人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2014-6-6 18:40
 金ケ崎町教育委員会は5、6の両日、町内全小学校で高エネルギー加速器研究機構(KEK)による国際リニアコライダー(ILC)の出前授業を実施している。5日に行われた町立西小学校(千葉由美子校長、児童71人)では5、6年生22人が参加。KEK素粒子原子核研究所講師で理学博士の藤本順平さんが「君たちをILCが待っている」と夢を与えながら、実験内容や研究の意義を分かりやすく伝えた。
 北上山地が建設候補地になったILCへの理解醸成が狙い。昨年度に中学校で行ったが、小学校では初めての試みだ。
 ILCについて学ぶのは初めてという子どもたち。藤本さんは「ILCのIはいろんな国の人と一緒に。Lは真っすぐに、Cはぶつける装置という意味。いろんな国の人と一緒に真っすぐな装置を造り、粒と粒をぶつける実験をしようという取り組み」と、施設の大きさや形などを紹介した。
 「実験することで自然のきまり、宇宙の法則が分かる」と藤本さん。「宇宙のものは、体も机も全て素粒子という粒でできている」との言葉に、自分の手を不思議そうに見る児童も。素粒子測定器の原理になっている「霧箱」を用いた実験では、アルコールが霧状になって浮かび上がらせる電子など粒子の飛跡を夢中になって観察した。
 藤本さんは「霧箱が作られたのは100年前。100年たつと人間はすごい工夫をする。それがILC」と解説。「大きな装置を造るのは、今まで誰も見つけていない粒のきまりを見つけたいから。それを君たちに見つけてほしい。これは君たちのマシン。ILCが君たちを待っている」と呼び掛け、児童たちの未来に国際的な研究に携われる可能性があることを強調した。
 6年の高橋マユさん(11)は「実験ではいろんな線が見えて驚いた。素粒子の実験を始めようというILCのことがたくさん分かった」。5年の及川琉毅君(10)は「実験は楽しかった。ILCでやる実験に興味が湧いた」と目を輝かせた。
 同日は同小と三ケ尻小で行われ、6日は第一小と金ケ崎小、永岡小で実施される。
写真=霧箱で素粒子測定器の原理を学ぶ町立西小児童たち
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tanko 2014-6-4 18:30
 県南広域振興局管内の8市町が抱える諸課題解決に向けた事務レベル組織「県南広域圏政策課題研究会」が3日、発足した。圏域の市町から提示された人口減少などの課題に対し、県側もサポートする形で対策などを検討していく。
 同研究会の設置は、今年4月8日に北上市内で開かれた県南広域圏首長懇談会の席上で提案された。同振興局管内8市町の政策・企画担当職員が一堂に会し、圏域の諸課題について情報共有しながら、市町と県の連携体制を密にするのが狙いだ。
 水沢区大手町の奥州地区合同庁舎で開かれた初会合には、8市町の係長級職員と同振興局経営企画部担当者ら計14人が出席。各市町が抱える現状や課題の説明があったほか、今後の進め方について意見を交わした。
 各市町から示された課題のうち、特に目立つのが人口減少対策と行政システムに関する事柄。特にも人口に関しては、5月に日本創世会議・人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也前知事)が、人口減少による地域崩壊や自治体運営の行き詰まりを指摘する調査結果を公表したばかり。初会合では、若者の定住化や婚活支援の必要性などが示された。
 このほか、国際リニアコライダー(ILC)誘致への対応やJR北上線利用促進など具体的な課題についても報告があった。
 同部企画推進課の菊池修一課長は「なるべく参加市町が主体となり、県がそこに寄り添うような形で課題に対応していけるような姿にしたい。5回ぐらいの会合を経て、8市町の首長に中間報告できるような状況ができれば」と話す。

写真=発足した県南広域圏政策課題研究会。県南8市町の担当者が集い、課題解決策を探る
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tanko 2014-6-3 10:50
実務的な英語力重要(市国際交流協会・佐藤会長が強調)


 奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)の本年度総会はこのほど、水沢区吉小路の市水沢地域交流館アスピアで開かれた。国際リニアコライダー(ILC)誘致推進事業などを盛り込んだ事業計画などを審議。任期満了に伴う役員改選では、佐藤会長が再任した。
 役員や会員ら約20人が出席。議事に先立ち佐藤会長は「ILC誘致に関して、海外との連携は後藤新平先生をはじめ、郷土の偉人が土壌を築いてくれた。より実務的な英語力の習得が重要となってくる」とあいさつした。
 本年度は目標、使命、情熱、革新の4つを大切にしながら実用的・実践的な事業を推進する。▽多文化共生社会の推進▽日本語教室・日本語サポーターおよび医療通訳育成事業▽奥州市タウンミーティングの開催――など全20事業と、アスピアの管理運営に力を入れて取り組む。


出前授業の充実図る(宇宙実践センター)


 水沢区のNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長、会員28人)の定期総会はこのほど、同区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で開かれた。ILC国内候補地が北上山地に決定したことを受け、普及啓発の充実と強化などを盛り込んだ事業計画を決めた。
 会員ら10人が出席。議事に先立ち、大江理事長は「ILC計画に伴い、中学校への出前授業やイーハトーブ・サイエンススクールの実施など活動範囲が拡大している。力を合わせて子どもたちの体験学習の場を育んでいきたい」とあいさつした。
 事業計画では、NPO法人「復興支援奥州ネット」や、ILCの民間誘致団体「いわてILC加速器科学推進会議」との協働などに力を入れる。ILCに関しては、市から委託を受けて市内�q中学校を対象に実施するILC出前授業の充実も図る。
 このほか、宇宙遊学館の入館者数維持のため、さまざまな企画や学習教材など展示品の充実を図り、魅力ある施設作りにも取り組む。

写真上=市国際交流協会総会であいさつする佐藤剛会長(右)
写真下=奥州宇宙遊学館セミナー室で開かれたNPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの総会
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tanko 2014-6-3 10:40
 北上山地への誘致が期待される素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)について考えるフォーラムが、23日午後1時から東京都港区六本木の日本学術会議講堂で開かれる。研究自体の意義にとどまらず、誘致による社会的な効果や課題に至るまで、6人の有識者が意見を交わす。
(児玉直人)

 同会議は首相所轄の特別機関。昨年、文部科学省研究振興局長名でILCがもたらす学術的、社会的意義などについて審議するよう依頼を受け、同6月に「ILCに関する検討委員会」(委員長・家泰弘東京大学物性研究所教授)を設置した。日本の素粒子研究者サイドによる国内候補地一本化に向けた作業が大詰めを迎えようとしていた中で、議論は進められた。
 審議過程を伝える主要報道では、費用負担や人材確保、他学術分野への影響を懸念する部分が強調され、ILCの国内建設にブレーキがかかったかのような印象が一時国内外に広まった。
 最終的に同会議は、ILCで予定されている研究自体には学術的意義を認めつつ、巨額の財政負担や国民理解などの諸課題が存在すると指摘。2〜3年かけ集中的な調査・検討が必要であるとし、政府において調査経費などを措置することや、海外主要国とも国際分担などに関して協議するよう文科省に提言した。
 文科省は今年5月、省内に「ILCに関する有識者会議」(座長・平野真一名古屋大学名誉教授)を設置。誘致建設経費の全容と関係国との分担、人材確保などを検討する作業が始まった。
 今回のフォーラムは学術会議が主催。ILCを取り巻く流れが新たなステージに入ったことや、学術コミュニティー全体の合意形成、さらには国民理解の醸成を図ろうと企画した。
 時間は午後1時から同6時まで。定員300人で当日、先着順で受け付ける。問い合わせは同会議(電話03・3403・6295)へ。
 登壇者と演題は次の通り。

【1】村山斉氏(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構機構長)…ILCでのサイエンス
【2】山下了氏(東京大学素粒子物理国際研究センター准教授)…ILCの加速器・測定器
【3】有本建男氏(政策研究大学院大学教授)…学術政策・行政の観点から見たILC
【4】駒宮幸男氏(東京大学大学院理学系研究科教授)…ILC計画推進の国際体制
【5】今田高俊氏(東京工業大学名誉教授)…人文社会学の観点から
【6】石川幹子氏(中央大学理工学部人間総合理工学科教授)…地域・環境の観点から
 

写真=日本学術会議の検討委で議論を交わす有識者ら。9月末に文科省へ所見が提出された(昨年8月12日の第6回会合の様子)
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tanko 2014-6-2 10:30
 今年で7回を数える田んぼアートの田植えが1日、子どもから一般まで約200人が参加し、水沢区佐倉河字北田のほ場で実施された。今回は過去最多となる6種類の苗で色分けされており、7月に入ってから見ごろを迎えそうだ。
 水沢区の田んぼアート実行委員会(森岡誠会長)が主催。30アールを使って葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」、10アールにアンパンマンのキャラクター「ドキンちゃん」を描く。
 同日は、国際リニアコライダー(ILC)の候補地周辺をPRする動画「Oshu For You(オウシュウ・フォー・ユー)」を制作するため、ILCサポート委員会の外国人メンバーも参加。地域住民と交流したり、はだしで手植えに挑戦したりする姿などを撮影した。
 動画のテーマに田んぼアートを推した一関市の外国語指導助手(ALT)、ネイト・ヒルさん(36)は、昨年初めて見た田んぼアートの見事な出来栄えが印象に残っていると言い、「ライトアップできれば、田んぼアートの魅力が増すと思う」と提案した。
 苗の成長とともに田んぼアートが出来上がる様子を今後撮影しながら、夏に動画(英語版)を完成させる予定。インターネットで世界に発信する。

写真=田んぼアートの田植えに励む参加者たち。ILCサポート委員会メンバーも挑戦した
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tanko 2014-6-1 10:10
ラガーマンの理念胸に

 「元気な郷土」をキャッチフレーズに掲げた3月の奥州市議選で3選を果たし、一騎打ちの議長選を経て第3代議長に就いた。
 旧江刺市議時代に故及川勉元市長から「中庸」の精神を学んだ。議長選での立候補演説でも「私の理念は中庸。各議員を尊重し公正公平に議会を運営したい」と訴え、支持を集めた。
 地域医療問題への取り組みに加え、素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現を議員活動の柱に据える。地域医療については「市単独ではなく胆江医療圏域として体制構築を図るべきだ」とし、「県医療局や民間医療機関との連携は不可欠」と主張する。
 国内の建設候補地が北上山地へ一本化されたILCに関しては「自然や社会環境を含め奥州市には独自の潜在力がある。他自治体とバランスの取れた連携を強め、具体的に話を前に進める時期にある」とし、市議会ILC特別委の新設を提唱。普段の温厚な立ち居振る舞いから一転、身ぶり手ぶりを交え力説した。
 転機は��歳のとき。もともと政治家を志していたわけではなかったが、地元議員の後継として立候補を促され、旧江刺市議選への出馬を決意。3日遅く生まれた同学年の増田寛也氏(62)が県知事選に挑む姿に勇気付けられ、1995年8月に初当選を飾った。
 同市議を連続3期務め、合併後の2006年3月に奥州市議選に当選、3期目を迎えた。前任期中には市議会東日本大震災調査特別委員長や奥州金ケ崎行政事務組合議会議長など要職を任され、着実にキャリアを積み上げた。
 旧5市町村合併に賛同した議員の一人。「合併しなければよかった――との意見もあるが後戻りはできない」。合併後9年目の現状を憂える半面、「一体感の醸成には15年かかるとされており、この4年間は大事な時期」と表情を引き締める。
 高校、大学時代はラグビー部に所属。ラガーマンとして体得した理念「一人は皆のために皆は一人のために」を今も心に刻み込む。議員生活の「集大成」と位置付ける今任期。「スクラム」の要として、二元代表の一翼を担う議会運営に全身全霊で臨む覚悟だ。
(若林正人)

 プロフィル……出身地の江刺区伊手に在住。盛岡農高を経て東京農大農学部に進学し、農業経済学を学んだ。卒業後はUターンし就農。原木シイタケを生産し、キャリアは約40年。趣味のまき割りで気分転換する。妻千枝子さん(56)、母(91)、3男1女の7人家族。
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tanko 2014-5-30 10:00
 国際リニアコライダー(ILC)誘致活動の一環として、奥州市は外国人の非常勤職員「国際化推進員」の採用を計画している。外国人研究者に対する情報発信や民間団体との連携などを円滑に進める役割を担う。関連予算が30日招集の市議会6月定例会で審議される予定で、可決されれば7月中に公募し、8月には採用したい考えだ。
 市ILC推進室によると、国際化推進員は非常勤特別職の位置付け。6月定例議会に提案される市一般会計補正予算内に、報酬など244万1000円を計上している。
 当面は、市が開設しているILC特設ホームページ(HP)の英語版作成業務が中心となるが、外国人市民らで組織するILCサポート委員会(ビル・ルイス会長)などとの連携業務も予定している。
 市ILC推進室の及川健室長は「本市は市民レベルのILC誘致や国際都市を意識した動きが非常に良く、強みでもある。関係組織との連携を強化していく上でも、国際化推進員の役割は重要になるだろう」と話している。
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tanko 2014-5-28 18:40
 県国際リニアコライダー推進協議会(谷村邦久会長)主催の「公開ILC講演会」は、6月26日午後1時15分から盛岡市の県民会館中ホールで開かれる。国際リニアコライダー(ILC)計画推進の最前線で活躍する幹部級研究者3人が講師を務め、研究意義や最新動向について解説する。
 ILC誘致実現の機運を高める県民大会を兼ねて開催。入場無料で聴講希望者(定員600人)は、事前にファクスまたは電子メールで申し込む。
 終了後、午後5時半からホテル東日本で懇談会も予定している。定員200人で会費5000円。講演会と同じ方法で事前に申し込む。会費は会場で支払う。
 申し込み、問い合わせは同推進協事務局の盛岡商工会議所(電話019・624・5880、ファクス019・654・1588、電子メールdaihyo@ccimorioka.or.jp)へ。
 講師と演題は次の通り。
 ▽村山斉氏(リニアコライダーコラボレーション副責任者)…宇宙の始まりに素粒子で迫る
 ▽駒宮幸男氏(リニアコライダー国際推進委員会委員長)…ILCの社会的役割
 ▽山下了氏(ILC戦略会議議長)…ILCの現状と未来に向けて
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tanko 2014-5-28 11:00
 東北ILC推進協議会(事務局・東北経済連合会)の代表・里見進東北大学総長と高橋宏明東経連会長らは27日、内閣府などを訪問。国際リニアコライダー(ILC)の北上山地建設に向け、誘致に関する方針を明確にし、国際調整を速やかに進めるよう要望した。

 要望活動には里見、高橋両氏のほか、岩手県ILC推進協会長の谷村邦久・盛岡商工会議所会頭らが参加。山本一太・内閣府特命担当大臣(科学技術政策担当)をはじめ、河村建夫元官房長官らILC超党派議連メンバーらの元を訪ねた。
 要望ではILC誘致について、安倍晋三首相が今年1月の施政方針演説で述べた「2020年『創造と可能性の地』としての新たな東北の姿」を実現する好機であるとともに、震災復興にも資するプロジェクトであることを強調。「東北は産学官一体となって研究者や家族の受け入れ環境整備、加速器関連産業の集積、国際性を持った人材の育成などに積極的に取り組み、最大限の努力をする覚悟がある」とアピールした。
 その上で政府や政界に対し「誘致検討方針を明確にし、資金の分担や研究参加に関する国際調整等を速やかに進めること」「早期に国内誘致を表明し、日本主導の国際プロジェクトとして進める国内体制を整えること」の2点を要望した。
 東北ILC推進協事務局によると、山本担当相は「要望の内容については承知している。文部科学省に設置された有識者会議で協議された内容を見ながら、検討していきたい」と話した。
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tanko 2014-5-26 16:40
 米国高エネルギー物理学諮問委員会(High Energy Physics Advisory Panel = HEPAP(ヒーパップ))の下部組織「P5(ピーファイブ)」は25日までに、国際リニアコライダー(ILC)計画に対する強い支持を明記した報告書をHEPAPに提出した。報告書は米国の素粒子物理学研究の将来戦略に大きな影響を与えるもので、米政府の今後の判断を待つことになるが、「ILC計画実現に向けた国際協議への大きなステップになる」と関係者は期待している。
(児玉直人)

向こう5年間「何らかの形で関与」

 HEPAPは、米国のエネルギー省(United States Department of Energy = DOE)と全米科学財団(National Science Foundation = NSF)が合同で設置する諮問機関。米国の将来にわたる素粒子物理学研究の方針を協議し、DOEとNSFに答申している。
 HEPAP内に設けられた下部組織「P5」は、素粒子物理学優先順位付け委員会(Particle Physics Project Prioritization Panel)の通称。P5は米国が携わる向こう20年の素粒子物理研究の将来戦略などを協議し、その報告書を22日から2日間にわたりワシントンDCで開かれたHEPAPの会合で提出した。
 報告書の中でILC計画は「物理的な意義が強力である」と高く評価。米国政府の研究予算配分状況に応じた三つのシナリオが示されており、現状予算よりも配分額が増えた場合は「日本国内において実現するならば、米国はILC計画において世界をリードする役割を果たす」としている。
 一方、予算規模が従来通りであっても、研究開発などの分野で役割を果たすべきだとしており、向こう5年間、米国はILC計画に何らかの形で関与すべきだと指摘した。
 P5が作成した報告書は、HEPAPの正式承認を経てDOEに答申される。今後は、HEPAPや米政府が報告書をどう受け止め、判断を下すかに注目が集まる。
 ILC計画の最前線に立つ東北大学大学院の山本均教授は「ILCの科学的意義に対する熱烈な支持が、二度にわたり表現されている。今後5年間、米国はILCを見捨てないという姿勢も示されており、想定されるさまざまな予算状況にあっても『ILCに参加すべし』と言っている。非常に大きな前進だ」と歓迎する。
 ILC計画を推進する研究者らによる国際組織リニアコライダー・コラボレーション(LCC)も、ホームページ上にP5の報告概要などを紹介。米ブルックヘブン国立研究所のマイク・ハリソン教授らは「ILC計画実現に米国が貢献できるようになる第一歩だ」と評価している。
 日本国内では今月、文部科学省がILCに関する有識者会議(座長・平野真一名古屋大学名誉教授)を設置。誘致建設経費の全容と関係国と分担、人材確保、他の国家事業や諸学術分野に影響を及ぼさない予算の枠組みの在り方などを2、3年かけて検討する作業に着手している。
 山本教授は「米国はILCの活動を活発化させるために動いている。もし(報告書で示されている)5年のうちに誘致建設に向けた日本側のめどがつかなければ、日本でのILC実現は難しくなるだろう」と指摘している。

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