人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2013-4-26 20:20
 金ケ崎町は25日、同町中央生涯教育センターで初めて企画した国際リニアコライダー(ILC)講演会を開き、北上山地へのILC誘致実現へ町民の理解を促した。同町は本年度、産学官連携の東北ILC推進協議会に入会するなど、誘致へ向けた取り組みを活発化。6月には第2回講演会も予定しており、町内の機運を高めていく。

 町民や町職員らが参加した。県政策地域部政策推進室の千葉彰ILC推進監が講師を務め、スイスの欧州合同原子核研究所(CERN)とILCの違いを比較しながら、ILC研究の意義や建設周辺地域への波及効果などを解説した。
 ILC実現の意義として、▽4.3兆円の生産誘発▽25万人の雇用創出▽地域振興(人口流出傾向への歯止め、東北サイエンスツーリズムなど)――などを列挙。研究所などが建設される中心範囲(半径15〜20km圏)から東北全体へと広がる大学、研究拠点、産業などの連携イメージを示し、「加速器からもたらされた成果が周囲に波及し、発展していく」とした。
 ILC誘致により▽関連産業の立地▽人的交流の活発化▽研究者・関係者の居住地化▽科学への関心の高まりと青少年教育へ波及――が期待される。千葉推進監は「金ケ崎は森山運動公園など外国人に好まれるようなスポーツ施設が充実。メインキャンパスから30〜40分程度で、居住地としても可能性がある」と指摘し、「科学への関心が高まることで教育レベルも上がる」と強調した。
 町は今後も、一般町民を対象にした講演会などを開催し、機運醸成を図っていく考え。第2回講演会は、6月15日午後2時から同センター大ホールで。「ILCで地域はどう変わるか」をテーマに、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の大森恒彦氏が講演する予定だ。(菊池藍)

写真=ILC実現による波及効果などを解説する千葉彰県ILC推進監
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tanko 2013-4-23 5:50
 【仙台市・児玉直人】 一般社団法人国際経済政策調査会(高橋佑理事長)主催の第餠回「加速器科学研究会」は22日、仙台市内のホテルで開かれ、東北ILC推進協議会の国際学術都市調査研究分科会メンバーなどを務める、元東北大学大学院教授の大村虔一(けんいち)氏が、ILC候補地周辺の都市整備と民間資本活用の方策について講演。大村氏は1兆を超えるともされるILC建設とその周辺都市の整備費用について「公的投資だけで負担するには無理な額」とし、公的事業に民間のノウハウを取り入れる「PPP」や「PFI」と呼ばれる手法導入の有効性を強調した。

 同調査会は、ILCの東北誘致を目指し同研究会を設置。都内のほか、近年は奥州市や仙台市内でも有識者を招いた講演会を開き、ILC誘致へ産学官の機運向上を図っている。この日の研究会には、誘致活動の推進組織や建設、土木関連企業の関係者ら約150人が出席した。
 大村氏は都市計画や官民連携の専門家としても知られる。冒頭、ILC有力候補地である北上山地の人口分布や集落の特徴などの資料を提示。「『山地』とはいえ、標高200m前後の場所が多く、山ひだの入り組んだところに集落が点在し、人の営みがある。自然の豊かさと既存の社会環境を生かし、無理のない研究都市は作れる」との見解を示した。
 都市整備を進める上で重要になってくるのは民間資本の活用。これまでに示されているILC建設費用は約8743億円で、半分余りの4843億円が建設国が負担する。これとは別に、研究者の居住環境や生活支援設備、道路網など周辺都市整備に約2890億円が必要とされている。
 「このほかにも付随して必要なものも出てくることから、総額はおよそ1兆3000億円ぐらいにはなる」と大村氏。「到底、財政が厳しいといわれる国や地方公共団体が負担できる規模ではない。コスト削減はもちろん、PPPやPFIといった手法により民間の力を導入する必要がある」と持論を展開した。現行行政の枠組みでは対応しきれいない規模のまちづくりになること、先進的なノウハウが求められることからも、民間活用が不可欠だという。
 「ILCに関連する都市整備には、収益性があるものと無いものが混在する。国際機関や国費によって整備すべきものあれば、民間資金を最大限活用した方がいいものもある。どの事業に民間力を導入するか、その場合の手法がどんなものがいいか、精査して行く必要がある」と訴えた。

 ≪PPPとPFI≫
 PPPは「パブリック・プライベート・パートナーシップ」(官民連携)の略。公共サービスに民間活力を導入すること全般を指す。民間委託や指定管理者制度、市場化テスト、公設民営方式、包括的民間委託も含まれる。民間資金を活用した社会資本整備「PFI」(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)も、PPPの中に含まれる官民連携手法の一つ。公共事業の設計や建設、維持・管理、運営に民間の資金とノウハウを活用。民間主導によって効率的、効果的な公共サービスの提供を図る。

写真=ILC周辺都市整備で、民間活力導入の必要性を訴える大村虔一氏
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tanko 2013-4-20 6:00
 奥州市内外で暮らす外国人市民有志6人で構成する「インターナショナルILCサポート委員会」(ビル・ルイス委員長)は19日、奥州市に国際リニアコライダー(ILC)の東北誘致に向けた提言書を提出した。外国人研究者らが暮らしやすい地域環境整備を盛り込んだ内容で、委員や市国際交流協会(佐藤剛会長)の関係者ら3人が市役所本庁を訪れ、小沢昌記市長に手渡した。

 東北誘致の機運を盛り上げようと、同委員会はアメリカ、イギリス、カナダ、フィリピンの4カ国出身者が先月29日に設立。ILC誘致が実現すれば、外国人研究者と家族らが数千人規模で周辺地域に暮らすとされることから、日常生活や行政手続きなどで必要と思われる改善点を外国人の目線で洗い出した。
 提言内容は全18項目。運転免許の取得や水道使用、ごみの出し方、無料で利用できる公共施設など暮らしの情報の多言語案内に加え、銀行や病院での多言語支援などを盛り込んだ。中には大きなサイズの服や靴の取扱店の充実を求める意見もあった。
 19日、同委員会の委員、遠藤ペルリタさん(49)=胆沢区小山=と、同委の活動を支援する同交流協会の渡部千春事務局長、事務局員の藤波大吾さん(30)が小沢市長を訪問。遠藤さんは「言葉が分からないと外国人は困ってしまう。言葉のサポートを充実させてほしい」と要望し、小沢市長に提言書を手渡した。
 小沢市長は「民間の力で誘致推進の一翼を担っていただけるのはありがたい」と感謝し、「皆さんと連携しながら多文化共生のまちづくりを目指したい。将来的に外国人が住みやすい環境整備のモデル自治体になれば」と述べた。
 提言を受けた市は、政策企画課ILC推進室で内容を検討した上で、同交流協会とともに各提言項目の具体化を探る。

写真=小沢昌記市長(右)に提言書を手渡す遠藤ペルリタさん
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tanko 2013-4-19 5:30
 達増拓也知事は18日、国際リニアコライダー(ILC)の誘致を見据えた教育環境整備を検討するため、千葉市にある「幕張インターナショナルスクール(IS)」を視察した。学校教育法上の取り扱いなど解消すべき課題も多いことから、県は関係者を交え対応などについて検討していく方針だ。
 ILC誘致が実現した場合、周辺地域にはピーク時で研究者と技術者だけでも3000人以上が集まると予想。その中には外国人が数多く含まれると見込まれ、一家そろって滞在することから、研究者らの子どもたちが通う教育施設の整備も重要なポイントになっている。
 ISは英語によって授業が進められ、国際的な感覚を養うカリキュラムが充実しているのが特徴。東北には仙台市に1校あるのみだ。
 幕張ISの視察には、達増知事のほか、東北経済連の宇部文雄副会長、県商工会議所連合会の谷村邦久副会長、岩手大学教育学部の塚野弘明教授らが参加した。
 ポール・ロジャーズ校長らが対応し、学校の特色や子どもたちの様子などを説明。ILC実現の際に、ISの設置は必須とも言われており、達増知事は「必要なことは何でもやる」と前向きな姿勢をみせた。
 文部科学省などによると、国内に設置されているISやそれに類する教育施設は、学校教育法に基づく認可を受けているところもあれば、無認可の学校もある。
 今回視察した幕張ISは学校教育法上は「小学校」の扱いになっているが、同法第83条に基づく「各種学校」として都道府県知事の認可を受けているISも多いという。この場合、たとえISの中学課程を修了したとしても義務教育を終えたことにならない。
 視察に同行した県政策地域部の大平尚首席ILC推進監は「ILC受け入れにISは必要と考えるが、法制度や運営体制、資金などの課題も多い。これから関係者を交え研究を重ねたい」と話している。

写真=幕張ISに通う子どもたちと触れ合う視察メンバー(県提供)
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tanko 2013-4-19 5:30
 東日本大震災後の2011(平成23)年4月23日。達増拓也知事は政府復興構想会議で「ILCを震災復興の象徴にしたい」と述べた。
 復興の恩恵を一番に受けるべきなのは沿岸被災地。だが、目先の復旧作業や生活再建を真っ先に望む雰囲気が根強く、県の担当者も被災地でILCの話をすることに抵抗を感じていたという。
 そんな中、いち早く沿岸の子どもたちにILCの話をした人物がいる。ドイツ・ヘルムホルツ重イオン科学研究所の研究グループリーダーで、同国マインツ大学教授の齋藤武彦さん(42)=神奈川県茅ケ崎市出身=。科学を通じて夢を与えたいと、昨年5月から6月にかけ県内の高校や中学校で科学授業を繰り広げた。
 齋藤さんは「海外に飛び出し、もっと広い世界を見てほしい」と思い、宇宙や科学全般についてや自分が住むドイツの話をした。しかし、いくつかの学校で授業を繰り返すうち、齋藤さんは思い悩んだ。
 「何かが足りない……」
 授業を終えた後、学校の教諭から「昔は故郷を離れる若者が多かったが、今は地元に残って頑張りたいという子が増えている」という話を聞いていたのだ。
 「被災した故郷を愛し、地元で頑張ろうという子どもたちの姿勢に尊いものを感じた」と齋藤さん。「もっと現実的で、身近な事柄で夢を与えることはできないか」と思案する中、脳裏に浮かんだのがILC。自身の研究分野と直接関係はなく、誘致に携わったこともなかった。
 「もちろん、被災地では現実的な復興を望んでいるかもしれないが、もしILCが東北に誘致されても子どもたちに損は一つもない」
 久慈市立長内(おさない)中学校。いつものように授業をし、最後の数分にILCの話を取り入れてみた。反応に齋藤さんは驚いた。
 「今、一番苦しい状況下にある地元が、世界の中心になるかもしれない。そのことを子どもたちは予想もしていなかったようで、とても目を輝かせていた。周囲の先生たちも同じだった」。以降、宮城、福島で科学授業を開いた際、ILCの話を取り入れた。
 ところが、反応は好意的なものばかりでなかった。ILC誘致と電力不足問題を結び付け「子どもの夢のために原発を再稼働させるのか――」との批判が、インターネットを通じ舞い込んだ。
 福島第1原発事故を契機に高まった科学技術への不信と不安。齋藤さんは「僕は原発はゼロになるべきだと思っている」との持論を示しながら、こう付け加えた。「すべてのことには利点と欠点がある。それぞれを平等に議論し、建設的に考え行動するしか問題解決はできない」
 短絡的に「科学=悪」と決めつけるのではなく、互いの違いを認め、より良い点をうまく取り出すことが本当の議論だと齋藤さん。「残念ながら日本の教育ではその訓練が弱い。僕の経験でも、意見の統一化や『みんな一緒じゃないといけない』という雰囲気が強かった。それに、議論を『戦わせる』という言葉を勘違いし、勝たなければ気が済まない人があまりにも多い」と指摘。「子どものうちから違いを認め、学び受け入れる経験が必要。ILCが誘致されれば、そういう訓練ができる環境をつくり上げることができる」と主張する。
 科学者の姿勢にも疑問を呈する。「科学に精通していない一般の方々に対する、原発事故直後の科学者の言動はあまりにもお粗末」と一蹴。一般社会との接点が無さすぎたことに原因があるという。「子どもや専門知識のない大人に、どれだけ分かりやすく面白く話せるか。僕たち専門家の実力が問われる所」と話す。
 「ヨーロッパでは科学者が社会に溶け込み、貢献活動をすることは当たり前。将来、ILCに来るかもしれない彼ら、彼女らは社会貢献の大切さをよく知っている。そして、被災地のために何かしたいという人も多い。私たち大人がやるべきことは、夢と希望を子どもたちに与えることなんだと思う」

写真=沿岸部の学校で科学授業をする齋藤武彦さん(齋藤さん提供)
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tanko 2013-4-18 9:20
 今月11日から欧州合同原子核研究機構(CERN)などを視察し帰国した、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター理事長の大江昌嗣さん(73)は17日、胆江日日新聞社の取材に応じ、「行政、商工業など視察者それぞれの立場でいろいろと感じること、学んだことが多かった視察だった」と振り返った。その上で、国際リニアコライダー(ILC)の北上誘致に向けた課題も指摘。「地元の人材がILCで研究者の一員として勤務できるような仕組みがなければ、地域住民とILCとの間に一体感が生まれない」と語り、ILC周辺での理学系教育の充実を求めている。

 大江さんが参加した視察は、県ILC推進協議会(元持勝利会長)が主催。上野善晴副知事や小沢昌記奥州市長夫妻、千葉龍二郎奥州商工会議所会頭ら27人が渡欧した。
 11日未明に羽田空港を出発。ドイツ・フランクフルト経由でスイスのジュネーブ近郊にあるCERNに到着した。「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」のディレクター(最高責任者)を務めている、ロンドン・インペリアルカレッジのリン・エバンス教授や、現地在住の日本人研究者らが出迎えた。
 上野副知事は、エバンス教授らに北上山地の地盤がILCに最適であることをアピール。大江さんは、いわてILC加速器科学推進会議が編集作業を進める中学生向けILC解説読本の試作品をエバンス教授に贈り、市民レベルの理解周知にも力を注いでいることを伝えた。
 大江さんによると、エバンス教授は「CERNはこれまで、さまざまな素粒子研究を進め良い成果を収めてきたが、ILCによってさらに解明を進める必要がある。CERNとILCは競争相手みたいな形になるが、お互いの役割を分担し合う必要がある」と述べたという。
 エバンス教授は2月に行われたLCC発足時の記者会見で、日本がILC建設国にふさわしいとする趣旨の公式見解を示している。視察団一行に対しても「ILCが日本に設置されることを期待したい」とあらためて強調した。
 視察団は素粒子の飛跡などを捉える「アトラス検出器」やCERNの防災業務に当たる消防署の様子なども見学。周辺地域の住環境や市民生活の様子にも触れるなどして、15日に帰国した。
 大江さんはILCを迎え入れる上での課題として、本県における理学系人材の育成環境が十分でないことを指摘する。「現状のままILCができたとしても、そこで働く人たちのほとんどは地元出身者以外、あるいはどこか遠くの大学を卒業した人ばかりということになる。地元で育ち学んだ人がILCに携わる状況を築くことで、研究施設と地域住民との間に一体感が生まれるのではないか」と話している。
 一方、小沢市長も17日、市役所での取材に「ジュネーブの住民の2人に1人が外国人。東北誘致となれば、多国籍文化を許容する下地をつくる必要がある」と強調。ILC建設後に大勢の外国人研究者や家族が訪れることを踏まえ「医療や教育、居住などインフラ面でのサポート体制づくりもしっかり進めたい」と話した。(児玉直人、若林正人)

写真1=大型実験装置「アトラス検出器」を見学する視察団一行(大江昌嗣さん提供)
写真2=CERN視察の様子を語る大江昌嗣さん
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tanko 2013-4-16 9:20
 胆江、一関地区の青年会議所(JC)など青年団体は11から2日間、茨城県つくば市を訪問。エネルギー加速器研究機構(KEK)や同市内を視察し、国際リニアコライダー(ILC)の装置開発状況や同市のまちづくりの様子を学んだ。江刺JCの及川啓隆理事長は「北上山地にILCを誘致することは、いろいろな面で衰退しているこの地域が生まれ変われるチャンスに結びつく。そのためには、各青年団体や行政などが一体となり、地域の将来像を考えなくてはいけない」との考えを示した。
 視察は江刺、水沢、一関の3JCが主催。奥州、一関両商工会議所の青年部や沿岸部の青年団体も含め、��人が参加した。
 一行はKEKで素粒子研究の概要の説明を受けたほか、開発中のILC関連装置を見学。翌12日はつくば市役所で、まちづくりの概要や研究都市としての現状などの説明を受けた。
 及川理事長は「KEKは非常に広大な施設で、研究やメンテナンス以外にもさまざまな仕事があることが感じ取れた。ILCはこれ以上の規模の施設になることからも、地方にある一企業であっても、取り組めることはたくさんあるのでは」と感じたという。
 まちづくりや研究者の受け入れ態勢については「そんなにおびえたり、足りない点を悲観したりする必要はない」と及川理事長。「高い能力を持った外国人が地域に住むという点から、とんでもないハイレベルな生活環境の構築を求められるような印象を受けている人も多いと思う。しかし大事なのは、心から迎え入れる姿勢。一人一人の力でできることをやれば相手にも気持ちが伝わるはずだ」と強調する。
 及川理事長は「青年団体の組織枠や地域枠を乗り越え、また行政とも連携しながら、地域の将来を考えなくてはならない。今回の視察は、そのいいきっかけになった」と話している。

写真=ILC用の装置を視察する青年団体メンバー(江刺JC提供)
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tanko 2013-4-14 9:50
ILC理解出来ぬが来て欲しい   水沢 遊助
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tanko 2013-4-13 9:50
 金ケ崎町は、25日午後3時から町中央生涯教育センターで国際リニアコライダー(ILC)講演会を開く。申し込み不要で、誰でも聴講できる。
 町がILC講演会を主催するのは初めて。本年度の施政方針演説で高橋由一町長は、町民向けの講演会や勉強会の開催など町内の機運醸成を図る姿勢を示し、既に役場庁舎に誘致実現を訴える看板を掲示。町村レベルで初めて、産学官連携の東北ILC推進協議会にも入会し誘致を後押ししている。
 講演会では、計画の基本的な概要や誘致活動の状況などを町民に伝える予定。講師は県の千葉彰ILC推進監。町総合政策課は「町主催はもちろん、おそらく町内でILC関連の行事を開くのも初めてとなるのではないか」と話し、多くの町民の参加を呼び掛けている。問い合わせは同課(電話0197-42-2111、内線2314)へ。
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tanko 2013-4-12 9:10
 野村総合研究所顧問や日本創成会議座長を務め、公共政策の観点からさまざまな提言をしている増田寛也さん(61)。岩手県知事を退いて6年経過した今でも、県民の間には一定の知名度がある。そんな増田さんの公式ホームページを開くと「夢」の文字が表示される。「ILCにはノーベル賞クラスの学者が家族と共に集まる。彼らと交流することで、地域の若者たちも国際的な感覚を自然と養い、やがて世界で活躍できる人材となる。そんな夢を描けるプロジェクトがILCだ」と語る。
 増田さんが最初にILCを知ったのは、知事就任間もない1995年。「県北の安比で素粒子物理学の学会があり、そこで初めてILCの前身計画である『JLC』のことを知った。これが日本に実現できたら、地域の発展に寄与するだろうと感じた」
 心の底から湧き上がる期待。しかし、それを公言できなかった。「情報が流出して、自治体間の誘致競争が過熱化するのを防ぐためだった」と増田さん。学術的根拠ではなく、地域都合や政治的駆け引きによって建設地が決まるのを避けたかった。
 そこで、県庁内のごく一部の職員だけに情報収集させた。その任務に携わった一人が勝部修・現一関市長(62)。3月25日、同市主催のILCセミナーで勝部市長は“水面下時代”の話に触れた。「『科学技術振興室』という部署にいたが、PRポスターを作ることも誰かに話すこともできずつらかった。別の事業構想を前面に出し、カムフラージュしたぐらいだ」
 セミナーに同席していた東北大学研究推進本部の吉岡正和客員教授は「一定の敷地に収まらないような規模の施設だし、国も認めていない。文部科学省も『勝手にそんな話を打ち出されては困る』という感じだった」と明かす。
 今はもう水面下の話ではない。ILC誘致への動きは日増しに活発化する。最新の情報では、海外候補地への立地の可能性が低くなっているといい、日本実現の期待がより一層高まっている。
 そんな状況を見つめながら増田さんは、日本がこれまで関わった国際プロジェクト推進方法に問題があると指摘する。
 「日本は、国民の合意形成を得られてから行政手続きを済ませ、その上で各国に参加意思表明をするスタイルを取ってきた。これは確実な方法だが、当然時間がかかり、『やります』と意思表示したときには、もう時間切れになっている」と増田さん。「国際交渉と国内対応を並行させて進める必要がある。そのためには前例主義に縛られずに、リーダーシップを発揮できる人材が必要だ」と強調する。
 建設資金については、「近年は単に利益の追求ではなく、社会的貢献に投資するという動きがある。国も地方自治体も財政は非常に厳しい状況にあり、公的負担は多少なりとも抑える必要がある」と、民間投資の活用を提唱する。
 ILCを通じ、自身にとって縁が深い東北、岩手を見つめ、考える場面が多くなった。増田さんは地域経済や雇用へのメリットとともに、子どもたちの育成に大きな期待を寄せる。
 「ILCにはノーベル賞クラスの頭脳を持った5000人規模の人たちが集結する。これらの頭脳と交流することで、地域の科学、文化、産業レベルが向上し、地方から世界に通用する人材を輩出できる。外国人研究者の家族との交流も、地元の若者が国際的な間隔を自然と養うことに結びつくだろう。ILC誘致に取り組むことで、こんな夢のようなことを具体的な設計図として描ける。実現に向け、候補地周辺の皆さんの支援を一層いただければ」と呼び掛けている。

写真=スイスの素粒子研究施設「CERN」を視察する増田寛也さん(日本創成会議事務局提供)

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