人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2016-1-22 15:40
 在札幌米国領事館のジャスティン・トール領事が21日、水沢区内を訪れ、素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)建設候補地の様子を視察。誘致活動の実情や地元住民の声などに耳を傾けた。トール領事は「ILCが実現すれば日本にとっても良い変化が起きると思う」と語った。(児玉直人)

 同領事館は岩手、宮城、青森、秋田の4県と北海道を管轄。トール領事は、総務・経済・領事部担当として昨年8月に着任した。
 管轄地域の実情を把握する中、岩手と宮城両県が誘致を目指すILC計画の話を耳にしたという。トール領事の出身地、カリフォルニア州には線形加速器を有する素粒子研究施設・SLAC(スラック)国立加速器研究所があり、「ILCがどのような施設になるのか、すぐにイメージできた」という。
 今回、日本の担当補佐職員と共に初めて岩手を訪れたトール領事。県や市のILC担当職員らと共に国立天文台水沢VLBI観測所を見学した後、羽田地区センターを訪れ、佐藤建樹会長ら同地区振興会メンバーとの意見交換に臨んだ。
 佐藤会長は「自然豊かな研究環境を提供できるのが一番の売り」とアピールする一方、「都市部の住民とは違い、外国人との交流経験が少ない。研究者やその家族との付き合いやおもてなしをどのようにしたらよいかが一番の心配」と述べた。
 トール領事は「コミュニケーションと多様性という考え方は非常に重要。例えば今日の意見交換も女性の姿が少ない。多くの人たちの声を聴くような機会を持つことが必要だ」との考えを述べた。その上で「住民との交流を通じて、外国人は日本の暮らしや文化を学ぶことになる。『郷に入っては郷に従え』の精神でぜひいろいろ教えてあげてほしい」と呼び掛けた。
 市国際交流協会の藤波大吾事務局員は、医療通訳スタッフの派遣事業などを紹介。トール領事は「このような通訳がいなければ、外国人は緊張しながら生活しなければいけないだろう」と話し、有意義な事業であると評価した。
 意見交換後、取材に応じたトール領事は「ILCを迎えるためにはどうしたらよいか、自由に語り合うことができた。ILCの実現は、日本にいい変化をもたらすチャンス。今回の視察で感じたことを同僚たちにも報告したい」と述べていた。
 国際プロジェクトとして進めるILC計画は、特にも米国や欧州諸国との連携が重要になってくる。一昨年公表された米国の素粒子物理将来戦略(通称・P5)では、ILC計画への強い支持が明記されている。日本の超党派国会議員で組織するILC議連は、米政府や上下両院議員関係者らと議論を深めるなど、国際協力体制の構築を進めている。

写真=羽田地区振興会のメンバーらの話に耳を傾けるジャスティン・トール領事(右)

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Project Realization “Good Changes for Japan” (US Consul in Mizusawa for ILC Candidate Site Visit)

On January 21st, Consul Justin Tull of the United States Consulate General in Sapporo visited Mizusawa ward to view part of the the candidate site for ILC construction, listening to reports of efforts to invite the ILC and opinions from local residents. Mr. Tull stated, “If the ILC is realized, I think that it will bring about good changes to Japan.”

The US Consulate General in Sapporo’s district contains Iwate, Miyagi, Aomori, Akita and Hokkaido. Mr. Tull started his current position of Management, Economic and Consular Officer in August last year.

Mr. Tull heard about the ILC project, which both Iwate and Miyagi prefectures are working to invite, while getting an overview of the situation within the consul’s district. In California, where Mr. Tull is from, there is a physics research facility with a linear accelerator, SLAC National Accelerator Laboratory, so “I could understand right away what kind facility the ILC was.”

This is the first time Mr. Tull, who was accompanied by an assistant, has come to Iwate. After they visited the Mizusawa VLBI Observatory with prefecture and city ILC officials, the group went to Hada Regional Center and appeared at an opinion exchange session with head of the Hada Regional Development Association Kenju Sato and other members.

Mr. Sato noted that “Our biggest selling point is that we can provide a research environment rich in nature,” but on the other hand, stated that “Unlike city residents, we have little experience interacting with foreign people. My biggest worry is interacting with the researchers and their families and how to be welcoming.”

Mr. Tull expressed his thoughts that “Thinking of communication and diversity is very important. For example, there are few women at this opinion exchange. We need to have the opportunity to hear from all kinds of people.” He also said, “Through interacting with local residents, international residents can learn about living in Japan and the culture. Please teach them about many things in the spirit of `When in Rome, do as the Romans do.`”

Oshu International Relations Association staff member Daigo Fujinami talked about their activities including dispatching volunteer medical interpretation staff. Mr. Tull evaluated this as a meaningful activity, saying “If there were no medical interpreters, international residents would probably have to live tense lives here.”

After the opinion exchange, Mr. Tull answered questions from reporters, saying “We were able to speak freely together about how to welcome the ILC. The ILC is a good chance to bring positive changes to Japan. I’d like to tell what I felt during this visit to my colleagues.”

The ILC Project, which is an international project, especially requires cooperation with the United States and Europe. The US Strategic Plan for U.S. Particle Physics by the Particle Physics Project Prioritization Panel (P5 for short), which was released the year before last, make clear strong support for the ILC project. The nonpartisan federation of diet members for the ILC is working to build an international cooperative framework through deepening discussions with the US government and federal legislators.


*Translation by Oshu city ILC Promotion Division. .
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tanko 2016-1-21 12:10
 在札幌米国総領事館のジャスティン・トール領事は21日、素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)の候補地視察のため、水沢区内を訪れる。国立天文台水沢VLBI観測所を見学するほか、候補地から近く新幹線駅が立地する同区羽田町の地域住民らと意見交換する予定だ。(児玉直人)

 トール領事は、同領事館の総務・経済・領事部担当として昨年8月着任。国務省入省以前は、米空軍パイロットや民間企業、市職員を務めた経歴を持つ。
 県科学ILC推進室によると、トール領事は用務で仙台市を訪問した際、ILCの話題を耳にし、強い興味を示したという。候補地を直接訪れたいとの申し出があり、県推進室や市ILC推進室が受け入れの準備を進めた。
 羽田地区センターで予定している意見交換会には、住民や奥州市国際交流協会、県、奥州、一関両市の担当職員らが同席するという。
 羽田地区は、ILC建設想定エリアとなっている北上山地からほど近く、東北新幹線水沢江刺駅があることから、ILCが実現した際には研究所への玄関口になる可能性がある。1997(平成9)年に旧水沢市は、同駅や現在の「ふれあいの丘公園」周辺に、先端科学研究機関誘致を中心としたまちづくり構想「みずさわシンフォニーランド」を描いている。
 市側から出席要請を受けた、羽田地区振興会の佐藤建樹会長は「ILCは最先端の科学技術を集めて造ろうとしているが、当地区で栄えた鋳物の技術は900年以上の歴史を誇る。新旧の技術が共存共栄するような将来の姿にも話題が展開できたら」と希望する。
 ただ、現状として同振興会では特段ILC関係の取り組みをしているわけではなく、関連情報も講演会や新聞報道で見聞する程度。佐藤会長は「次世代を担う子どもたちは別として、地域住民は都市部の市民と比べ外国人と触れ合う場面が少ない。異文化と地域文化との調和をどう図ればいいのか、考える必要はあると感じている」と話している。
 ILCは世界に唯一造られる国際研究施設。実現に際しては、特にも欧米諸国の協力が重要で、日本の超党派国会議員で組織するILC議連は、米国政界との連携を図るため日米議連の結成を目指している。
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tanko 2016-1-17 9:20
 11カ国の青年たちが、7日間の陸上研修と34日間の船上研修・海外訪問研修を展開する次世代グローバルリーダー事業「シップ・フォー・ワールド・ユース・リーダーズ(SWY)」。岩手県の推薦と内閣府の選考を経て、120人の日本人参加枠の1人に選ばれた。
 「『にっぽん丸』に乗船し、インドとスリランカに向かう。バーレーンやタンザニアなど、なかなか接することがない国の青年も参加する。とても楽しみ」。異文化対応能力やコミュニケーション力に磨きをかける。
 中学と高校時代に、奥州市の海外姉妹都市を訪れる青少年相互派遣事業に相次いで参加した。「海外に行きたい!」。今振り返ってみれば単純な動機だったが、その後の進路や将来の夢につながる経験となった。
 「外国人は主張が強くて、相手の話は全然聞いてくれないという先入観があった。けれども、中学時代に訪れたオーストラリアのホストファミリーは、自分のつたない英語でもしっかり受け止めてくれた。派遣事業に参加できたからこそ、感じることができた温かさだった」
 二度の姉妹都市訪問の経験を無駄にしたくないと、岩手県立大学盛岡短期大学部国際文化学科へ進学。キャンパスライフを送る中、国際関係論の担当教員からSWY事業を紹介された。
 昨年のSWYには、本県被災地訪問プログラムが組み込まれていた。大船渡港に降り立ったメンバーと一緒に沿岸被災地を回り、日本人の参加青年の言葉が心に留まった。「海外留学するより短期間で自分を高められる。密度が濃いよ」
 その青年は、自分の意見を主張しつつ、相手の立場や考えも尊重していた。別の参加者は、たとえ英語が苦手でも、気後れすることなく思いを伝え、不足する部分は周囲の力を借りていた。
 コミュニケーションの方法は状況や相手によって、いくらでもあることをあらためて実感。姉妹都市派遣の際に自分自身を受け入れてくれた、ホストファミリーの「温かさ」にもどこか共通するものがあった。
 将来の夢は、生まれ育った地域で多文化共生社会の構築や国際化に貢献すること。「ILC(国際リニアコライダー)の誘致活動が進められているが、実現したらぜひ関係する仕事をしたい」 (児玉直人)

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 SWYから帰国した今春には、宇都宮大に編入する。編入試験とSWYの試験が同時期に続き、家族を心配させたが「やりたいと思ったら、とことんやる性分。頑固なんですね」。今月は成人式にも参加。18日からSWYの国内研修が都内で始まり、27日に横浜を出港。「今までにない中身の濃い1月です」。水沢区上姉体。
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tanko 2016-1-9 5:20
 国際リニアコライダー(ILC)計画の国内推進母体となっている、高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市、山内正則機構長)は8日までに、「KEK−ILCアクションプラン」を策定した。文部科学省がILCの誘致建設を前提とした諸外国との交渉を始めることを正式決定した場合、KEKが取るべき対応を網羅。想定されるスケジュールや組織体制、必要となる人材数をより明確に示し、本格的な準備へスムーズな移行を目指す。(児玉直人)

 ILCは物質の起源や宇宙誕生の謎を探るため、世界に唯一設置される素粒子物理学の国際研究施設。江刺区東部などの北上山地が建設有力候補地になっている。
 同プランは昨年5月、山内機構長の提言を受け策定作業がスタート。ILC有識者会議での協議を踏まえ文科省が「ゴーサイン」を出した場合を見据え、KEKが取るべき対応や組織体制、必要な人材についてとりまとめた。
 ILCの実現までには、三つの段階を踏むと想定。初段階は特定の準備予算を伴わない「予備準備期間」で、現在はこの時期に当たる。
 文科省が「ゴーサイン」を出した後、予備準備期間から速やかに「本準備期間」に移行する。「ゴーサイン」については、これまでもILC関連の会議や講演会でも登場してきた言葉だが、今回のプランで「文科省から『ILCの実施を前提に諸外国との交渉を始める』という正式発表があること」と明確に定義した。
 本準備期間は4年間で、相当の予算措置がある状況を指す。ILCの国際協力の枠組みとして現在設置している研究者組織リニアコライダー・コラボレーション(LCC)は、ILCプレラボ(事前国際研究所、仮称)に移行し、KEKに本部機能を置く。加速器の工学設計のほか、政府間交渉の補佐、プロジェクト承認活動に責任を持てる体制を構築する。
 最終段階の「本建設期間」は約10年を見込む。政府間の正式な合意が成立し、ILC計画が承認された段階で、施設建設や実験施設運転を統括する新国際研究所「ILCラボラトリー」を設立する。
 これらの流れを基にスケジュールを想定すると、仮に2016年度にゴーサインが出て本準備が始まった場合は、2020年度に本建設開始、2029年度実験開始となる。ゴーサインが2017年度や2018年度なった場合、本準備や本建設の開始時期は後年度にそのままずれ込むと想定する。
 プランでは必要な人材数についても明示。スタッフは専任だけでなく、国内外の大学や研究所に所属しながら併任や協力するメンバーもいることから、実人数ではなく一人の常勤雇用者が処理できる仕事量を表す「FTE」(フルタイム当量)で算定した。
 海外からの貢献人材については、本準備期間中に全体の20〜40%の範囲で順次高める。建設段階には50%またはそれ以上を想定する。
 策定作業に携わったKEKのワーキンググループは、プランのまとめの中で「準備期間における組織、技術課題、必要な人材確保と育成を検討しアクションプランをまとめた。プランは今後、国内外でILC実現への道筋を議論するための基礎的な情報の一つとして役立てることができる」としている。
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tanko 2016-1-8 9:30

 ILC(国際リニアコライダー)誘致が実現すれば、市内に居住する外国人が増加すると予想される。「外国人が増えることでプラスの面もマイナスの面も当然ある。言葉の壁や文化の違いなど解決すべき課題は多いが、それを乗り越えれば必ず良い方向に転がるはず」。ILCサポート委員会の一員として、そう確信する。
 ケニアで生まれ、結婚を機に来日。ILCサポート委員、英会話スクール講師、医療通訳者――など多方面で活躍する一方、江刺区梁川で義母と夫を支える嫁であり、14歳の娘を育てる母親でもある。「冬は寒いし雪が積もると車の運転が大変。日本は道路が狭いから余計に大変」と苦笑しながらも、陽気な性格で忙しい日々を駆け抜ける。
 日本に来て戸惑ったのは、道路標識や地図上に英語表記がないこと。特に漢字が難点だ。金融機関の現金自動預払機(ATM)にも英語案内がなくて困った。外国人居住者の増加を見据え、「英語の案内をもっと増やしてほしい。日本には『助け合いの精神』が根付いているから大丈夫だと思うけど」とほほ笑む。
 市内外を走り回る毎日。公共交通機関の少なさにも困り顔だ。地元を走るバス運行本数の少なさに、「高齢者が増える中、買い物に行く時間が制限される。私も年を取ったら困ることが増えそう」と心配する。「都市部だけでなく、地方でも楽に生活できるようブラッシュアップ(磨き上げて)してほしい」
 ILC誘致を支援する委員として、「まちづくりをもっと広い視点で考えるべきだ」と提言。「市内には日高火防祭や江刺甚句まつりなど伝統的なお祭りがあるが、いずれも地域それぞれのイベント。東北六魂祭のように、奥州市全体で5区全体の人たちが一堂に顔を合わせ、交流できるようなイベントを仕掛けてほしい」と望む。
 「ILCや国体開催は、奥州市が良いところだと外に発信できるチャンス。食べ物もおいしいし、観光地もある。せっかく注目を浴びているのだから、どんどん発信するためのアイデアを出していってほしい」と指摘。「ILCが実現すれば、人口や雇用も増えるが安全面など課題も出てくる。いい環境づくりのため、皆で頑張って知恵を出し合わなきゃね」と太陽のような笑顔を輝かせた。
(佐藤和人)

写真=「おしゃべりが大好き。伝えたいことは全て話せた」とにっこり笑顔の菅原メリセラさん

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“Mary Sugawara (From Kenya, Living in Esashi) Dreams, Hopes, Advice For the Future”

If the ILC becomes a reality, more international residents are expected to come to Oshu. “Of course, there are positive and negative aspects of more international residents. There are many issues, like how to deal with the language barrier or cultural differences, but if we overcome those things should go well.” As a ILC Support Committee member Mary Sugawara is confident in this.

Mary was born in Kenya and came to Japan after marriage. Active as an ILC Support Committee member, English teacher and volunteer medical interpreter, she also supports her mother-in-law and husband in Esashi and raises her 14 year old daughter. Mary explained, laughing wryly, “The winter here is cold it’s difficult to drive with the snow. Japanese roads are narrow so it’s even more difficult.” But despite this she rushes through her busy days cheerfully.

When she came to Japan, Mary was bewildered with the lack of English on road signage and maps. Kanji characters, especially, are a problem. ATMS also did not have an English option and were hard to use. In preparation for more international residents, “I want there to be more English signage. Though, Japanese are very helpful so I think it will be OK,” said Mary, smiling.

Mary bustles through the city daily. Another thorn in her side is public transportation. She worries about the infrequent local buses: “The number of old people is increasing, and this limits the time they can go shopping. When I get old maybe I would have problems. I’d like the local area to brush things up so it’s convenient to live in the country as well as the city.”

As a committee member supporting efforts to invite the ILC, Mary recommended that “city planning should be looked at from a wider viewpoint. Oshu has traditional festivals like the Hidaka Hibuse Matsuri and Esashi Jingu Matsuri, but those are events for individual areas. I want there to be events like the Tohoku Rokkon Festival, so all residents for all five wards of Oshu can meet in one place and interact.”

“The ILC and the National Sports Festival are a chance to show people good things about Oshu. We have delicious food and tourist attractions. If we’re going to be in the limelight, we should think up more and more idea to promote ourselves,” points out Sugawara. “If the ILC becomes a reality, there will be more people and jobs, but issues like safety will also come up. We need to put our heads together and do our best for creating a good environment,” she said, smiling sunnily.

*Translation by Oshu city ILC Promotion Division.
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tanko 2015-12-26 14:40
 奥州市は25日の市商工業振興審議会の会合で、市観光基本計画(2013〜2021年度)の後期計画(2017〜2021年度)の見直しについて説明した。広域的な誘客促進や胆沢ダム(奥州湖)を生かした観光振興策の強化などを念頭に、2016(平成28)年度末までに見直し後の後期計画を確定。さらに年度ごとに計画の進捗を把握し、必要に応じて見直すとした。
 奥州市の観光施策の指針となる同基本計画は、市総合計画に準ずる位置づけ。観光客誘致の推進や、市民、観光関係団体との連携、情報発信の充実など4項目を基本方針に掲げる。
 市商業観光課は、見直し後の後期計画で、対策を特に強化する必要がある項目として、(1)広域観光による誘客促進策(2)胆沢ダムを活用した観光振興策(3)訪日外国人誘客促進策――の各項目を明示。広域観光に関しては、世界遺産平泉との連携や、北海道新幹線開業に伴う道内からの誘客促進が必要とした。
 また、後期計画に新たに盛り込むべき視点として(1)市観光施設での民間活力の活用(2)民間での観光施策の充実(3)観光資源の顕彰・発掘――を挙げている。
 今回の見直し作業は、市や関係団体の職員らで組織する市観光基本計画策定委員会が主導する。関係団体などから意見を聴き取りながら2016年度中に見直しを済ませ、2017年度の予算要求に反映させる。2021年度末の計画終了まで、年度ごとに計画の進捗を把握し必要があれば見直しをかける。
 説明を受けた同審議会の委員は「ILC(国際リニアコライダー)誘致関係の入り込み客についても後期計画に反映できれば」などと述べた。
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tanko 2015-12-25 14:40
 「震災復興もILCも『大風呂敷』どころか『小さな風呂敷』さえ存在しない。後藤新平がこの状況を知ったら、怒りも嘆く気力さえも持たないだろう」
 3月下旬、仙台市内で開かれた講演会で中央大学理工学部の石川幹子教授は指摘した。東北の国際リニアコライダー(ILC)誘致関係者が居並ぶ中でのこと。過去に聞いた講演では非常に穏やかな口調が印象的だったが、その日は違った。驚きと同時に「そうだ、そうだ」とペンを走らせながら強くうなずいた。
 石川教授は、ILC国内候補地を選定する立地評価会議で社会環境基盤専門委員を務めている。仙台での講演から1カ月余り後、文部科学省でILC有識者会議を取材する機会を利用し、文京区の中央大キャンパスを訪れ、じっくり話を聞いた。
 「のぼり旗や看板を設置して地元の熱意を伝えているが、何か空回りしていますよね。科学や経済など、一部分だけの話題で盛り上がっているかのようで……」と語る石川教授。地域の自然や文化などの特色を生かしたまちづくりは、研究者組織や国にはできない仕事だと強調する。
 看板設置に限らず、講演会やグッズ作製など、一つ一つの取り組みは決して悪いことではない。だが、歯車がうまくかみ合わなければ効果は広がらず、温度差を広げる可能性もある。ひょっとしたら石川教授の指摘と同じことを地域住民も抱いているかもしれない。
 石川教授に取材した翌日、都内ホテルで超党派国会議員で組織する「ILC議連」が、国内外の研究者から情報を聞く場があった。文科省有識者会議や研究者らによるフォーラムもそうだが、北上山地から遠く離れた場で、私たちの地域の将来に関わるプロジェクトの議論や動きが展開している。
 これらの動きを取材した記事が“小さな歯車”となって、地域の誘致活動の回転に連動してもらえれば。またはその逆も願いながら、来年も取材に臨みたい。(児玉直人)

写真=ILC議連の国会議員団を前に、計画の動向などを説明するリニアコライダー・コラボレーション最高責任者のリン・エバンス氏(右)ら国内外研究者(4月22日、東京都内のホテル)
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tanko 2015-12-25 14:30
 奥州市は本年度、国の地方創生先行型交付金を活用し、観光や交通関係の民間事業者向けに多言語表記促進事業補助金制度を設けた。外国人市民の利便性向上や、国際リニアコライダー(ILC)誘致を見据えた国際都市形成に向けての環境整備を念頭に、飲食店のメニューや観光施設の看板などを多言語化してもらう。30万円を上限に補助対象経費の3分の2を助成する。申請期限は来年1月15日だが、予算(240万円)がなくなり次第、受け付けを締め切る。

 この補助金は、市内で営業する観光物産や飲食、レジャー、ホテルなど各施設に加え、レンタカーやバス、タクシー事業者らが対象。補助の対象となる事業は、多言語表記でのパンフレットやメニュー、ホームページの作成、施設内外の情報案内板の整備などとなる。
 表記言語は、日本語、英語、韓国語、中国語、標準案内用図記号(ピクトグラム)。このうち日本語と英語の表記が必須で、表記はいずれも岩手県外国語案内表示統一ガイドラインに沿う。補助対象経費は、消耗品費、印刷製本費、手数料、筆耕手数料、委託料など。補助金の交付は、1団体につき1回限り。
 希望者は、市ホームページで入手できる交付申請書に、事業計画書や収支予算書、見積書、事業内容が確認できる書類などを添付し、市役所江刺総合支所内の地域づくり推進課へ提出する。市側が事業内容を審査した上、補助金交付の可否、交付金額を決める。
 同課は、外国人市民から看板や標識が分かりにくいと指摘されていることに触れ、「外国人を受け入れやすいまちづくりを実現するためにも、積極的に今回の補助金を活用してもらえれば」と話す。
 問い合わせは同課(電話0197-35-2111、内線323)へ。
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tanko 2015-12-25 14:30
 奥州市立胆沢(いさわ)中学校=胆沢区南都田字蛸ノ手=の工事現場に設置されているフェンスを利用し、国際リニアコライダー(ILC)の誘致をPRしようという動きが浮上している。今月16日に開かれた市議会の「ILC誘致及び国際科学技術研究圏域調査特別委員会」で渡辺忠委員長が報告した。
 渡辺委員長によると、このフェンスは胆沢中建設現場の西側にあり、現場と県道供養塚折居線の歩道を仕切るように建てられている。白一色に塗られており、キャンパスに見立ててILC誘致実現にふさわしい絵などで彩ろうというもの。
 渡辺委員長は「業者など関係者と協議しながら模索している」と話している。

写真=胆沢統合中学校工事現場のフェンス
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tanko 2015-12-21 14:30
 「発明や科学が好きなのかな?」。独マインツ大学の斎藤武彦教授の問い掛けに、水沢区・市立常盤小学校5年の星野那奈さん(11)は、はにかみながらうなずいた。
 11月中旬、水沢南地区センターで開かれた奥州市少年少女発明クラブの活動。産業用無人ヘリコプターを観察した後、斎藤教授がクラブメンバーに特別授業を行った。
 人気アニメキャラクター・ドラえもんを取っ掛かりに、4次元について説明。銀河系やLHC(大型ハドロン衝突型加速器)、北上山地への誘致が期待されるILC(国際リニアコライダー)などを紹介した。
 「もし岩手にILCができたら、どうなるか。世界の科学の中心は岩手になる。世界中から科学者が来て住むので、英語がしゃべれても自慢できない。世界へ目を向けてほしい」。熱く語り掛ける講師の姿からほとんど目を離さず、笑ったりうなずいたりしながら聞き入った。
 冒頭、斎藤教授の「岩手ってすげー」との言葉に賛同したのは数人。星野さんも半信半疑だった。ところが宇宙から地域の話題へとつながるにつれ、瞳の輝きが増していった。終盤に「岩手ってすごいって思った人」と投げ掛けられると、真っすぐ手を挙げた。
 授業が終わり、「分かりやすくて楽しかった。初めて知った岩手のこともあり、すごいと思った」。ドイツには100人科学者がいれば半分が女性という話に、「びっくりした。理科が好きで科学に興味があるので、私も科学者になれたらいいな」と少し恥ずかしそうに語った。
 すでに英語を学んでおり、「もう一つ何か習うなら中国語かな」。新たな言語の習得にも喜んで取り組み、将来を見据える。
(河東田ひかり)

写真=息もつかせぬ斎藤武彦教授の特別授業を楽しんだ

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