は474万1000円少ない275万2000円。城内諏訪小路伝建群地区に建設を進めている歴史資料館「金ケ崎要害歴史館」の開館記念式典や企画展の開催に111万9000円を配分した。

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